わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

ロクロ挽きの要点 (3)

2008-11-28 22:38:59 | 電動ロクロの技法
「ロクロ作業のまとめ」

前回の続き、土を高く挽き上げる方法や、薄くする方法を述べたいと思います。

 6) 土を薄く高く延ばす。

   ロクロは、径を大きくする、小さくする、そして背を高くするの、三点のみしか出来ません。

   この三つの操作で作品を作り上げる事が出来ます。

   径の大小は、土を外に押し出したり、外から内側に力を加える事により出来ます。

 ① 土を高く挽き上げる。

   土が重力に逆らい上に延びるのは、土を内外から締め上げる事による以外に、

   ロクロの遠心力を、使っているからです。

  a) 回転の遠心力により、中心より外側へと、力が働きます。

  b) その力を、器の外側の手で受け止め、径が拡がらない様にします。

  c) すると力は行き場が無く、上向きに変化します。

     その力を利用して、土を上に延ばす事が出来ます。

  d) 遠心力は、回転が速い程大きくなります。

     又、器の外側の手が、その力に負けない、もしくは、それ以上の力で、押し返せば、

     上に向かう力は、強くなります。

     ・ 具体的には、回転をやや速めにし、器の径が細くなる位、力を加えます。

     ・ 鼓(つづみ)の形の様に、土を挽き上げます。

     ・ 当然外側の手(肘)は、「しっかり」 と固定する必要が有ります。

     内側の手も力を入れるのは、勿論の事です。

  e)  初心者の方は、回転速度と、外からの力が不足しています。

    その為、土が中々延びず、肉の厚い作品になってしまいます。

    確かに、スピードを上げたり、強い力を加える事は、作品が歪んだり、振れたりし易いので、

    中々実行できませんが、失敗を覚悟で実行すれば、土が上に延びる感覚を実感できます。

    この土が延びる感触(感覚)は、大切な事です。

    この感覚を身に着ければ、どの位の力が必要か、解かると思います。

 7) 土を薄くする。

   横(水平)方向に土を薄くする事は、割合容易ですが、縦方向に薄くする事は、

   容易ではありません。
  
  a) 初心者は、下(底近辺)の肉が厚く、上(口周辺)の肉が薄過ぎる傾向が、有ります。

    理想的には、下がやや厚く、それから上は、一定の肉厚にします。

  b) 土を挽き上げる際、左右の指で土を挟み込み、厚みを感じながら、作業して下さい。

    慣れない方は、挽き上げる事で、精一杯で中々、厚みなどは測れないのが実情ですが・・・

  c) 土を挽き上げる際、下から一気に上まで挽き上げ無いで下さい。

    二分割、三分割にして挽き上げる事を、勧めます。

   ① 先ず、土の上から1/2又は1/3の部分を、挽き上げ薄くします。

     次に、残りの1/2、又は中間の1/3の土を挽き上げ薄くします。

     (最後に残り1/3を薄くします)

   ② この方法の利点は、挽き上げる際に、指に掛かる抵抗が少なく、土が歪んだり、

     ネジ切れたり、振らつき、などが少なくなる事です。

     又上部が早く延びる為、全体の重心が高くなります。

     回転している物は、速度が速く、重心が高い物程、安定して回転し続けます。

 8) 土の硬さ、作業のスピードアップ化について。

   土を薄く、高く挽き上げるには、上記の技術的の他に、幾つかの要素が有ります。

   ① 土の硬さ: 硬めの土を使うと、土を高く挽き上げる事が出来ます。

     一見軟らかい土の方が、早く高く挽き上げる事が出来そうですが、実際は逆です。

     確かに早く延びるのですが、直ぐに沈んで背が低くなって仕舞います。

     これは、硬い土なら支えられる物が、軟らかいと、上の土を支えきれない為です。

     但し、硬すぎる土は、土殺しなどで、初心者は苦労するかも知れません。

  ② ロクロ作業のスピードアップ化も重要な事です。

    時間を掛け過ぎると、土は段々水を吸い、軟らかくなってきます。

    その結果、①と同じ結果になってしまいます。

    ・ ロクロ作業は、スピーディに終わらせる事も、大切な要素です。


以上で 「ロクロ作業のまとめ」 を終わらせて頂ます。


    

   

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ロクロ挽きの要点 (2)

2008-11-27 22:33:43 | 電動ロクロの技法
「ロクロ作業のまとめ」 

 前回の続きを述べます。

4)  ロクロ作業の留意点。

 ① 回転スピードについて。

   回転速度は、人によって好みが有ります。ご自分に合った速度を見つけて下さい。

   又、手の方に関心が集まり、足の方が、おろそかに、なり勝ちです。

   状況に応じて、速度を変える事が出来れば、ロクロの上達も速くなります。

  ここでは一般的な事を述べます。

  a)  ロクロ作業で、速度が速い方が良い場合。

    土殺しの時。直径が小さい場合の形作り、及び削り作業の時。土を上に上げる荒延ばしの時。

  b) 速度が遅い方が良い場合。

    直径が大きい場合の形作り、及び削り作業の時。 土が振れている時の修正時。

    皿などで、腰が落ちて来た(座る)場合。 土延ばしの最上段付近、などです。

 ② 手を固定する。

  a) ロクロ挽きが上手になるには、器の外側の手が、「しっかり」 固定される(位置を保持出来る)

    事が何よりも重要です。

  b) 特に肘が体の一部(太もも)に固着させます。

    背の高い作品でも、肘を固定し、上下に回転する様に使います。

  c) 左右の手が繋がる土の高さならば、必ず繋げて下さい。(指を組む事)

    (高く成り、手が繋がらない場合でも、口縁周辺では、繋がるはずです)

 ③ 手は原則、下から上に移動させます。

   土を延ばす時や、形を作る際は、原則、下から上に手を上げて行き、口縁で手を離します。

   最上段まで行かずに、手を離した場合、振ら付きの原因になります。

   尚、これは原則です、慣れた方は、上から下に手を移動させ、肉厚を調整する事もします。

 ④ 土から手を離すときは、「ゆっくり」と離す。

   土から急に手を離すと、作品が振れ ます。一息入れてから、手を離すように、習慣付けます。

5) 作品を作る。

  簡単な(容易な)作品から、順番に難しい作品を作っていきます。

  希望するからと言って、最初から難しい作品に、挑戦せず、一歩一歩積み上げる事が

  ロクロ上達の早道です。

 ① 一番最初に作る作品は、普通「湯呑み」です。

   「湯呑み」は、小さな物ですが、ロクロ作品の基本形で、色々な技法が含まれています。

   「湯呑み」にも、色々な形が有りますので、何度も試す事をお勧めします。

 ② ロクロは回転している為、常に遠心力が働いています。

   それ故、少しの力で、作品は外に開く(径が大きくなる)事が出来ます。

   小(中)鉢物などは、割合容易に作れる作品です。

 ③ 次に遠心力に逆らう作品を作ります。

   即ち 径が細くなった部分を持つ作品(一輪差や徳利など)です。

 ④ 最後に、背の高い作品を作ります。


 次回に、土を高くする方法や、薄くする方法を述べたいと思います。
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ロクロ挽きの要点 ( 1)

2008-11-26 22:45:50 | 電動ロクロの技法
「ロクロ作業のまとめ」

今まで色々述べて来ましたが、ロクロ挽きの要点を「まとめ」て見たいと思います。

 (以前と重複して説明している部分も、多々有りますが、悪しからず御覧下さい。)


 1) 姿勢に付いて

  ① 以前は、ロクロの前で、胡坐をかいて作業しましたが、現在の電動ロクロでは、

    椅子に腰掛けて、足でペダルを操作し、回転をコントロールするスタイルが、大勢です。

  ② 以前程では有りませんが、ロクロ作業は、腰を痛め易い姿勢ですので、注意が必要です。

     同じ姿勢で、長い時間作業し無い事です。

  ③ ロクロは、手先だけで挽くのでは無く、体全体で挽きます。

    即ち、土が上に延びるに従い、背筋を伸ばして、体を起こし、目と土の間隔を、一定にします。

  ④ 体は、出来るだけロクロに近付ける位置に、椅子を置いて下さい。

    体が前屈みになら無い様にします。

 2) ロクロは目的意識を持って作業する事。

  ① 誰でも、早くロクロを自由に操り、自分の作品を作りたい物です。

  ② 繰り返し、練習する事も大事ですが、常に自分が何をしたいのか、目的意識を持つ事も

    大切です。

  ③ 目的意識とは、難しく考えずに、単に形、大きさ(寸法)、作陶時の細工、釉薬などを、

    予め考えてから、作業に掛かる事です。

    予定と違った物になってしまっても、貴方任せ(ロクロ任せ)に成らない様に、したい物です。

 3) 菊練り、土殺しは丁寧に(確実に)実行する。

   ① 土の種類を選ぶ

     ロクロの挽き易い土と、挽き難い土が有ります。

     最終的には、どんな土でもロクロが上手に、挽ける様にしたいですが、

     初心者は、出来るだけ土が伸び、ロクロ挽きし易い土を、選んで下さい。

    尚 ロクロ挽き難い土とは、荒目の土(ハゼ石が入った土)、粒子が細かい土

     (手触りが滑らかな土)、その他、鍋土などです。

   ② 菊練で空気を完全に抜かないと、土がスムーズに延びません。

     又、土の固さが一定していないと、ロクロ挽きは出来ません。(再生土を使う時に注意)

   ③ 土殺しは、ロクロ挽き前の、重要な作業です。

     これが不十分ですと、作品が振ら付いたり、撚れが出たり、偏肉に成り易いです。

     熟れた人は、土殺しも素早く出来ますが、初心者は丁寧に作業して下さい。


続きは次回に述べます。

  
  
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教程13-3 (二重の器)

2008-11-25 23:09:57 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
ロクロでの、特殊な作り方の最終回になります。

 花器や、壷などで、外側が透かし彫りになり、内側にもう一つの壁が有る器を見たことが

 有ると思います。

 その作り方を述べたいと思います。

 イ) 先ずデザインを決めます。

  ① 形、及びどの範囲を二重にするかも決める。

  ② 寸法、高さ,直径 (内側と外側の器の寸法)を決める。

  ③ 透かし彫りの模様を決める。

 ロ) 内側の器を作る。

   これは何時もの様に、作品を作り、ロクロより切り離します。

   持って、変形しない程度に、乾燥させます。

  但し、底の周辺は、土が厚くなっていますので、なるべく竹へらなどで、削り取ります。

   (土が軟らかい内に、削りますから、やや、やり難いです)

 ハ) 外側の器を作る。

   ① 底を抜いた形にします。

     底の大きさは、内側の器の底の径より、やや小さめにします。

   ② 土を上に延ばし、形を作る。

     内側の器が十分入る、口の広さにします。

     二重にする部分より高くし、延ばします。

     外側と内側の壁の隙間も顧慮して形作ります。

  ニ) 外側の器の中に、内側の器を入れる。

   ① 内側の器が、外側の器の中心に載る様にセットします。

     即ち、隙間が一定になる様にします。

     ロクロをゆっくり回転させながら、隙間に指を入れて、調整します。

   ② 外側と内側は、底と外側の口の二箇所で繋がる事になります。

     底は、内側の器を中に置いた状態で、自重によって、接着します。

 ホ) 口(上部)を繋げる。

   ロクロを回転させながら、徐々に隙間を無くし、繋げます。

   内外の器の繋げる部分の乾燥度は、なるべく同程度にします。

   繋げる方法は三通り有ります。

   ① 外側の器の口の土を、内側に細めて(絞る)、繋げる。

     内側の器の形を変えたく無い場合や、内側の器の方が、背が高い場合などです。

     壷などもこの方法を取ります。

   ② 内側の器の口の土を、外側に開いて繋げる。

     花瓶の様に、口縁が開いた形の場合に使えます。

   ③ 内外両方の土を、均等に近付けて、繋げます。

 ヘ) 底、高台脇を削る。

    形が出来たら、乾燥後、底などを削ります。

 ト) 透かし彫りを施す。

   ① 予め決めておいた模様を、針などで器に輪郭を描きます。

   ② 模様を透かし彫りにします。 注意点は、

    a) 内側の器に傷を付けない事。針などの工具で掘る場合、奥まで深く差し込まない事。

    b ) 抜いた「かす」を内側に落さない事。

      若干外開きに切り取り、内側に落ちない様にし、大まかに抜き終わったら、仕上げをします。

      この程度の「かす」なら、内側に落ちても、外に出す事が出来ます。

    c) 穴と穴の間隔を、狭めない事。

      最低5mm以上あけて、穴が繋がら無いで下さい。

    e ) 複雑で繊細な模様にすると、作業する時、持つ場所に苦労する場合があります。


以上で素焼前の作業は、終わりになりますが、施釉の際、内外の器の色を変えたい時、

何らかの工夫が必要になります。
     
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教程13-2 (環作り)

2008-11-20 22:43:30 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今回は、ロクロによる、特殊な作り方の2回目、環作り(又は管作り)に付いて述べます。

太い環を作るのは、それなりの技術が必要ですので、最初は断面の直径が、5cm程度の

太さの環を作ります。

 完全な環はそのままでは、使えませんから、どこかに穴を開けて使う事に成ります。

 又、環を寝かせたり、立てたりして使い、更に環の一部を切り開き、「Uの字」型にして使う

 事も出来、更に環を幾つかに分割して、組み合わせて使う事も可能です。

 ・ 要は、どのように使うかは、ご自分で考えて、趣のある作品を作って下さい。


では本題に入ります。

 1) 菊練した土を、ドーナツ状に作ります。

  ① 径は、自由に決めてください。

  ② 紐状にした土の両端を合わせて、ドーナツを作る場合、注意する事は、合わせ目に空気が

    入らない様にする事です。

    出来れば、一塊の土の真ん中に穴を開け、ドーナツを作る事を勧めます。

  ③ 太さを揃えた方が、後の作業が楽に成ります。

 2) ロクロ上に、このドーナツを載せ、綺麗な円を出します。

  ① ドーナツを上から軽く叩き、ロクロに密着させます。

  ② 手又は濡れた布切れで、内外上の3方向を押さえ込み。太さを揃え、綺麗な円を出します。

 3) ドーナツの太さの中央を、指で溝を掘ります。

  ① 内外の土の割合は、内側をやや多目に取る様にします。

    (遠心力が働き、環に接合する時に、内側の土を高くした方が、作業し易いです。)

  ② 底の厚みは5mm程度にし、 底の形は、「Uの字」型にします。

  ③ 溝の径は、指1、2本が入る程度にし、余り拡げ無い様にします。

 4) 内側及び外側の土を、上に延ばします。

  ① 先に内側の土を延ばします。内側から作業した方が楽です。

  ② 次に外側の土を延ばします。

 5) 形を作る

  ① 内側の土を中央(内側)に拡げ、半丸の形にします。

  ② 次に外側の土を、内側の半丸に向かう合う様に、丸く拡げます。

 6) 円を閉じる

  ① 内側の土が若干多くなっていますので、合わせ目は、やや外側に成ります。

  ② 口の周辺の内、外から、合わせる様に、土を寄せます。

    ・ 土の量にある程度余裕がないと、上手くあわせることは出来ません。

    ・ 内、外の口の高さが、凸凹していると、一箇所は接合出来ますが、全てを均等に

      接合する事は、難しいですので、高さを綺麗に切り揃えます。

  ③ 接合は、一箇所から始まり、ロクロを回転させて行くに従い、少しずつその割合が、

    増えて行き、最後に完全に閉じる事が出来ます。

    (完全に閉じる前に、環の中の水は、拭き取って下さい)

  ④ 空気を完全に閉じ込めると、形を変える事が容易に出来ます。

    ・ 環の断面が、やや高めの楕円、扁平な楕円、場合によっては、おにぎり型、三角形や

      四角形など好みの形に出来ます。

  ⑤ やや乾燥後、糸でロクロより切り離します。

    ・ 径が大きいとき糸が浮き、底に穴が開く場合があります。

      そんな時は、木綿針で環の一部の底に、糸を通し円周に沿って、切り離せば、安全です。

    ・ 適当な時に、針で空気穴を開けます。

 7) 乾燥後、環を伏せて、底の脇を削ります。

    後は、好みの形に、細工して下さい。

  

      

    
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教程13-1 (風船作り)

2008-11-19 22:40:01 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今までは、ロクロの基本的な作り方を、作品を通して述べて参りました。

一通りの技法を取り上げましたので、大抵の作品は作る事が出来ます。

 但し、教程全部を一回終わっても、実際は、ロクロをマスターした事には成りません。

 「ロクロ6年」とか10年とか言う言葉があります。

 何回も練習する事によって初めて、技術が身に付きます。(練習あるのみです)

 是非、作品を最初から最後まで、自分で考え、一人で作れる様になって下さい。


では、本日の本題に入ります。

ロクロでは、特殊な作り方が、幾つか有ります。

 1) 風船作り (風船の様に、空気を閉じ込める方法)

 2) 環作り (ドーナツ状の環を作る方法)

 3) 器の壁を二重に作る方法 

   などが有ります。

 では1)から述べたいと思います。

 1) 風船作り

   完全に閉じた空間を作る技法です。

   直径が大きな物程、難しく成りますので、最初は径の小さい物から、挑戦して下さい。

   使い方としては、蓋物作り等に向いています。

   蓋と本体が一体に出来、別々に作るより、一体感が出ます。

   その他、この技法を駆使して、新しい、違った形の作品を作って下さい。

  ① 菊練をした土を、ロクロに据え、いつもの様に土殺し、中央に穴を掘り、底を作ります。

  ② 土を筒状に延ばします。

  ③ 胴を膨らませ、好みの形にします。膨らみより上の土は、多めに残して下さい。

  ④ 口に向かって、筒の径を徐々に狭めます。

   a) 筒の底の水は、「柄の付いたスッポンジ」で拭き取ります。

   b) 最初は、両手で抱え込む様に、次に左右の手の親、中、人差し指の6本

     で挟み込み、最後に両手の親、人差し指の4本で径を細くします。

     径を細くすると、肉厚に成りますので、締めたら土を薄く延ばす作業を、繰り返します。

  ⑤ 口を完全に閉じる。

   a) 口の最上部の土を残す様にし、首を絞めて完全に閉じ、上に残った土を、ねじ切る。

     口の最上部で閉じるのは、口が落ち込んだり、撚れ、捻りが発生し、かなり難しいです。

     口に若干の土を残すが、「コツ」です。

   b)  ねじ切ると、先端が細く「とんがり」ますので、掌で軽く撫ぜ、丸い山形にします。

  ⑥ 形を作る

   a)  空気が閉じ込められている限り、外からの力の加え方る事によって、

      形を自由に変える事が出来ます。

   b) 上から力を加えると、背が低くなり、径が大きく成ります。

     横から力を加えると、径は細くなり、背が高くなります。

     即ち、内部の空気の量は、変化しません。

     その為、押された空気は、弱い所に逃げ、形が変わります。

    ・ 注意点は、当然肉に薄い部分(上部が多い)は、簡単に変形しますが、

      肉の厚い下部は、変形しづらいです。

    ・ その為、下の方の土は、竹ベラなどで、剥ぎ取り、なるべく肉を薄くしてから、

      変形させると、やり易いです。(土が軟らかいですから注意)

  ⑦ 空気抜きの穴を開ける。

    ロクロより糸で切り離し、取り板に取ってから、針で穴を開けます。

    又は、若干乾燥させてから、穴を開けます。

   ・ 注意、穴を開けないと、弱い所に「ひび」が入ったり、最悪破裂します。

     針で穴を開ける位置は、後から細工で、大きな穴を開ける所や、

     二つに切り離す位置にし、針穴の痕が無くなる様に、します。

  ⑧ 後は、作品を自由に細工し、好みの作品に仕上げます。
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教程12-2 (壷)

2008-11-18 21:40:22 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回の続きを述べます。

 前回は、上下二個を別々に作りました。今回は、これを繋げて作品に仕上げます。

 c) 下の部分に、上の部分を載せ、繋ぎ合わせる。

  ① 亀板上に作った壷の下の部分を、亀板から離さずに、そのままロクロにセットします。

    この段階までに、繋ぎ合わせる以外の場所は、ある程度乾燥させ、上に土を載せても、

    形が崩れない硬さにします。

  ② 壷の上になる部分を、亀板から切り離します。

    上の部分は、繋ぎ合わせた後、もう一度形を整えますにで、あまり乾燥させないで下さい。

   ・ 上向きに作った場合には、作品を亀板から糸で切り離し、取上げる際、形が崩れ易いです。

    こんな時は、作品の上に他の板を載せ、亀板とサンドイッチにし、逆さにひっくり返します。

     更に作品の一部を片手で押さえ、他の手で亀板を剥がして下さい。

   ③ 下の部分に、上の部分を載せます。

    ・ 上に載せた時、上の形が少々崩れるかも知れませんが、心配要りません。

    ・ 張り合わせ部分は、普通はそのまま載せますが、やや乾燥している場合には、水やドベを

     塗ります。

    ・ 両方の径を合わせ、内外の合わせ目を指で、上から下へ、下から上へと撫ぜ、

      繋ぎ目が見えない様にします。

   ④ ロクロをゆっくり回転させ、濡らした布切れを両手に持ち、合わせ目の内外を上から下へ

     力を入れず撫ぜ降ろし、撫ぜ上げを行います。

   ⑤ 更に、両手を向かい合わせ力を入れ、合わせ目の凸凹をなくします。

   ⑥ 合わせ目が綺麗に成ったら、手を口まで移動させ、上の部分の狂いや、振れを直します。

   ⑦ 再度全体の形を作ります。

    1) 手が入らない場合、柄コテ(棒状のコテ)を使います。

      コテを片手で鷲掴みにし、口から入れ内側の壁に当てます。

      反対の手は、コテと同じ位置の外側に当て、径を拡げたり、狭めたりします。

    2) コテを持つ手の肘は、体に固定して、すくい上げ又は、押し出す様に力を入れます。

    3) 柄コテに濡れた布を巻きつけ、水切れを防ぐ方法も有ります。

   ⑧ 形が出来上がったら、亀板から切離し、乾燥後底削りを行います。

 d) 大きな壷を作る場合

   より大きな壷を作る時は、大量の土を、三分割、四分割に分け下、中、上の部分を作り、

   下が乾燥したら、上に積むと言う方法で、大きな作品を作る事が出来ます。

   当然、大きな作品は、それなりの肉厚が必要です。

   又、作品に色々細工したい場合にも、肉の厚い方が作業し易いです。

  ・ 壷に細工し、文様を付けたり、削ったり、変形させ(偏壷)させたり、色々出来ますが、

    それについては、後日述べる機会があると思います。


以上で壷の教程を終わります。
     
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教程12-1 (壷)

2008-11-17 22:51:12 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今回の教程では、壷を作ります。

 壷と花瓶の違いは、花瓶が花を生けると言う、目的が有ります。即ち花に対して脇役です。

 壷は昔は物を入れる、貯蔵する役目が有りましたが、現在では、置物や飾り(美術品)として、

 壷自身、独立した存在として、生活の場に置かれる事が多くなりました。

 又、壷の形は、胴の部分が膨らみ(張り)、一度径を手の入らない程細くします。

  口が狭い形の物と、首を作り、その上の口の径をやや大きくした物があります。

・ 今回は、初めてですので、1kgの土で、壷1個を作りますが、この程度の土では、

  小さな壷しか出来ません。

 小さな壷で、練習したら、ある程度見栄えのする壷にする為に、少なくとも1.5kg、

 出来れば2kg以上で作る事をお勧めします。

では本題に入ります。

 前回の教程で、限られた土の量で、大きな作品を作るには、上下二個に分る方法の一つを

 説明しましたが、今回は別の方法で作ります。

 イ) 壷を作る (土の量1kg使用)

  ① 菊練した土を、最初から2つに分けます。

    上に載せる土の量は、300g~350gにします。残りは下の部分を作ります。

  ② 先ず下の部分から作ります。

   a) 亀板を使う。下の部分に上の部分を載せる際、下の部分がロクロの中心に載っていると、

     上部を上手に繋げる事が出来ます。

     ロクロが2台あれば良いのですが、無い場合は、下部を亀板上で作り、作陶後亀板ごと、

     ロクロより取り外し、ロクロを空けます。

   b)  土を亀板上に据え、いつもの様に土殺し後、土を出来るだけ筒状に、高く挽き上げます。

   c)  更に、胴を膨らませ、その上をやや狭めた形に成型します。

     ・ 注意 胴の一番膨らむ(張った)位置で、上下を繋げる様にすると、繋げた部分の土が、

      上の土の重さを支えきれず、外に張り出し易く、形も崩れ易くなります。

   d) 口の肉厚をやや厚くし、糊しろ部分を多く取ります。

     口径を測り、亀板をロクロから取り除きます。

     口が乾かない様に、濡れた布切れを掛け、その他は乾燥させます。

     ・ 亀板から作品を、切り離さない事。

  ③ 上の部分を作る。作り方は二通り有ります。

     口を上向きに作る方法と、口を下向き(逆さま)に作る方法です。

   a) 口を上向きに作る。

     利点は、底の部分が肉厚になり、糊しろ部分が十分出来る事と、載せた時の形のイメージが、

     つかみ易い事です。

     欠点は、底の径を同じ寸法に、しずらい事です。

    ・ 繋ぎ合わせる寸法と同じ、又はやや大きめの底を作ります。
    
    ・ 底を完全に抜いてから、筒状に土を延ばし、形を作ります。

      形は上に行く程湾曲させ、径を徐々に細くしていきます。

      繋ぎ合わせた後に、再度形作りを行いますので、大よその形に留めます。

      口は手が入る様な大きさにします。(繋ぎ合わせる時、必要です)

    ・ ある程度(手がべた付か無い)乾燥したら、糸で亀板から切り離します。

  b) 口を下向きに作る。

    利点は、繋ぎ合わせの寸法に作り易い事です。

    ・ 土殺しをした土の中心を掘り込み、底を抜きます。

      底の大きさは、反対側から手が入る大きさにします。

    ・ 土を薄く延ばしてから、お椀型に形作ります。

    ・ 口の大きさは、下部の作品の径と合わせ、指で押さえて、肉厚にします。

    ・ 口(繋ぎ合わせ部)が乾燥させない様にし、他の部分を少し乾燥させ、切り離します。
      
   c) 下の部分に、上の部分を載せ、繋ぎ合わせる。

以下次回に続きます。
   
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教程11-2 (徳久利又は花瓶)

2008-11-15 22:37:24 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回の続きを述べます。  

ロ) 花瓶を作る。(1kgの土で、作ります。)

   ・ 同じ土の量で、より大きな作品を作る為には、上下2段に分けて作り、ロクロ上で、

     繋げて作ります。

   ・ ロクロでは、高くするのに使う土の量は、幾何級数的に増やさなければなりません。

     即ち土の量が2倍に成ったからと言って、同じ太さの筒の高さが2倍には成りません。

       例として、0.5kgで14cm前後  (ロクロの熟練度によって異なる、以下同じ)

       1kgでは、22cm前後、 2kgでは、30cm前後 となります。

      上の土を支える為に、肉厚な土が必要になるからです。

    ・ それ故 土を少量に分け、各々薄く延ばし、下部の土が乾燥した後、繋ぎ合わせて、

      同じ土の量で、より高い(大きい)作品を作る事が、出来ます。
     
  ではその方法を説明します。  やり方は、二通りあります。

① 1kgの土を、土取りする方法。

   a) 土殺しをした土の、上部約1/3を使い、内側に手が入る太さの筒を、底を抜き、

     出来るだけ、高く挽き上げます。出来た筒は、糸で切り離します。

    ・ 土が濡れているので、取上げ難いです、又円が変形して仕舞いますが、心配要りません。

   b) 残った土(約2/3)で、作品の下部を作ります。

    ・ 出来るだけ薄く、高く筒上に延ばし、形を作ります。

    ・ 口の大きさ(径)を、a)で作った筒の下部の径と、同じにします。

    ・ 下部の大きさは、形によって違いますが、全体の1/2~2/3程度ですので、

      どの高さまで作っているのかを、イメージして下さい。

   c) 下部の作品の口は、乾かない様に、濡れた布を掛けて置き、他の部分を乾燥させます。

    ・ 口が乾燥し過ぎると、上に載せた土と、上手く接着で来ません。

    ・ 又、全体を乾燥し過ぎると、上に載せた後、成型(変形)出来なく成ります。

      ある程度、形が直せる程度の乾燥にします。

   d) 下部の作品の上に、上部の筒状の土を載せます。

    ・ 繋ぎ目は、指で撫ぜ(上からした、下から上へ交互に行う)て消します。

    ・ 上に載る筒の下側の径は、下側の口の内径より、細くなっているはずです。

       この土を、下に滑り降ろし、なるべく内径を揃えます。

   e) 上下を繋げます。

    ・ 小さい布2枚を用意し、各々片手に持ちます。(水切れを防ぐ為)

    ・ ロクロを「ゆっくり」回転し、繋ぎ目の内外側の1cm上から、1cm下まで、

      濡らした布で撫ぜ、「ドベ」を出します。(3回程度)
     
    ・ 回転をやや速くし、更に内外側の手に布を持ったまま、やや力を入れ、撫ぜ降ろし、

      撫ぜ上げを行い、繋ぎ目を無くします。(数回行う)

   f) 最後に全体の形を作ります。

    ・ 上の筒が、変形していたり、傾いているか知れません。

      数度、手を下から上に移動して、綺麗な円にしてから、形を作ります。

    ・ 繋ぎ目の径を拡げても、問題有りません。

    ・ 特に上部の土は、軟らかいので、容易に形を作る事が出来ます。

   尚 花瓶の形を考える時、注意する事は、花の量の問題です。

    ・ 多くの花を生ける場合には、口(又は首)の径を大きくします。

     広い口や首に、少ない花では、花が引き立ちません。

    ・ 少ない花を生けるには、径を小さくします。

 ② 土を最初から分ける方法

   この方法は、次回の教程12(壷)で述べます。

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教程11-1 (徳久利又は花瓶)

2008-11-14 22:51:20 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
徳久利の、大きい物は、1~2升(1.8~3.6ℓ)入る物から、1合(180mmℓ)以下しか入らない、

お預け徳久利まで、色々有ります。

 大きい物は、昔から有る物で、酒の保管用又は、買出し用の徳久利です。

 (今では、置物用、飾り用、花瓶などに使っています。)

 現在は、お燗用の1~2合の物が一般的です。

 イ) 徳久利を作る。

   先ず、酒の入る量を決めてから、形、大きさをデザインします。

   ・ 一見「いっぱい」入りそうで、実は、大して入らない形も有ります。

     例 上げ底の物、胴が凹んでいる物等です。

   ・ 陶器は、本焼きまでに、作った寸法が、縦、横、高さが12~14%程度縮みます。

     体積にして70%以下になってしまいます。

     それ故、初心者が、正確に1合の徳久利を作る事は、難しい事です。

     大よその大きさで作り、本焼き後、実際に入る量を測り、次回の参考にします。

  ① 形は、縦長型、だるま型、樽型、下膨れ型、瓢箪型、鶴首型などが、有ります。

     自分の好みの形にします。

  ② 作り方は、一輪差と同じ様に作ります。

    1ヶ箇所に注ぎ口を設ける場合と、特に設けない場合があります。

    ・ 1ヶ箇所に付けると、それは完全な徳久利となり、他に転用出来なくなります。

      設けない場合には、一輪差として、使用しても違和感は有りません。

  ③ 注ぎ口の作り方

    徳久利の注ぎ口は、細くなった首の部分より上の径を、大きくします。
    
    ・ 注意する所は、1升壜やパック詰めの容器から、徳久利に酒を移し換える時

      首が細く、注ぎ口の容積(高さ、径、その他の形状)が少ないと、急に口から

      溢れて、外にこぼれる危険性があります。

      それ故、酒の水位がゆっくり上がる、又は、水位が確認出来る用に、作ります。

    ・ 最上部が、ロクロ挽き出来たら、土が軟らかい内に、縁を外に引っ張り出します。

    ・ やり方は、親指と人指し指で、「Vの字]を作り、掌が自分の方に向く様にし、

      縁よりやや低目の位置に当てます。

      更に反対側の手の、人指し指を、縁の内側に当て、上記「V」の中間から外に、

      引き出します。やや下に回転気味に、指を使います。
     
      その際、縁のやや下の方から、引き出す様にします。縁だけを急に引き出すと、

      縁に「ひび」や「割れ」が発生します。その時は、その部分を撫ぜて直します。

      前から見て、左右対称になる様に、微調整します。

   尚 指の替わりに、丸い棒状の物(太さは色々)を使う場合も有ります。

 ロ) 花瓶を作る。

    1kgの土で、花瓶一個を作ります。

    1kgの土を、手の入る程度の筒に引き上げた場合、熟練した人でも、22cm程度の

    高さにしかなりません。すつと、花瓶にする為に、膨らませたりすると、最大でも18cm程度

    の花瓶になります。これを本焼きすると、出来上がり寸法で、16cm程度になってしまいます。

   ・ 同じ土の量で、より大きな作品を作る為には、上下2段に分けて作り、ロクロ上で、繋げて作り

      ます。


次回その方法について述べたいと思います。




      


    

   


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