2) 英国の「スリップウェア」とはどんな焼き物なのでしょうか?
① 最初は飾り皿が多く作られていました。
② 18~19世紀になると、実用的な皿が作られる様なります。
以上が前回までの話です。
③ 皿の鋸歯状の縁の形状も、見所の一つに成っています。
皿は後で述べる型押しの技法で制作している事で、強度を持たせる為と、焼成では重ね焼きで
行いますので、くっ付き防止の為、及び持ち運びの際、手指の滑り止めの働きもある形状に
成っています。細かい鋸歯状の縁や太い細いを繰り返す縁や、深く切れ込んだ物、浅い物など
多様な鋸歯状の縁があります。専用の用具を使用した様です。
但し、鋸歯状の縁にはスリップは掛かっていません。
又、皿の裏底も見所に成っています。裏底はベタ高台(高台が無い)に成っています。これは
次で述べる方法に由来しています。
3) 英国の「スリップウェア」の制作方法。
① タタラ(粘土の板)状態の土を型に押し当てて形を作っています。
) 制作工程は、タタラを作る。スリップ加工を施す。型に合わせて成形する。仕上げ。
乾燥。素焼き。施釉。本焼き。完成となります。
) タタラを作る。
使う粘土は、スリップ効果が出る様に、赤土や黒く発色する色の付いた土を使います。
又、黒く発色させる為に、弁柄(酸化第二鉄)などを用いた化粧土を、作品の表面に流し掛け
して、土台を黒くする事もあります。
タタラの厚みは作品の大きさに合わせ、5~8mm程度が多いです。
粘土を掌(てのひら)や叩き、板を使い必要な大きさに延ばし、数cmの厚さにします。
タタラ板を上記の粘土の両端に積み上げ、糸やワイヤーを用いてタタラ板に沿わせて粘土を
スライスします。同様にして数枚のタタラ板を作ります。尚、切り出したタタラは乾燥しない
様に、濡れた新聞紙や布の上に置きます。この新聞紙や布は後で役立ちます。
) スリップ加工を施す。
スリップの色は白が多いですが、黄色、黒、赤色なども使われます。
スリップで加飾する為には、それなりの用具が必要になります。主にスポイト状の用具が
使われますが、多くは独自の形状の物を自作している様です。スリップの濃度の調整が大切
に成ります。濃い場合には盛り上がりますが、薄い場合は横に広がってしまい綺麗な文様が
出来なくなります。その他、一度描いた縞文様の直角方向に櫛を軽く当て(滑らす様にする)、
鳥の羽の様な文様(フェーザコートと言う)を描き出す事もあります。
) 型に合わせて成形する。
型は粘土で作り、素焼きした物を使います。素焼き型は被せたタタラの水分を吸収する働きが
あり、型離れも良くなります。型には内型と外型があります。
一般には型の外側に被せ、スリップ文様に傷に出ない方法(内型)を取りますが、型の内側を
使う事(外型)もあります。
a) 内型に合わせる。
スリップ文様が乾いた段階で、タタラの中心に型を置き、天地を引っ繰り返します。
その際、タタラの下に敷いた新聞紙や布で、タタラを安定した形で引っ繰り返す事が出来
ます。タタラを強く押し付くける必要があります。一般には直に両手の掌(てのひら)を
使い、型の中心から外側に向かって押し込みます。特に縁周辺では波状の皺が発生し易い
ですので、しっかり押さえ込みます。型から外にはみ出した粘土は、針やカッター等で
切り取ります。タタラが乾燥するに従い、型から離し易くなります。又、型から離れ難い
粘土の場合、予め型に「片栗粉」等を薄く掛ける方法もあります。「片栗粉」は何ら悪さは
しません。
b) 外型に合わせる。
外型の利点は、タタラの乾燥収縮と共に型から自然と離れ易くなる事です。但し、スリップ
文様側に力を加えて、型に沿わせる為、複雑な形の作品には向きません。
尚、出来るだけ外型の形に近い形に変形させてから、内側に押し込む方法がベストです。
スリップ面からは、砂袋(砂を布の袋に入れ口を輪ゴムや紐で閉じた物)で軽く叩き型に
沿わせます。
注意点は、どちらの方法でもタタラに「ひび割れ」を発生させない事です。特にスリップ面
に「ひび」が入ると面倒です。その為にもスリップ面が圧縮する方向に力が働く、内型が
適してると言えます。
) 仕上げ。 縁の形状を整えた後、鋸歯状の文様を付ける。
型から外して一晩置いた程度の時、一番加工し易く成っています。鋸歯状の文様は、粘土で
作った、丸や棒状の用具を使います。この縁も見所の一つですので、各自工夫が凝らされて
います。
以下次回に続きます。
① 最初は飾り皿が多く作られていました。
② 18~19世紀になると、実用的な皿が作られる様なります。
以上が前回までの話です。
③ 皿の鋸歯状の縁の形状も、見所の一つに成っています。
皿は後で述べる型押しの技法で制作している事で、強度を持たせる為と、焼成では重ね焼きで
行いますので、くっ付き防止の為、及び持ち運びの際、手指の滑り止めの働きもある形状に
成っています。細かい鋸歯状の縁や太い細いを繰り返す縁や、深く切れ込んだ物、浅い物など
多様な鋸歯状の縁があります。専用の用具を使用した様です。
但し、鋸歯状の縁にはスリップは掛かっていません。
又、皿の裏底も見所に成っています。裏底はベタ高台(高台が無い)に成っています。これは
次で述べる方法に由来しています。
3) 英国の「スリップウェア」の制作方法。
① タタラ(粘土の板)状態の土を型に押し当てて形を作っています。
) 制作工程は、タタラを作る。スリップ加工を施す。型に合わせて成形する。仕上げ。
乾燥。素焼き。施釉。本焼き。完成となります。
) タタラを作る。
使う粘土は、スリップ効果が出る様に、赤土や黒く発色する色の付いた土を使います。
又、黒く発色させる為に、弁柄(酸化第二鉄)などを用いた化粧土を、作品の表面に流し掛け
して、土台を黒くする事もあります。
タタラの厚みは作品の大きさに合わせ、5~8mm程度が多いです。
粘土を掌(てのひら)や叩き、板を使い必要な大きさに延ばし、数cmの厚さにします。
タタラ板を上記の粘土の両端に積み上げ、糸やワイヤーを用いてタタラ板に沿わせて粘土を
スライスします。同様にして数枚のタタラ板を作ります。尚、切り出したタタラは乾燥しない
様に、濡れた新聞紙や布の上に置きます。この新聞紙や布は後で役立ちます。
) スリップ加工を施す。
スリップの色は白が多いですが、黄色、黒、赤色なども使われます。
スリップで加飾する為には、それなりの用具が必要になります。主にスポイト状の用具が
使われますが、多くは独自の形状の物を自作している様です。スリップの濃度の調整が大切
に成ります。濃い場合には盛り上がりますが、薄い場合は横に広がってしまい綺麗な文様が
出来なくなります。その他、一度描いた縞文様の直角方向に櫛を軽く当て(滑らす様にする)、
鳥の羽の様な文様(フェーザコートと言う)を描き出す事もあります。
) 型に合わせて成形する。
型は粘土で作り、素焼きした物を使います。素焼き型は被せたタタラの水分を吸収する働きが
あり、型離れも良くなります。型には内型と外型があります。
一般には型の外側に被せ、スリップ文様に傷に出ない方法(内型)を取りますが、型の内側を
使う事(外型)もあります。
a) 内型に合わせる。
スリップ文様が乾いた段階で、タタラの中心に型を置き、天地を引っ繰り返します。
その際、タタラの下に敷いた新聞紙や布で、タタラを安定した形で引っ繰り返す事が出来
ます。タタラを強く押し付くける必要があります。一般には直に両手の掌(てのひら)を
使い、型の中心から外側に向かって押し込みます。特に縁周辺では波状の皺が発生し易い
ですので、しっかり押さえ込みます。型から外にはみ出した粘土は、針やカッター等で
切り取ります。タタラが乾燥するに従い、型から離し易くなります。又、型から離れ難い
粘土の場合、予め型に「片栗粉」等を薄く掛ける方法もあります。「片栗粉」は何ら悪さは
しません。
b) 外型に合わせる。
外型の利点は、タタラの乾燥収縮と共に型から自然と離れ易くなる事です。但し、スリップ
文様側に力を加えて、型に沿わせる為、複雑な形の作品には向きません。
尚、出来るだけ外型の形に近い形に変形させてから、内側に押し込む方法がベストです。
スリップ面からは、砂袋(砂を布の袋に入れ口を輪ゴムや紐で閉じた物)で軽く叩き型に
沿わせます。
注意点は、どちらの方法でもタタラに「ひび割れ」を発生させない事です。特にスリップ面
に「ひび」が入ると面倒です。その為にもスリップ面が圧縮する方向に力が働く、内型が
適してると言えます。
) 仕上げ。 縁の形状を整えた後、鋸歯状の文様を付ける。
型から外して一晩置いた程度の時、一番加工し易く成っています。鋸歯状の文様は、粘土で
作った、丸や棒状の用具を使います。この縁も見所の一つですので、各自工夫が凝らされて
います。
以下次回に続きます。