わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

電動轆轤の失敗 15 (割れ3)

2010-02-25 22:25:12 | 電動ロクロの技法
作品の、「割れ」、「ひび」の話を、続けます。

3) 「割れ、ひび」の補修

    造った作品に、「割れ、ひび」が入ってしまった場合、土の乾燥具合によって、補修可能な物と、

    不可能な場合が有ります。

  ① 可能な場合は、作品が、完全に乾燥せず、指や竹へらで、変形可能な程度の乾燥時です。

   ) 縁の割れは、細い土の紐を、「コの字」にして、割れた縁の、外、内、上に貼り付けます。

     その際、紐は、水で濡らせば、切れる事は、有りません。

     貼り付けた、箇所は、指などで撫ぜ、目立たなくします。

   ) 底の割れは、内、外(下側)に、細い紐で、「サンドイッチ」にし、押し付けます。

     その際、水や「どべ」を、傷口に付けると、より有効に成ります。

   ) 傷口の両端を持って、押し付ける。

      乾燥が甘い場合の方法で、傷口に、「どべ」をつければ、より効果的です。

  ② 補修不可能な場合

    作品が、白く乾燥してしまうと、補修は出来ません。それ故、この段階で「没」にします。

    どうしても、補修をしたい時は、素焼後又は、本焼き後に、補修する事も出来ます。

  ③ 素焼後又は、本焼き後の補修

   ) 素焼後の傷の大きさは、素焼前と、ほとんど同じです。補修の方法は、市販されている、

     本焼き用の、陶磁器用の接着剤(ペースト)を、使います。

     但し、私の知る範囲では、完全な接着剤は、まだありません。

     カップの取っての様に、横にぶら下る様な形状では、本焼きで、剥がれ落ちて仕舞う事も、

     有ります。

     又、「ヒビ」の状態ですと、その隙間に、接着剤が上手く、入り込まない為、接着が

     不十分な場合が、多いです。むしろ、「ヒビ」より、「割れ」の方が、有効かも知れません。

   ) 素焼した粉を使う

     同じ土で造った、粉と糊と混ぜ合わせて、傷口に塗り込みます。傷口が塞がったら、紙やすりで、

     綺麗にした後、釉薬を掛けて、本焼きします。

   ) 本焼き後の修正は、二度焼きして、傷を塞ぐ方法と、「金継ぎ」の方法で、補修する方法が

      有ります。

    a) 上記))で補修しても、不完全な場合が多いです。

      本焼きすると、作品が、更に収縮し、傷口は、確実に広がるからです。

      一度本焼きしてしまえば、同じ温度で焼く限り、それ以上収縮する事は、有りません。

      それ故、上記の方法で、もう一度補修をすれば、傷口は、塞がります。

    b) 完成した作品が、割れた場合に、「金継ぎ」の方法が有ります。

      これは、割れた面に、漆(うるし)を塗り、接合後、本物の金粉又は、銅の合金(黄銅鉱)の

      粉を、振り掛け、真綿(生糸で造る綿)で軽く押さえて、傷口を隠す方法です。

      この方法は、単に補修しただけでなく、その補修跡が、一つの景色として、評価される場合も

      有ります。


以上にて、「電動轆轤の失敗の話」を、ひとまず終わりにします。

次回より、新しい「テーマ」で、お話したいと、思います。
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電動轆轤の失敗 14 (割れ2)

2010-02-24 22:01:09 | 電動ロクロの技法
作品の、「割れ」「ヒビ」に付いて、話を続けます。

 2) 口縁の割れや「ヒビ」。

   縁に「割れ」や「ヒビ」が入る原因には、幾つかの要因があります。

  ① 縁の肉厚に、差がある。

    肉厚に差が有ると、均一に、乾燥する事は出来ず、薄い部分から、乾燥が進み、変形しながら、

    「ヒビ」が入る場合が、有ります。極端に差が出ない様に、すると共に、片側だけが、

    乾燥しない様にします。

  ② 皮による、拭き取りや、締めが弱い。

    皮で拭くのは、単に縁を、綺麗にするだけでは、ありません。土を摘み締める、役目も有ります。 

    但し、強く摘み過ぎて、縁を薄くしないで下さい。  
   
  ③ 縁に無理な力が、掛かる場合。

    コーヒーカップなどで、取っ手を本体につける場合、接着面が、縁の近くにあると、圧接により、

    本体の縁に、「ひび」が入る事が有ります。

    この場合も、縁より1cm程度、下に取り付ける事を、勧めます。

  ④ 縁に、鋭角の切り込みがある。

   ) デザイン上、縁を、鋭利な刃物で、「V字」状に、切れ込みを、入れる場合が有ります。

     この「V」の先端部を、そのままにして置くと、乾燥と共に、ここから亀裂が走り、割れて

     行きます。「竹ひご」等を使い、先端に、丸み(R、アール)をつけて、予防します。

     勿論丸みは、大きい程、安全ですが、小さくても、有効です。必ず丸みを付けて下さい。

   ) この鋭利な「V」は、縁だけの問題ではなく、作品の、側面に、透かし彫りをした場合にも、

     当てはまります。

   ) 又、手で縁を裂いたり、摘み取ったりして、変形させる場合が、有ります。

     この場合も、縁に無理な力が、掛かり、「割れ」や「切れ」の、原因に成ります。

     どうしても、やりたい時には、鋭角の部分を、少なくする事です。
    
  ⑤ 縁の近くに、透かし彫り(孔)がある。

   ) 縁と透かし彫りの、端との寸法は、最低でも5mm以上取る、必要が有ります。

      出来れば、1cmあれば、更に望ましいです。 この寸法が、短いと、縁が切れます。

   ) 同様に、透かし彫り同士の、間隔も5mm以上、取る必要が有ります。

  ⑥ わざと、「割れ」や「ヒビ」を入れる。

    基本的には、「割れ」「ヒビ」は、無いようにすべき物ですが、模様として、造る事があります。

    即ち、袋物と言われる、壷や、花瓶の側面に、「割れ」「ヒビ」を入れて、模様にする方法です。

    やり方は、乾燥させた作品の内側から、「コテ」を使い、径を無理やり、拡げて、縦方向の

    「割れ」を造ります。やり過ぎると、穴が開く恐れが有りますので、注意します。

 3) 「割れ、ひび」の補修

以下次回に続きます。

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電動轆轤の失敗 13 (割れ1)

2010-02-23 21:29:16 | 電動ロクロの技法
陶芸には、色々な場面で、作品が割れる現象が起きます。

特に、作品制作後から、乾燥までの間に、起こる事が、多いです。

「割れ」「ヒビ」の起こる部分も、割合一定しています。即ち、底と口縁部分が、主な所です。

 1) 底割れ

   底の中央に、真横に「一文字」又は、「Y字」状に、「ヒビ」が入る物です。

   完全に、裏まで、亀裂が入る場合と、内側のみに、「ヒビ」が入る、場合が有ります。

   ① 原因は、割れる部分が、周囲の部分より、弱い為で、土の締めが弱い場合と、底に水や泥が

     残っていた為に、起こります。

     特に底の面積の、広い皿などの、作品は、要注意です。

    ) 底の土を締める。

       指や、拳(で叩く)、「コテ」を使って締めます。即ち、轆轤面に、土を強く押し付けます。

       面積が広い時には、拳で叩き締め、茶碗や鉢等、やや狭い物は、指又は「コテ」で締めます。
   
       底を、下に押し付けても、変形する恐れは、在りません。安心して、強く押し付けます。

    ) 高台脇を、外側から、指で締める。(径を細める)

       糸で切り離す前に、指で高台脇を、指で締め、「割れ」を防ぎます。

  ② 底の内側に、水や「どべ」を残さない。

    轆轤作業は、水を使いますので、どうしても、内側に水や「どべ」が、溜まります。

    その水や「どべ」は、轆轤作業終了時には、必ず、スポンジなどで、拭き取って下さい。

    水分があると、その部分が、なかなか乾燥せず、周囲の土に引っ張られて、股裂状に、

    「ヒビ」が入ります。

  ③ 底の外側から、中心に向かう、割れ。

   ) 亀板などの上で、造った作品は、造った直後に、必ず糸で、切り離しておきます。

      さもないと、底が乾燥と共に、収縮しますが、板に張り付いている為、均等に収縮できず、

      底の周囲から、割れ(ヒビ)が発生します。

     ・ 亀板に、直接土を載せずに、砂や粉などを、振り掛けた上に、土を置く方法も有ります。

      その際には、砂や粉が、土と亀板の間にある為、張り付く事は、有りません。

      それ故、必ずしも、切り離す必要は、有りません。

   ) 作品を、糸で切り離す際、底の外側の角を、切り取る事。(面取りをする。)

      空気に触れる所、肉の薄い所から、乾燥が進行します。

      底の角は、しっかり面取りしないと、糸で切り離した際、「ひらひら」が、底の周囲に

      残ります。 乾燥は、この肉厚の薄い部分より、始まります。

      ここに「ヒビ」が発生すると、底の中心に向かって、成長して行きます。

   ・ この「ヒビ」は、底削りで、削り取ってしまえば、問題ありませんが、削り取れなければ、

     確実に、作品に「ヒビ」が入ります。

     それ故、最初から、「ヒビ」が入らない様に、角を取ておきます。  
   
 2) 口縁の「ヒビ」割れ。

以下次回に続きます。
       


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電動轆轤の失敗 12 (作品の重さ3)

2010-02-22 21:15:52 | 電動ロクロの技法
前回に続き、作品の重さに付いて、述べます。

 ③ 削り作業で、肉を薄くする。

  ) 削っている途中では、指などで、厚みの確認が、出来ません。

     途中で確認する場合には、指で作品を弾き、その音色で、判断しますが、この音で、

     判断する方法も、経験が、必要に成ります。

     (音色が高い場合は、肉厚傾向にあり、薄くなるに従い、音は低く成ります。但し、弾く位置が

      底なのか、高台脇かによっても、音色の違いが有ります。)

   ・ 尚、どうしても指で、確認したい場合には、轆轤の中心に置いた、作品を取り上げる事になり、

     再度、中心に置く、必要が有ります。この場合、全く同じ位置に、置く事は、出来ないと、

     思って下さい。若干狂いが生じます。

  ) 削り過ぎより、削り不足が、圧倒的に多い。

   ・ 私の経験では、初心者は、削り不足が、約95%で、削り過ぎが、2~5%程度です。

     穴が開くのを恐れて、削り不足に、成り易いのです。

   ・ 底削りの際の、土の乾燥度合いによっても、上手に、削れない場合が、有ります。

     削り作業は、削り易い乾燥度が、有ります。

     乾き過ぎれば、「カンナ」の刃が滑り、少ししか削れません。「キーキー」音が出る事も有ります。

     逆に、乾燥不足ですと、形が出来ても、内側に押し込み、実際は、削ってい無い場合が

     多いです。

     特に、「削りカス」が出ていないのに、形が出来上がる時は、注意が必要です。

 ④ その他の要因

  ) 変形した物は、削り難い。

   a) 轆轤では、基本的に円(又は丸)の作品と成りますが、変形させると、当然この円が、崩れて、

     電動轆轤上で、十分削る事は、出来ません。

    それ故、轆轤作業終了時に、「竹へら」を使い、高台脇の土を、剥ぎ取り、肉を薄くしておき、

    その後、変形します。

   b) 変形場所が、底に近い程、削り難いです。

     なるべくなら、作品の上部を、変形すれば、影響は、少ないです。

     底に近い部分を、変形した作品は、手回し轆轤の上で、ゆっくり回転させ、削る事に成ります。

 ) 最初に用意した、土の重さと、底削り後の、作品の重さを測る。

    この差が、少ない程、轆轤が上手だとも、言えます。(土を有効に、使っている。)

   a) 初心者では、この割合が50%に、成る場合が有ります。即ち乾燥による、損失も有りますが、

     約半分の土が、無駄に成った事に成ります。

   b) 一般には、その差が、2~3割程度です。

     勿論、削り作業が無い、作品でも、1割程度は、どうしても、目減りします。

     (泥や、乾燥分などで、消失します。)

   c) 軽く造るには、土の量を、段々少なくして、同じ大きさの、作品を造る様にします。

以下、作品の「割れ」について、述べます。
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電動轆轤の失敗 11 (作品の重さ2)

2010-02-21 21:37:08 | 電動ロクロの技法
前回に続き、作品の重さに付いて、述べます。

 4) 初心者の作品が、重い訳。

    電動轆轤で造った、初心者の作品は、重くなって、仕舞いがちです。

    又、口縁が、薄い為、見た目より、更に、重く感じる物です。

  ① 土が薄く、伸びていない為。

    土を、薄く伸ばす事が出来れば、「一人前」と、言われる位、薄く伸ばす事は、難しい作業です。

    それ故、初心者が薄く伸ばす事は、至難の技で、厚くなるのは、当然です。

  ② 特に、底から高台脇、腰にかけて、肉厚になり、口縁が極端に、薄くなりがちです。

    しかしながら、高台脇や腰を、薄く伸ばす事は、難しいですが、口縁のみを厚くする事は、

    さほど、難しい事では有りません。

   ) 轆轤を回転させながら、親指を外壁に、中指を内壁に置き、摘む様にしてから、人差し指を、

      縁の真上に置き、人差し指を、若干下に、押し付ける様にすると、肉を厚くする事が、出来ます。

      但し、最上段の高さは、水平に、しておいて下さい。

   ) 口縁が薄いと、思われたら、皮で拭く際、強く摘んで、薄くしない事です。

      内外の角を、取る程度の力で、拭きます。

   ) 作品の形状によっても、重くなる場合が、有ります。

    ・ 碁笥底高台は、輪高台や、ベタ底よりも、高台脇に、土が残り易く、重くなります。

      ベタ底も、必要以上に厚くすると、重く成ります。作品の、大きさによりますが、5~10mm

      程度にします。又、高台の、内側と外側の間の幅を、広めに取ると、重く成ります。

   ) 高台脇や、腰の部分に、肉が付く原因に、器の内側と、外側の形が極端に、差がある場合が

      有ります。即ち、内側の底が丸いのに、外側が、角張る場合などは、確実に、肉厚に成ります。

      それ故、予め、底に近い部分の、形を決めておき、内外の形を、合わせる様にします。

  ③ 削り作業で、肉を薄くする。

    例え、厚くなっても、削り作業を、しっかり行えば、肉を薄く出来ます。

    但し、轆轤で土を、薄く伸ばすのと同様に、初心者は、思い切って、「カンナ」を、掛ける事は、

    難しいとも、言えます。(原因は、恐怖心です。)

  ・ 又、削る道具である、「カンナ」や「掻きベラ」は、刃物ですので、良く切れる事が大切で、

    時々、砥石で研ぐ必要が、有ります。当然、切れの良い刃物では、不必要な力が、入らず、

    「スムーズ」に、削る事が、出来ます。

   ) 削り出す前に、肉厚の確認を行う。

      削る直前に、どの部分に、どの位の肉厚が有るかを、指で摘んだり、両手で確認します。

   ) 一般に、轆轤成形では、外側は、削りますが、内側は、削らない事が、ほとんどです。

      それ故、内側の、カーブに合わせて、外側を削る事に、成ります。

   ) 削っている途中では、指などで、厚みの確認が、出来ません。

 以下次回に続きます。
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電動轆轤の失敗 10 (作品の重さ1)

2010-02-20 22:33:01 | 電動ロクロの技法
出来上がった作品の、重さについて、述べます。

 陶磁器類の、作品の重みは、重要な要素の一つです。

 ・ 必要以上に、重たい作品は、取り扱い、づらいです。又、陶器の場合、口縁が、薄過ぎると、

   貧弱に見えますし、強度的にも、弱く成ります。(磁器の場合には、薄く造るのが、普通です。)

 ・ 重い又は、軽いと感じるのは、個人差も有りますが、その作品を見た瞬間、無意識に、その重さを

   予想して仕舞い、実際に手に持った時と、予想値が、一致した場合、違和感は、ありません。

 ・ 予想値より、重いと、数値(目方)以上に、すごく重く感じます。

   逆に、予想値より、若干軽くても、すごく軽く感じて仕舞います。

 ・ 公表されている、作品(国宝、重文、有名な作品、展覧会の入選作など)の紹介では、

    縦、横(径)、高さは、表示されますが、重さが、表示されている物を、見た事も有りません。

   手に取る事が出来ない、作品も、重さの表示が有れば、感覚的に、実感出来るのではないかと、

   思います。重さの表示がない事が、大変残念な事です。

 1) 予想値は、どうして決まるか?

   重さは、作品の大きさ(体積)と、肉厚で決まります。(素地の種類も、若干関係します。)

   大きさは、見れば解かりますが、肉厚の判断は、口縁の厚さで、全体の厚さを、判断する事に

   成ります。(口縁の厚みが、作品全体の厚みと、同じならば、予想値との差は、出ません。)

 2) 予想値と違う、結果と成るのは、口縁の厚さに、惑わされた結果です。

    即ち、口縁が、薄造りの場合、全体が、薄いと判断します。厚造りの場合には、全体が厚いと

    判断しがちです。

 3) 作品の用途によっては、重い方が良い場合と、軽い方が良いが、有ります。

  ① 一般に、手に持って、移動しない作品(置物、飾り壷など)は、重くても、さほど問題に成りません。

    花瓶など、水を入れて使う物は、水の重さも、加味されますので、若干軽い方が、喜ばれます。

  ② 食器類でも、肉厚を厚くして、豪華に見せる、皿や、ぐい呑み、なども有りますが、

    一般的には、軽い方が、好まれます。

  ③ 口縁のみを、厚く造り、全体を薄く作ると、軽くて豪華に見せる事が、出来ます。

   ・ 特に、ご飯茶碗の様に、常に手に持つ物は、軽い事が、要求されます。

     ご飯茶碗の重さは、大小が有りますが、底削りの終わった状態で、200g以内に、収める様に

     したい物です。(尚、抹茶々碗の場合は、300gが、一つの目安に成ります。)

    但し、手に持つ、湯飲み茶碗では、軽くて薄い物は、熱を通して、熱くなりますので、やや肉厚に

    造る場合も有ります。

 4) 初心者の作品が、重い訳。

以下次回に続きます。

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電動轆轤の失敗 9 (肉厚について4)

2010-02-19 21:54:20 | 電動ロクロの技法
電動轆轤で、作品の肉厚に、差が出る原因と対策の、話を続ます。

3) 土の厚みが、一定に成らない。

 ② 側壁の厚みに、差が出る原因。

  ) 作品の形造りの際、肉厚に差が出る。

     轆轤で形造りの、作業していると、色々な場面で、肉厚が変化します。

   a) 作品の径を小さく(細く)すると、肉厚は厚く成ります。

     細くすれば、土は上に伸びますが、同時に厚みが増します。

   ・ 尚、径を大きくしても、肉厚は、殆ど変化しません。ただ高さが、低くなるだけです。

   b) この厚いままで、更に細くすると、肉厚の差が、大きくなって、撚れが発生し、形が歪みます。

     それ故、厚くなった部分の、土を薄く伸ばしてから、再度細くする事を、繰り返します。

     尚、細くする場合には、出来るだけ、全体を包み込む様にし、土の逃げ場を、造らない様に

     すると、有効に、径を縮める事が出来ます。

     又、縮める際には、手が滑る様に、「ドベ」等で、手を濡らして置く、必要が有ります。

   c) 土が薄く成り過ぎた場合、幾ら努力しても、径は細くなりません。

     細くなるには、ある程度の、肉厚が必要です。薄くなった部分に、土を足す事は、一般には、

     行いません。(但し、最上部に、土を載せる事は、可能です。)

    ・ 土を上に挽き上げる際、側壁の一部が、極端に、薄くなってしまった場合、その上下の土を、

     薄い場所に、移動できる場合も、有りますが、初心者には難しいです。

     (この場合、若干乾燥させれば、径を細くする事が、可能です。)

   d) 徳利や片口など、注ぎ口を、引っ張り出して、形を造る場合が有ります。

     その際、変形した部分の、肉厚は、薄く成ります。

    イ) 引き出す場所を選ぶ。

     ・ 肉厚の薄い口縁は、避けて、肉厚の厚い所を選ぶ。(口縁に、厚みの差が有る場合)

     ・ 高さに狂いが有り、高低差があれば、高い所を選ぶ。(引き出し部分は、低くなります。)

    ロ) 引き出す量によって、引き出す部分の、範囲を決める。

     ・ 引き出す量(長さ)が、少ない場合には、口縁から1cm程度の深さでも、可能ですが、

       長さを、長くしたい場合には、2~3cmの深さから、引き出します。

    ハ) 引き出すタイミング

       轆轤成形直後が、最適です。但し、濡れていて、「べたつき」があり、作業し難い時は、

       若干乾燥後でも、可能です。当然乾燥が進む程、変形し難くなり、「ひび」も入り易く成ります。

       尚、注ぎ口先端に「ひび」が入った場合には、ドベ等で補修します。

    ニ) 引き出す方法は、指のみで行う方法と、棒等の道具を使う方法が、有ります。

       何れも、口の内側に、指(又は棒)を必要な深さまで、差込、他の手(親指と人差し指)で、

       口の外側を支え、その間に、中指が、通る様にして、手前に引き出します。

     ・ 引き出し後、注ぎ口が、左右対称形に成る様に、注ぎ口の、内側を、指で撫ぜ、調整します。

    ホ) 梅鉢等の様に、口縁を波打たせる場合には、引き出すのではなく、出来るだけ、内側に

       変形させる方が、肉厚が薄くならずに、済みます。

4) 底割れを起す。

以下次回に続きます。
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電動轆轤の失敗 8 (肉厚について3)

2010-02-18 21:54:10 | 電動ロクロの技法
電動轆轤で、作品の肉厚に、差が出る原因と対策の、話を続ます。

3) 土の厚みが、一定に成らない。

 ② 側壁の厚みに、差が出る原因。

  ) 土を薄く、引き上げる際、肉厚に差が出る(歪む)。

   a) 空気(気泡)や、異物が混入している為。

     前にも説明しましたが、空気や異物が存在すると、その部分のみ、土が薄く伸びません。

     その為、操作しづらいと、共に、厚みに差が出がでたり、歪んだりします。

     空気や異物を、取り除く必要が有ります。

   b) 轆轤の回転速度が、速過ぎる、又は、遅過ぎる為。

     轆轤は、遠心力を発生させる事により、肉厚を、薄くする事が、可能です。

     回転速度が、遅いと、遠心力も弱く、土の振ら付きにも、手が追従して、振ら付きを、

     直す事が出来ません。振ら付くと、確実に、肉厚に差が出ます。

     逆に、速度が速いと、遠心力が強く働き、少しの振れも、増大していきます。

     それ故、調度良い速度を、見つけてください。     
  
    c) 無理に、轆轤目を、付け様とした為。

     土を挽き上げる際、内外を、指で締め上げながら、手を上げる速度を速めると、轆轤目が

     着きます。 轆轤目は、螺旋状に肉厚の差を、故意に付けたものです。

     慣れない内は、この作業によって、綺麗な螺旋状にならず、極端に肉厚が、薄くなる場合も

     有ります。特に、強く轆轤目を、付けたい時には、注意が必要ですが、練習すれば、誰でも、

     上手に成ります。

    ・ 当然ですが、轆轤目は、ある程度、肉厚の状態で、作業します。即ち、作品造りの、

      早い段階でする作業で、完成間近に、する作業では有りません。

     (予め、轆轤目を入れるかどうか、決めておきます。思いつきで、急に変更しない様にします。)

    d) 轆轤挽きの際、理想的な肉厚は、下部ではやや厚く、上部に行く程薄くし、口縁部は、

     やや厚くします。 (出来れば、挽き上げた作品を、縦に裂いて、厚みを確認して下さい。)

     これは、下部が、上部の土を支える為に、必要な肉厚です。

     途中が極端に薄くなると、上部の重さに耐えかねて、撚れや、歪み、「ヘタリ」が発生します。

    ・ 途中で極端に薄くなる原因に、挽き上げる際、手が上がる移動速度が、ある部分で停滞

     (又は停止) して仕舞う為で、停滞の原因は、指より上部の肉厚が、厚い為で、抵抗が増え

      手が止まる事が多いです。

      それ故、上部との差が、大きくならない様に、強く挽き上げない様にするか、上部を薄く

      しておけば、安全です。

     ・ 予め上部を、薄くする方法に、二段挽き、三段挽きの、方法が有ります。

       一気に最下段より、肉を薄く挽き上げるのではなく、上部1/2(又は1/3)の部分を、

       薄くした後、残り1/2(又は1/3を二回)を、薄く伸ばす方法です。

       特に、初心者に、勧める方法です。

 ) 作品の形造りの際、肉厚に差が出る。

以下次回に続きます。

 
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電動轆轤の失敗 7 (肉厚について2)

2010-02-17 22:14:31 | 電動ロクロの技法
電動轆轤で、作品の肉厚に、差が出る原因と対策の、話を続ます。

3) 土の厚みが、一定に成らない。

 ② 側壁の厚みに、差が出る原因。

  ) 土殺しの後、中心に、穴を掘る際、真芯にならず、偏芯する為です。偏芯の原因は、

   a) 土殺しで、綺麗な円が出ていないのに、穴を掘り込んだ為。

     土殺し(センター出し)が、不完全な状態で、次の作業に移った為です。

     初心者は、特に、一つづつ、手順を確認しながら、作用を進めて下さい。

   b) 穴を掘りこむ際、中心から「ズレ」ていた為。

    イ) 穴を掘り込む際、最初は中心に有った指が、堀り進むに従い、中心から、「ズレ」る事も、

       多いです。

    ロ) 中心の穴は、親指又は、中指を使い、掘り込みますが、その指が、しっかり固定出来ないと

       指が振ら付きます。 肘は、体に固定します。

       指は、もう一方の手や指を添えて、振ら付かない様に、固定します。片手で掘り込むと、

       指が中心から離れ、楕円状に、回転します。

       必ず、指先が、動かない(止まっている)状態で、掘り込みます。

     ・ 土の硬さも、若干関係が有ります。

       軟らかい土だと、片手でも容易に、中心を掘り進む事が、可能ですが、硬くなるに従い、

       力が必要に成ります。

       両手の親指に、力を入れますが、不用な力が入り、中心から、「ズレ」る事も起こります。

      尚、土を軟くするか、硬くするは、作品の大きさにより、又、轆轤の経験差によって決めます。      

   ハ) 掘り込む指の、角度も大切です。

      指先だけを、中に食い込ませるのではなく、親指又は中指は、曲げずに伸ばし、口(上部)が

      開く様にして、逆円錐形にし、内側に段差が、無い様にします。

      逆円錐形にするのは、掘り込みの過不足を、容易に修正する為です。

   ニ) 掘り込む穴が、土の中心から、「ズレ」ていると、当然、周囲の土の厚みに、差がでます。

      経験者は、少々の差を、修正する方法を、心得ていますが、初心者では、この差が、後々まで、

      影響します。側壁の厚みを、一定に出来ても、高さの差となって、現れます。

   ホ) 底造りの際、肉厚が「バラツク」

     所定の深さまで、穴を掘り込んだら、底の内側を拡げます。

     穴の中心の高さで、水平に、手前又は横方向に、土を拡げます。その際、土を外側に押す力が、

     一定で無いと、側壁の厚みに、差が出ます。

     底が広い場合には、一度に拡げず、何回かに分けて、作業します。

  ) 土を薄く、引き上げる際、歪む。


 以下次回に続きます。

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電動轆轤の失敗 6 (肉厚について1)

2010-02-16 21:46:49 | 電動ロクロの技法
轆轤で造ったのに、部分的に肉厚が、「バラツク」事が有ります。

その原因と対策を、述べたいと思います。

3) 土の厚みが、一定に成らない。

   厚みに差が出やすい所は、底と、側壁です。

 ① 底の厚みに、差が出る原因。

   底の厚さに、差が有ると、作品の大きさ(特に高さ)が、「バラツキ」ます。

   なるべく、揃えたい物です。(特に数物を、造る際には、必要な事に成ります。)

  ) 底の深さと、糸で切り離す位置が、一定しない。

    土取りをして作品を造る際に、中心の穴が、土取り位置より、深過ぎると、底が抜けます。

    穴が浅過ぎると、底の肉厚が、厚く成り過ぎます。

  ) 底の肉厚は、削り高台(輪高台、碁笥底高台など)では、約1cmにし、ベタ高台では、

     約5mm程度にします。(但し大物は、やや厚くします。)

  ) 底の位置と、糸を入れる位置の差を、測る。

    a) 底の中央に、中指を置き、外側の、糸を入れる場所に、同じ手の親指(の爪)を置き、

      その高低差で、判断します。

    b) 底の中央に、親指を置き、糸を入れる場所に、同じ手の中指を置き、その高低差で、

      判断する方法も、有ります。

    c) 何れの場合も、差を判断する時期は、穴を掘り、底を広げて、底の形を造った、直後が、

      最適です。引き上げた後では、壁が邪魔して、測れません。

      この方法は、感覚が掴み難いですが、何度か練習すれば、「コツ」が掴めます。

    d) 物差しや、トンボを使って、高低差を測る。

      底の深さと、切り口からの、高さを測り、その差で判断します。

      上記、a)、b) の方法では、出来ない(片手では測れない)大物の場合などに、

      有効な、方法です。

      この場合は、糸で切り離す、直前でも、計測が可能です。

    e) 底が浅い場合には、更に掘り込み、深くします。底が深過ぎる場合には、糸で切る位置を、

      下に移動させます。作品の高さが、高く成り過ぎたら、弓などで、切り取り、調整します。

   ) 必要量の粘土を、轆轤に載せる、1ヶ個造りの場合には、棒の先に付けた、長さ1cm又は、

      0.5cmの針を、底に突き刺し、底の厚みを、測ります。

      底が薄くなった場合には、内側周囲の土を、中央に移動するか、粘土の玉を、底に入れて、

      押し付ける様に、盛って調整します。

      その際、粘土玉が、張り付く様に、底の水は、スポンジ等で、取って置く必要が、有ります。

   尚、一度底の厚みを確認した後、轆轤作業を、続けていると、厚みが、変化する事も有ります。

     高台脇を絞り、径を細くすると、厚みが厚くなり易いです。

     又、底の部分を、不用意に、押し込むと、薄く成ります。

     この現象は、その人の癖による事が、多いですので、糸で切り離す際、再度確認して下さい。

 ② 側壁の厚みに、差が出る。
 
以下次回に続きます。
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