わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 264 市販されている粘土類(赤土2)

2016-11-25 14:59:47 | 素朴な疑問
4) 我が国には、白い土は比較的少なく、殆どの粘土類は鉄分を含む赤土です。

 ① 赤土の特徴。

 ② 代表的な赤土。 (以上までが前回の話です。)

  ⅷ) 赤1,3,5,7,9号土: 産地や混入成分は不明です。(カタログ上に記載なし)

   a) 赤1号土: 酸化で薄茶色、還元で茶黒の斑(まだら)文様が出ます。

   b) 赤3号土: 酸化で薄茶色、還元で赤黒くなります。

   c) 赤5号土: 粒子の細かい赤土で、濃赤又は黒く発色します。

   d) 赤7号土: 粒子の細かい赤土で、薄茶色に発色します。

   e) 赤9号土: 水簸(すいひ)された赤土で、薄茶色に発色します。

  ⅸ) 薪窯用赤土:高温で焼成できる赤土です。

   a) 7号薪窯赤荒目土:薪窯による焼締陶器に向いた荒目の赤土です。

   b) 9号薪窯赤細目土:薪窯による焼締陶器に向いた細目の赤土です。

  ⅹ) その他の赤土

   a) 並漉(こし)赤土: 耐火度のある細目の赤土で、還元で黒く焼き上がります。

     ロクロ赤粘土: ロクロがし易い水簸(すいひ)粘土で、1200℃以下で焼成します。

   b) 赤御影(みかげ)土: 赤土に6号珪砂とマイカ(雲母)が入っています。

     黄御影土: 石ハゼ古信楽土に、黄土とマイカを混ぜた粘土です。

   c) 朱泥土: 蛙目粘土に弁柄(酸化第二鉄)を混入した赤土です。

     常滑の急須が有名です。

   d) 南蛮土: 還元焼成で、褐色の南蛮風に発色します。

    ・ 南蛮焼締土C: 鉄分が多く窯変が出易い土です。

   e) 急熱急冷黄土: 少し荒目の赤土で、楽焼にも使用できます。

    ・ 耐急熱急冷赤土: 少し荒目の赤土で、楽焼に使用します。

    ・ 大物黄土: 耐火度が高く、大物作品向きの土で還元焼成で趣ある色が出ます。

    ・ 黄土: 他の土との混合用として使います。

   f) 赤鍋土: 1,180℃で焼成する土鍋用の土です。

    ・ 耐火耐熱鍋赤土: ペタライトを50%含む赤土で、セラミック鍋用の粘土です。

   g) 赤茶ワン土、赤茶ワン土細目:茶ワン土に赤土を混ぜた抹茶々茶用の粘土です。

     轆轤挽や手捻りで使えます。

    ・ 赤楽粘土: そのままで赤楽になります。又黒楽用の粘土にもなります。

    ・ 手捻り赤楽焼土: 赤楽用の粘土です。手捻り赤楽は「ザングリ」した土味

      が出ます。

    h) 赤還元土: 酸化では赤味が少なく、還元で赤く発色します。

    i) 粉引フレット土: 細目で軟らかい赤色に仕上がります。粉引用で1230℃で焼成できます

    ・ 粉引黄土原土: 耐火度のある粉引に使える粘土で、黒っぽく焼き上がります。

    j) クラフト赤粘土: 土に粘りがあり、使い易い土です。1230℃で使用可。

    k) 野焼き用粘土: 土器や埴輪などを作る際に使用すると良く、赤又は褐色になります。

     ・ テラコッタ: 水簸土に黄土を添加した粘土です。

     ・ 野焼き粘土: 素焼きをしてから野焼きをした方が安全です。焼締陶器にも利用可。

    l) 陶板土: 肉厚の作品向きの粘土で、鉄分を少々含みますので、薄い茶色になります。


 以前にもお話しましたが、同じ名前の粘土であっても、メーカーによって粘土の混合具合が異なり

 ますので、好みの色が発色する粘土を見付けて下さい。又は御自分で土や鉄分を調合する事です。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 263 市販されている粘土類(赤土1)

2016-11-23 16:23:44 | 素朴な疑問
4) 我が国には、白い土は比較的少なく、殆どの粘土類は鉄分を含む赤土です。

 但し、生の状態の赤土は、赤味を帯びた土です。ですが1,000℃前後以下の温度で焼成すれば、

 赤味のある色に仕上がりますが、高温に成るに従い褐色から濃い褐色、黒に近い褐色へと変化しま

 す。鉄分は母岩に含まれている場合も有りますが、多くは雨風で粉砕し微粒化し、流されていく

 過程で、周囲に存在する鉄分(酸化鉄=赤錆)が混ざり合って赤土になります。粘土が産出する

 場所ならば、必ずと言っても良い程に赤土も存在します。関東ローム層は富士山噴火の際の火山灰

 が堆積した地層と言われ、鉄分を多く含みますので、関東地方には色の白い土は少なくなっています

 又、植木鉢でお馴染みの「テラッコタ」は、粘土に黄土を添加した物です。黄土には微量の鉄分が

 含まれています。鉄分の少ない土は薄茶や黄色味を帯びますが、含有量が増えるに従い、色は濃く

 なります。その為、ご自分で酸化鉄(弁柄、鬼板など)を混入させて、発色程度を調整する事も

 可能です。

 ① 赤土の特徴。

  ⅰ) 白い土より幾分低い温度で焼締る粘土が多いです。

   その為、単独で焼成する場合は、焼成温度を幾分低くすれば良いのですが、他の白い粘土の

   作品と同時に焼成する場合、白い土を適度に混入する必要があります。

   若し、単味で白い土と同じ温度で焼成すると、作品が熱で軟らかく成り、歪み易くなる事が

   多いです。特に平たい皿には注意が必要です。又、鳴海織部の様に、赤土と白土を貼り合わせ

   た様な作品では、同じ白土に鉄分を加えて赤土を作って貼り合わせた方が失敗は少なくなります

  ⅱ) 収縮率も若干大きくなります。

   白い粘土の作品より、収縮率が若干大きくなります。(即ち焼き縮みが大きくなります。)

  ⅲ) 白化粧土を施す際には、赤土が効果的です。白い土に白化粧を施しても、色が映えません

   が、赤土ならば化粧効果が引き立ちます。特に「粉引き」向きの赤土を使うと失敗は少なく

   なります。

  ⅳ) 赤土は鉄分等の不純物のせいか、砂気のある物が多い様に思われます。

   鉋(カンナ)等による底削りなどは、表面に「ざらつき」が出易いです。勿論、産地や篩目の

   細かさによって、滑らかな手触りの物も存在します。

 ② 代表的な赤土。

  ⅰ) 赤信楽水簸(すいひ)粘土: 一般的に使われる赤土です。

  ⅱ) 信楽赤水簸粘土: 細目の粘土で、轆轤挽きでは腰があり使い易い土です。

  ⅲ) 特赤信楽(細目、荒目): 手捻りや轆轤成形で使用可能で、還元焼成で趣のある変化が

    現れます。

   ・ 古信楽赤土: 石ハゼ混入の古信楽土に赤土を添加した土です。

  ⅳ) 信楽水簸黄土粘土: 酸化でも還元焼成でも黒っぽく焼き上がります。耐火性があります

  ⅴ) 濃赤土: 鉄分を大変多く含み、鉄(錆)色に焼き上がります。

  ⅵ) 特上赤土水簸土: 水簸粘土に鉄分を多く添加した粘土で黒色に仕上がります。

  ⅶ) 萩、唐津、志野、石見(いわみ)、丹波、伊賀、笠間、備前、その他の産地の赤土。

   a) 赤萩土: 萩土に見島土を混入させた土です。

    ・ 特上萩土: 萩土にピンクの原土を混入させた水簸粘土です。

    ・ 鬼萩土: 荒々しい萩焼作品に使います。

   b) 唐津赤土: 唐津周辺の岸岳、大川などに産する鉄分を含む唐津焼用の粘土です。

     1230℃程度焼成すると良い様です。

    ・ 唐津荒赤土: 唐津赤土に荒目の砂が混入した土で、古唐津焼風に仕上がります。

   c) 志野赤土: 志野の蛙目粘土に黄土が含まれた土です。

     艾(もぐさ)赤土: もぐさ土に少量の鉄分を含んだ粘土です。

   d) 石見赤土: 島根県石見地方に産出する赤土で、小物用として使われる事が多いです。

     石見特赤土: 肌理が細かく鉄分の多い土です。耐火度もあり粉引き用に適します。

   e) 丹波土: 鉄分を多く含む粘土で、黒い斑点が出ます。

   g) 備前土: 伊部の田畑の下から産出した土で、黒色に近い褐色に焼き上がります。

      焼締陶器の備前焼の代表的な粘土です。焼き縮みが大きいのが特徴です。

   f) 笠間土: 作陶し易い鉄分のある粘土で、焼締焼成で窯変が出易いです。

  ⅷ) 赤1,3,5,7,9号土:

以下次回に続きます。

   
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素朴な疑問 262 市販されている粘土類(白い土2、黒土)

2016-11-18 17:22:59 | 素朴な疑問
2) 白い粘土類。

  白色と表示されている粘土は、多く存在しますが、多くの場合磁土や半磁土よりも、白さで劣り

  ます。当然自然物ですので、産地によって青味や赤味、黄味、グレー掛かった白色の土が多い

  様です。市販されている殆ど(ほとんど)の粘土は、作り易い様に色々の土がブレンドされてい

  るのが普通です。その為、同じ名前の粘土でも、メーカーによって色や手触り、轆轤の挽き易さ

  等に違いが出ますので、気に入った粘土であれば、同じメーカーの土を使い続ける事が大切です。

  但し、同じメーカーであっても、ロットによって若干の違いがありますので、常に一定の白さが

  保障されている訳ではありません。又、土によっては、酸化と還元焼成で焼き上がりの色が異な

  る場合があります。還元焼成の方が色が付き易い傾向があります。

  注: メーカーのカタログには品番が付いています。この品番は他のメーカーと一致する場合も

   有りますが、メーカー独自の品番と見た方が良いでしょう。又、詳しいカタログであれば、

   粘土の色も記号で表示されています。更に、陶芸材料店(粘土屋)に行けば、色見本を見る事

   も出来ます。

 ① 白い土と言えば、古信楽が挙げられます。

  石ハゼの入った荒目や細目の他、石ハゼの入っていない細目もあります。

  特に、白信楽土(荒目、細目)と称する粘土は、上記粘土よりも、白さに勝ります。

  信楽蛙目粘土、きのせ原土、信楽ロット土も白色に焼き上がる粘土です。

  信楽の A-1(急熱急冷白粘土)、水簸(すいひ)粘土(特、並漉し)は純白よりもややグレー

  掛かる傾向にあります。

 ② 志野土も白い粘土です。五斗蒔(ごとまき)や志野土は純白もありますが、やや黄色味に焼き

  上がる傾向にあります。モグサ(艾)土は薄茶色に焼き上がります。但し、モグサ白原土は白色

  に焼き上がります。(この原土は練土では無く、塊土として市販されています。)

 ③ 伊賀水簸(すいひ)粘土、古伊賀土、伊賀原土(塊土)、白備前土、石見白土も白く焼き上

   がる土です。

 ④ 白絵土、白化粧土: 粉末状で市販されている純白な粘土です。但しこの粘土で作陶する事は

  ほとんどありません。粉引、刷毛目、三島など作品の表面のみを白く仕上げる為に使用します。

  又、練込用の顔料(黒、黄色、茶色、ブルー、トルコ青、ピンク等)を加えて各種の色化粧土を

  作る際に用いられます。

  注: 粉引(こびき)は、作品を白い泥の中に漬けて表面を白くする技法です。一般の土を使う

   と粉引のタイミング(乾燥度合いによる)が難しく、作品本体を破壊する事が多いです。

   但し、粉引を安全に作業できる粘土も存在します。粉引粘土、粉引赤原土、石見特赤土、

    粉引黄土原土、粉引フレット土等があります。

 ⑤ 萩土類、唐津土類、土鍋土(白)、益子土、笠間土等は程度の差は有りますが、淡黄色、

  グレー、薄茶、褐色などの色が付いているのが一般的です。

3) 黒土類: 焼き上がりが黒くなる土です。(必ずしも、生で黒色とは限りません)

  炭化黒粘土: 酸化でも還元でも黒く焼き上がります。

  黒備前土: 備前土に黒土を混入させた土です。

  黒陶土(細目、荒目): 陶土にコバルトを含んだ粘土で、真黒に焼き上がります。

  黒御影土: 珪長石とマイカ(雲母)、黒色顔料を含んだ粘土です。

  南蛮土: やや茶色気味の黒く焼き上がる粘土です。(東南アジアの南蛮焼き風になります)

  注: 炭化焼き: 炭で燻して黒くする方法で黒い土でなくても、焼き上がりを黒くする事が

   出来ます。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 261 市販されている粘土類(白い土1)

2016-11-11 15:57:47 | 素朴な疑問
陶芸材料店やメーカーのカタログ類から、粘土類を選択する際、産地に拘る(こだわる)場合もあり

ますが、肌理の細かさ荒さで選ぶ場合もあります。その他、素地の焼き上がりの色で選ぶ場合もあり

ます。色の中でも白色の粘土は人気のある粘土です。白色は、下絵を付ける際や、釉掛けの際に

色も鮮やかになり、明るい作品に仕上げる事が出来ます。更に顔料を加え好みの色土を作る際や、

化粧土を作る際にも、無くては成らない土となっています。

但し、我が国では鉄分を含む赤土など色の付いた土は比較的多く産出しますが、白い色の土はある

特定な場所で産出するのがほとんどです。その為、白化粧の技法で表面だけでも白く見せる様な方法

が、取り入れられる様になります。尚、当然ですが、色の付いた土を好んで使う方もいます。

1) 白い素地の代表的な物は磁土です。

白色の元は「カオリン」と言われています。「カオリナイト」と呼ばれる物質が主成分です。

「カオリン」中国揚子江沿岸に産出する白色粘土で中国陶磁器の代表的な原料です。現在では世界

各地で産出される白色粘土を「カオリン」と呼んでいます。

「カオリン」は加熱と共に、「メタカオリン」、「ムライト」と言う成分結晶構造に変化します。

純粋な「カオリン」は1785℃で熔けますが、不純物を含む場合が多い為融点はかなり低くなります。

 ① 「カオリン」を含む粘土類。

  ⅰ) 木節粘土: 微細な「カオリン」鉱物が主成分です。

   漂積粘土の為、有機物や腐食物を含み、白色ではなく黒褐色又は灰色をしています。

   一見木の節の様に見える為、この名前があります。但し焼成すれば白色になります。

   耐火度合が高く、可塑性も大きく、他の粘土と混ぜ合わせると、成形し易い粘土になります。

  ⅱ) 蛙目粘土: 粗粒の石英を含む「カオリン」質の粘土です。

   石英が蛙の目玉に光って見える事からこの名前が付いた様です。焼き上がりは白色で木節粘土

   同様に可塑性があり、焼き物に適した土です。

 ② 陶石: 白色の陶石は有田焼きなどの、我が国の磁器(磁土)の主な主原料です。

  泉山陶石、天草陶石などが代表的な物です。

  「セリサイト」30:「珪石」70位の割合で混ざり合っています。可塑性は「セリサイト」の含有

   量に影響され、割合が大きい程可塑性が増します。

   注: 「セリサイト」(絹雲母)は岩石の分解途中の物で、十分粘土化していない、微細な

    白色物質を含んでいす。

 ③ 磁器土(特上、上): 磁器用の土で陶石などを粉砕して、粘土状にした物です。

  ⅰ) 磁器土はカオリン、珪石、長石を混ぜ合わせ磁土です。

  ⅱ) 特上磁器土: 天草陶石を「スタンパー」で粉砕した純白の磁土です。

  ⅲ) 上磁器土: 天草陶石を「トロンミル」で仕上げた磁土です。

  ⅳ) その他の磁土: 天草白磁器土、青白磁土、手捻り白磁器土(一般に、磁器土は手捻りで

    作る事は困難です。手捻り用に開発された土です。)

  ⅴ) 磁土で作り1300℃近くで焼成した磁器は、「石物」と呼ばれ、粘土類で作った焼き物は

    「土物」と呼ぶ場合があります。

  ⅵ) 磁土は扱い難い土です。勿論轆轤挽きも可能ですが、粘土類に比べ粘りに乏しく轆轤挽き

    には、熟練を要します。多くの場合、鋳込みの技法を取る事が多いです。

    更に焼締まり温度も高く、白磁では表面の汚れを嫌いますので、作陶環境にも注意が必要に

    なります。その為、磁土を取り扱う人は、比較的少ない様です。

 ④ 半磁器土(上、並): 陶器質に焼き上がる粘土です。磁土と他の白色粘土を混ぜ合わせ、

  作り易く、焼成温度も下げる事が出来る粘土です。酸化焼成でも白く焼き上がる土です。

2) 白い粘土類。

  白色と表示されている粘土は、多く存在しますが、多くの場合磁土や半磁土よりも、白さで劣り

  ます。青味や赤味、黄味、グレー掛かった白色の土が多いです。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 260 市販されている粘土類(萩、唐津)

2016-11-04 16:11:38 | 素朴な疑問
萩は文禄二年(1593年)毛利輝元が朝鮮より、李勺光、李敬の兄弟を連れ帰り、萩城下に窯を築いた

のが最初とされ、主に茶陶を作っていました。現在では日常用器、茶器、観賞用陶が主な作品です。

主な産地は山口県萩市、長門市、山口市などにあり数十軒の窯元と、百数十軒の販売店があります。

萩焼土は、主に防府市の大道(だいどう)付近で採れる「大道土」が使われます。

大道土は、花崗岩が風化した砂土で、「パサツキ」感のある軟らかい土です。その為か、焼き締りが

弱く、汚れ易いとも言われています。「萩の七化け」と呼ばれるのも、使用するに従い、色や艶が

変化する事から付けられた言葉です。又、ほのかに赤味を持ち、時には青味、黄味を帯た柔らかく

温か味のある器に成っており、人気のあえる焼き物です。

1) 萩の土。

 ⅰ) 大道土: 大道産で、ピンク色が出易い土です。

 ⅱ) 萩土: 萩地方で産出する粘土です。

 ⅲ) 赤萩土: 萩土に見島土を混入させた粘土です。

  見島土とは: 山口県萩の沖に ある見島で採れる、鉄分の多い土。

 ⅳ) 鬼萩粘土: 荒々しい粘土です。

 ⅴ) 萩原土: 大道土の原土で、砂成分が多く含まれています。

 ⅵ) 萩ピンク原土: 御本手が出易い粘土です。御本手とは、ピンク掛かった5~10mm程度の

  丸味のある斑点が、器の表面に表れる現象です。

 ⅶ) 萩金峰(みたけ)土: 萩焼の土の耐火度を高める土です。

 ⅷ) 萩茶ワン土: 抹茶々碗向きの萩土の荒目粘土で、珪長石を含みます。

 ⅸ) 鹿の子斑(まだら)粘土: 1180℃まで還元焼成し、その後酸化焼成すると良い。

   御本手が出易い粘土です。

2) 唐津の土。

  唐津焼きは、桃山時代の文禄、慶長の役の際、肥前の唐津に朝鮮の陶工を連れて帰った時を紀元

  とする陶器の焼き物です。その際、蹴轆轤(蹴り轆轤)と呼ばれる作陶の技法と連房式の登窯

  が伝えられ、制作スピードがあがり、一度に大量な作品が焼ける様になります。その為、茶器の

  他日用雑器等の焼き物を作る九州の一大産地になります。

  又、焼き物の呼び名も、関東では「瀬戸物」と呼ばれ、関西以西では「唐津物」と呼ばれいます。

  江戸元禄時代には、三百余軒の窯業戸数がありましたが、現在では、五十数軒の窯元が存在する

  そうです。

 ① 唐津土の特徴は砂目の土だと言われています。唐津の土は一箇所から大量に産出する事は少

  なく方々から少しずつ産出するために、一定の品質に成らないとも言われてきました。

  それ故、古唐津の土と現在の土は同じ物ではありません。焼き上がりにも違いが出来ます。

  市販されている土も、唐津風にブレンドされた土と思われます。又、砂味がある為「ヒビ」

 (貫入)が入り易い傾向があります。

 ⅰ) 唐津土(細、中、荒目): 鉄分が比較的少なく、白く焼き上がる土です。

    蹴轆轤用に適します。又、絵唐津の様に絵を描くと、絵柄が冴えます。  

 ⅱ) 唐津赤土: 唐津土で鉄分を多く含み、赤味掛かった灰色風に焼き上がる土です。

 ⅲ) 唐津荒土白: 肌理の粗い「ざっくり」感のある土で、山から掘り出してきた土を、ほとん

   ど手を加えずに使う場合もあります。やや轆轤挽きが難しい場合には、手捻りで使う人もい

   ます。例: 唐津の叩き壷など。

 ⅳ) 唐津荒土赤: 上記の土に赤土が混入した土です。

以下次回に続きます。

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