わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く14 施工6

2016-10-01 15:48:30 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業 

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。  

 ③ 扉を作る。(ここでは薪を利用する窯は除きます。)

  ⅰ) 扉を別の場所で作り、後で取り付ける方法が一般的です。(以上が前回までの話です。)

  ⅱ)扉を取り付ける。

   別工程で制作した扉の場合には、窯に取り付ける作業が必要になります。窯本体の中で唯一の

   可動部分となりますので、安定的に使用できる事が大切です。

   a) 軽量耐火レンガであっても、扉の重量はかなり重くなります。一人で作業できない事も

    有るかも知れません。但し 扉を所定の高さに保持できる台を設ければ、一人でも作業が

    可能です。

   b) 予め蝶番(ちょうつがい)の一方を、扉を支える柱に上下二段に取り付けておきます。

    蝶番は窯の重量を支えると共に、スムーズに可動する事が大切ですので、丈夫な構造の物で

    なければ成りません。潤滑油(又はグリス)を差して置くと、より滑らかな動きになります

   c) 扉側のネジ穴に蝶番の穴を合わせ、ネジ止めします。

    取り付けは、扉が水平に移動しなければなりません。左右捩れた状態で取り付けると、扉は

    スムーズに動きません。

   d) 扉をスムーズに開閉する為には、窯と各部署の隙間が一定になる様にします。

    即ち、上下左右の隙間がある範囲内に収まる必要があります。隙間が狭い場合には、扉の

    開閉を繰り返すに従い、窯のレンガと接触し磨れる様になり勝ちです。逆に隙間が多き

    過ぎると、クッション材(綿状のファイバー)を多く使う事になり、熱も逃げ易くなります

   e) クッション材を扉の周囲に張り巡らす。

    クッション材の耐熱は1300℃程度です。板状の物とロープ状の物があります。ロープ状の物

    は窯の周囲に貼り付けるとドアパッキンとして、使い勝手が良い様です。専用の接着材で

    接着します。接着剤は焼成する事で接着効果が現れます。窯の中の熱が外に漏れ出さない様

    しっかり密閉する事が大切です。尚、ドアパッキン材はある程度消耗品で、ある年数が経つ

    とボロボロに劣化する場合もありますので、その際には補修が必要です。

   f) 蝶番と反対方向に、扉の開閉をロックする部材を取り付けます。

    ロック部材は蝶番と反対方向の支柱に、取り付ける事になります。上下二段に取り付ければ

    より確実ですが、扉の高さ方向の中央部分、一箇所でも対応可能です。ロック部材はネジ

    (やや太めのボルト)とナットの組み合わせが一般的です。市販の窯ではハンドルが直角に

     曲がるナット状の物が多いです。当方では見付ける事が出来ませんでしたが、この部品が

     手に入れば、使いたい部品です。

   g) 扉の横幅が広い場合、蝶番に大きな負担が掛ます。

    扉の端を斜め上方向(三角)に、鉄製の鎖(チェーン)などで持ち上げると、より負担が

    軽減されます。

   h)  扉を開いている時間が長い事もあります。

    特に作品の窯詰めの際や窯出しの際です。出来るだけ蝶番の負担を降らす為、扉を下から

    支える「突かい棒」等を設けるとより強固になります。

  ⅲ) 小さな窯であれば、扉も小型ですので、扉の土台(鉄板など)を取り付けてから、耐火

   レンガを積み上げる方法もあります。この場合はレンガを積み上げながら、現物合わせで

   窯本体に合わせる事が出来る利点があります。

  ⅳ)上蓋窯の場合、蓋は平面に成り、形も単純になりますので、製作はより簡単になります。

   但し、耐火レンガを吊り下げる構造になりますので、レンガを蓋の土台にしっかり留める事が

   大切です。

以下次回に続きます。
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窯を築く13 施工5

2016-09-15 15:32:11 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業 

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。  (以上が前回までの話です。)

 ③ 扉を作る。(ここでは薪を利用する窯は除きます。)

  窯の本体が出来上がったら、次に扉を作る事になります。扉には上扉型と横扉型があります。

  電気窯の場合は上扉型が多く、燃料を使う窯では、横扉型が多い様です。扉には、右開きと、

  左開きがあります。市販されている窯は、扉が右側に移動する方式が多い様です。但し自作の

  窯であれば、左右どちらでも良く、窯出し窯詰めの事を考え、作業し易い方向にする事ができ

  ます。上扉型では、背の高い窯では、底が深い為、窯詰めが困難になります。場合によっては、

  窯の前に踏み台を置いて窯詰め作業をする場合もあります。又後ろ側を支点として扉を開閉する

  方法が一般的で、窯詰めの際、扉が閉まらない様に「つっかい棒」で支える必要があります。

  当然扉の内側には、本体と同じ種類の耐火煉瓦を、貼らなければなりません。

  扉に付随した部品に、複数の蝶番(ちょうつがい)と、窯を閉じた際にはネジ止めになります

  ので、「ネジやナット」が必要になります。いずれもDITの様な工具を扱う店にあります。

  ナットでは丸いハンドルの付いた物を使うと便利です。

  ⅰ) 扉を別の場所で作り、後で取り付ける方法が一般的です。

   但し、寸法を確認しながら制作しないと、扉がぴったり嵌らなくなりますので、くれぐれも

   確認が必要です。但し適度の隙間が無ければ、扉はスムーズに嵌りません。

   隙間を塞ぐには、綿状の部材(クッション材)を使います。この件に関しては、後で述べます

   a) 扉は鉄板を土台にして、耐火煉瓦を取り付ける事になります。

    鉄板は一枚板で、ある程度の厚みがあり、四辺は内側に直角に立ち上げ強度を持たせます。

    更に、後で蝶番(二箇以上)を取れつける為のネジ穴を開けておきます。更に扉を閉めた

    状態で固定する為に、蝶番と反対側に鉄製の「コの字」の部材を取り付けます。上下に2個

    必要です。鉄板は耐火性のある塗料(市販されています)で、塗装を施しておきます。

    扉の重量も大きくなりますので、頑丈な鉄板を使う必要があります。ちなみに、当方では、

    廃棄したスチール製の物置の扉を利用しました。

   b) 耐火煉瓦は耐火モルタルだけでは、鉄板に取り付ける事では十分な強度が出ません。

    しっかり接着し取り付ける為には、長めのネジとナットで止めます。ネジとナットはステン

    レス製にし、ネジ径は3~4mm程度が最適です。耐火煉瓦にネジの径よりやや大きめの

    穴を開け、更にレンガの1/3程度の深さまでネジ頭が入る穴を開けます。一つのレンガに

    最低2本のネジを通します。当然、鉄板にもネジ径ほどの穴を明けます。

   c) ネジをレンガと鉄板に通し、ネジ頭はレンガ側にします。ネジ頭はレンガの中に埋没させ

    ネジ頭と反対方向にナットを掛け、レンガを鉄板に密着させます。工具として六角レンチと

    +(プラス)のドライバーが必要になります。

   d) 埋没したネジ頭には、耐火モルタルを詰め込み穴を塞ぎます。

    ネジが直接窯の熱に晒されると、酸化が進みネジがボロボロに成ってしまいますので、

    ネジ部は窯内部方向に露出させない事です。

   e) 窯の天井がアーチ状に成っていれば、扉の上部も同じカーブのアーチでなければなりま

    せん。上扉の場合には、構造もやや簡単な平たい扉になります。

    又扉のレンガの厚みも、窯の他の場所と同じにする必要があります。鉄板に取り付けた

    レンガの上に、更に耐火レンガを積み上げ、耐火モルタルで接着します。

   f) 扉は垂直に立てて使いますので、レンガの重量は一番下のレンガに掛ます。それ故一番

    下になる耐火レンガは特にしっかり(強固に)鉄板に取り付ける必要があります。

   g) 蒸気抜きの穴を扉の上部に開ける。又炎の色を見る穴も開けます。

    素焼きの際には、温度上昇と共に水蒸気が大量に発生します。水蒸気が窯の内部に溜まると

    天井部分に水滴と成って溜まり、やがて落下してきます。又本焼きの際にも、施釉時の水分

    が蒸発し天井に水滴と成って落ちてきます。この場合には、作品の釉の上に落ち、釉のムラ

    と成って現れます。それ故、蒸気を外に逃がす必要があります。一般的には窯焚きの当初は

    扉を少し開け、水蒸気を外に逃がします。扉の中央上部に蒸気抜きの穴を設ける事により、

    扉の開ける量を少なくする事ができます。当然、扉を大きく開ける程熱は外に逃げますので

    燃料が多くいる事になります。現在では炎の色を見て、窯の温度を見極める事は少なくなり

    熱電対温度形を使いますので、色味用の穴は必ずしも必要ではありませんが、ゼーゲル

    コーンを使う場合には、コーンの倒れを確認する穴は必要になります。

    穴を開けた部分には、不要な際に穴を閉じる為に、耐火レンガ製の棒状の部材が必要です。

  ⅱ)扉を取り付ける。

以下次回に続きます。
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窯を築く12 施工4

2016-09-09 19:31:10 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業 

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。  

 ⅰ) 窯の底から作りだします。

 ⅱ) 煙道を作る。電気窯の場合は必要ではありません。但し還元を掛ける場合には、必要です。

 ⅲ) 焚口(バーナー口)用の穴(孔)を開ける。

 ⅳ) 側面の壁を作る。

 ⅴ) 煙道部から煙突に繋がる部分を作る。(以上が前回までの話です。)

 ⅵ) 天井部を作る。 

  上扉型の電気窯の場合は、平面的な天井に成りますが、倒炎式の燃料を使う窯では、アーチ型の

  天井の形が一般的です。アーチ状にする事で、天井の重みを左右の壁で支える事になり、

  炎が天井まで達した後、下に向かうのに適した構造に成っているからです。

  a) 天井を築く際に、何らかの方法で、レンガを下から支える必要があります。支えはアーチ

   状に積み上げたレンガを支える構造で強度が必要ですが、完成時には取り除かなければなり

   ません。その為分解し易い構造にするか、試験焼きで消失する部材出なければなりません。

   但し、窯の中で天井の支えを燃焼させるとなると、匂いや煙などご近所の迷惑が掛ますので、

   なるべく撤去する事を薦めます。

  b) ブロック状の発砲スチロールを使うと、容易に天井の支えが作れます。

   細い電熱線があれば、電池等で発熱させスチロールを溶断する事も可能です。細い電熱線は、

   細かい曲線も容易に形作る事も可能です。天井完成後にも容易に取り除く事ができます。 

   但し、このスチロールを何らかの方法で下から支える必要があります。多くは数本の角材を

   使う事が多いです。

   又、薄手の塩ビシートを使うと綺麗な半円を作る事が出来ます。厚手の塩ビでは十分湾曲でき

   ないかもしれません。その場合には薄手の塩ビを重ねて使います。  

   長方形の塩ビの両端を、窯の底の内側の壁の角に当て、中央が盛り上がる様にします。

   更に窯の中央部分に下から、数本の「つっかい棒」で支えると、より機械的強度が増します。

   この方法であれば、塩ビ全体で上の重みに耐える事になります。又薄い塩ビであれば、カッター

   で容易に切り取り除く事もできます。

   尚、以前であれば「割り竹」や「短冊状の板」何枚も利用しましたが、現在では比較的容易に

   支える事ができます。但し、最後の要石(連結石)が載るまでは、天井が崩れない様に注意する

   必要があります。

  c) アーチの高さと、丸さ加減。

    窯の横幅に関係する寸法になります。横幅が小さい窯であれば、高さもあり、丸みのある天井

   になり(こんもり型)、幅が広くなるに従い、高さも相対的に低くなり、丸みも小さくなり

   ます。

  d) アーチに使う耐火煉瓦(横ゼリ型)もあります。

   JIS規格の耐火(軽量断熱)煉瓦には、並型と横ゼリ型があります。

   並型は長手方向の断面が長方形(高さ115、幅65cm)に成りますが、横ゼリ型では台形に

   なります。即ち、高さは115cmの弱い楔(くさび)型に成っています。楔の強さ(角度)に

   よって、Y0~Y3までの種類があります。台形の底面は65cmと共通ですが、上面が異なります

    Y0:61, Y1:59, Y2:50, Y3:32cmになります。(Y3が一番Rが小さくなります。)

   勿論、軽量耐熱煉瓦の並型であれば、金鋸で好きな形にカットする事も可能ですので、必ず

   しも横ゼリ型を購入する必要はありません。使用可能な横ゼリがあれば、積極的に使う事で

   レンガを加工する手間が省けます。

   尚、横ゼリ型の耐火煉瓦は「ピザ窯」用としても使用されています。耐火煉瓦が販売されて

   いる店か、ネット上でも購入する事ができます。

  e) 天井は両方の壁際から、中央に向かって積んでいきます。

   満遍なく天井全体に重量が掛かる様にし、一箇所に負担が掛からない様にします。

   アーチは左右対称形にし、中央部分が一番高くします。

  f) アーチを強くする為にアーチの裾野付近に粘土等を詰めて、重しとする場合もあります。

   重しの役目の他に、天井部分から熱が逃げ難くする働きもあります。

   アーチで気を付ける事は、裾野部分が外側に開き易くなる事です。それ故鉄骨や金属製の

   アーム(L字鋼)等で左右から締め付け、裾野が外に開かない様にしなければなりません。

 ③ 扉を作る。

以下次回に続きます。

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窯を築く11 施工3

2016-09-06 17:48:55 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業

 ① 窯の周囲を鉄骨で支える。 

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。  

 ⅰ) 窯の底から作りだします。

 ⅱ) 煙道を作る。電気窯の場合は必要ではありません。但し還元を掛ける場合には、必要です。

   (以上までが前回の話です。)

 ⅲ) 焚口(バーナー口)用の穴(孔)を開ける。

  バーナーヘッドの外径よりやや大き目の穴を、窯底に貫通させます。勿論ヘッドの数だけ開ける

  事になります。窯の側面の壁を積み上げてから穴を開けるとなると、狭い窯の中の作業と成ります

  ので、壁の無い状態の方が作業がし易いです。ヘッドの大きさはバーナーの種類によって異なり

  ますので、カタログか現物で確認して下さい。

  a) 軽量断熱煉瓦(レンガ)は金鋸などの刃物で加工が可能です。但し平面に5~10cmの丸い

   穴を開けるには、鉛筆やマジイクで必要な数だけ、丸い円を描いておきます。先ず電動ドリル

   等で金鋸の刃が貫通する程度の穴を開けてから、描いた円に沿って金鋸を移動させ、穴を開け

   ていきます。金鋸は刃のみを取り外して使います。金鋸以外でも、穴を開ける用具が有れば、

   それらを使う方が良い場合もあります。底の厚みが厚い場合には、意外と手間が掛ります。

   開けた円筒内の内側も綺麗に仕上げます。内側が荒れているとガスや空気の流れの妨げになり

   燃料や空気などの勢いが弱くなり易くなります。

  b) 穴は円筒形とし、場合によっては下部が広く上部が狭い台形状にしても良いです。

   これは、バーナーヘッド周辺から空気を吸い込み易くする為です。

  c) ガスバーナーを使う場合には、左右均等にバーナーの数だけ、数個の穴を開ける事になり

   ます。灯油窯の場合には、1~2個バーナーを使う事が多いですので、穴の個数も少なくなり

   ます。

  d) 穴の周辺には、炎の方向を目的の方向に導く為の、火盾を設けます。火盾は強い炎が直接

   作品に当たり、部分的に強く加熱し、作品に歪みを与えるのを防ぐ役もあります。火盾にも

   耐火煉瓦を使用します。又、火盾は窯の完成後に棚板の支柱などで取り付ける事も可能です。

   火盾の高さは炎の勢いにもよりますが 10~30cm程度必要になります。

 ⅳ) 側面の壁を作る。

   側面とは左右と前後です。但し前扉の窯であれば、扉にが収まる部分はレンガを積まず、

   空けておく必要があります。後の壁は下を通る煙道部分を除き積み上げます。

  a) 側面の壁の厚さは、底面と同じにします。即ち二重構造であれば、二重にします。

  b) 二重構造の場合、内と外側を交互に積み上げます。底の場合は一種類のレンガを全体に敷い

   てから、その上により耐火度の高い別の種類のレンガを重ね合わせましたが、壁の場合は、

   交互に積んだ方が、作業効率が良いです。積む際には、モルタル部分が内外一致しない様に、

   レンガをずらして積み上げ強度を持たせます。

 ⅴ) 煙道部から煙突に繋がる部分を作る。

   煙突周辺には、ダンパーと空気穴(馬鹿穴)の調整部分が必要になります。

  a)ダンパーは煙道の隙間を調節する装置で、窯焚き中は完全に遮断する事は少ないのですが、

   半分程度隙間を作るか、完全に開放する(100%通す)まで段階的に調節する事が出来る様に

   します。レンガを差し込む方法が一般的ですが、厚みの薄い板状の耐火物(棚板の破片等)を

   を使う事もあります。窯焚き終了後には、完全に塞ぐ事で窯の冷えを遅くする事もあります。

  b) 空気穴(馬鹿穴)は煙突の引きの強さを調節する物です。

   穴の面積を少なくすれば、引きは強くなり酸化焼成方向に導く事ができます。逆に穴の

   面積を広げると、外部から煙突に空気が入り込み、引きが弱くなりますので、還元方向に

   導く事になります。取り付ける位置は煙突の真下にします。穴の広さは最大でも煙突の穴の

   大きさまでです。

  c) 空気穴は、レンガ等を積み上げて穴を塞ぎ、空気の吸い込み量を調整します。

  d) 煙突はある高さまでレンガを積み上げて、その上に煙突部分を乗せます。市販の円筒形の

   煙突(ストーブ用、ステンレス製)であれば、煙突の最下部がレンガに巧く嵌る用に設置し

   ます。但し、速い段階で煙突を付けると作業がし難くなりますので、窯の完成直前で行うと良い

   でしょう。煙突の設置については、後で述べる予定です。

 ⅵ) 天井部を作る。

以下次回に続きます。
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窯を築く 10 施工2

2016-08-25 15:08:16 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業

 ① 窯の周囲を鉄骨で支える。 (以上までが前回の話です。)

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。

  ここでは、主にガス、灯油窯に付いて述べます。薪窯に付いては、別の項で述べたいと思って

  います。

  耐火レンガは窯の壁の厚みによって、一種類又は二種類のレンガを使います。  

  (軽量断熱など)煉瓦の大きさは、JIS規格により 230x115x65 mm と成っています。

  どの方向を壁の厚みとして使うかによって、230、115、65 mmとなります。

  但し230 mm方向で使えば、一種類で良いのですが、煉瓦の枚数は当然増えてしまいます。

  高価な耐火レンガの枚数を少なくし、且つ壁の厚みを増すには、耐火度がやや落ちる安価な

  煉瓦を外側に重ねて積むか、シリカボードの様な耐熱断熱素材で周囲を包み込む事に成ります。

  例えば、高価な煉瓦を65mmとし、安価な煉瓦を65mmで使えば、壁の厚みは130mmとなり、

  高価な煉瓦を115mm、安価な煉瓦を65mmとして使えば、壁の厚みは180mmと成ります。

  当然、これらの事は、設計段階で決定されていなければなりませんし、耐火煉瓦や耐火モルタル

  等は手元に無ければなりません。

 ⅰ) 窯の底から作りだします。

  a) 煉瓦を所定の位置に並べて、配置状態や枚数を確認する。

   いかに手抜かり無く設計されていても、実際に煉瓦を並べると、不都合な点も出てくるかも

   知れません。更に煉瓦と煉瓦の隙間には、接着材の耐熱モルタルが入りますので、隙間を空け

   て並べる事になります。尚、隙間は2~3mm程度です。

   要所要所に水糸を張り、煉瓦が綺麗に並ぶ様にすると、全体の歪みも少なくなります。

  b) 最初に安価な(耐火度の低い)断熱煉瓦又は、シリカボードを貼っていきます。

   一般に煉瓦類をモルタルで貼り付ける際には、水に漬けるか水を掛けて若干濡らす事が多い

   です。これはモルタルの水分を煉瓦が急速に吸収し、十分伸びなくなるのを防ぐ為です。

   但し、安価な耐火煉瓦(B-1等)は水に漬けると、表面が溶ける恐れがありますので、素早く

   処理すか、霧を吹き掛ける事です。

  c) 窯の底面の角(コーナー)部分から着手します。

   一枚を角にセットしたら、その横に接着面にモルタルを盛ったもう一枚貼り付けます。盛る際

   には、左官用の鏝(こて)を使います。モルタルはなるべく均等の厚みにした方が良いのですが

   余り拘る必要はありません。モルタルの量はタップリある事が重要です。貼り付けた際に

   隙間から「ニョロ」とはみ出す程度が適度の軟らかさで、且つ適量です。はみ出したモルタル

   は綺麗に拭き取っても良いのですが、そのままの方が、強度的には強くなりますので、その

   ままにしておくか、上に煉瓦を積む際に、邪魔になる様でしたら取り除きます。

   注意点はなるべく空気を閉じ込めない事です。閉じられた空気は、窯の熱で膨張し悪さをする

   からです。

  d) 木(ゴム)槌又は、鏝の柄で軽く叩き煉瓦同士を密着させます。

   同様にして次々に煉瓦を貼り付けていきます。又、隣の煉瓦との水平度や底全体の水平度も

   重要になりますので、水準器を用いて確認する事です。その際、縦横十文字方向の水平度も

   測定します。

  e) 耐火度の高い煉瓦を積み重ねて貼る。

   貼る場合なるべく、下段の煉瓦の位置からずらします。同じ位置で接着すると、強度が全体に

   弱くなるからです。出来れば煉瓦の半分ずらす事をお勧めします。

 ⅱ) 煙道を作る。電気窯の場合は必要ではありません。但し還元を掛ける場合には、必要です。

  倒炎式の窯の場合、窯の底より一段下で、窯の中央に縦長方向に、煙道(排気口)を設けるのが

  普通です。煙道は細長い溝とし、要所要所に移動可能な耐火煉瓦(軽量では無い)の蓋を設け

  ます。蓋の移動によって、穴の幅と間隔を変化させ、煙突の引きの強さや、炎の方向が制御で

  きます。

  a) 煙道の周囲も軽量耐火煉瓦を用いますが、複数の蓋には昔ながらの重たい耐火煉瓦を使い

   ます。これは、複数の棚板を使った場合、棚板を支える「サイコロやツク」が蓋の上に架かる

   場合が多く、棚板を支える強度が必要になるからです。

  b) 煙道の溝の幅は、耐火煉瓦の長手方向の寸法230mmより若干短くし、煉瓦で蓋が出来る

   様にする為です。煉瓦の115mm方向は垂直になる用にすれば、上からの強度も増し、煙道に

   抜ける幅も増えます。勿論、煙道部分も他の部分と同じ壁の厚みにします。

  c) 煙道の一端は袋状になり、他端はダンパーや煙突に繋がりますので、開けておかなければ

   成りません。

  ⅲ) 焚口(バーナー口)用の穴(孔)を開ける。

以下次回に続きます。 
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窯を築く 9 施工1

2016-08-16 17:53:14 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業

 ① 窯の周囲を鉄骨で支える。

  昔の窯では、耐火煉瓦や道具土のみで、窯が築かれている事が多いのですが、現在の窯では、

  鉄骨や鉄板などで窯の周囲をしっかり押さえ込み、強度を持たせている構造になっています。

  地震や不慮の爆発事故などで、窯自体が崩壊するのを防ぐ目的と、窯の底面を床から浮かせる為

  鉄骨などを使い、窯底を持ち上げています。

  ⅰ) ガス窯や灯油窯などでは、窯の底面から燃料を送り込む構造が多いです。その為、バーナー

   等も窯底近辺に設置する事になり、窯底に空間を設ける必要があります。必然的に窯底を鉄骨

   などで支える事に成ります。又、窯入れや窯出しの際にも、取り出し口が適度の高さであれば、

   作業もやり易く、無理な姿勢による作業で腰を痛める事も少なくなります。

  ⅱ) 鉄骨は市販品の「L字鋼」(又は類似品)などを利用する。

   垣根のフェンスなどの支柱に使われる物を利用するのも、方法の一つで、調達も容易です。

   鉄骨は強度が必要で板の厚みも2mm以上は欲しいです。金鋸で容易に切断できる事も大切

   です。鉄骨に塗装が施されていれば良いのですが、ご自分でも塗装する事が出来ます。

  ⅲ) 窯の外形に合わせて(四角等の)箱を組み立てます。

   角窯の場合には、サイコロ状に12本の鉄骨で組み立てます。四隅に鉄骨を立て、最上部と

   最下部に水平状態の横棒を各4本入れます。溶接の技術が有れば、鉄骨同士を溶接するので

   すが、溶接技術が無ければ、「ネジとナット」の組み合わせでも十分です。

   各鉄骨の交差部分には、筋交いを入れ、捩れ等を防ぎ強度を持たせる必要があります。

   当然ですが、この段階で「グラツク」様な事があるのは論外です。

  ⅳ) 窯の底になる高さに「ロ」の字型に鉄骨を4本水平に取り付ける。

   「L」字型の下辺が内側を向く様に取り付けます。この「L」字の内側でレンガを支える事に

    なります。

  ⅴ) 耐火煉瓦を支える鉄骨を、レンガの長手方向の寸法に合わせて、数本平行に取り付けます

   レンガはなるべく切断する事無く使いたいですので、レンガの両端が鉄骨に乗る様にします。

   なるべくならば、隣り合わせのレンガで、鉄骨の幅の半分づつを使う間隔にします。

   「L」字鋼の場合、レンガの邪魔に成らない為に、上面は平らになる様に使います。

  ⅵ) 扉を取り付ける位置に縦二本の柱を、上記サイコロ状の構造物に取り付けます。

    (前扉横方向に開閉する場合を想定して、お話します。)

   二本の間隔は扉の横幅を勘案して決めます。この段階では、扉の開閉方向が決っていなければ

   成りません。一方の柱には蝶番(ちょうつがい)付き、他方には窯の扉を開閉し固定するネジ

   が必要に成ります。

  ⅶ) 煙道を窯の底に「ぶら下る」様に設置する場合には、煙道を下から支える鉄骨が必要です

   下から支える鉄骨は4本の足で支えます。上端は窯の底の高さにし、足と足の間に煙道の長さ

   と、煙道の高さに合わせた横棒を2本渡し、長方形を作ります。

   煙道の内側の幅は、耐火レンガの長手方向の寸法とし、高さは横方の寸法にすると構造も

   簡単になります。煙道の外側は耐火レンガが積み上がりますので、実際にはかなりの大きさに

   なります。

  ⅷ)ガスや灯油等のバーナー等も取り付けますので、設置場所も決めておく必要があります。

   実際には、配管などの影響で、現物合わせの場合が多いですので、予め考えておく程度で

   十分です。

  ⅸ) 鉄骨を組む際には、常に水平度を測る事が大切です。又ネジ止めの場合にはしっかり

   締め付ける必要があります。更に、緩み止めの為、スフリングワッシャーを利用する事です。

   組み立て途中で鉄骨を分解する必要が出て来る可能性もありますので、ネジロックは最後に

   した方が安心です。

 ② 耐火レンガを積む。

以下次回に続きます。
  
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窯を築く 8 窯の設計 7

2016-08-11 20:37:26 | 陶芸の窯を築く
今回取り上げているテーマは、ご自分で窯を築きたいと思われる方を対象とし、かなり特殊な場合か

も知れません。何時の日にか興味を持ったら、参考にして下されば幸いです。

4) 窯を築く場所の条件。

  陶芸の窯は、大きさによりますが、かなり重量のある物が多いです。数百k~数トンになる事も

  稀ではありません。

  電気窯以外は出来るだけ、屋外又は屋内の地面(一階)に設置する事が望ましいです。

  当然、設置してから地盤沈下を起こす様になっては、後々修理が大変になります。

  その為にも、設置する場所は強固な地盤にする為、十分な対策が必要になります。

 ① 設置に適する場所。

  ⅰ) 作業場に近い事。周囲に燃えやすい物(又は建物)がない事。

   窯詰めや窯出し等で作品が、作業場と往復する事が多くなります。又急な降雨の場合でも

   速やかに対処する事ができます。窯は冷える際に、かなりの熱を排出します。この熱で周囲の

   物が発火する(又は焦げる)恐れがある場合には、あらかじめ取り除く必要があります。

  ⅱ) 十分スペースが取れる事。築窯作業がし易い場所に

   築窯は単に窯のスペース以外に、周囲に資材などを置く空き地が必要になります。

   更に、窯の周囲を移動しながら、耐火煉瓦を積みますので、作業者が移動するスペースも必要

   になります。窯が築き上がるに従い、当初のスペースは徐々に狭くなっていきますので、

   最初から広目に場所を取って置くことです。更に、窯を築く前に、地盤を強固にしたり、

   周囲に壁や屋根を掛けるなどの作業(風や雨避け)が必要ですので、十分広く取ると大変便利

   です。

  ⅲ) 湧き水などが無く、水はけが良い事。

   窯の周囲の地面は乾燥している事が大切です。当然水はけが良い事になります。

   耐火レンガやモルタル等は水分を嫌いますので、築窯の際には、濡れない場所に保管して置か

   なければなりません。水はけを良くする為には、周囲より若干高くし、周囲のブロック近辺に

   溝を掘り、窯場に水が入らない様にします。

  ⅳ) 地盤が水平で強度がある事。強度は整地の仕方によって変える事ができます。

   傾斜地であっても、窯を設置する場合は、床面は水平にする必要があります。

   水平度は水準器を使います。縦横方向の水平が必要です。

   埋立地は地盤が弱く成り易いですので、この様な場所しかない場合には、十分対策を取る必要

   があります。(但し、 窖窯など傾斜地上に築く場合は積極的に利用します。)

   又、窯の重みで一部に地盤沈下が起こらない様にする必要があります。

これからが、実際の作業となります。

5) 窯を置く土台を作る。

 ① 縄張り

  周囲に杭を打ち、水糸を張って窯場の範囲を決めます。石灰などで地面に線を描くと後々便利

  です。

 ② 窯場の周囲の土を堀り、ブロック等を埋めて土留めとし、土の流出を防ぎます。ブロック内を

   若干掘り下げます。

 ③ 割栗石(やや大きめの石)を敷き詰める。又は、建物のベタ基礎の様に鉄筋(鉄棒)を網の目

   状に敷き詰めます。

 ④ 柱になる部分には、丸い紙の管などを差込、コンクリートが入らない様に穴を開けます。

 ⑤ コンクリートを流し込み、左官用の鏝(こて)を使い表面を平滑にします。水を着けながら

  平らに「ならし」ます。コンクリートは数日養生させます。コンクリートを打った場所には立ち

  入らない事です。要所要所に水糸を張り、高さを調整します。

  コンクリート部材(セメント、砂、砂利)は専門のDITや資材館などで入手できます。

 ⑥ 煙道を地下に埋め込む場合には、あらかじめ埋め込んでおく必要があります。

6) 小屋を作る。(小屋を作るのが面倒な場合には、プレハブ小屋で代用する事もできます。)

 ① 骨組みを作る。コンクリ-トが乾燥したら、前記の紙の筒を取り除き、柱材を立てます。

  梁の部分、及び屋根を支える部材、壁を支える部材を取り付けます。

  場合によっては、扉や窓が必要かも知れません。又は、壁の一方又は二方を設けず、開放した

  方が都合が良い場合もあります。

 ② 屋根を葺き、壁を取り付ける。

  屋根や壁の材料は、耐火制のある金属製が望ましいです。窯焚き後に放熱が起こりますので、

  天井をやや高くし、熱の篭るのを防ぎます。又、風や雨対策をする必要があります。

  梁や柱に金属板を取り付ける際、釘などは使えませんから、何らかの方法でくくり付ける事に

  なります。その際、強度的にも強固にし更に、雨水が入り込まない様に防水加工を施す必要が

  出てくる可能性もあります。

7) 窯を作る作業

以下次回に続きます。
   
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窯を築く 7 窯の設計 6

2016-08-09 17:33:39 | 陶芸の窯を築く
前回の記事から大分時間が過ぎてしまいましたが、話を再開したいと思います。 

3) 窯の設計。

 ① 窯の種類と構造と形を決める。

  ⅰ) 窯の種類とは、電気、ガス、灯油、薪などの燃料(熱源)の違いです。

  ⅱ) 燃料の差によって、窯の構造と形が変わります。

 ② 窯の内寸を決める。(窯の容量、容積を決める)

  ⅰ) 棚板の大きさを決め、一段に何枚使うか(何枚敷)を決めます。

  ⅱ) 棚板の数は1、2、4、6、8枚それ以上の中から選ぶ事に成ります。

  ⅲ) 窯の底の大きさ(内寸)を決る。

  ⅳ) 窯の底の外寸を決める。

 以上が前回に述べた事柄です。

  ⅴ) 煙道、煙突の設計。

   燃料を使う窯では、煙突は絶対必要な装置です。当然窯の大きさ(容量)や燃料の差によって

   煙突の高さや太さに違いが出ます。又、煙突を何処に設けるかによって、煙道の長さにも差が

   でます。煙突は窯の外側に設けますので、必然的に設置面積も大きくなります。

   a) 煙突の主な役目は、外部から空気を取り入れ、良く燃焼させる事にあります。

    即ち、煙突の「引き」の強弱により、空気の取り入れる量が変化します。この事は酸化、還元

    焼成に大きく影響を与える事になります。

   b) 強制燃焼の場合には、燃料と空気を同時に送り込む装置がありますが、煙突は必要です。

    燃焼に伴い二酸化ガスが発生しますので、これを外部に排出する必要があるからです。

  c) 煙突は窯と一体構造にする場合と、別体構造にする方法があります。

    容量(容積)の小さな窯であれば、一体型が多く、大きな容量の場合には、窯からやや離れ

    た位置に立てる事が多いです。別体型では、煙道が長くなります。

   c) 一般に煙突は一本が多いですが、容量の大きな窯などでは二本にする事もあります。

    その場合には、煙道も二本になります。

   d) 煙突の「引き」の悪い状態では温度も、必要な高温まで十分上がらない事にも成ります。

    その為、煙突の高さや煙突の太さ等の設計が大切です。燃焼理論からこれらの数値が計算

    されるとの事ですが、ここではおおよその事を述べます。   

    ・ 煙突の高さは、窯の内部の高さのおよそ3倍程度が良いそうです。即ち内部の高さが

     1m程度であれば、煙突の高さは3mになります。

    ・ 煙突の内部の太さ(断面積)は、煙突の高さの約1/25程度で良いそうです。

      例えば、1mの高さの煙突では12cmになります。但し、太い分には都合が良いとも

      言われています。細いと煙突掃除が大変です。

     ・ 煙道も煙突の一部とみなす事が出来ます。但し水平煙道の効果は、垂直煙道の1/4

      程度です。傾斜のある煙道の場合には、煙突効果は増大します。水平煙道の断面積は

      煙突の断面積よりやや大きくする事も大切です。

   e) 「引き」が強すぎる場合には、「引き」の強弱を調整するダンバーや空気穴(馬鹿穴)を

    設けます。ダンバーは、窯から煙突の抜ける場所に設けます。一般に横又は縦方向に板状の

    物をスライドさせて、排気量を調節します。空気穴は煙突の最下部に設け、穴の面積を広く

    する事で、外部から空気を取り入れますので、「引き」を弱くします。一般にレンガなどを

    積み上げ穴の大きさを調整します。

   f) 煙突の材質はステンレスが多いです。

    古い窯や本格的な窯元の窯では、レンガを積み上げていましたが、現在ではステンレス製の

    煙突が使われています。尚煙道などには、土管などが使われる場合もあります。小さな窯で

    は水平煙道を設ける事が少なく、極短い場合が多いですので、耐火煉瓦が使われます。

   g) 煙突自体は建築材料店や資料館などで、各種の大きさの物が市販されています。

    (多くはストーブ用)陶芸材料店で購入するよりも、安価に購入できます。尚煙突の頂上部

     には、雨避けの部材が必要です。特に窯と一体の煙突では、軒先より外に突出させなければ

     雨漏れの原因に成り易いです。場合によっては、煙突をクランク状にする必要が生じます

     更に、煙突には風対策も必要です。嵐などの強風が吹く事もありますので、針金やワイヤー

     で倒れるのを防ぐ必要があります。

以下次回に続きます。
 
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窯を築く 6 窯の設計 5

2016-06-23 11:30:33 | 陶芸の窯を築く
前置きが長くなりましたが、いよいよ窯の設計に掛かりたいと思います。  

3) 窯の設計。

  必要な用具は、A4又はA3の方眼紙(1mmが良い)、鉛筆、定規、コンパス等です。

 ① 窯の種類と構造と形を決める。

  ここでは主に本焼用(素焼も可)の窯について述べます。楽焼用の窯に付いては、後日述べる

  予定です。

  ⅰ) 窯の種類とは、電気、ガス、灯油、薪などの燃料(熱源)の違いです。

  ⅱ) 燃料の差によって、窯の構造と形が変わります。

    窯の形は矩形(四角)の物が多いですが、小型の電気窯では丸い形の物もあります。

    電気窯を除く窯では、倒炎式が一般的ですが、小さな楽焼窯では、直炎式が多いです。

    倒炎式の窯では、天井部分がアーチ状に成っています。又、扉の取り付ける位置と、扉を

    開く方向も考慮しておく必要があります。例えば、前扉型の場合、右開きと左開きがあります

    当然、窯詰めや窯出しがし易い方向が良いのですが、敷地の関係で決ってしまう事もあります

  ② 窯の内寸を決める。(窯の容量、容積を決める)

    一度にどの様な大きさの作品を、何個焼成したいかによって決まります。

    勿論、容積の大きな窯であれば、余裕なのですが、窯が大きくなり、場所と費用、時間が掛り

    更に作品の量も当然増え、中々窯が一杯に成らず、定期的に作品を焼き上げる事も難しくな

    りますので、適量の容積に決めます。

   ⅰ) 棚板の大きさを決め、一段に何枚使うか(何枚敷)を決めます。

    棚板は同じ大きさの物を揃える事です。棚板は使っているうちに、ひびが入ったり、割れたり

    する物ですので、ある程度消耗品であるとも言えます。その為同じ大きさであれば何時でも

    手持ちの棚板で、取り替える事が可能になります。後で述べますが、棚板の使用する数は

    常に一定と言う訳では有りませんので、数に余裕を持たせて下さい。

   ⅱ) 棚板の数は1、2、4、6、8枚それ以上の中から選ぶ事に成ります。

    一般は1~4枚程度が多い様です。

   ⅲ) 窯の底の大きさ(内寸)を決る。

    a) 棚板と棚板の間は指一本程度の隙間を開けて、敷き詰めます。

    b) 棚板と窯の内側の壁との隙間を決める。

      バーナーの焚口の無い壁との隙間は指1~2本の隙間が必要です。

      焚口のある側では、バーナーヘッドよりやや大きい穴が必要ですので、この穴の大きさ

      プラス2cm以上の隙間が必要です。焚口が左右両方にある場合は、隙間は二倍になり

      ます。

    c) 前扉の場合には、扉との隙間も2cm以上が必要です。

     敷き詰めた棚板の周囲にこれらの空間(隙間)を設ける事で窯の底の内寸が決ります。

   ⅳ) 窯の底の外寸を決める。

    軽量断熱耐火煉瓦をどの様に積み上げるかによって、外寸が決まります。即ち壁の厚さを

    決める事に成ります。煉瓦の大きさは、230x115x65 mm です。

    a) 一番薄い壁にする場合には、65mmと成りますが、これでは、余りにも薄すぎ熱が

     閉じ込め難く、温度上昇も思う様にいかず、窯の冷えも速過ぎると思われます。

     そこで、更に外側に安価な煉瓦(B-1等)を重ね合わせ130mmの壁にします。又は

     安価な煉瓦の変わりに耐熱製のシリカボードを使います。これだと厚みも25mm程度です

     ので壁の厚みを65+25=90mmと薄くする事が出来ます。

    b) 更に窯の壁を厚くするには、厚さが115mmの方向に積み上げます。

     外側に安価な煉瓦を重ねるとすれば、115+65=180mm。又は115+115

     =230mmとなります。尚、耐火煉瓦の230mm方向で積み上げれば、壁の厚みは

     230mmとなりますので、外に安価な煉瓦を積む必要は無くなりますが、高価な耐火

     煉瓦の数が増え、費用が嵩む事になります。

    c) 窯の内寸に壁の厚みを加えた物が、窯底の外寸に成ります。

     但し、燃料を使う窯では、煙突が必要になります。煙突を何処に設置するかによって、

     窯底の外寸も変わります。即ち窯と一体化するか、別体にするかです。一体化する場合には

     外寸も増える事になります。

   ⅴ) 煙道、煙突の設計。

以下次回に続きます。
    
     
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窯を築く 5 窯の設計 4

2016-06-15 14:59:30 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。    

  ⅰ) 手に入る窯の材料をリストアップしておく。

   a) 窯作りの資材

    耐火煉瓦(軽量)、耐火モルタル、シリカボード、耐火ウール(ファイバーブランケット)、

    煙突(ステンレス製)、耐火アルミナセメント、扉用鉄板、耐熱塗料、蝶番(扉用)、

    火格子(薪窯の場合)、ガス又は灯油バーナー(バーナヘッド付き)、ブロアー(灯油用

    送風機)、電熱線、各種配線用素材、ブレーカー、スイッチ類、ベニア板(発砲スチロール)

    その他。鏝(左官用こて)、水準器、水糸、巻尺、曲尺(かねじゃく=直角度を見る)、

    金鋸、溶接一式又はネジとナット等があります。

今日からの話はここからです。

  チ) ガス又は灯油バーナー(バーナーヘッド付き)、ブロアー(送風機)に付いて。

   ・ ガスバーナーには、都市ガス用とプロパンガス用があり、各々自然燃焼方式と強制燃焼

    方式があります。都市ガスの場合は強制燃焼式が多い様です。都市ガスの利点は燃料の補給

    を必要としない事です。当然ですが、都市ガスが来ている地域に限定されます。

    強制燃焼方式は燃料(ガス)圧を上げ、ブロアーで空気を強制的に供給し、短時間で炊き

    上げますので、経済的とも言われています。ただし、自然燃焼式よりも、騒音は大きく成る

    のが欠点です。尚、ブロアーには100V電源が必要になります。

   ・ 自然燃焼方式は、空気取り入れ口より必要な空気の量を吸い込みますので、燃焼時間が長

    くなりますが、焔が軟らかい感じになりますので、釉も趣の有る色艶になると言われています

   ・ バーナー一基には、火口が一個の物と二個の物があります。容積の大きな窯では二個の

     バーナーを複数個設置する場合もあります。

   ・ ガスバーナーは、ベンチュリー式と呼ばれる鋳物製の物が多く使われています。で

    形状は真直ぐの物とバーナーヘッド部分(耐熱セラミック製)が直角に曲がった物(L字形)

    があります。当然取り付ける方法が異なります。即ち、真直ぐな物は、窯の横方向から、

    直角な物は下から差込む事に成ります。

     注: ベンチュリー式は、火口が一個で構造が簡単で安価なガスバーナーです。ノズルから

      ガス噴射により、大気中の空気が自然吸引され、燃焼用一時空気を取り込みます。

      空気の取り込み量を無段階に調整する回転盤が手元にあり、酸化や還元焼成する事が

      出来ます。

   ・ バーナーの点火方法も、自動と手動着火方式がありますが、ご自分で窯を築くのであれば

    手動の方が構造が簡単になります。尚、後で述べますが、ガスの配管は専門業者に任す事に

    なります。尚、灯油用のバーナーの場合には自動スパーク点火が無難です。

  ・ 窯の容量により、バーナーの数も変化します。バーナーは窯のメーカーから購入できますが

   バーナーのみを販売しない所もあります。 又、バーナーの種類は色々あります。以下の様に

   ネット上で、メーカーとバーナーを見付ける事も可能です。

  ・ 灯油用ロータリーバーナー: 回転させることで油と燃焼用空気が同期し、同時に燃焼気化

   室に送られる構造になっています。

   低圧空気噴霧式オイルバーナ: 全自動、半自動の物があります。

   ガンタイプオイルバーナー。

 尚、灯油バーナーはガスバーナーより選定が難しい様ですので、採用すつに当たっては、メーカー

 等と良くご相談の上決めてください。

以下次回に続きます。
      
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