わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る50(蓋物7、土瓶と急須、宝瓶2)

2013-03-31 21:20:47 | 陶芸入門(初級、中級編)

1) 急須を作る: 「茶注」と書いて、「きゅうす」と読む場合もあります。

   急須と言えば、常滑の赤茶色の朱泥が有名です。

   中国から輸入された朱泥土を参考にして、鉄分の多い常滑の赤土から、初代山田常山氏が

   朱泥焼きを完成させたとの事です。

   朱泥の他に鉄、銅、マンガンなどの金属を含み、赤紫や黒紫に焼きあがる紫泥(しでい)の急須も

   あります。

   朱泥や紫泥の最高焼成温度が1100℃と、他の作品の1230~1250℃に比べてかなり低温で

   焼成されています。 

   轆轤挽きで急須を作る際には、いつも使用している一般の土を使う事を薦めます。

   急須を量産するのであれば、特別の土を使う事のありますが、1~2個の急須を作るのであれば

   焼成温度が一緒の土を使う方が、手間が省けます。

   又、取っ手が横に付けた横手、注ぎ口と反対方向に付けた後手、取っ手の無い物を宝瓶、

   注ぎ口が小さく細い絞り出しなどの形があります。 一般的には横手の形が多いです。

   数挽きの要領で、胴体、蓋、取っ手(把)、注ぎ口の順で各パーツを轆轤挽きします。

   1kgの土があれば、十分に1個の急須を作る事が出来ます。

   尚、胴体部のみを1個挽きする場合も有ります。

   尚、人間国宝の三代山田常山氏は、胴体部の轆轤挽きする土の量は約130gだそうです。

  ① 胴体を轆轤挽きする。

   ) 土殺しの済んだ土を土取りし、親指で中心に穴を開けます。真上から土を締める事を

       忘れずに、底を広げます。

   ) 底の内側と外側の角の土を締めて形を整えます。

   ) 土を中心に寄せながら、真上に挽き上げる。(口が広がらない様に注意)

      口には土をやや厚めに残し、それを内側に寄せます。

   ) 肩をやや張らせてから口を細めます。

   ) 蓋受けを作る。

    a) 右手の親指の爪を肉厚の口の内側に当て、厚みの半分程を下に押し込みます。

      その際、右手人差し指と親指で土を摘み、中心方法に土を引っ張る様にし、幅数mmの

      蓋受部にします。尚、親指の爪の代わりに、四角い角を持つ竹へらで行う事も有ります。

      胴体部に蓋受けを設けない構造でしたら、上記)の後に皮で拭いて終了に成ります。

    b) 口の土を折り返して蓋受けを作る。

      なめし皮を口の内外に当て、徐々に内側に倒し、更にその先端を中心方向に折り返し

      蓋受けを作ります。

    ) 胴体の丸みなどの形を整える。

      蓋受けに指がぶつからない様に、中指をやや曲げながら内側からすくい上げる様にして、

      張り出し形を整えます。口が「ダレ」て来た場合には、竹へらなどで補正します。

      尚、中指が届き難い場合には、「柄コテ」を使います。

      なめし皮で口を締めながら形を整え、表面をなだらかにします。

      この段階で、蓋受けの外側の寸法を(トンボやコンパス、スケールなどで)測っておきます。

    ) 最後に、底の外側にある余分な土を竹へらで削り落とします。

       特に底の外側の角部は45度程度の角度で内側に切り込みます。

       これを怠ると、乾燥時に外側から中心に向かって亀裂が入ります。

       更に器内の水や泥(どべ)をスポンジや刷毛で取り除き、底割れを防ぎ、切糸を入れて

       下の土と切り離します。

   ② 蓋を作る。: 上下を逆さに作ります。

以下次回に続きます。 

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造る49(蓋物7、土瓶と急須、宝瓶1)

2013-03-29 17:15:23 | 陶芸入門(初級、中級編)

土瓶(どびん)と急須及び宝瓶(急須の一種)は、お茶(緑茶、日本茶)を煎れる道具ですが、近年

緑茶を煎れる家庭も少なくなっている様で、ペットボトル入りの日本茶類も多く出回っています。

特に、今では特殊な場合(松茸の時期)を除き、土瓶を見る機会はほとんど無くなってきています。

土瓶自体が重い事と、使用勝手が悪い為、他の道具に取って替わられたと思われます。

但し、陶芸をされている方は、急須を必要としなくとも、一度は、作る事をお勧めします。

急須作りには、本体、取っ手、注ぎ口、蓋作りと、これらの部品を組み合わせて作品に仕上げるという

陶芸の色々な技術が濃厚に凝縮されているからです。

前置きが長くなりましたが、本日の本題に入ります。

土瓶や急須、宝瓶(ほうびん)はお茶を煎れる役目がありますが、それらの道具には、幾つかの

違いがあります。

1) 土瓶と急須、宝瓶の違い。

  ① 形の違い。

   ) 土瓶は器の上部に蔓状の持ち手が付いています。

      一般に持ち手は可動式で、横に倒せる構造になっています。更に、熱が取っ手に伝わらない

      様に、植物の蔦(つた)などの蔓(つる)が巻かれています。

   ) 急須は器の側面に棒状の持ち手が固定されて付いています。

      轆轤成形が一般的な作り方です。

   ) 宝瓶は楕円形又は卵型の器で、片手で鷲掴みする様に持ちますので、特別に持ち手は

      ついていません。但し熱湯の温度が手(指)に伝わらない様に、持つべき処は肉厚を二重

      にしたり、滑り落とす事が無い様に工夫されています。

      宝瓶は、手捻りで作る事が多く、本体と注ぎ口は一体で、本体と蓋の二点から成ります。

   ) 使い勝手の違いで、蓋の構造にも差があります。

      即ち、お茶を注ぐ際、本体を傾けますが、土瓶は蓋を押さえる事は少ないですが、急須は

      反対の手で押さえて注ぎます。その為土瓶では、蓋が簡単に落ちない構造にする必要が

      あります。宝瓶の場合では、器を鷲掴みする際に、同じ手の手の平で蓋を押さえる事に

      成ります。

  ② 大きさの違い。

    ) 土瓶は、急須程度の小型の器から、一度に10人以上の人がお茶を飲める、大容量の

       器など多くの種類が有ります。大物であっても持ち手が器の中心(重心)にある為、安全に

       持ち運びや取り扱いができます。

       ) 急須は、お茶が湯飲みに1~2杯程入る容量です。持ち手の部分が器の重心から離れて

       いる為、容量の大きな急須は見かけません。

    ) 宝瓶は、片手で鷲掴みして使いますので、必然的に小型の急須程度の大きさになります。

  ③ 用途の違い。

    ) 土瓶は当初、薬缶(やかん)と同じ様に、薬(漢方薬)を煎じて飲む為の容器でした。

       やがて煎茶を飲む道具として使われる様になり、更に松茸の土瓶蒸の容器としても

       使われています。

       その為、直接火に掛ける事も可能で、場合によっては酒も温める(お燗)事もした様です。

       尚、特別大きな土瓶は飾り物として置物や、花器として使用する場合があります。

    ) 急須と宝瓶は、煎茶を煎れる道具として使われます。

       他の用途に使う事はほとんどありません。

   ④ 作り方にも違いがあります。

     一般に、土瓶や急須は轆轤挽きで作りますが、宝瓶は手捻りで作る事が多いです。

 以下次回に続きます。

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質問3 青磁釉の厚掛け方法

2013-03-27 14:15:02 | 質問、問い合わせ、相談事

kiyoshi様より以下のご質問を受けました。(2013-3-25)

自宅で陶芸活動を行っている者です。青磁の綺麗な貫入を皿ではなく壺など縦型の作品に出す

にはどの様な方法があるのでしょうか?厚掛けしないと貫入が入らないし、厚掛けすると自重で

流れ過ぎる。薄掛けや温度を下げると綺麗な貫入が入りません。

何か良い方法は有るのでしょうか。よろしくお願いします。

 

明窓窯より

青磁釉は厚掛けする事により、青に発色する釉で、還元焼成により得られます。

貫入は、土と釉との収縮率の差(釉>土)によって、釉に「ひび」が入る事をいいます。

土(主に粘土)と釉との関係で、細かい貫入から大きな貫入(氷裂青磁など)まで色々あります。

さて、質問の要旨は、以下の二つの問題では無いかと思います。

  (または一方かも知れません。)

1) 釉を厚く掛ける事が出来ないと言う施釉上の問題。

2) 焼成時に厚掛けにした釉が流れ落ちて仕舞う問題。

   この問題の解決には、釉の問題(流動性、熔融性及び、ご自分で調合か、市販の釉か。)、

   焼成の問題(焼成温度、焼成時間、窯、他の作品の有無など)など複雑に関係しています。

ここでは、1)に付いてのみお話しますので、質問の趣旨が2)の場合には、改めてお問い合わせ

下さい。その際できるだけ、詳細な状態を示して頂けると、より的確なお話が出来ると思われます。

1) 釉を厚く掛ける方法。

  ① 施釉の現象(原理):すでにご存知の事と思いますが、お話します。

    素焼きした作品に釉を掛けると、1分もしない内に表面が乾き、直ぐに持てる様になります。

    これは、作品本体が溶けた釉の水分を吸い取る為です。

    それ故、本体が水分を吸収できなければ、いくら厚く釉を掛けても、上に載せられず、ただ

    流れ落ちるだけです。

  ② 施釉の方法。

   ) 浸し(漬け)掛け: 最も一般的な方法で、釉が均等な厚みに掛ます。

      一度の作業で、上手に施釉できる利点があります。

      但し、他の施釉方法と比べ、多くの水分を吸収し易いです。

   ) 流し(柄杓)掛け: 大物の作品の施釉する際に行われます。

      一度或いは二度三度と重ね塗りが可能です。特に異なる釉を重ね塗りする際には、便利な

      方法です。浸し掛けに次いで、水分を多く吸収し易いです。

   ) スプレー掛け(ガン吹き): 霧吹きを用いて施釉する方法です。

      少ない釉の量で施釉出来る事や、マスキングの方法で、好みの位置に違う色の釉を掛ける

      事が出来る利点があります。水分の吸収量は少なくなります。

   ) 刷毛塗り: 釉が斑(まだら)に掛かる為、余り一般的ではありませんが、作品によっては

      この方法が使われます。重ね塗りにはある程度の練習が必要かも知れません。

      なぜなら、重ね塗りの積もりが、下地の釉を剥ぎ取る危険があるからです。

      刷毛で塗ると釉は薄くなり勝ちです。

  ③ 本質問の回答。

   ) 青磁釉を厚く掛けるには、)の方法は向いていません。)~)の方法を取ると良い

      でしょう。

   ) 基本は薄い釉を数度に分けて塗る事です。但し、下地の釉が十分乾燥後に行わないと、

      釉は流れ落ちます。塗り重ねるに従い、本体の水の吸収率は低下します。

      更に、本体の肉厚が薄いと直ぐに飽和状態に成ります。表面の釉が乾いている様に見え

      ても本体が乾燥していない場合が多いですので、ある程度の時間を置いて施釉する必要が

      あります。但し、乾燥した釉の表面に濃い目の釉を掛けると、釉が剥がれる危険もあります

   ) 結論として、

    a) 流し掛けでは、2~4度程度の施釉とします。但し、徐々に施釉する間隔を長くする

      必要があります。

   b) スプレー掛けは、水分の吸収が他の方法より少ない為、全体を均一に施釉した後再度

      施釉する事が可能です。但し3~6度塗りと回数を増やすに従い、時間を置く必要があり

      ます。但し、霧状の飛沫が飛びますので、それなりの設備や、少なくともマスクは必要です。

   c) 刷毛塗り: 以下は著名な作家さんの施釉方法です。参考にして下さい。

     茨城県在住の浦口雅行氏は、貫入が虹色に輝く青磁を発表し、浦口青磁と呼ばれる作品を

     作っている注目の作家ですが、その施釉の方法が刷毛による方法だそうです。

     青磁釉は厚く塗るほど、色彩が重厚に成り貫入も大きくなります。厚みが薄いと細かな貫入と

     なり、素地の影響を強く受ける様になります。

    ◎ 青磁釉は乾かしながら何度も塗り重ねます。多い時には10~15回程重ねるそうで、

      一回の施釉では0.2~0.3mm程の厚みに成ります。

      縦に長い作品では、下部を手に持ち、上部を刷毛塗りし、ストーブで乾燥後、上部を持って

      下部に施釉する事を繰り返します。

以上 お役に立つ回答になっていないかも知れませんが、不明な点がありましたら再度お問い合わせ

下さい。

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造る48(蓋物6、風船作りの蓋物)

2013-03-24 17:45:26 | 陶芸入門(初級、中級編)

5) 煮物を入れる丼は一般には蓋が付きません。(前回の続きです。)

  ③ 蓋受けの作り方。

   ) 蓋受けを轆轤で作る場合は、本体上部をやや肉厚してその土を使う方法と、上部の土を

      内側に折り曲げて使う方法があります。前者の場合が一般的な方法です。

     a) 肉厚な上部(口縁)の土を使い蓋受けを作る。(前回を参照)

     b) 土を折り曲げて蓋受けを作る方法。

       本体の口縁部をやや肉薄に伸ばし、内側に折り曲げて蓋受けを設ける方法です。

       即ち、口縁部1~2cmを水平の位置まで内側に倒します。次に、水平の土の上から親指で

       押さえながら、徐々に下向きに折り返します。縁は二重の肉厚にし指で摘み圧着しながら

       形を整えます。 更に、下向きの端を水平(直角)に折り返して、蓋受けとします。

       ・ この方法の難しい処は、縁を内側に折り込む際に、土に襞(ひだ)が出来易く、蓋受け部

         が凸凹になる事です。急がずにゆっくり内側に折り込む事と、ある程度の肉厚を持た

         せる事で解決します。(肉が厚い方が、土は締まり径を小さく出来ます。)

       尚、後日水指の本体と蓋の話で述べますが、水指の蓋受け部は、一度水平に折った

       状態から、水指の内側にやや斜め下に伸ばした状態の蓋受けに成ります。

6) 風船作りの蓋物。(小さな作品が多い)

  蓋と本体を別々に作るのではなく、全体を一緒に作る場合(風船作り)には、蓋と本体を適当な

  位置で切り離します。その切り離し方によって、特別に蓋受け設ける事なく、安定的に載せられる

  蓋を作る事ができます。風船作りの轆轤挽きが終了したら直ぐに、針などで内部の空気が逃げる

  様に、穴を開けておく必要があります。(乾燥と共に、作品の収縮が進み、内部の空気圧が高く

  なり、最悪破裂するのを防ぎます。)

  ① 蓋受けの役目。

     蓋が安定的に本体に載る事と、蓋に掛かる左右前後の力に対し、容易に移動しない事が

     重要です。その為には幾つかの方法があります。

  ② 切れ目を入れる方法。

   ) 本体の口縁部は、外側を高く、内側を低く切る様にすれば、円周方向に回転しても、前後

      左右に動く事はありません。更に、切り口を斜めに切る為切り口が厚くなります。

     ・ 逆に本体の外側を低くし、内側を高くする方法もありますが、本体内側の口縁が鋭角に

       なる為、使い勝手の悪い器に成ります。

     ・ 蓋が円形の場合には、どの位置でも本体と合わせる事が出来ます。

   ) 本体と蓋の切り口をジズザグにする方法。

      切り口の高さに対し、山と谷を一対作ります。この場合は真横方向に対しては、蓋は移動

      しませんが、前後方向には移動します。その為、最初の山谷の位置とほぼ直角方向に、

      別の山と谷を設ければ、解決されます。但し、蓋の底の部分に高低差が生じると蓋を置いた

      場合不安定になります。又本体に山と谷があると、汁などの液体等の入る容量は谷の

      位置で決ってしまいますので、極端に低い谷を作らない事です。

      ・ この場合は、本体と蓋は特定の位置でしか、合わせる事が出来ません。

    ) 本体に山を蓋側に谷を設ける方法。この場合も直角方向に二箇所設けると安定します。

       蓋に出っ張りが無い為、蓋を外して下に置いても安定します。

       但し、本体の二箇所に山が二箇所ありますので、使う場合にはやや不便かも知れません。

       出来るだけ低い山と浅い谷にする事です。

       ) 切り離す用具はカッターナイフや針を使います。綺麗に切り離す為には鋭利な刃物を

       使いますが、切り易い乾燥度合いが必要ですが、容器の外側は乾燥が進みますが

       内側は中々乾燥しません。切り口は「なめし皮」で拭き、「バリ(毛羽たち)」等が残らない

       様にしておきます。

以下次回に続きます。

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造る47(蓋物5、丼を作る2)

2013-03-22 22:10:19 | 陶芸入門(初級、中級編)

4) 蓋付きの丼物用の器を作る。

  ④ 丼物の場合は、本体と蓋部を別々に焼成する事が出来ます。

     それは、焼成で本体に少々の歪みや狂いが発生しても、蓋が閉まらない危険が無い為です。

     その故、本体側の内側や口縁部に施釉する事ができます。

    一般に蓋物は、本体に蓋をした状態で焼成する事を基本にしています。

    別々に焼成すると、本体の口縁に歪みや狂いが発生した場合には、蓋が合わず蓋をする事が

    出来なくなってしまいます。蓋をした状態で焼成すれば、例え歪みや狂いが発生しても、

    少なくとも蓋をして本焼きした位置では、蓋と本体がぴったり合わせる事が出来ます。

    本焼きで歪むのは、殆どの場合本体側で、蓋で起きる事は稀です。

    尚、蓋を本焼きする場合、伏せた状態か、上に向けた状態で行いますが、下になる部分には

    施釉出来ません。 

5) 煮物を入れる丼は一般には蓋が付きません。

   蓋があると蓋受けが必要になり、この蓋受けが中の料理(煮物など)を取り出す際に、邪魔に

   なる事と蓋受け部分に釉が載らない(掛けられない)為、汚れが発生し易い為です。

   しかし煮物を一時保管する場合(次の日なで)や、煮物の冷めるのを防ぐ為などに、蓋を設ける

   場合があります。その場合の蓋の形状は、落とし蓋か乗せ蓋になります。

  ① 蓋受けの無い丼: 小さな丼ではあえて蓋受けを設けない場合もあります。

     味噌汁を入れるお椀と蓋の様に、落とし蓋の蓋受けが無く本体の内側を狭くして、その壁面に

     蓋が擦れる様にします。問題点として、蓋が安定せず蓋が回転して内側に落ち込む危険が

     ある事と、本体と蓋が側面で擦り合わされる為、蓋の開け閉めがし難い事、本体側に擦り傷

     が入り易くなる事です。

  ② 蓋受けを持つ丼: 蓋を必要とする丼では、蓋受けを設けた形にします。

     特に蓋が重量感(重たい)がある場合には、蓋受けを設けます。

  ③ 蓋受けの作り方。

   ) 手捻りの場合ですと、蓋受け部分を後付けする方法が一般的です。

      即ち、器の上部より0.5~1.0cm程度下の内側に、紐状の物を一周貼り付けます。

      紐の上部は竹へら等で水平にし、下部は三角風に指や竹へらを使い変形させます。

      上部が水平でないと蓋が「ガタツキ」ます。

      下部が三角風でないと中身を取り出す際に、引っ掛かり使い勝手の悪い事と、強度的に

      弱くなります。 又、蓋受けの内側は綺麗な円に成る様にします。

      尚、丸い紐ではなく、予め直角三角形の紐を作り取り付ける方法があります。

      当然の事ですが、本体と紐の乾燥度を揃える様にします。

   ) 蓋受けを轆轤で作る場合は、本体上部をやや肉厚してその土を使う方法と、上部の土を

      内側に折り曲げて使う方法があります。前者の場合が一般的な方法です。

     a) 肉厚な上部(口縁)の土を使い蓋受けを作る。

       口縁の外側を肉厚にして張り出させます。右手人差し指(内側)と親指(外側)で口縁を

       摘む様にして、内側の土を0.5~1.0cm下に押し込み段差を設けます。

       蓋受けとなる部分はやや肉厚になります。この部分を中指と人差し指で摘む様にして、

       内側に伸ばします。 蓋受け部より上部の口縁はなめし皮を使ってしっかり締めます。

       全体の形が出来たら蓋受け部の大きさを「トンボ」や「コンパス」で測っておきます。

     ・ 上記の如く指を使う代わりに、竹へらを使う方法もあります。

       肉厚な口縁を竹べらで二分し、内側を下に落とし込み蓋受けを作ります。

       指は丸い為、シャープな蓋受けが作り辛いです。その為爪を使って角張らせる方法を

       取る場合があります。竹べらによる蓋受けを作る方法では、蓋受けの角部がしっかり出

       せる利点があります。

     b) 土を折り曲げて蓋受けを作る方法。

以下次回に続きます。

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造る46(蓋物4、丼を作る1)

2013-03-20 17:43:54 | 陶芸入門(初級、中級編)

丼(どんぶり)は何処の家にも一つ位はある食器です。

 小さな器(小丼、10cm未満)から20~25cm程度の大きさの器まで、大きさはまちまちです。

  注: 丼と鉢は似た様な形をしておりますが、一般に底の部分が広めで、高さ(深さ)のある器を

     丼と言います。(厳密な定義は無いようですが・・)

     又、ご飯茶碗にも似た形ですが、茶碗が常に手に持つ必要性があり、軽く作られているのに

     対し、丼は必ずしも手に持つ事が少ない為、やや肉厚で重みがあり、中の料理が冷め難く

     なっています。

1) 丼は御新香や煮物を入れたりする物と、うどんや蕎麦、ラーメンなどの麺類を入れる容器として

   使われる他、所謂(いわゆる)丼物として、ご飯とおかずを一つに盛り付ける器として使用されます

   注:丼物(どんぶりもの)として、天丼、親子丼、かつ丼、海鮮丼、うな丼、中華丼、牛丼など多種類

      の丼物があります。

2) 丼には、蓋の付いた物がありますが、主に上記丼物と呼ばれる料理を入れる器の場合が顕著

   です。 麺類用の丼では蓋が無いのが普通です。

   丼物の形は他の丼とはかなり異なります。即ち口縁が極端な端反りに成っていて、その端反りの

   部分が蓋受けと成っています。

   又、丼を持って食する事もありますので、極端に大きくて、重たい事はありません。

   高台もやや高めの撥高台に成っています。

3) 蓋の無い丼は、蕎麦やうどん用の丼の様に、口縁が垂直に立ち上がっている形が多く、

   口径は20cm前後で、やや深めに出来ています。主に汁が一緒に入りますので、高台部も

   広く、安定感のある作りに成っている必要があります。

   ラーメン丼(鉢)は、底が狭く口縁が外に開いている形が多く、口径も20cm以上の物です。

   但し、高さ(深さ)は蕎麦などの麺類用の丼よりも、やや浅めになります。

4) 蓋付きの丼物用の器を作る。一般的には、電動轆轤挽きで作る事が多いです。

  ① 本体(身)を作る。

   ) 本体側に特別の蓋受けを作りません。底をやや広めに取ったら、土を上に伸ばしてから

      上部に行くほど径を広げます。丼の容量によって、直径と高さを決めます。

   ) 端反りの量は2~4cm程度と広く取る。この部が蓋受けと成ります。

       端反り部はやや内側に湾曲した形にし、蓋の移動を防ぎます。

   ) 端反り部の中央の径をコンパスで計っておきます。この寸法が蓋の直径に成ります。      

  ② 蓋を作る。

     蓋の形状は「こんもり」した山型にし、載せた具が十分収まる様にします。

   ) 蓋は天地を逆さにして作ります。即ち下側を摘み部分にします。

      摘み部分を削り出すか、後付けにするかによって、下部の肉厚に差が出ます。

      丼物用の蓋は蓋を取ったら逆さに置き、皿代わりに使う事が多く、摘みの直径も大きく

      3~5cm程度にします。摘みも撥形の輪高台風にし手の滑りを予防します。

      高さも 2~3cm程度とかなり高く、3~5本の指で安定して摘みあげます。

   ) 作り方は、やや深めの皿状とし、口縁は垂直にします。

      蓋の大きさは、本体を作った時に、計って置いた寸法で、本体の端反り部のおよそ中央に

      位置する大きさにします。この作り方では、蓋の寸法が少々狂っていても、さほど問題に

      成りません。

   ③ 本体と蓋を削る。

      本体の底は撥高台風に仕上げ、安定感を持たせます。

      摘み部分を削り出す場合には、摘み部分が肉厚に成っていますから、十分乾燥後に行い

      ます。 付ける場合には、摘み部を別に作り、蓋に接着する方法と、蓋の頂点に軟らかい

      土を載せ轆轤挽きする方法があります。後者の方法はやや熟練を要しますが、蓋の中心に

      摘みが付く事と、蓋の状態を見ながら、摘みの大きさや形を決められる利点があります。

以下次回に続きます。

   

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造る45(蓋物3、蓋物の作り方)

2013-03-18 22:35:49 | 陶芸入門(初級、中級編)

5) 蓋物の作り方:作品の大きさや形状によって作り方も異なります。

  ① 本体(身)と蓋がぴったり合う様に別々に造る。

     一般的な作り方で、大きな作品の場合はこの方法で行います。

     但し、蓋と本体をぴったり合わせる事は、ある程度の技術が必要です。

  ② 本体と蓋がぴったり合わすのが難しい場合、蓋をやや大きく造り、削り作業によって、現物

     合わせで仕上げます。

     蓋が本体にぴったり合わせる事は、初心者にとってはかなり難しい作業ですので、細かい

     部分は蓋側を削る事で、蓋と本体を合わせます。

  ③ 本体と蓋を一体に作り、蓋の部分と本体部分を切り離して造る方法。

     香合や小さな蓋物の場合には、風船作りの様に、本体部と蓋部を一体に作り、後から切り

     込みを入れ、蓋と本体を作ります。

     又、塊作りの方法で外側を作り、それを二つに割って本体と蓋にします。

6) 蓋物を造る時の注意事項。

  ① 轆轤挽きで制作の場合には、本体(身)と蓋は同時に作る必要があります。

     即ち、本体を轆轤挽きした直後に、蓋を轆轤挽きする事です。

     時間を置いてから蓋を作ると、蓋の大きさが合わなく成ってしまいます。

  ② 本体を轆轤挽きした直後に、蓋が載る口径を、コンパス(内パス)で計測して置きます。

     轆轤作業で一番作品が縮むのは、轆轤挽き直後ですので、このタイミングを逃すと、後々

     蓋と本体が合わなくなります。   

   ③ 本体(身)又は蓋のみを作る場合。

     蓋又は本体が破損してしまい、本体や蓋はそのまま使い、 再度一方のみを作る場合も

     有り得ます。この場合には、蓋や本体の制作直後の口径寸法(大きさ)を類推して作る事に

     なりますので、更に蓋をぴったり合わせる事は難しくなります。

   ④ 小さな作品では本体と蓋を一体に作りますが、作品の内側を空洞にする方法と、後から

      内側を掘り出す方法があります。

    ) 前者は比較的大きな作品の場合です。

       一般には風船作りと呼ばれる、作品の上部を完全に閉じる形に成ります。

       完全に閉じる処で「てこずる」事があると思います。土を細く締め上げる為には、ある

       程度の肉厚が必要です。どうしても最上部の肉厚が薄くなり易いですので、なるべく肉厚

       にして置く事です。尚最上部を細く尖らす様にすると、意外と容易ですし、この部分を

       蓋の摘み部に形作る事も可能です。又、完全に密閉状態に出来れば、外部からの力で、

       上部を丸く押さえ込む事も可能です。

       ・ 蓋と本体を切り離す際に、蓋の滑り止めを作る事に成ります。その方法に付いては、

         後日お話します。

     ) 後者の場合には、比較的小さな作品の場合です。

        内部を刳り貫くのは、肉厚に気を使い面倒な作業ですので、小さな作品に成ります。

        削り易い程度に乾燥してから、刳り貫き作業と蓋受け部を作る事に成ります。

   ◎ 蓋物の場合、焼成時の焼き方を考慮する必要が有りますが、詳細は後日に述べます。

以下次回に続きます。

       

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造る44(蓋物2、摘みについて)

2013-03-16 21:20:06 | 陶芸入門(初級、中級編)

4) 蓋を取る方法。

   蓋物では、必ず蓋を取る必要がありますが、蓋の形状によってその方法が異なります。

  ① 蓋に摘み(つまみ)を付けるのが一般的です。特に落とし蓋には絶対必要です。

    摘みの位置は、蓋の重心に来るように一箇所取り付けると、安定した状態で蓋を取る

    (一般には持ち上げる)事が可能です。

    摘みも一つの見所ですので、見た目の美しさと、本体(身)とのバランスと、摘み易い形状と

    更に、適度の大きさが必要になります。

   ) 摘み易い形とは: 摘みには轆轤成形(又は削り)による円形の場合と、タタラで作った

      ブリッジ状の物や、動植物をかたどった摘みや、不定形な塊の摘みもあります。

      ・ 香合(御香を入れる小箱)には、動植物をかたどった蓋が多いです。

     a) 手が滑らない形状である事。 3~5本の指で摘む事に成りますが、摘みの高さが

       低過ぎて摘み難い場合があります。又、素焼き時までは摘む事が可能であったものが、

       本焼き後に摘む事が出来なくなる場合が、意外と多いです。これは、釉のガラス質が

       滑り易くする為です。

     b) 指先が摘みの根元に食い込む形にする事。即ち、摘みに首を作る事です。

     c) 陶磁器製の蓋は意外と重たく感じます。それ故、土鍋の蓋の様な大きな物は、重心の

        位置に摘みを設けないと、重たく感じますしバランスよく取り上げる事も出来ません。

     d) 轆轤成形した場合、摘み部分を丸く削り出す事が多いですが、大きな蓋の場合には、

        蓋部分を別に作り後で接着する方法と成ります。

        蓋の部分に装飾性を持たせ、彫刻風の小物(動物など)を作り接着する方法も行われて

        います。

   ) 蓋に小孔(こあな)を開ける場合もあります。

      注: 穴は行き止まりの「あな」を意味し、孔は通り抜けている「あな」を意味します。

     a) 蒸気抜きの孔: 土鍋など火に掛けて内部を沸騰させる場合には、内部の圧力で、

        蓋が暴れ易きなりますので、これを予防する為、孔を開けます。

        但しこの場合、摘みの近くに孔を開けると、蒸気が摘んだ指に当たり火傷を負い易い

        ですので、摘み部分と距離を置く必要があります。

        場合によっては、摘み部分に紐を巻き付け、この紐を持ち上げて蓋をとる方法もあります

        ので、紐が取り付けられる様にした摘みもあります。

     b) 空気を入れる孔:急須や醤油差しの様に内容物(お茶や醤油など)を外に出すと、

        器内の圧力が下がり、出難くなります。空気を外から入れる孔があれば、スムーズに

        排出できます。この場合には、摘み部分の近くに孔を開ける事が多い様です。    

  ② 摘みの無い蓋。 乗せ蓋の場合に多いです。

    ) 蓋と本体(身)の大きさに差がある場合で、蓋>本体の場合には、蓋の周囲を片手又は

       両手(蓋が大きい場合)で持ち上げる事は容易です。

    ) 蓋と本体が同じ大きさの場合、手指の引っ掛かる場所は有りません。

       この場合は蓋の側面を、手指が滑らない様に強く掴み取り上げます。

       蓋の外形の厚みが十分ないと、手指が滑ります。

    ) 陶筥(とうばこ)と呼ばれる方形の蓋物は、摘みが無いのが普通です。

       蓋の形も台形型が多く、蓋の短辺を鷲掴みにして取るか、蓋の対角線の角部を両手で

       持って取り外します。いずれにしても、垂直に取り上げないと、スムーズに開く事が出来

       ません。

前置きが長くなりましたが、次回より実際の作品作りに付いて述べます。

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上絵付けの作品を再度本焼きする事に付いて

2013-03-14 22:18:39 | 質問、問い合わせ、相談事

Hiromi様より 以下の質問をお受けました。

質問なのですが、作品を本焼き(1230℃)した後、上絵(700℃)で焼き、再度 本焼き(1230℃)した場合、和洋絵具、金、銀、ラスター 等を施している場合、どの様になるのでしょうか?

作品をプレゼントした友人から 破損してしまったので、可能なら釉薬で接着して欲しいと頼まれたのです。

一度焼成した上絵に支障がない様でしたら、試みようと思っております。

実際に自分でやってみるのが一番いいのですが、
もしご存じでしたらアドバイスよろしくお願い致します。

 

明窓窯より

結論から言いますと、上絵付け後の再本焼き(1230℃)はできません。

1) 上絵付けの色や文様は消えて無くなります。

2) 金や銀色は本来の色に成りません。黒く変色してしまいます。

3) 上絵付け用の和洋絵具には、焼成出来る温度範囲があり、高くてもおよそ900℃位までです。

   一般には800℃程度で焼成します。

尚、上絵付けの件は別にして、破損した物は釉で接着できる場合と、出来ない場合があります。

 1) 出来る場合: 釉を着けなくても自立出来る場合には、接着可能です。

 2) 出来ない場合: 自立できない場合は接着不可能と思った方が正解です。

    本焼き用の接着材も市販されてはいますが、確実のものはありません。

    もしも接着が失敗した場合、剥がれた落ちた部分が、本体にくっついて、取れなくなります。

    こうなると、作品全体が「ダメ」になってしまいます。それ故確実に安全な事を確認の上

    釉で接着する事です。

 もし上絵を施すなら、釉薬で接着後に再度上絵付けをする事ですが、それより最初から全部を作り

 直した方が、見た目にも綺麗ですし、時間的にも早くなります。

割れた作品を直す方法として、金継ぎの方法もあります。又、陶磁器用の接着材が市販されています

食器類や水を長時間入れる花瓶などには向きませんが、カップの取っ手が取れた場合などには有効

ですので試して下さい。

以上

尚、この件で良い情報をお持ちの方がおりましたら、情報をお寄せ下さい。

 

1) Unknown (Unknown)様より、以下の情報を頂きましたので、記載します。

  (2013-03-15 )

  釉薬について検索してたどり着きました。

  今回書かれているような上絵具のあるものを接着するのでしたら、透明の上絵具(できるだけ低温のもの)はどうでしょうか?

  和絵具の上に金彩をされていたりすると無理ですが・・・  

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造る43(蓋物1、始めに)

2013-03-14 21:34:05 | 陶芸入門(初級、中級編)

陶磁器の器には、蓋(ふた)の付いた作品も多く存在します。

蓋とは、容器の入り口より若干広い面積以上を有する、板状又はドーム状の物で、入り口を塞ぐ物を

指します。尚、栓(せん)は容器の入り口とほぼ同じ寸法の棒状の物で、蓋の一種ですが、陶磁器製の

ものは、余り見かけません。

1) 蓋物の種類

  小さい物では香合があり、更に大きくなると、湯飲みや茶碗蒸しの蓋、急須や茶道の水指、

  丼(どんぶり)の蓋、土鍋、甕(かめ)、茶壷等の他、陶筥(とうばこ)や重箱等の食器類など種類も

  多いです。作品に応じて蓋の形も異なりますし、本体と蓋とがピッタリする必要があるものと、

  少々「ラフ」で良い蓋の場合があります。(陶磁器製ではピッタリ造る事はかなり困難です。)

2) 蓋の役割

  ① 埃(ほこり)や「ごみ」、害虫が入るのを防ぐ。

    長い間蓋をしないで放置または、保存した場合、空気中の埃が器の中に入ります。

    特に食べ物が入っている場合には、埃以外に蝿や害虫及び、カビ類の胞子なども入り、衛生上

    問題が生じます。それを予防する為に蓋をします。

  ② 保温効果を持たせる。

    暖かい天丼やカツ丼などの丼物には、蓋が付いて出される場合があります。

    保温の為と、ご飯とおかずを馴染ませる(蒸らす)効果もあります。

    お客用の湯飲み茶碗にも蓋の付いた物があります。この場合も保温が主目的ですが、提供

    途中での埃や唾などの異物の混入を防ぐ為でもあります。

    更に、土鍋などで煮る場合でも、熱の発散を防ぐ為、早く煮る事が可能です。

  ③ 容器内の乾燥を防ぐ。

    液体が有れば、時間と共に水分が蒸発しますし、食品なども乾燥が進みます。

    蓋は水分の蒸発を防ぐ役目もあります。

  ④ 料理上蓋が必要な場合。

    茶碗蒸しなどでは、料理の過程で必要になる場合があります。

  ⑤ 箱物の場合、平らな蓋であれば、その上に重ねる事ができます。

3) 蓋の種類

  ① 被せ(かぶせ)蓋:大きな箱(蓋)と、小さな箱(本体)を各々作り、被せ合わせた様な

    形の蓋です。 本体(身)の口縁と同形で、身の口縁よりやや大きく作ります。

    口縁が丸であれば蓋も丸くなり、口縁が四角であれば蓋も四角に成ります。

    蓋には外側に1周数ミリ~数センチの高さの鍔(つば)が下向きに着けられ、滑り止めとなって

    います。

  ② 乗せ蓋: 本体の口縁の形に合わせて、乗せただけの蓋です。

    ) 最も簡単な蓋は、単に平らで口縁と同じ形と大きさの板状の蓋です。

       平らの状態では強度的に弱く、やや中央に丸みを着けた方が丈夫です。

       この場合、蓋が自由にスライド(移動)する為、持ち運びには不便です。

       更に、平たい板状の土は反りが発生し易いと言う欠点もあります。

    ) 二方桟蓋(ゲタ): 方形の器の蓋の内側に平行な桟(さん)を取り付け、器の内側に

      添う様にして、滑り止めとします。下駄の歯の様な状態ですので「ゲタ」とも言われるそうです

    ) 器が円形の場合には、蓋の内側にドーナツ状の突部を設けて、滑り止めにします。

       器が小さな場合には、ドーナツ状ではなく、蓋の内側の外側を削り取り、全体を凸状態の

       蓋にします。(削り入り乗せ蓋)

 ③ 落とし蓋: 本体の中に蓋受けを設け、本体の中に落とし込む蓋です。

    蓋の端の表面と本体(身)の縁の高さが揃う様にした物です。市販の急須や、茶道の水指

    (但し共蓋の場合)などに見られる蓋です。

  ④ ヤロウ蓋: 蓋の内側に、蓋よりも若干幅のある板を貼り付け、木箱の内側に入り込む様に

     した、しっかりとした蓋で、陶芸作品などに使用されています。

  ⑤ 印籠蓋: ヤロウ蓋とは逆に、本体の内側に板を貼り付け、二重構造にするか、肉厚に作った

     本体の縁を一周削り落とし蓋受け部にします。

  ⑥ 新印籠蓋: ヤロウ蓋と印籠蓋の両方の特徴を持つ蓋の構造です。

     ヤロウ蓋は蓋側に、印籠蓋は本体側にそれぞれ段差を設けますが、蓋側と本体側に、段差を

     設け、一体に成るようにした構造に成ります。

  ⑦ スライド式の蓋:本体に二本の溝を設け、板状の蓋を差込みスライドさせる蓋です。

     縦方向にスライドする方法と、横方向にスライドさせる方法があります。

以下次回に続きます。

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