Unknown (tak) 様より以下の質問をお受けしましたので、当方なりの回答を致します。
市販の松灰70と長石30を混ぜて作った釉薬
そのままだとうまく焼けたのですが、コバルトを添加したらブツブツが・・・
いつも困っていたのですが あばた、なのですね
ほかの釉薬と一緒に焼いていますし、表面のマットな感じは気に入っているので、最高温度は
変えたくないのですがガスをうまく追い出す方法はありますか
900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・
明窓窯より
1) 気泡(ガス)のできる理由。
クロム、ニッケル、アンチモン等の有色金属酸化物を釉に混入させた場合、気泡が発生する事が
あります。特に不純物が含まれる時に発生し易いです。
又、コバルト、マンガン、ニッケル等の酸化金属は、高温で酸素との結合や酸素の放出を頻繁に
行います。どのタイミングで吸収し、どのタイミングで放出するかは、定かではありません。
この酸素の放出が気泡の原因です。釉の粘性が大きいと、釉の表面から完全には抜け出せず、
表面が荒れた状態に成ります。
又、ピンク、コバルト、クロム等の顔料を釉に添加した時、釉が縮れる場合があります。
特に、釉に粘性が少ない時で、顔料が十分に水洗いされていない時や、硫化物が含まれる場合は、
顕著に現れます。
2) 対策としては、釉の粘性を弱め、流動性を持たせるのが、有力な方法と思われます。
釉に珪酸(シリカ)や石灰(炭酸カルシウム)が多く成ると、粘性が強くなると言われえいます。
① 松灰や長石の種類を変えたり、調合割合を変える方法。
灰類には、種類によって20~50%の石灰が含まれます。市販されている松灰をご利用との
事ですが、それには天然と合成のがあります。合成の物は品質が一定ですが、天然物ではその
生育土壌、伐採時期、木の老若、木の部位(幹、枝、葉、根、樹皮等)によって成分が異なり
ます。その為、焼成された釉の表情にも変化があります。松灰を天然から合成へ、又は合成から
天然物に変える事で、気泡を減らせるかも知れません。
一方長石にも正長石(カリ)、ソダー長石(ナトリウム)、灰長石(カルシウム)があります。
多く使われるのは正長石(福島長石等)ですので、多分正長石を使用していると推察されます。
正長石には、約65%程度のシリカが含まれています。
以上の事から、御使用の釉は粘性が強いと思われます。
② 添加物を入れる事で粘性を弱める。
御使用の釉の組成や焼成温度を変更したくないとの事ですので、粘性を弱める為には、何らかの
物質を添加する必要があります。
ⅰ) 硼酸を添加する。
硼酸は珪酸と同じ様に、ガラス質に成ると同時に、釉の粘性を弱める働きをします。
又、釉を安定化する働きもあります。流動性が求められる結晶釉にも多く使われています。
ⅱ) 融剤と成るナトリウム、カリウム、バリウム等のアルカリ又はアルカリ土金属を添加する。
これらを添加する事で、融点(ガラスですので、実際には融点はありませんが)を下げる事が
出来、気泡の発生を早める事も可能になり、速やかに放出させます。
ⅲ) 炭酸リシウム(その他、リシウムの酸化物)ははなはだ強い融剤で、わずか1%程度を
添加する事で、流動性を増し、痘痕やピンホール等の改善に大きな効果を発揮します。
③ 「900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・」
私には、この意味が判りません。この行為は、結晶釉の結晶を成長させる時に行う物と思われ
ます。気泡を釉から放出するには、温度が低過ぎます。
時間を掛けるのであれば、最高温度で引っ張る事(寝らすと言う)です。引っ張る時間が長け
れば長い程、釉は平滑になり痘痕は解消します。理想的には30~60分程度以上が必要ですが
燃費が掛りますので、最適な必要な時間を見付けて下さい。
以上、参考に成れば有り難いです。
市販の松灰70と長石30を混ぜて作った釉薬
そのままだとうまく焼けたのですが、コバルトを添加したらブツブツが・・・
いつも困っていたのですが あばた、なのですね
ほかの釉薬と一緒に焼いていますし、表面のマットな感じは気に入っているので、最高温度は
変えたくないのですがガスをうまく追い出す方法はありますか
900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・
明窓窯より
1) 気泡(ガス)のできる理由。
クロム、ニッケル、アンチモン等の有色金属酸化物を釉に混入させた場合、気泡が発生する事が
あります。特に不純物が含まれる時に発生し易いです。
又、コバルト、マンガン、ニッケル等の酸化金属は、高温で酸素との結合や酸素の放出を頻繁に
行います。どのタイミングで吸収し、どのタイミングで放出するかは、定かではありません。
この酸素の放出が気泡の原因です。釉の粘性が大きいと、釉の表面から完全には抜け出せず、
表面が荒れた状態に成ります。
又、ピンク、コバルト、クロム等の顔料を釉に添加した時、釉が縮れる場合があります。
特に、釉に粘性が少ない時で、顔料が十分に水洗いされていない時や、硫化物が含まれる場合は、
顕著に現れます。
2) 対策としては、釉の粘性を弱め、流動性を持たせるのが、有力な方法と思われます。
釉に珪酸(シリカ)や石灰(炭酸カルシウム)が多く成ると、粘性が強くなると言われえいます。
① 松灰や長石の種類を変えたり、調合割合を変える方法。
灰類には、種類によって20~50%の石灰が含まれます。市販されている松灰をご利用との
事ですが、それには天然と合成のがあります。合成の物は品質が一定ですが、天然物ではその
生育土壌、伐採時期、木の老若、木の部位(幹、枝、葉、根、樹皮等)によって成分が異なり
ます。その為、焼成された釉の表情にも変化があります。松灰を天然から合成へ、又は合成から
天然物に変える事で、気泡を減らせるかも知れません。
一方長石にも正長石(カリ)、ソダー長石(ナトリウム)、灰長石(カルシウム)があります。
多く使われるのは正長石(福島長石等)ですので、多分正長石を使用していると推察されます。
正長石には、約65%程度のシリカが含まれています。
以上の事から、御使用の釉は粘性が強いと思われます。
② 添加物を入れる事で粘性を弱める。
御使用の釉の組成や焼成温度を変更したくないとの事ですので、粘性を弱める為には、何らかの
物質を添加する必要があります。
ⅰ) 硼酸を添加する。
硼酸は珪酸と同じ様に、ガラス質に成ると同時に、釉の粘性を弱める働きをします。
又、釉を安定化する働きもあります。流動性が求められる結晶釉にも多く使われています。
ⅱ) 融剤と成るナトリウム、カリウム、バリウム等のアルカリ又はアルカリ土金属を添加する。
これらを添加する事で、融点(ガラスですので、実際には融点はありませんが)を下げる事が
出来、気泡の発生を早める事も可能になり、速やかに放出させます。
ⅲ) 炭酸リシウム(その他、リシウムの酸化物)ははなはだ強い融剤で、わずか1%程度を
添加する事で、流動性を増し、痘痕やピンホール等の改善に大きな効果を発揮します。
③ 「900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・」
私には、この意味が判りません。この行為は、結晶釉の結晶を成長させる時に行う物と思われ
ます。気泡を釉から放出するには、温度が低過ぎます。
時間を掛けるのであれば、最高温度で引っ張る事(寝らすと言う)です。引っ張る時間が長け
れば長い程、釉は平滑になり痘痕は解消します。理想的には30~60分程度以上が必要ですが
燃費が掛りますので、最適な必要な時間を見付けて下さい。
以上、参考に成れば有り難いです。
陶芸を始めて五年目の者です。
家で一人で作っています。これまでは市販の釉薬を使ってきましたが、欲しい色の釉薬を自分で作ってみようかと思い立ちました。
少し勉強しましたが、難しくてよく理解できません。
作りたいのは、焦げ茶で少し紫がかったマット釉です。実際に使っておられる作家さんがおられます。
釉薬の調合は一筋縄ではいかないことは理解していますが、もし、比較的簡単な調合方法がありましたら、教えていただけますか?
紫がかっていなくても、焦げ茶のマット釉でもかまいません。食器に使いたいと思っています。
無理なお願いで恐縮ですが、よろしくお願いします。