わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

乾燥に付いて 5(トラブル)

2009-04-29 18:29:58 | 窯詰め、素焼、本焼の話し

乾燥時の、作品の「ひび」「割れ」に付いて、話を進めます。

② 乾燥時に問題がある場合

  作品の「ひび」「割れ」を防ぐには、全体を同じ速度で均一に、乾燥させる事が、理想です。

  乾燥度合いが、場所により、大きく違うと、その境や、口縁、底などに、亀裂が出ます。

 ) 作品が乾燥する順番。

  a) 空気に触れている面積が、大きい程、速く乾燥します。

    作品の角部、口縁などの周囲部、極端な凸状の部分、取っ手や摘み部分などです。

  b) 肉が薄い部分から、先に乾燥する。

    極端に、肉厚に差が有ると、その境目に亀裂が出来ます。

  c) 土に含まれている、水分の少ないところが、速く乾燥する。

    大きな作品を作る際、下部から作るのが、一般的です。

    場合によっては、前日に作った、製作途中の作品に、継ぎ足して、作ります。

    当然、昨日の土は、水分が少なくなっています。(それ故、上に積む事が可能に成りますが)

  d) 作品の上部から、乾燥が始まる。

    作品の表面から、水分が蒸発し、内部の水分も表面に、吸い出されますが、

    私の経験では、内部の水分は、重力により、下に落ちて行く感じがします。

    即ち、板に載せた作品の底は、上から落ちて来た、水分で濡れている感じです。

  e) 袋物など、口径が小さな物は、表面より乾燥し、内側(内部)は、中々乾きません。

  f) 自然乾燥では、空気中の湿度が、低い程、又気温が高い(特に夏場)程、乾燥は速くなります。

 ) 乾燥をなるべく、均一にする方法。

  a) 上記の様に、乾燥の早い部分に、布(又は、きつく絞った濡れた布)を掛ける。

  b) 乾燥の速い部分に、霧吹きで、霧を掛けたり、濡れたスポンジで、水ぶきします。

  c) 時々、作品の置く位置を変える。

    作品は、上部から乾燥しますので、上下出きる位、乾燥したら、上下逆さにする。

    この作業を、数回繰り返します。

    又、空気に触れ無い面が有る時は、作品を回転させます。

  d) 乾燥の遅い部分を、積極的に乾燥を早める。

    内側や底の部分が、中々乾燥しない場合、ドライヤーなどで乾燥させる。

    その際、一箇所に、熱風が当たらない様に、ロクロに載せ、回転させながら、乾燥させます。

    又、大きな壷などは、内側に白熱球(電球)を入れて、乾かす場合も、あります。

 ) 効率良く乾燥させる、方法。

    乾燥は、自然乾燥が、理想ですが、速く乾燥させる必要が、生じた場合、或る程度強制的に、

    乾燥させる事に成ります。

    その際、乾燥は、間欠的に行う事で、効率良く乾燥できます。

    即ち、「乾燥させては止め、乾燥させては止め」、を繰り返しながら、乾燥させます。

    強制的な、連続的乾燥は、表面のみが乾燥し、内部の水分が、表面に移動するのに、

    追い付きません。一休みする間に、表面に移動してきます。表面が濡れて来たら、

    再度乾燥させます。これを繰り返すことにより、より効率的に、乾燥出来ます。

 陶芸の窯焚き(素焼) 

追記(2012-11-16)

    粘土が乾燥する際、粘土内の水分は以下の様な動きをすると思われます。

    1) 粘土の表面から水分が蒸発し、乾燥が進むと内側から、水分が表面に移動します。

       これが一般的な考え方です。しかし私の経験では、実際には違っている様に感じます。

    2) 粘土の表面を強制的に乾燥させると、表面の一部は蒸発しますが、内部の水分は反対

       側に移動します。即ち表を乾かすと、裏側に逃げます。同様に器の外側を強制的に

       乾かすと、器の内側に水分が移動します。

    3) その為、表側のみを乾燥させても、中々乾燥しません。そこで次に裏側や内側を乾燥

       させると、裏側より表側に水分が移動します。即ち乾燥している側に移動する事になります

       更に、この現象は粘土内の乾燥度合いを、均一にする働きにもなり、割れやひびの予防

       にも成ります。

     4) 乾燥時間が10~30秒と短くでも、同様な作用が起こります。それ故、こまめに内外、

        裏表を交互に乾燥させれば、乾燥は驚くほど早く成ります。

        尚、作品の上下関係でも同じです。上部が乾燥するに従い、水分は下に逃げます。

        (勿論、重力も関係しているかも知れませんが)そこで、上下を交互に乾燥させる事に

        より、乾燥を早める事ができます。

      5) 水分が反対側に逃げる証明として、粘土板を木製の板の上に載せ、表面をドライヤー

         などで乾燥させると、粘土の裏側、即ち木製の板が強く濡れる事で確認されます。

         更に、水分が移動した濡れた裏面から、何らかの方法(石膏板、吸い取り紙)で水分を

         取り除くならば、乾燥が早まる事にもなります。       

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乾燥に付いて 4(トラブル)

2009-04-26 16:25:37 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
前回に続き、乾燥時のトラブルの話をします。

2) 作品に「ひび」や「割れ」が出来る。

    「ひび」や「割れ」は、製作時の問題と、乾燥時の問題とに分かれます。

 ① 製作時の問題。

  ) 土の締めが、甘い(弱い)

    土は、締める(叩く)程、「ひび」や「割れ」に対して、強く成ります。

    手捻りの場合、掌や叩き棒(板)を使い、土を十分叩き締めます。

    上下の厚み方向だけでなく、縁の周囲も、中心に向かって土を押し、締めて下さい。

    ロクロの場合、口縁は皮で、底部分は、指又は「こて」を当てて、十分締めます。

  ) 製作時に傷が付いた、又は傷を消していない。

    手捻りの場合(特に紐作り)、土と土を接着し、その内外の境を完全に消ないと、

    そこから、「ひび」や「割れ」が入ります。

    小さな「ひび」や「割れ」も、乾燥に従い、大きく成ります。(小さく成ることは、有りません。)

    完成時に、もう一度「ひび」や「割れ」が無いか、確認して下さい。

    なるべく乾燥して、土が白く成らない内に、修正を終わらせてください。

    水を付けた、指で撫ぜたり、皮などで拭き、傷を無くします。

  ) 底割れ

    丼や鉢などの底に、一筋又は、三筋の「割れ」や「ひび」が入る事が有ります。

    その原因として

   a) 底の肉厚が、他の部分より厚い場合

     肉厚の厚い所は、当然乾燥が遅く成ります。底の外周囲が乾燥し、引っ張り合いながら、

     縮む際、まだ軟らかい、底の中央部の土が、外側に引っ張られ、亀裂が入り、

     乾燥とともに、亀裂が成長して行きます。

   b) 底に水分が、残っていた場合

     底に水分が有ると、土は軟らかいままで、乾燥は、更に遅くなり、周囲が乾燥すると、

     底の中央部に、「割れ」が出来ます。

     特にロクロ挽きした場合、底に水が残り易いので、スポンジ等で、拭き取ります。

   c) 土の記憶性によるもの(元の状態に、戻ろうとする、性質)

    前にも述べたように、「ロクロ」挽きすると、土は螺旋状に薄く伸び、ます。

    乾燥するに従い、螺旋が戻る方向(ロクロの回転方向と逆)に、力が働きます。

    上部や、薄い壁などは、この力に任せて、移動しても、ほとんど問題に成りません。

    しかし、底部の外側に働く逆回転の力は、底の中央部に「割れ」を起させます。

    (特に土が、締まっていない場合や、水分が多く、土が軟らかい場合には、

     傷は更に大きく成ります。)


以下、次回に続来ます。
  
 陶芸の窯焚き(素焼) 
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乾燥に付いて 3(トラブル)

2009-04-25 14:18:16 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
前回の続きを述べます。

1) 乾燥時、作品が変形する。

  ③ 皿の中央が盛り上がる。

   手捻りでも、ロクロ挽きでも、皿(丸、角)の中央が盛り上がる。

   乾燥は、皿の周辺より起こり、周辺より縮みます。

   縮とは、土同士がお互い、引っ張り合いながら、水分を蒸発し、密度を増す現象です。

  その結果、皿の周囲を締め付ける事に成ります。乾燥の遅い中央部は、周囲からの力で、

  上に盛り上がります。(下側に盛り上がる事は、少ないです。)

  対策: 生乾の際に、手などで補修する。

      「ベタ高台」の場合、素焼までは、中央が反り返っていても、本焼きでは、

      土がやや軟らかく成るので、中央が平らに成る場合が多いです。

  ・ その他、平たい皿に、円(又は角)状の足(高台)を付ける際、本体と足の乾燥具合が

   一致しないと、高台内の底が大きく変形します。(波打つ場合がある。)

   又、厚さの違う板状の土を、張り合わせた場合でも、乾燥速度が違い、変形します。

   対策: 乾燥具合を均一にしてから、貼り付ける事。

       足を「輪高台」にせず、3~4点の足を付け、縮の逃げ部分を作る。

       (但し、本焼き時、中央が下に落ち込まない、構造にするか、下から支える物を、

         用意する必要が有ります。)

 ④ 数種類の土を使う場合。

   土の収縮率は、各々若干の違いが有ります。(赤土は、鉄分が多いので、縮が大きい。)

   又、軟らかい土(水分が多い)と、やや硬い土(水分が少ない)を重ねて(縦、横方向)

    作品を作る場合(市松模様など)にも、乾燥の違いが、縮率に影響し、作品が歪みます。

   ・ 対策として、一種類の土(白い土の方が、色が出易い)で、練り込み用の顔料使い、

     色土を作って使用する。(練りこみ用の顔料は、各色が市販されています。)

   ・ 乾燥速度は、土の粒子の粗さにも、影響します。

     (即ち、粒子の粗いものほど、速く乾燥します。)

     粒子の細かい土に、シャモットなどを入れ、乾燥速度を合わせる様にするのも、一つの方法です。


以下、次回に続きます。

 陶芸の窯焚き(素焼)  
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乾燥に付いて 2(トラブル)

2009-04-24 17:55:38 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
乾燥時に色々トラブルが発生しますが、大まかには、次の二点です。

1) 作品が変形する。

2) 作品に、「ひび」や「割れ」が発生する。

  何れも、乾燥により、粘土が収縮する事が、最大の原因です。

では、順番に説明して行きます。

1) 作品が変形する。

 ① 手捻りで造った、平たい作品は、縁が盛り上がり、凹んだ形に成ります。

   乾燥は、最初に土の表面から、始まります。更に下面より上面の方が、速く乾きます。

   上面の表面が乾燥すると、内部の水分は、表面に吸い取られる様に、移動します。

   縁は中央部分より、速く乾燥します。

  尚、原則的には、上記のようにして、乾燥が進みますが、表面が乾燥を始めると、内部の水分は、

   表面に、移動するのではなく、逆方向に逃げる(移動する)現象が見られます。

   特に急激に乾燥させた場合(ドライヤー、天日干)に、良く見られます。

   その際には、反対側に板など、吸水し易い物を置きます。

   この様にして、全体が乾燥するのですが、下面は板や台に載せられ、空気に触れる面積が少なく、

   乾燥も遅く成ります。

   乾燥の速い順序に、収縮が始まります。それ故、凹の形に変形します。

  ・ 対策として、

   ) 両面が同時に乾燥する様に、網などの上に、作品を置く方法も有りますが、余り効果が有りません。

   ) 縁の周りに、布などを掛け、中央部と同じ具合に乾燥させる。

   ) 一番効果的なのは、半日又は、一晩置いた作品が、変形していたら、やや力を入れて、

     補正する事です。(乾燥し過ぎてから、この補正すると、「ひび」が入ります。)

   ) 両面を均一に乾燥させるには、作品を立て掛ける事ですが、立て掛けられる程、乾燥が

     進むと、変形の進み具合は、少なく成ります。(効果が少ない)

     それ故、何らかの方法で、生乾きの状態で立て掛ければ、良いのですが、中々良い方法が、

     思い付きません。

  ② 粘土の記憶制による変形

    粘土は、力を入れて形を造ると、元の形に戻ろうとする、性質が有ります。

    特に乾燥とともに、戻る力は強く成ります。

  ) 電動ロクロで皿を造ると、皿の深みが増します。

    一般的に、鉢の様な形から、口縁を拡げ皿を作ります。

    即ち、立っている土を、寝かせる様にします。それ故、乾燥とともに、元の形に戻ろうとし、

    土が、立ち上がります。

   ・ 対策: 生乾きの状態でも、口縁は立ち上がります。

      そこでもう一度ロクロに載せ、ロクロ挽きし、形を補正します。

  ) 急須の注ぎ口や、鶴首の様な細長い作品は、変形し易いです。

    電動ロクロでは、土は螺旋状に上に伸び、作品を形作ります。

    乾燥とともに、螺旋を戻す方向に、変形します。

   対策: 鶴首などは、巻き戻す現象が起きても、全体的にほとんど影響有りません。

      急須の注ぎ口先端が、丸い場合も、さほど問題に成りません。

    ・ 問題は、先端を、斜めにカットした場合です。

      乾燥後、カット部分が、予定の位置から「ねじれ」易いです。

以下、次回に続来ます。

 陶芸の窯焚き(素焼) 
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乾燥に付いて 1

2009-04-23 20:19:27 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
作品を制作すると、次は素焼と成ります。

一般に釉薬を掛ける焼き物は、素焼を行います。

素焼をする事により、釉薬が掛け易くなり、作品の破損を防ぐ効果もあります。

即ち、素焼(700℃~800℃程度)をすると、土は元の粘土には成りません。

素焼する事により、強度も若干強くなり、水で形が変わる(壊れる)事は有りません。

又、水分を素早く、吸収する様に成ります。(高い温度で素焼をすると、吸水性が悪く成ります。)

釉薬は水に溶かすのが普通で、釉掛けの際、釉薬と水を同時に吸い込み、厚みが均一に成り、且つ

釉の乾燥が早く成ります。それ故、施釉後1分も経たずに、作品を持つ事が出来ます。

・ 素焼をせずに、直接施釉する方法を、「生掛」(なまがけ)と言います。

  (粉引きも、素焼をせずに直接、白化粧土を掛けますので、「生掛」と言います。)

  「生掛」は、作品が急激に水を吸い、作品を溶かし、形が崩れる場合が多いです。

 それ故、「生掛」のタイミング、即ち作品の乾燥具合が大切です。又「生掛」に適した土を、

 使用する必要が有ります。

尚、釉薬を掛けずに焼成する場合は、当然素焼の必要は、有りません。

 (備前焼きなど、薪窯で焼成する作品などです。)


乾燥に付いて

・ 素焼を行う前に、作品を乾燥させて置かなければなりません。

 (乾燥が甘い作品を、素焼すると、窯の中で爆発します。後日説明いたします。)

1) 作陶時、粘土には18~25%程度の水分を含んでいます。

   この水分が有るからこそ、土に粘りが有り、加工し易く成ります。

   粒子の細かい土は、粗い土より、水分が多く含まれています。

2) 乾燥とは、この土に含まれた水分を取り除く事ですが、

  ① 作品制作直後から、自然に乾燥が始まります。

  ② 乾燥と同時に、作品は収縮し始めます。

  ③ 水分の含入量の多い作品(目の細かい土)程、大きく縮みます。

  ④ 自然乾燥では、100%乾燥とはなりません。

    空気中には、どんなに乾燥していても、数%の水分が有ります。

    それ故、最も乾燥させても、この数%の水分は残ります。

  尚、自然乾燥後、素焼しても、作品は、ほとんど収縮しません。

以下、次回に続きます。

 陶芸の窯焚き(素焼) 
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手捻りの勧め (2)

2009-04-16 18:05:42 | 陶芸入門(初級、中級編)
前回に引き続き、手捻りの特徴を述べます。

4) 時間を掛けて、ゆっくり、自分のペースで、造る事が可能。

  制作途中で中断し、数日後(1~2週間後)でも、その続を続ける事が可能です。

   (但し、制作途中の作品が、完全に乾燥させない様に、注意。)

 又、時間が有れば、考え考え、試行錯誤しながら、作品を造っても、なんら問題は有りません。
 
  予定をどんどん変更し、自分の満足する形や、装飾を施す事も可能です。

  (極端な例では、造った作品の半分を壊し、新たな半分を造り直す事も可能です。)

5) 道具(用具)類も、少しで良い。

   道具は、最低で、竹へら(切、撫ぜ)、針、皮、切糸、カンナ、程度です。

   (粘土を含めて、ほとんどは、陶芸材料店や、インターネットで、購入出来ます。)

   必要に応じて、手回しロクロ、とんぼ、穴あけ機(ドリルの刃)、スケール(物差し)などを、そろえます。

   (陶芸教室などでは、備え付けの、用具を共同使用する所も有ります。

    又、器用な方なら、自作可能です。)

6) 他人から教わる事の苦手の方にも、向いています。

  年配の男性に多いタイプですが、人から「あれこれ」言われたり、教わるのが苦手の人は、

  意外に多いです。

  (男性は、教わるよりも、教える事が好きな、動物である。と誰かが言っていました。

   その通りかも知れません。)

  特に、自分より若い方(又は同年代)に、教わる事は、かなりの抵抗が有る様に見えます。

  (若い女性に教わる事は、そんな事は、少ないかも知れませんが。)

  それ故、陶芸に興味が有っても、中々第一歩が踏み出せない方も、多いです。

  電動ロクロは、独学では無理です。どうしても、教わらなければ、上達しません。

  それ故、理由を付けて、ロクロを敬遠する方も、多いです。

  (ロクロの作品は、単調だ。同じ物しか出来ない。直ぐに自分の好みの作品が、出来ない。等々)

 ・ この様な方は、手捻りの方が、向いています。

  基本的な事を習えば、後は人に「あれこれ」いわれずに、気ままに作品造りに、没頭できます。

  たとえ陶芸教室や、カルチャーセンターに行っても、短期間で技術は、習得可能で、以後は、独学や、

  陶芸の書籍や、雑誌を見れば、色々の技法が載っています。

  (前にも述べましたが、電動ロクロに関しては、書籍はほとんど、役に立ちません。)

 この様なプライドや、自意識の強い方は、手捻りで作品を、造る事を勧めます。

7) 手助けを嫌がる方にも、手捻りは向いています。

  何でも自分一人でやりたい、手助けは無用にしたい方も、結構います。

 その点、手捻りは、その人の作品に手を触れる事無く、口頭で指導可能です。

  (電動ロクロは、初心者の作品を触って、手助けする必要があり、口頭指導では、上手く行きません。)

以上、色々述べて来ましたが、手捻りは、電動ロクロより、「とっつき易い」です。

 是非、「手捻り」を、楽しんで下さい。
  
 陶芸、手捻り 
 
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手捻りの勧め (1)

2009-04-15 21:44:43 | 陶芸入門(初級、中級編)
陶芸をやってみたいと、思う方が、段々増えて来ています。

陶芸の面白さが、テレビ等で、色々取上げられて来た、影響かも知れません。

(タレントや、俳優さんなど、陶芸をやっている方、陶芸に興味を持っている方が、多く出演される

 番組を、良く見かける様に成りました。)

陶芸の技法には、手捻り(ひねり)と、電動ロクロによる制作の、二つの方法が、あります。

電動ロクロは、ロクロと言う機械を操作し、回転させながら造る方法で、それなりの年数を必要とします。

若い方(特に男性)は、電動ロクロに関心を示します。

(本格的に、陶芸全般を学ぼうとすると、確かに、電動ロクロは、避けれ通れません)


一方手捻りは、3~4歳の子供から、80歳位の方まで、どなたでも、始める事が出来ます。

陶芸と言うと、高尚な趣味の感じがしますが、要は「粘土遊び」です。

但しこの遊びは、その気で、始めれば、かなり奥の深い遊びです。

ほとんどの方は、小学校の、図画工作(図工)の時間に、粘土(又は紙粘土)で、色々な作品を、

造った経験が有り、一度は、手捻りの体験が有るはずです。

そのとき以来、土を触った事が無い人が、ほとんどですが。


では、手捻りの特徴(良い点)を、述べていきます。

1) 作品に、個性が出る。

  良く「世界で一つの作品である。」と言われる物は、手で造った物です。

  手捻りは、必ずしも、綺麗な形(左右対称など)には出来ません。必ず歪みが生じ易いです。

  この歪みが、その作品の特徴で、面白味でも有り、温か味でも有ります。

 又、指跡などを、わざと残し、凸凹感を出し、いかにも「手で造りました」の感じが出せます。

2) どんな作品でも、造る事が出来る。

  電動ロクロで出来る作品なら、手捻りで造る事が、可能です。

 それ以上に、ロクロで出来ない形(丸以外の形)、装飾、大きさを、造る事が可能です。

 縄文の時代から、手で造られた作品(土器、土偶、甕棺など)が、いかに多種多様な形であるか、

 又その装飾性が、いかに豊富であるか、現代でも十分通用するデザインでも有ります。

 手で造る事で、容易に、個性的な作品を作り出す事が出来ますし、その可能性も大きいです。

3) 特別の技術は、いりません。

  両手が使えれば(片手しか使えない方も)、作品を造る事は可能です。

  幾つかの、約束事を守って貰えれば、どんな事をしても、かまいません。

  (約束事: ① 空気を完全に、閉じ込めない事、② 作品が、自立出出来る事、不安定で無い事。
   
        ③ 作品の下部が、特別、細くしたり、薄くし無い事。=高温では土は弱くなる為)

  粘土(土)を丸めたり、伸ばしたり、切ったり、貼り付けたり、傷(ひっかく)を付けたり、

  叩いたり、場合によっては、土を握り締めるだけで、作品にも成ります。

  (握り仏を造っている方も、います。)

  勿論、要求が高度に成れば、それなりの技術の習得が、必要に成りますが、最初から、

  色々の技術は必要有りません。

  むしろ、何に興味が有るのか、何を作りたいのかが、重要です。

  (例: 食器、花器、箱物、オブジェ、人形、置物、壁掛け、動物、モザイク模様、その他骨壷など)

以下次回に続来ます。

 手捻り陶芸 
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電動ロクロの「コツ」 18 (最終章)

2009-04-11 22:01:03 | 電動ロクロ入門
電動ロクロの「コツ」と題して、色々述べて来ましたが、今回で一応終わりにしたいと思います。

 電動ロクロで初めて、作品を造った人の、感想を聞いてみると、「面白い」、「大変面白い」と、

 答えてくれる方が、多いです。その後、「難しいです。」とも、言います。

 確かに、憶える事は沢山あり、手の使い方、作業手順など、細かな事が多肢に渡ります。

 他の人の助けも無く、自分一人で、作品を仕上げるには、それなりの、回数をこなし、時間も掛かり、

 失敗も多くする必要が、有ります。

 早く上達したいと、思っている方が、大半です。しかし、電動ロクロへの近道は、中々見つかりません。

 ここでは、参考までに、上達の「コツ」らしき物を、考えてみました。

 ① 若い人ほど上達は早く成ります。電動ロクロの技術を、憶えたいならば、一日でも早く、

   ロクロに触る事です。 但し、独学では決して上達しません。

  ・ 指導者が見つからないと、思っている方には、「10年以上ロクロの経験がある人ならば、

   どの人でも、大きな違いは有りません、身近な人で十分です。」と答えます。

   (実際には、指導者との相性も、大事ですが、それ以上に、優柔不断にしている方が問題です。)

 ② 或る一定の間隔で、息長く陶芸に、打ち込んでいる(陶芸に時間を掛けている)人は、

   確実に上達しています。

 ③ 自分の作品だけでなく、他の人の作品にも、関心を持つ人。

 ④ 作品の種類が偏らず、色々な作品を作る人。

   小物も作るが、大きな作品も造る人。

   小物は、或る程度上達すると、少々の事は、誤魔化して、(悪い言葉で言えば、)

   造る事は可能です。

   土殺しが、中途半端、少々の振れも、撚れていても、強引に造ってしまう事が可能です。
   
   しかし、やや大きめ(特に高さ)の作品を造ってみると、上記の事柄が、確実に出来ていないと、

   上手に作品が出来上がりません。

   特に、高さが25~30程度の、作品を造ると、問題点(自分の弱点)が見えてきます。

   自分の弱点を知る事は、上達の第一歩です。

 ⑤ 色々な土を使う。

  土も種類によって、挽き易い土、挽き難い土、腰の有る土、腰の無い土、伸びる土、伸びない土など、

  性質が多様です。なるべく性質の違う土で、練習し、どんな土でも、ロクロ挽きが、

  出来る様にて下さい。

 ⑥ 陶芸の書籍や雑誌などは、余り、役に立ちません。

   (その意味では、私のブログも、上達に寄与しているか、はなはだ疑問です。)

   なぜならば、本に書れている事が、著者によって、「バラバラ」で、統一性が無く、戸惑うからです。

   こうゆう本は、むしろ陶芸を長くやってる方に、参考に成る様に思います。

   (長く陶芸をされている方は、自分なりのスタイルを持ち、他の意見に左右される事は、少ないです)

 ⑦ 失敗を多くする事も、上達の条件です。

   原因を考え、対策を取って、再度挑戦する事が、大事です。

   できれば、解決策を、自分で見つけるて下さい。

   人に聞いて憶えるより、よほど役に立ちます。


以上、電動ロクロについては、まだまだ、説明不十分の所も有りますが、ひとまず終わりに致します。

次回より、別の項目を、お話したいと、思います。

 電動轆轤のコツ 

電動轆轤で造る

   

 
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電動ロクロの「コツ」 17 (底削り)

2009-04-10 22:48:43 | 電動ロクロ入門
作品が、形造られたら、生乾燥後、底及び高台脇、腰の部分を削ります。

生乾燥とは、「カンナ」を使った際、「削りカス」が、帯状に出る程度の乾燥具合です。

① 「削りカス」が、「カンナ」に付着すれば、乾燥が甘い(不十分)状態です。

② 「削りカス」が、小さく切れる場合には、乾燥し過ぎです。

  (この場合には、水を含ませたスポンジで、表面を濡らしてから、削ります。)

③ 「カンナ」は、刃物です。常に良く切れる様に、砥石や「ヤスリ」で、研いて置きます。

1) 削るタイミングについて

  作品をロクロ挽きした後、なるべく早く、一日後(翌日)、1週間後に削りたい場合など、

  都合に合わせて、削ります。

 ① 直ぐに削りたい場合: 直射日光で1~2時間後、又は「ドライヤー」(700W 程度)で、

   15~20分乾燥後に、削ります。但し、一方向のみが、乾かない様に、時々回転させます。

 尚 どの陶芸の本でも、ロクロ挽き直後の、天日干しや、「ドライヤー」での乾燥は、

   厳禁になっていますが、実際は、ほとんど問題ありません。

   但し、表面のみが乾燥し、内部が乾燥してい無い場合が多く、或る程度削ったら、

    再度「ドライヤー」で、乾燥させる必要が有ります。

 ② 翌日削る。

   このタイミングで削るのが、一般的な方法です。

   ロクロ挽き後、室内に放置し、自然乾燥させます。内部まで均一に、乾燥し、削り易いです。

 ③ 1週間後に削る。

   陶芸教室など、時間の関係で、翌週削る必要が有る場合などで、乾燥し過ぎない様に、大き目の

   「ビニールシート」で、包んで置きます。

   又、夏場など、乾燥が進む場合には、濡れた布を巻き、その上から、「ビニール」で、包みます。

2) 底削りの必要性に付いて、

  ロクロ挽きした作品は、必ず、下部が肉厚になり、上部へ行く程、薄くなります。
 
  この厚い部分の肉を、削り取らないと、作品は重く成ります。

  又、角が薄いと(角が角張る=角の肉が薄い)その部分の乾燥が、速く進み、ヒビ割れが、

  起こり易いです。

  (尚、上達者は、削り取る量は、少なく成ります。初心者では、最初の土の重さの、半分程度に

   成る事も、珍しくは有りません。一般的には、2~3割、減少します。)

3) 高台の種類

   ベタ底高台、碁笥底高台、輪高台(切高台、割り高台、三日月高台、撥高台、付け高台)

   などが有ります。

  当然、作品を造る前から、高台の形は、決まっているはずです。

  (全体のスタイル、使用し易さ、作り易さなど、色々の要素で、決まります。)

  注意点:

 ) 底の厚みは、厚くし過ぎ無い事です。

    厚くなると、底割れの原因になり、乾燥も遅くなります。

   「ベタ」、碁笥底、輪高台何れも、底(高台内)の厚みは、5mm以下程度にします。

 ) 高台脇、腰の部分の肉も、「タップリ」付いているはずです。

   削り出す前に、厚みを確かめておいて下さい。

   (指で厚みを測る、内側と外側の径を測り、その差で、判断するなど。)

   尚、削り足りない方が、圧倒的に多いです。「削り過ぎかな?」と思う程、削って下さい。

   但し、外側を削ると、全体のイメージが、変わってしまいます。

  その場合には、「丸いカンナ」を使い、内側から削る方法も有ります。

  削った後の肉厚は、作品の大きさ、形状にもよりますが、2~4mm程度が普通です。

 ) 「カンナ」を掛けると、土の肌が荒れます。特に粗目の土を使うと、削り面に、小さな穴が開きます。

   これを直すには、同じ土の「ドベ」を塗り、綺麗に仕上げます。
電動轆轤で造る

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電動ロクロの「コツ」 16 (形を造る5)

2009-04-09 18:07:17 | 電動ロクロ入門
前回の続を述べます。

 作品を作る際の、指の使い方には、一般的な方法は、有りません。

 各自、自分なりの方法で、工夫されているのが、実情です。

 ここで述べている事は、私なりの方法かも知れません。

  あくまでも参考程度に、御覧頂ければ、有難いです。 

 尚、写真などを添えると、より解かり易いと、思いますが、現状では無理なので、ご容赦ください。

 ③ー) 逃げ道を四箇所造る。

   径が細くなるに従い、接触面積は、少なくし、力が指先に、集中する様にします。

   両手の、親指、人差し指(計4本の指)の腹を使います。隙間の四箇所の間隔を、均等にします。

   隙間のバランスが崩れると、隙間の広い方向に、土が逃げ、中々細くなりません。

 ) 逃げ道を六箇所造る。

   両手の親指、人差し指の腹と、中指を折り、その第二関節を使います。

   即ち、六箇所(6本の指)で土を支えながら、径を細くして行きます。

   六箇所の隙間は、出来るだけ、等間隔にします。

  ・ 下から急に細くすると、上部(頭)が振らつきます。

    回数を増やして徐々に、細くするか、上部から細くします。

 ④ 肉が厚いまま、細くし続けると、撚れが発生する。

   前にも述べましたが、肉厚が薄過ぎると、径は細くなりません。細くする作業を、繰り返しても、

   無駄に成るだけです。(肉が厚くならない為)

  ) 或る程度厚い場合には、容易に径は細く成ります。同時に肉厚も増します。

  ) 肉厚の部分を、内、外から締め、肉を薄くします。薄くなると土は、上に伸びます。

  ) この作業を繰り替えし、徐々に径を細めます。

  ) 一度に径を、細くし様とすると、肉がどんどん厚くなり、「ギャザー」の様な、撚れが出ます。

     撚れを無くすのも、中々面倒な作業に成りますので、撚れが出る前に、肉を薄くします。

    尚、首の長い作品などは、「柄コテ」を使います。水に濡らした「柄コテ」を、鷲掴みし、

    垂直に立てて、内側に差込ます。肘は体に固定し、「柄コテ」の峰を内側の土に当てます。

    「柄コテ」は固定し(上に移動しない)、外側の指を、下から上に移動させます。

 ⑤ その他: 今まで細くする方法は、土を抱え込んでいました。

   通常通り、外側の手に力を入れ、下から上に、移動すれば、径を細くする事が、出来ます。

   但し、この方法では、やや薄くなった肉厚の土を、細くするのに、苦労します。

   又、少し径を細くする場合には、有効ですが、径を大きく変化させるには、時間が掛かります。

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