わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続失敗と対策 (同じ物を作る4)

2011-05-31 22:04:19 | 失敗と対策
前回に続き、同じ物を、複数個作る話をします。

2) 同じ物を作る。

 ① ご自分のオリジナルな作品を、数個作る場合

  ) 電動轆轤の場合

   d) 底の径(高台径)を同じ大きさにして削る。

     底の径(外径)を揃える事は、作品を同じ形にするのに、大切な事です。

     高台の形には、輪高台(含撥高台)、碁笥底高台、ベタ高台とありますが、当然、作品の底は、

     統一しなければなりません。

    イ) 底の径は、最初から決める事も有りますが、轆轤挽きで寸法通りに挽く事は出来ません。

       一般には、設計寸法より大きく作り、乾燥後に、削り作業で寸法通りに削り出します。

       誤って、設計より小さく成ってしまっても、土を足す訳には行きませんので、最も径が

       小さい物が基準になります。或いは、作品を作り直す必要があります。

    ロ) 底の径を揃えないと、同じ形にはなりません。スケールやコンパスを使って、同じ寸に

       削ります。意外と無造作に、削り出すし易いですから、注意が必要です。

  e) 高台脇から腰にかけての削り

    基本的には、内側の形状に合わせて、削ります。それ故、削る前から、どの様に削るのかは、

    解かっていなければなりません。(内側と外側の形状が、異なると、部分的に、肉厚に成ったり、

    肉薄に成ります。)

 ) 作品は多めに作り、選別して作品を揃える。

    後で、絵付けや釉について、述べますが、手で同じ様に絵付けをする事や、同じ色あいに

    焼き上げる事は、今までお話してきた以上の、困難さが付きまといます。

  ・ それ故、出来上がった作品から、同じ様な作品を、選別して、1セットとした方が、より容易に

    セット物を作る事が出来ます。例えば、1セット5個の作品ならば、7個の作品を作り、

    似た5個で、1セットにする様にします。セット外れは、単品として販売なりする事に成ります。

 ) 絵付けについて

  a) 手描きによる絵付けでは、どうしても、同じに描く事は、出来ません。

    磁器では、絵付け専門の技術者もいて、常に同じ様に描いている人ならば、別ですが、

    一般には、まず同じには描けません。逆に、手描きの良さは、微妙に違っている事にあるのかも

    知れません。

  b) 全く同じ模様を描くならば、転写紙の活用があります。

   イ) 陶芸材料店には、各種の転写紙(一色、多色、各種文様、厚盛の物など)が、市販されています。

     これを、素焼きした作品の上に置き、上から水を含ませたスポンジや、筆で全体を濡らしてから、

     紙(台紙)を剥がせば、簡単に転写が出来ます。(転写紙の裏表に注意)

   ロ) オリジナルな転写紙も、印刷して貰う事が出来ます。

     当然、ある枚数を作る必要がありますが、今後御自分の模様として、長く使っていくならば、

     有効な方法ともいえます。但し、全く同じである事は、面白味が欠けるかも知れません。

 ) 同じ焼き上がりにする。 

以下次回に続きます。

  
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続失敗と対策 (同じ物を作る3)

2011-05-30 21:46:35 | 失敗と対策
一個一個手で作る作品では、まったく同じに作る事は、かなり難しい事です。

まったく同じの物ならば、量産品がありますし、型を使った素焼き品も、市販されています。

それ故、手作り感を出す為にも、セット物でも、ソックリに作る必要は、無いかも知れません。

一個一個が有る程度、個性を持った作品であっても、特別悪い訳では無いと、言う事でもあります。

又、全てを同時に使う事も、稀かも知れませんので、必ずしも、全てソックリな物が、必要とは限りません。

とは言っても、やはりソックリに作りたいと、思うのが人情ですが。

2) 同じ物を作る。

 ① ご自分のオリジナルな作品を、数個作る場合

  ) 電動轆轤の場合

   c) 重さを同じにする。

    見た目は同じなのだが、手に持って見ると、明らかに重さに、差が有る作品もあります。

    その対策として、以下の事項があります。

    イ) 土取りの量を一定にする、又は、土のグラム数を測て使う。

       作り出す際の、土の量はなるべく一定にしたいものです。土の量が変わると、当然作品の

       大きさに、違いが出ます。大きければ、上部を切る事も可能ですが、上部のみを切取ると、

       全体の形が、違ってしまいます。それ故、再度形を見直す必要に成ります。

       出来れば、上部を切る事無く、作品を仕上げたいです。 

    ロ) 肉厚を出来るだけ、同じに挽き上げる。

       同じ土の量で、高さと径が一定の筒になれば、肉厚は他の作品と、ほぼ同じに

       なっていると、思って良いでしょう。

     ・ 轆轤では、土を挽き上げる際、下部の部分が肉厚で、上部に行くほど、肉が薄く成ります。

       但し、初心者では、この上下の差が大きく、手馴れた人では、その差が少なくなります。

     ・ 人は、作品を手に持つ前に、その重さはこの位だろうと、予測します。

       判断材料は、大きさと、肉厚です。肉厚は口縁の厚みより、判断する事に成ります。

       口が薄くなっている、初心者の作品は、軽く出来ていると、思われ勝ちですが、

       実際には、下部が肉厚の為、見た目以上に、重く感じられます。

    ハ) 手を馴らす事について、

       その日に最初に作る作品は、手が馴れていない為、どうしても作品が、延び延びと大きく

       作る事が出来ません。毎日行っている作業であっても、その日の調子や、気分によって、

       昨日の感覚を取り戻すまでには、1~2個の作品を作り、手が馴れてから、本番に移れば、

       同じ様に作れる可能性が増します。

    ニ) 同じ重さにする方法に、削り作業が関係してきます。

       乾燥後の、底削りや、底から腰にかけての、肉の厚さが、作品の重さに大きく関係します。

       全ての作品が、同じ様な厚みに成れば、重さも似てきます。

       (二つの作品を持った際、10gの重さの差は、明確に区別できますが、5g程度ですと、

        区別が困難です。)

      ・ 伏せた状態で、肉の厚みを確認する方法に、指で弾き、音の高低で、知る方法があります。

        慣れない内は、難しいですが、慣れれば、容易に聞き分ける事が出来る様になります。

      ・ 高い音の場合は、肉が厚く、削りが進む(肉が薄く成る)に従い、音が低く成てきます。

        弾く場所は、高台内と高台脇、腰の部分です。弾く強さを、徐々に弱くしないと、

        肉薄の場合、作品の一部が、凹む事があります。

      ・ 指で弾き、音を聞きながら、作業する事で、厚みが揃った作品に、仕上げられます。

  d) 底の径(高台径)を同じ大きさにして削る。

    底の径(外径)を揃える事は、作品を同じ形にするのに、大切な事です。

以下次回に続きます。
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続失敗と対策 (同じ物を作る2)

2011-05-29 22:12:00 | 失敗と対策
一般に陶芸家(又は陶芸を楽しんでいる方)は、多品種少量生産がほとんどですが、セット物を

作る事も、稀ではありません。その際、まったくソックリに作れなくて、苦労しているはずです。

2) 同じ物を作る。

 ① ご自分のオリジナルな作品を、数個作る場合

  ) 電動轆轤の場合: 手捻りよりも、同じ物を作る事は、比較的容易です。

   a) 大きさを揃える

     高さ、胴径、口径など、寸法が測れる時は、その大きさにする事は、さほど難しくは有りません。

     高さ: トンボを使い、口径と深さを同時に、測る事が出来ます。

      背が高い場合には、口縁に薄い板を水平に載せ、轆轤面からの高さを測ります。

     胴径: コンパスを使い、その開き具を、スケールに当てれば、径を測る事が出来ます。

   b) 形を揃える

     全体の形を揃える: 底の広さ、腰の形状、腰から胴の形状、胴から肩までの形状、

     更に首の細さと長さ、口縁の形状などの、形を揃えなければ、同じ形には成りません。

    ・ 夫婦茶碗の様に、形は似ているが、大きさの違う作品(相似形)を、作る時も有ります。

      この場合には、まずどの様な寸法にするかを、決めてる必要があります。男物の寸法が出たら、

      女物の口径をどの程度、小さくするかを決め、その割合に合わせて、高さを決めます。

      口径のみを、変化させると、深い作品に成ってしまい、夫婦茶碗らしくありません。

    ・ 最初に、全体の形を把握します。即ち、全体のイメージが、筒型、太鼓型、逆三角形型、

      お椀(丼)型、徳利型、瓢箪型、その他の型なのかを、掴みます。

    ・ 一番径が大きい所が、何処に有るかを、見極める事が、似た作品を作る秘訣です。

      下膨れ風、高さの中央部分、中央より上部(肩が張る)、口縁部分(お椀風、端反風)等です。

    イ) コテを使う: カーブを一定にするには、コテを使う事です。

       コテは有る程度広い範囲を、同時に押し当てる事により、形が整い易すくなります。

       又、出来れば、その形の専用のコテを使う事です。

      (ユニバーサルのコテも、市販されていすが、使う位置がズレれば、形も変化してしまいます。)

    ロ) 内側に使うコテ: 一般的には、作品の内側から、凸状のコテを当て、形を同じにします。

     ・ なるべく、曲面全体を、線状に押さえます。コテは水で濡らし、やや倒して使います。

     ・ 袋物と呼ばれる作品では、柄コテを使います。但し柄コテでは、線状に押さえる事は

       難しく、点状に成る場合が多いです。

    ハ) 外側に使うコテ: 特殊な使い方ですが、作品の外側から、コテを当てる方法も有ります。

       この場合には、凹状のコテに成る場合が、多いです。

    ニ) 轆轤から離れて、形を確認する。

       轆轤の前で座ったままでは、今作っている作品の全体像を、把握する事は、難しいです。

       作品が近付き過ぎる事と、目線が高い為、上から見下ろす感じに成り、全体像が掴めません。

       (勿論、轆轤作業に精通している方なら、その必要がありません。)

       席から離れて、しゃがむ様にして、目線を下げて作品を見ると、何処がどの様に違うかが

       見付けられます。なるべくモデルに成る作品(最初の作品)を、轆轤の側に置くと、

       違いがよりハッキリします。

    ホ) 形作りの段階では、肉厚も薄く成り、水分も含んできますので、少しの力で、形を

       変える事が出来ます。力を入れすぎない様に、注意します。

   c) 重さを同じにする。

以下次回に続きます。
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続失敗と対策 (同じ物を作る1)

2011-05-28 21:57:50 | 失敗と対策
2) 同じ物を作る。

  今回のテーマは、同じ物を、複数個作る場合の話です。

  ある程度、作品が作れる様に成ると、同じ物を何個か作って見たくなります。

  和食器は5個が基本ですが、同じ形、同じ色の作品を、何個か作りたいのですが、これが中々、

  難しいのです。

  職人さんの様に、毎日同じ作品を作っている方や、機械轆轤、鋳込み成型で作るのは別ですが、

  一般の人が揃いの作品を作る事は、熟練しなければ、まず無理です。

  機械轆轤とは: 轆轤上に作品の外型をセットし、その中に粘土を入れます。轆轤の回転と伴に、

   轆轤上部より、降りてくるコテで土を、型に押し付けて、成形する方法で、同じ形の作品が出来ます。

 ・ 一個作りの場合には、比べる物が無いので、自由に作る事が出来ます。

 ・ 二個以上に成ると、比較が可能な為、一寸した違いも目に付きます。

   それ故、前の作品の形に似せて、作らなければ成りませんので、自由に作る訳には、行きません。

 ・ 更に、人間の目は、並べて比較する時は、鋭い働きをします。少しの違いも、見逃しません。

 同じ物とは: 形、大きさ、色、重さなどが、「そっくりに作られた物」の意味です。

  ) 大きさ: スケール(とんぼ、コンパス)を当てる事により、計測ができますので、

     ほぼ同じ寸法に、作る事はさほど、難しくはありません。

  ) 同じ形にする: 直線的な形であれば、比較的近い形に作る事は、可能ですが、同じ曲面

    (カーブ)と成ると、 急に難しくなります。即ち、スケールなどでは、測れないからです。

  ) 重さについて: 土取りの量や、肉厚、底を削る量によって、変化します。

  ) 色は、焼成の結果現れますので、釉の種類や、窯の雰囲気などによって、変化します、

     量産の為でない限り、同じ様には、焼き上がらないのが普通です。

 同じ物でも、すでにある作品(著名な陶芸家、公募展の入選作など)や、他の誰かの作品、写真、

 雑誌などに載っている作品、何処かで見かけた作品などと、同じ様に(コピー)作りたい場合も、

 当てはまります。(この場合、土の種類、釉薬の種類、作陶の仕方、焼く窯の種類、焼成条件など、

 ほとんどが不明ですので、更に、難しくなります。)

 以上の様な理由で、同じ物を作る事は、まず出来ないと言うのが、本音ですが、それでは話が終わって

 仕舞いますので、どの様に取り組んだら良いかを、順次お話したいと、思います。

 ① 自分のオリジナルな作品を、数個作る場合

  ) 手捻りの場合: 手捻りで作る場合は、石膏型などを使えば、より似てきますが、一般には、

     電動轆轤で作るよりも、より個性的に成るので、同じ物は二つとは出来ません。

     それ故、特別な方法で作った場合のみ、形が似る事になります。

    a) 板皿の場合は、型紙を用意し、タタラに載せて、切り取ります。

      端面の土を締めますが、締め方によって、形や大きさが変わってしまいますので、

      この段階でも、一定に成る様にします。周囲を持ち上げる際にも、注意が必要です。

      石膏型を使えば、形が揃いますが、手作業で持ち上げると、どうしても差が出やすいです。

      更に板皿に脚をつけると成ると、形が大きく変化します。特に焼成中に、板が垂れたり、

      歪んだりします。脚の付け方によっては、作品に成らない場合もあります。

    b) 玉作りや、紐作りの場合で、そっくり作る事は、一般にはほとんど絶望的です。

      (但し、常に同じ作品を作っている方では、可能でしょうが・・)

  ) 電動轆轤の場合: 手捻りよりも、同じ物を作る事は、少しは容易です。

以下次回に続きます。     
      
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続失敗と対策 (土を締める5)

2011-05-27 21:23:44 | 失敗と対策
引き続き、土を締める作業に付いて、お話します。

1) 土はしっかり締める事。

 ② 電動轆轤の場合

   一見電動轆轤で作品を作る際には、土を締める作業は無い(又は、必要無い)と、思われますが、

   轆轤であっても、土を締める事は、大切な作業です。

  ・ 土の締めが弱い為に、「割れ」や「亀裂」が入り易い場所は、主に底と、口縁の部分です。

    特にこの部分は、しっかり土を締めます。

  ) 皿を作成する際、底に成る部分の土を、しっかり締める。

     豆皿や小皿であれば、必ずしも、土を締める必要は有りませんが、直径が大きく成るに

     従い、必ず底の土は、締めなければ、底割れの原因に成ります。

    イ) 轆轤上に土を載せ、拳(こぶし)で叩き締めながら、底の径まで拡げます。

       厚みは1cm程度にして、底の周囲は盛り上がる様にします。

    ロ) 拳で叩いていますので、表面は凸凹していますので、これを平滑にするには、手やコテを

       使います。面積が広い場合には、手(指)よりも、コテを使います。

    ハ) 底の縁に盛り上がっている土も、轆轤を回転させながら、外周や、内周と縁の真上を、

       皮や布で押さえつけて、肉厚が均等な、綺麗な円にします。

       綺麗な円が出るまでは、次の作業に進めません。

       押さえつける事により、土を締める事に成ります。

    ニ) 皿以外でも、底に成る部分が大きく、平板な形状の時は、底作りの際に、土を締める

       必要があります。即ち、指やコテを使って、内側から下方向に、力を入れて、土を締めます。

  ) 土を引き上げる際にも、土を締める。

     土を引き上げる際には、土を締めている感覚は、無いと思います。

     両手の指で、土を挟み込み、下から上へ手を移動すると、土は上に延びて行きます。

     表面を舐める程度の力の入れ方では、ほとんど土は、延びてくれません。

   イ) 力は外側が強く、内側が若干弱い程度の力で、土を挟み込みます。

     (外側が弱いと、径がどんどん広がります。径が大きくなると、上には延びません。)

      この作業は単に、土を薄く延ばす事以外に、土を内外から、強く締め付けている事に

       成ります。

  ) 径を細くする事も、土を締める事に成ります。

     外側から、轆轤の中心に向かって、手に力を入れます。土は肉厚に成りながら、径を細くする

     事が出来ます。但し、この作業を、連続して行うと、拠れ(よれ)が発生します。

     厚くなった肉厚を、若干肉を薄く延ばしてから、再度系を細くする事です。
   
   ・ 注意する事は、肉が薄過ぎる場合には、土は締まりません。肉がある程度、厚みが有ると、

     簡単に、径が細く成りますが、肉が薄過ぎる場合は、いくら努力をしても、径を細くする事は

     出来ません。この場合、土を乾燥させる事によって、解決できます。

  ) 口縁部分の土を締める

     一般に、口縁は皮で拭いて、終わりにしますが、拭く事は、土を締める事でもありますが、

     強く拭くと肉厚が、薄く成り勝ちに成ります。

     そこで、拭く前に、内外を支えながら、最上部をやや下に押して、肉を厚くして置きます。

     即ち、2回土を締める事に成る訳です。

 以上で、土を締めるの話を、終わります。

2) 同じ物を作る。

以下次回に続きます。     
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続失敗と対策 (土を締める4)

2011-05-26 22:49:51 | 失敗と対策
引き続き、土を締める作業に付いて、お話します。

1) 土はしっかり締める事。

 ① 手捻りの場合

  ) タタラ作り

   b) 延ばし板を使って、タタラを作る

    前回、タタラ板を使って、タタラを作りましたが、延ばし板を使って、作る事が出来ます。

    利点は、かなり広い面積の、タタラを作れる事と、土もしっかり締める事が、出来る事です。

    欠点は、専用の延ばし板を、用意する必要がある事です。

   イ) 延ばし板とは、 厚めの板の周囲に、細長い板の桟(さん)を、取り付けた物で、

      この桟の厚みによって、タタラの厚みが、決まります。

      それ故、数種類の延ばし板が、必要に成ります。又、土を締める為の、叩き板と延ばし棒も

      必要に成ります。叩き板は柄の付いた、平らな面を有する物で、延ばし棒は、麺棒の様な
    
      丸い棒や、ローラー等を、転がして使います。  

   ロ) 使い方は、ゆるく絞った日本手拭を、延ばし板の表面に貼り付けます。皺が出来ない様に

      注意します。次に、よく練った土を延ばし、板の上に載せ、拳(こぶし)で広く延ばします。

      手拭を使うのは、板に土が張り付くのを、防ぐ為です。

    ・ 蚊帳目も人気のある布目模様ですが、蚊帳の外側に必ず、手拭を被せる様にします。

      蚊帳の目を通して、土が延ばし板にくっつくのを、防ぐ為です。 蚊帳も水に濡らし、

      硬く絞ってから使うと、皺も発生せず、綺麗に伸ばせます。

   ハ) 粘土の上に、別の手拭(下に敷いた手拭を、折り返しても良い)を被せ、叩き板を、縦、横方向

      から叩きます。延ばす為に叩くのではなく、締める為に叩くのですから、垂直方向に

      叩く事です。思い切って、全体を強く叩いて土を締めます。

   ニ) その後、ローラーや延ばし棒を使って、土を均等に延ばします。

      注意する事は、桟の高さで、厚さが均等に成りますので、周囲の桟から落ちない事です。

      又、余分な土が、桟に乗り上げてしまうと、桟の高さが変わってしまいますので、

      余分な土は、早めに切り取っておきます。

      転がす方向は、縦横斜め方向です。体重を掛ける様に、力を入れ無いと、均等には延びません。

   ホ) ローラー等で延ばすと、転がした痕(ロール目)が残ります。

      そこでローラー等を転がさずに、縦横方向に、滑らす事により、この痕を消します。

   ヘ) 本物の葉っぱを使って、葉皿を作る事も出来ます。葉の裏側に、片栗粉を塗り、薄く延ばした

      土の上に載せ、その上に布を掛けて、再度ローラーをかけます。

      葉っぱの形に切り取るのも良し、葉っぱを散りばめた、お皿も趣があります。

    ・ 切取った場合は、端面を押して土を締めた後、皮で綺麗に拭きます。

    ・ 葉脈のはっきりした葉を使うと、本物の様な皿が出来ます。

   ト) 皿の場合は、周囲を持ち上げますが、単に内側に変形するだけで無く、両手で摘んで近付け

      土を締める様にすれば、周囲は自然と持ち上がります。

      土が軟らかい場合には、立ち上げた下に、枕を置いて元に戻るのを、防ぎます。

    ・ 枕とは、紙を数回折り返して作リます。折る回数が多い程、枕は高くなります。

      紙を丸めて作ると、転がってしまう為、使い難いですので注意。

   チ) 箱状の物を作る際には、タタラが変形せずに、自立出来る程度まで、乾燥させてから、

      使います。ある程度乾燥していますので、貼り合わせの部分に、傷(刻み)を付けてから、

      ドベ(ぬた)を塗って、圧着させます。

  ② 電動轆轤の場合

以下次回に続きます。
    
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続失敗と対策 (土を締める3)

2011-05-25 21:53:27 | 失敗と対策
引き続き、土を締める作業に付いて、お話します。

1) 土はしっかり締める事。

 ① 手捻りの場合

  ) タタラ作り

   タタラ作りとは、板状にした粘土(タタラ)を、石膏型に押し込んだり、被せたりして、形を

   作ったり、若干乾燥後、貼り合わせたりして、形を作る方法です。

   タタラの良し悪しによって、作品の出来具合は、変化します。折角作った作品も、「割れ」や「ひび」が

   入っては、泣くに泣けません。

   ・ タタラ作りは、皿などの製作や、石膏型を使う方法では、簡単に作品を作る事が出来ますが、

     箱型の様な形状の作品は、見た目以上に、手間隙の掛かる作り方です。

     特に接着部分を補強する為、細い紐状の土を、角に入れる作業に、時間が掛ます。

   a) タタラ板を使って、タタラを作る。

    イ) 一般に、タタラ板を土の両側に積み上げ、切糸(釣り糸など)で、スライスして作ります。

       タタラ板は厚みが1mm~10mm以上、長さ30cm程度の板が、市販されていますが、

       作品本体を作るには、5~8mm程度が、使い易い板厚です。

       勿論、市販品を使う必要はありません。ご自分で木材を加工して、作る事も可能です。

       (3mm以下では、強度が出ません。1mmは貼り付け用の小物に向いています。)

      ・ 先ず、粘土を四角いブロックにします。大きさは、作りたい大きさより、やや大きめに

        作ります。その際、ブロックはテーブルの上に落として、土を締めます。

      ・ なるべく高い位置から落とし、四方向(上、下、手前、向こう側)を順番に、締めます。

        ここでしっかり、土を締めないと、丈夫なタタラは出来ません。

        又、模様の無い、叩き板を使って、六面を強く叩き、土を締める方法もあります。

      ・ ブロックの両側に重ね合わせた、タタラ板を積み上げ、切糸が浮き上がらない様に、

        両手の親指又は、人差し指を、タタラ板に押し付け、手前に引いて、所定の厚さに

        切り取ります。そして最上段のタタラ板を取り除きます。これを順次繰り返します。

     ロ) タタラ板を使うと、同じ厚さの粘土板が、多数出来ますので、数物を作る時には、

        大変便利です。但し、ブロックの最上部と、最下部で、土の無駄が出易いです。

        スライスされた粘土板を、所定の形に切り出します。

     ハ) この作り方の問題点は、ブロックの上下近辺は、土が良く締まっているのに対し、

        厚みの中間付近の、土の締りが、甘い事です。

        又、粗い土ですと、糸で切った切断面が、荒れる事です。

        更に、面積の広いタタラは、作り難いです。
       
     二) その為、ゴムのへらで、表面を押さえながら、滑らす事により、土を締め、表面を

       なだらかにします。更に、所定の形に切り出した板の、端面の土も締めます。

       こうする事により、端面の強度が増すと伴に、端面の肉厚がやや厚くなる為、皿状の作品は、

       豪華さが出ます。(口縁の薄い陶器の皿は、貧弱に見えます。)

       又、接着の際、「糊代(のりしろ)」が広くなり、強度が増します。

    b) 延ばし板を使って、タタラを作る

 以下次回に続きます。
      



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続失敗と対策 (土を締める2)

2011-05-24 22:22:18 | 失敗と対策
引き続き、土を締める作業に付いて、お話します。

1) 土はしっかり締める事。

 ① 手捻りの場合

  ) 紐作り

     紐作りは、縄文土器作りの昔から、作られている方法て、大きな物から、小さい物まで、

     あらゆる形に対応出来る、万能の作り方です。下部が乾燥したら、順次、上に載せていく

     方法で、大きな作品を、作る事が出来ます。

   a) 最初に、土台と成る底の部分を作ります。作りたい形に合わせて、自由に作りますが、

     しっかり叩いて、土を締めます。面積の狭い場合には、手(拳=こぶし)で叩きますが、

     面積の広い場合は、叩き板や叩き棒を使って、土を締める必要があります。

   b) 次に、土を紐状に作ります。一般的には、断面が丸い形状にしますが、四角や、三角にする

     場合もあります。その場合は、丸い状態から、叩いて三角や四角に変形させる場合と、

      叩いて延ばした粘土板を、うどんの様に、細長く切り出す方法もあります。

   c) 断面が丸い場合は、テーブル上で転がす方法と、手に持って、藁(わら)を揉む様にして

     下に垂らしながら、作る方法が有ります。いずれの場合でも、ある程度の長さにし、太さを

     均一にする事と、土に圧を掛けて、土を締めます。

     数量は必要な数より、やや多く作っておくと、安心です。

   d) 先に作った土台の周囲に、土を載せて行きますが、丁寧な「輪積」の方法と、巻き上げ式の

     方法があります。その際粘土同士を、しっかりと接着する為に、上部より土を押して、密着させ

     ます。土が軟らかい時には、そのまま圧着しますが、少々乾燥している場合は、土を濡らし

     てから圧着します。(土を締める目的よりも、隙間を無くし、接着するのが目的です。)

   e) 一般には、各段の段差は、手や竹ベラを使って、綺麗に伸ばして、平滑にしますが、わざと

     段差を残す場合も有ります。この場合は、各段の紐の接着が弱く、剥がれ易くなりますので、

     特に圧着を強くします。

    ・ 「練り上げ」の技法で、数種類の色土を使う場合にも、上手に押し付けないと、境目の線が、

     歪んでしまいます。(圧着後、土を延ばして、平滑後カンナ等で、削って境目の線を、しっかり

     出す必要があります。)

  f) 唐津焼きに叩きによる、壷を作る方法が有ります。

    内側に半円形のコテを当て、外から模様が彫り込んだ叩き板で、叩く技法です。

    目的は、壷の側面を叩き、土を締め「割れ」や「ひび」を防止する事ですが、副次的に、叩き板の

    文様が、壷の表面に現れ、一種の装飾と成る事です。(叩き板に彫刻するのは、より強く土を
    締める為です。)

  g) 土を締める際、土の粒子の粗さが、関係してきます。

   ・ 粒子が細かい土は、粗い土に対して、締まり易いですが、焼成後の焼き締まりも、大きく

     成ります。土を締める事は、「割れ」等を防ぐ事ですが、大きな作品では、収縮が大きく

     成ります。 収縮が大きい事は、「割れ」等に対して、得策ではありません。
    
   ・ 粒子の粗い土は、締まりが悪いですが、焼き上がり後の収縮も、少なくなります。
   
     収縮が少ない事は、「割れ」等に対して、予防効果があります。

   ・ 即ち、生の土での土を締める効果と、焼成後の収縮とは、裏腹の関係に成っています。

     大きな作品を作る場合、実際には、土を締める事を、少々犠牲にして、粗い土を使った方が、

     「割れ」に対して、有効です。

  ) タタラ作りの場合

以下次回に続きます。

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続失敗と対策 (土を締める1)

2011-05-23 21:29:33 | 失敗と対策
陶芸では、作品が完成するまでの間に、多くの失敗が付き物です。

今までにも、失敗に付いて述べて来ましたが、別の視点で、原因や対策を述べたいと思います。

1) 土はしっかり締める事。

  手捻りは勿論、電動轆轤に於いても、言える事ですが、土は締める事により、「割れ」や

  「ひび」の発生を防ぐ事が出来ます。

  土を締めるとは、外部より、力を加えて、圧縮して密度を高める作業です。

  作陶中に土を締める事は、陶芸の基本的な作業とも言えます。初心者の方は、この作業の重要性を

  認識していない人も、多い様です。

 ・ 締める方法には、指や手で圧して締める、指で摘んで締める、用具(叩き棒、叩き板など)を

   使って締める、径を小さくして締める、更には、土を下に落として締める、等が有ります。

 ・ 土は全体を均等(均一)に締める必要があり、締める所と締めない所を、作ってしまうと、

   逆に、「割れ」や「ひび」の原因と成りますので、注意が必要です。

 ・ 土は肉厚が厚い程、締まる率は大きくなります。但し、表面付近は、締まり易いですが、

   中心付近は、締まりが甘く成り勝ちです。電動轆轤で、肉厚を薄くしてしまった為、苦労した方も

   多い事と思います。肉厚が薄い場合には、土を締める事も出来ません。

  以下色々な場面での、土の締め方に付いて、お話します。

 ① 手捻りの場合

  )玉作り: 湯呑み茶碗程度の、小物の作品を作る際に、採る方法で、初心者向きの作り方です。

    一塊の土から、作り出す為、継ぎ目が出来ませんので、作業が簡単に成る、利点があります。

   a) 4~500gの粘土を、丸く団子状に作り、手回し轆轤中心に、叩きつける様に、載せます。

     叩き着ける事により、作品の底に成る部分の、土が締まります。

     (但し、叩き着けると、轆轤の中心から、ズレ易いですから、土の裾野を手で、横から

      叩く様にして、中心に移動させます。)

   b) 両手の親指で、中心を掘り込みます。底の厚みは1cm程度残します。

     次に、底の内側を、必要な径まで、広げますが、その際、轆轤をゆっくり、回転させながら、

     指で下に押す様にして、土を締めながら径を、広げます。

     即ち、轆轤に叩き着けた時は、底の外側を、指で押さえる事により、内側から土を締める事に

     成ります。

   c) 土を両手の指で、摘みながら薄く延ばす際にも、指先に力を入れて、土を締めます。

     肉厚が均一に成る様に、土を摘みます。

     又、薄くすると、直径が大きく成りますので、径を詰める(小さくする)様に両手の指を

     近づけて、土を締めます。(器の側面の土を、締める事に成ります。)

   d) 形を作る際にも、土を締めます。

   ・ 径を小さくする場合には、両手で摘んだ土を、寄せて土を締めながら、細くします。

   ・ 径を大きくする際には、当然内側から外側に、力を入れますが、器の外側も、手(指)を添えて

     内側方向に力を入れて、土を締めます。

   ・ 口縁も、しっかり土を締めます。まず口の内側、外側、真上に指を置き、押し付けて土を締めます。

     次に、皮を使って、滑らかにします。単に皮のみの作業では、土の締めが弱いですので、

     口縁の強度が弱くなります。

 ) 紐作りの場合

以下次回に続きます。
        
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手芸粘土11 (銀粘土5)

2011-05-21 21:56:42 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に引き続き、銀粘土の種類の話をします。

3) シリンジタイプ

 ① アートクレイシルバー650シリンジタイプ

  柔らかめの銀粘土が、シリンジ(注射器)の中に入っています。

  何種類かのノズルにより、色々な太さの、線状の粘土になります。

 ② 注射器の先端にノズルを付け、線などの細くて、デリケートな模様を表現する時などに、

   使用します。

 ③ ノズルの太さも3種類あって、アートクレイの場合は、グリーンが細い線、ブルーが中位の線、

   グレーが太い線と使い分けます。

 ④ ノズルの先端を、ハサミ等で切ると、様々な太さが出せ、模様のついた線を出す事もできます。

   レース模様の様な、繊細な表情も作り出せます。

   その他、透かしの作品や、透かし模様を作る時、そして粘土タイプに装飾する時などに便利です。

4) ペーパータイプ: 折紙の様に、造形を楽しめます。 (折り鶴も、折れます。)

  ① 長時間ひび割れる事が無く、折ったり、曲げたりの作業が簡単に出来ます。又、ハサミで切ったり、

   パンチで穴を開けたり、切り抜いたりする事も可能です。

  ② 紙のように薄い、シートタイプです。厚さは0.25mmで、サイズは75x75mmです。

以上で、粘土の種類の話しを、終わりにします。


次に、各種粘土類の、取り扱いに付いて、述べます。

1) 粘土は一部を除き、空気に触れると、乾燥し硬化します。

  ① 通常、包装の封を切らない物は、約6ヶ月間、品質に変化はありません。

    出来るだけ、早めに使い切る様にします。 直射日光を避け、冷暗所に保管してください。

  ② 粘土は温めると、軟らかく成り、冷やすと硬くなる性質があります。、

    それ故、冬季には屋外を避け、室内で保管してください。

2) 粘土同士を、接着する場合

   乾燥後、透明になる工作用や、木工用ボンドを使用すれば、接着部分が目立ちません。

3) 粘土表面の汚れを防ぐ方法

   水性ニスを塗ると、水や汚れを弾き易くなります。

4) 乾燥時間: 粘土の種類や作品の大きさ、厚みにもよりますが、表面だけを乾燥させるのであれば

   3時間位は必要です。

   中まで完全に乾燥させたい場合は、半日~2日間ほど、時間を掛けた方が、良いでしょう。

5) 制作装飾の仕方

   アクリル・油などの絵の具を、練り込だり、塗ったりして色付けする方法。

   粘土そのものに、色が付いており(カラー粘土)、それを混ぜ合わせて、色付けする方法があります。

最後に、銀粘土を取り扱う資格に付いて、述べます。

  ・ 資格には、「銀粘土技能認定資格」と、「シルバーオーバーレイ技能認定資格」の2種類があります。

   この資格は、財団法人日本余暇文化振興会による、銀粘土技能認定資格です。

  ・ 資格を取得する利点は、

  ① 資格を取得することで、教室が開講できます。(資格が無くても、開講は可能です。)

  ② 資格取得後は、アートクレイ倶楽部へ入会でき、会員価格で材料が購入できたり、展示会や

    コンテストなどの情報も、随時得られる、創作活動をサポートするサービスも、受けられます

尚、本格的に、シルバーアクセサリーを作りたい方には、彫金とワックスによる作り方を、学んだ方が

良いと思います。

以上にて、手芸粘土の話しを、終わります。

次回より、別のテーマで、お話しします。
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