わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 54 型の作り方 2?

2014-12-31 21:39:53 | 素朴な疑問
3) 粘土を轆轤挽きして型を作る。(前回の続き)

 ④ 楕円の型を作る。

   轆轤は円形の形を作るのは、得意ですが楕円形は苦手です。そこで円形から楕円形に変形させ

   楕円の型を作るのが一般的です。勿論、既製品で適度の大きさの楕円の器などがあれば、

   十分利用が可能です。

  ) 轆轤挽きする際、単に丸い皿であれば、中空にする必要はありませんが、楕円形に変形

    させる為には、中空の方が変形し易いです。

  ) 楕円形の外側を使う型を作る。

    型の表面を綺麗にする為、上下逆に作ります。即ち、亀板の上に粘土の塊を載せ、土殺し

    後に、中心を掘り込み底を抜いてしまいます。作る方法は風船作りの要領で、最上部を

    なだらかな曲線にし、閉じた状態の太めの筒を作ります。最上部のなだらかさの形によって

    作品の形も変わります。

  ) 楕円に変形する。

   a) 上記亀板から糸で切り離し若干乾燥させます。手で触っても「ベトツク」事が無い程度に

    乾燥したら、左右両方から中央に力を加え変形させます。その際、手のみで変形させる

    場合や、手板などを使う方法があります。板ですと直線的になりますし、手のみでは歪み

   (いびつ)が発生易いです。それ故、手のひら(掌)全体を使い徐々に力を加えます。

    一度に変形し過ぎると、元に戻す事が出来なくなりますので、段階を追って力を加えます。

   b) 楕円は縦横の比率によって大きく形も変わります。円に近い楕円から、縦横の比が極端に

    異なる、細長い楕円形まで様々ですので、好みの形にする際には、縦横の比率を重視して

    下さい。

   c) 粘土は記憶性がありますので、乾燥すると元の円形に成ろうとして、若干元に戻ります

    ので、型はやや強めに加工します。

   d) 素焼きの型は「もろい」ですので、作品とは直接関係しない角部は面取りするか、

    「R」(丸み)を付けて保護します。

   e) 型を使って試作し、型の良し悪しを見極める。

    実際に、型に粘土を被せた際、思った通りの作品になるとは限りません。

    そこで、型の確認の為の試作をする必要があります。不具合な点があれば補修しますが、

    但し、型を削る方向は容易ですが、逆(粘土を盛る)の場合には面倒です。

   f) 型の確認が終われば、素焼きを行い完成です。

    尚、素焼き後であっても、若干ですが、ヤスリや金鋸などで加工することも可能です。

4) 型を使う時の注意。

 ① 陶芸を楽しむ人は、同じ型を何個も持つ事は少ないです。一個の場合が多く数個の作品を作る

  際には、先に型に被せた土が乾燥し、取り外さ無ければ、次の作品を作る事が出来ません。

  急いで、型から離すと作品が変形してしまう場合がありますので、十分乾燥させてから、型から

  外します。但し乾燥し過ぎると、収縮し過ぎて型から離れなくなったり、作品に「ひび」が

  入りますので注意が必要です。

 ② 素焼きの型は、石膏型よりも肌理が粗くなり易く、更に、水分の吸収もやや弱く、作品の

  乾燥具合もやや遅くなります。

 ③ 型と粘土の間に布を敷く方法がありますが、型に文様が彫り込まれている場合には、文様が

  ハッキリ出ない場合があります。その際には、片栗粉を「まぶし」し直接型に押し当てると、

  文様も現れる事も多いです。当然ですが、文様は深く彫り込む程、ハッキリ転写できます。

 ④ 楕円の型に、平らな粘土を押し付けると、当然粘土に襞(ひだ)がよりますので、襞が出来

  ない様にする必要があります。特に型の裾野に出来易く、一気に型に合わせるのではく、徐々

  に型に馴染ませます。即ち、出来た大きな襞を出来る数多くの襞にする事です。大きな襞は山谷

  の差が大きいですが、数を多くする事で、山谷の差を小さくできます。差が小さくなった段階で、

  両手を出来るだけ大きく広げ、頂上より裾野に向かって、型に粘土を押し付けます。

  尚、作業には手轆轤上で回転させながら行と、作業がし易いです。

 ⑤ 型に合わせた粘土の裾野は、場所により高さに差が出ますので、適当な場所で切り取ります。

  その際、型に入った状態の方が作業がし易いです。切り取った端面は肉が薄くなりますので、

  端面を押して厚みを付けます。型から取り外したら、端面を皮等で拭き取り綺麗に仕上げます。

以下次回に続きます。
   
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素朴な疑問 53 型の作り方 1?

2014-12-29 23:05:07 | 素朴な疑問
同じ形の作品や文様の作品を数多く作る際、型が有れば効率良く作業が出来ます。

特に、タタラで作る場合は、型の威力を発揮します。勿論、轆轤成形後に型に押し付け、所定の

器形にしたりして、型に文様を施す事も出来ます。

又作業のし難い容器の内側に細工する場合でも、型の外側に細工を施せば、容易に細工が付け易い

です。その細工は作品に転写されます。

基本的には石膏型を使いますが、陶芸材料店でも各種の型を手に入れる事も可能です。

しかし、出来るだけ自作する事です。又、家庭にある物や、100円ショップなどで売られている、

プラスチック容器(ボール、トレー等)も型として利用できます。

1) 素焼きの型。

 本格的な型は、石膏で作りますが、石膏の粉末の取り扱いに慣れない方は、むしろ粘土を素焼き

 して型を作る事を薦めます。

 ① 型には「割り型」と言って、数個に分割した複雑な物もありますが、ここでは一個の型を

  取り上げます。尚、「割り型」は主に鋳込み成型の場合や、複雑な形状の際に多く使われます。

 ② 型には、内型と外型があります。即ち、型の外側を使う方法と、内側を使う方法です。

  一番簡単な使い方は、外側を使う事です。即ち、型に被せる事で作品に仕上げます。

  内側を使う型の場合、型に沿わせるのが意外と面倒です。(絞り加工となります。)

  ) 外側を使う時には、粘土の乾燥具合に注意が必要です。即ち、粘土が乾燥すると縮みます

    ので、放置して置くと、作品にひびが入ります。頃合を見て、型から抜く必要があります。

  ) 内側を使う場合には、上記の心配はありません。粘土が乾燥し縮む事で、型から離れる

    事に成るからです。 

2) 汎用性のある一般的型としては、皿型の物(角、丸)筒型の物、丼や大中小の鉢物などが

   あります。但し、背の高い筒物は、底の無い筒を利用した方が便利です。

3) 粘土を轆轤挽きして型を作る。

  ほぼ円形に近い綺麗な形の良い型を作るには、轆轤挽きして作ります。勿論、型は円形の物

  ばかりではありません。楕円形の型を作る際も、綺麗な円形を轆轤挽きした後、楕円形に変形

  して型を作ります。

  ① 円形の凸型の型を作る。

    粘土の塊を亀板に据え、中央が盛り上がった状態の円に轆轤挽きします。中空にする必要は

    ありません。

  ② 乾燥後に好みの形に加工します。

   ) 六角や八角形の皿の形にする。上記凸状の周囲を鋭利な刃物で切り取り、六角又は

     八角にします。当然、小さくなりますし、乾燥で更に小さので、大きく作る必要があり

     ます。勿論、加工せずそのまま使う事も多いです。

   ) 更に、面取り風にするには、なだらかな曲面を平面に削り取ります。

     表面を荒らした状態ならば、作品の表面は荒れた状態になり、綺麗に研磨した状態で

     あれば、作品の肌も綺麗に仕上がります。

   ) 型に文様を彫り込む。勿論、「ネガポジ」の関係になり、作品に出来る模様の凹凸は

     逆に成ります。それ故、作品に凹んだ文様を付けるには、粘土を型に盛る(くっ付ける)

     必要があります。但し、彫り込むよりも作業は格段に難しくなります。

  ③ 型の裏側に持ち手を付ける。

   )作品を型に押し当てる際、型離れを良くする為、蚊帳などの布を使う方法と、片栗粉を

    作品側と型にまぶしてから押し当てる方法があります。前者の方が型と作品の位置の微調整

    が出来る利点があります。

   )叩き板などを使い、型に強く作品を押さえ付けますので、型から離れ無い場合があります

    更に型と作品が同じ大きさに成りますので、型を持つ場所を作る必要があります。

    その為、型の裏側に持ち手を彫り込む必要があります。勿論凸状の物を付ける事も可能

    ですが、型を据えた時、その凸状の物が邪魔になる場合がありますので、なるべく凹状に

    した方が、使い易いです。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 52 指痕の消し方 ?

2014-12-26 22:00:11 | 素朴な疑問
ここで言う指痕(跡)とは、作品の表面に残る指痕の事で、主に施釉の際に起こります。

勿論、指痕を景色の一部として認めている作品(特に茶道具など)も多いですが、一般には、見苦し

く消したい処です。消す(残さない)方法は、最初から指痕を付かない様に施釉する方法と、付けて

しまった指痕を、消す方法があります。

1) 指痕を付けない施釉の方法。

 ① 施釉用の道具(用具)を使う方法。

  ) 施釉用の鋏(はさみ)を使う。鋏は陶芸材料店で市販されています。

    作品を両側から掴み、釉の入った容器に浸します。引き上げると、直ぐに(30秒~1分程度)

    表面が乾燥しますので、手に持つ事が出来ます。但し、鋏で掴んだ部分は、点状に跡が残り

    ますので、筆や指で補修します。

  ) 金網と針を使う方法。

    金網に作品を上向きに置き、作品の一部を針で押さえ、転倒しない様に釉の容器に沈める

    方法で施釉します。作品の内側に溜まった釉の残りは、針で押さえ作品を斜めにして外に

    捨てます。塗り残し部分は針で押さえた部分と、底の金網の当たった部分ですが、ほとんど

    問題に成らない程度の痕跡となります。

 ② スプレー掛けによる方法。

   作品にコンプレサーや霧吹きで霧状の釉を吹き掛ける方法です。回転台の上で行えば、一様に

   施釉する事が出来、指痕も付きません。但し、屋外の作業になり、設備も必要ですので、

   一般的方法とは言えません。

 ③ 作品の持つ位置を考慮する。

  ) 高台が持てる程の大きさと高さがあれば、高台を持って漬け掛けや流し掛けで、施釉する

    のが一般的な方法です。普通3本の指で持ちますが、その際持った場所に指痕が付きます。

    指痕をなるべく付けない為には、持つ指を予め施釉に漬けて汚しておく事です。

  ) 板皿の様な四角い作品で、高台の無い作品は、対角線上の角二点を持ち漬け掛けします。

    即ち、なるたけ目立たない場所に指痕を残す事です。尚、高台がある場合は、)の方法で

    施釉します。

 ④ 作品の半分づつ掛ける。

  ) 作品全体を一度に施釉する利点は、施釉が一様に成る事です。半分づつ掛けるとなると、

    指痕は付きませんが、どうしても二重に施釉する部分が出る為、一部斑(まだら)になり

    ます。

  ) 背の高い作品ならば、上下で二分し一方を施釉し、乾燥後に他の一方を施釉します。

    鉢類などの作品は左右半分づつ施釉する方法もあります。いずれにしても、指痕は付きま

    せん。

  )碁笥底高台の場合、持つ処に困ります。この様な場合に、半分づつ掛ける事は有力な

    方法です。

  尚、二分する場合、なるべく目立たない場所にしたり、一方は持てる程度の空間を空けて施釉し、

  他方を多く施釉すると、良い結果が得られる事も多いです。

 ⑤ 付いた指痕を消す。

  ) 指痕の部分は、周囲が厚く施釉され指の当たった部分は、素地が露出した状態です。

   指痕は筆などを使い、濃い目の釉薬を塗ります。(一般に筆で塗った処の釉は薄めになり

   易いです。)

  ) このままでは、焼成後に指の痕がハッキリ現れます。そこで、厚く施釉された部分を

   剣先やカンナ等で削り取り、滑らかにし最後に指で軽く撫ぜ釉の凹凸を消します。

 ⑥ 施釉後の注意点。

  釉を掛けた作品は、濡れた手で持つ事は厳禁です。釉は単に作品の表面に載っているだけです

  ので、簡単に剥がれ落ちます。特に濡れた手や汗をかいた手で触れると、指の方に釉が移動し、

  釉が剥がれ、指痕となって残ります。又、釉によっては、乾いた手で触れただけでも、釉が

  薄くなり、本焼きした時に色が禿た状態に成りますので、窯詰めの際作品を持つ位置に注意する

  必要があります。
 
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素朴な疑問 51 色土作り方 ?

2014-12-25 22:30:20 | 素朴な疑問
色土は色々な場面で登場します。例えば、化粧掛け、掻き落とし、象嵌、練り込みなどが代表的な

技法ですが、その他、刷毛目、粉引き、飛鉋(とびかんな)等使い方によっては、色々な場面でも

応用の利く粘土と言えます。

一般に自然の土の色は、白、赤、黒、灰色、黄色、グレーが圧倒的に多いです。しかし、本焼き

程度の高い温度で焼成した場合、ほとんどの色が、白、グレー(灰色)、茶色(褐色)、黒になって

仕舞います。黄土や赤土は、鉄分を含んでいる為、黒~褐色の間の色に成ります。

以前は土に色を付ける場合、鉄や銅や呉須(ゴス)などを混入し、褐色や緑や濃いブルーを作り出す

程度しか手段がありませんでしたが、現在では、高温で発色する練り込み用の顔料が開発され、

様々の色の土が作れる様になりました。勿論、従来の金属を混入して色土を作る事も可能ですが、

練り込み用の顔料が市販されて、安価に入手できますいので、これを使う方が、容易であり綺麗な

色に発色します。

色土は、化粧掛けの様に、作品の表面のみに使用する場合と、土の中まで練り込む方法があります。

1) 化粧土として使う。

  一般には、白化粧土が使われますが、白化粧土に上記練り込み用の顔料(粉末)を添加して

  作る事が出来ます。尚、作るのが面倒な方には、各種の色土の化粧土も市販されています。

  赤やオレンジ色など自分で調合するのが難しい物は、市販品を使った方が確実です。

 ① 顔料の種類。 顔料は100g単位、又は500g単位で市販されています。

  青色: 白化粧土に市販の青い顔料や、呉須などを添加します。

  緑色: 白化粧土に市販の緑色の顔料や、酸化銅などを添加します。

  黒色: 白化粧土に市販の黒い顔料や、大正黒などを添加します。

  ピンク: 白化粧土に市販のピンクの顔料や、陶試紅などを添加します。

  黄色: 白化粧土に酸化チタンなどを添加します。

  茶色: 白化粧土に鬼板などを添加します。

  紫色: 白化粧土に市販の紫色の顔料を添加します。

  グレー: 白化粧土に市販のグレーの顔料を添加します。

 ② 添加量は色によって違いがあります。当然、添加量によって色の出具合が変化します。

   色の薄いピンクや黄色は多めに添加しないとハッキリシタ色はでません。

   粉末をその白化粧土に添加すると、色斑(いろむら)がでますので、顔料を乳鉢などに取り

   水を加えて良く掻き混ぜてから、化粧土に混ぜます。

 ③ 色化粧土は、原則生掛けで使用します。即ち、ある程度乾燥した生の土の表面に塗る事です。

2) 練り込み用の粘土(カラー粘土)

 ① 顔料の種類は上記の物と同じです。

 ② 使用する土に顔料を練り込みます。なるべく白い土の方が綺麗な色に成ります。

 ③ 練り込み用の粘土を作る。

  ) 顔料の添加量は3~10%程度です。薄い場合は3%程度で、濃い場合は8~10%

   程度です。

  ) 顔料は乳鉢に取り、水を加え良く練っておきます。

  ) 使用する粘土を細かく切り分けます。粘土は手で千切って細かくします。

     軟らかい顔料を添加する為、使う粘土は柔らか過ぎない事です。

  ) 千切った粘土の塊で、乳鉢の中の顔料を掬い取り、両手の指でこね回します。

     同様の作業を他の塊でも行います。全ての塊に顔料を添加します。

  ) 上記で出来た塊を全て集めて、菊練を行い完全に混ざる様にします。

     菊練された土を糸で切断し、その切り口の色が一様であれば、完全に混ざり、練り込み

     用の粘土は完成です。

  ④ 複数の色土を使う場合、見間違える事が多いですので、間違わない用に注意が必要です。

    土に練り込んだ場合、生のままや素焼きの状態ではほとんど発色しません。

    それ故、色の名前のラベルを張った容器か、紙の上に載せて、区別して粘土が混ざらない

    様にします。色土は、本焼きでの高い温度で、初めて所定の色に発色します。
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素朴な疑問 50 紐作りの紐の作り方 2?

2014-12-22 22:49:50 | 素朴な疑問
手捻り陶芸に於いて、粘土の紐は巻き上げて壷や花瓶等の、大きな作品を作る以外に、多くの

使い方があります。例えば、ビールジョッキやコーヒーカップの持ち手(把)等や、花瓶の耳の他、

作品表面に筋張等の装飾を施したり、大皿を轆轤挽きする際にも使用する等、多くの使い方があり

ます。又、使い方によって、紐の太さも変化しますので、好のみの太さの紐が作れる事が大切です。

1) 粘土で紐を作る方法。(前回の続きです。)

 ③ 粘土の紐を垂直に下に垂らしながら、両手で挟み込み、揉む様にして、細く伸ばす方法。

   この方法では、細く長い紐を作るのには、難しく不向きです。途中で千切れ易いです。

   又、常に手が紐に触れている為、手の熱が紐に伝わり易く、土の乾燥を早めますので、手早く

   作業する必要があります。

  ) 手の平(掌)の横幅よりやや長めの紐を作ります。

  ) 両手の手の平でを交互に前後させ、揉む様にして紐を転がします。両手に力が加わると、

    土は下に伸び徐々に細くなります。即ち手の平部の紐は太く、その下側が細くなります。

  ) 上下をひっくり返し、)の行為を続けます。

    ひくっり返すタイミングは、元の紐の長さの2~3倍程度に伸びた時です。

  ) 当然ですが、手の動きを一定にすれば、太い部分の回転は遅く、細い部分程回転は速く

    なります。回転が速いと下に伸びた紐は、振り回される事になり、切れ易くなりますので、

    細くなるに従い、紐の回転を少なくする為、手の動きを遅くする必要があります。

  ) 紐の半分づつを細くする。

    紐が長くなるに従い、作業がし難くなります。そこで紐の中央から上の部分を細くし、

    次いで、上下を逆にして中央部より他の部分を細くします。

  )この方法は、短くある程度の太さのある紐を作る際に役立ちます。

    例えば、ビールジョッキの取っ手などです。

 ④ 紐の応用例。

  ) 数本の紐を拠り合せて、一本の紐を作る。

   a) 二本拠りの捻れ紐。細い二本の紐をテーブルに横方向に平行に並べ、左(又は右)端を

    固定し、右(又は左)端を回転させて、拠って行きます。拠りの強さは回転数に比例します

    二本の紐の太さを変える方法もありますが、同じ太さの紐を使った方が容易に作れます。

   b) 三つ編みの紐。同じ太さの細い紐を3本用意します。長さもほぼ同じ様にします。

    三本の紐の先端を合わせ、他端は放射状に並べます。編み方の一例は以下の様になります。

    三本の紐を、一応、(手)前、中、後と呼びます。

    イ) 前の紐を中になる様な位置に移動させます。即ち、中の紐の上を乗り越えます。

      この段階で前、中、後 → 中、前、後となります。

    ロ) 後の紐を中の位置に移動させます。即ち中の紐の上を乗り越えます。

      この段階で 前、中、後 → 中、前、後 → 中、後、前となります。

    ハ) 中の紐を中心に移動させます。

      この段階で 前、中、後 → 中、前、後 → 中、後、前 → 後、中、前となります。 

    ニ) 同様の行為を繰り返しますが、交差させた際、合わせ目はキッチリ押さえ、三つ編み

      が緩まない様にします。

    尚、三つ編みの使い方は各自工夫して下さい。

  ) 紐でドーナツを作る。

    輪積みの方法で紐を積み上げる際に、ドーナツ状の紐を使います。その他にも多くの使い方

    があります。但し、注意する事は、紐の合わせ目に空気が入り易い事と、「糊しろ」が少く

    なく、強度的に弱い点です。その為、突合せではなく、両端を斜めに切り「糊しろ」を

    多くし、空気の入るのを予防する等の策をとります。
        
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素朴な疑問 49 紐作りの紐の作り方 1?

2014-12-21 17:39:03 | 素朴な疑問
手捻り陶芸では、土の紐を巻き上げて、大きい作品を作る方法があります。

手捻りでは、応用範囲の広い紐の作り方は、是非ともマスターしたい事項の一つです。

紐を作る際、真円に近い紐を作る事が大切ですが、初心者にとって意外に難しいようです。

長さが長い紐の程、繋ぎ目が少なくなり、空気の入るのも予防できますので、なるたけ長い紐を

作るのが理想です。更に、作品の大きさに合わせて、紐の太さを調節できる事が必要になります。

しかし、実際には、丸くない扁平の紐や、長手方向に一筋の線が入った紐、太さが均一でない紐、

長さが短い紐しか作れない方もいます。

紐を作るのは、一見易しそうに見えますが、実際に作ってみると、思う様にいかないものです。

1) 粘土で紐を作る方法。

 紐を作る機械も市販されていますが、一般には自分の手(指)を使って作ります。

 粘土で紐を作る方法には、幾つかの方法があります。

 ① テーブルの上に粘土を横たえ、両手を使って細く長くしながら紐を作る方法。

  手順は以下の様にします。

  ) きつく絞ったスポンジなどで、テーブルを濡らします。これは粘土の水分がテーブルに

    吸収されるのを防ぐ為です。紐が乾燥すると、千切れ易いです。

  ) やや軟らか目の粘土を適量取り、団子状態にし両手で挟みながら、やや長めの紐を作り

    ます。粘土の量は紐の太さと長さによって変化させます。紐の長さは10~15cm程度に

    します。この際に太さのバラツキがあっても問題ありません。

  ) 紐を濡れたテーブルの上に横方向に置きます。

  ) 両手の指で上から軽く押さえ前方へ転がし、更に手前側に転がします。

    転がす量は一回転以上必要です。その際、両手の指は親指を除いた4本の指計8本を使い、

    掌(手のひら)を使う場合と、使わない方法があります。

    更に片手の指同士は揃え接触させます。両手の指は同じように平行に揃えて使います。

  ) 前後に転がしながら、徐々に両手の間隔を広げます。即ち両手を左右に移動させます。

    移動させる事で、紐は細くなります。横に開く速度は緩やかにします。決して土を横に

    伸ばそうとしない事です。慣れるに従い、スピードアップも可能になります。

  ) 紐の状態を確認しながら作業を続けます。

   a) 紐が扁平になるのは、紐が一回転以上していない場合に起こります。

    回転し過ぎる事無く、一度に1~3回転程度にします。

   b) 紐に縦長の筋が入るのは、向こう側と手前側に回転させる際に、力の入れ方に差がある為

     です。

   c) 紐の太さにバラツキがあるのは、指が下に押す力が均等でない為です。

     当然ですが、紐が太い部分には、力強く細い部分には力を抜かなければ成りません。

     一部に太さに差があるの場合は、その部分のみを転がして細くします。

   d) 一部が細くなった場合には、両手を近付ける様に転がします。

     即ち、左右から土を中心に寄せる事で、紐を太くする事が出来ます。

     紐の両端は、極端に細くなったり、太いままになり易いです。

   e) 長い紐を作る。慣れた方なら50cm程度の長さの紐を作る事が出来ます。

     当然、テーブルの長さ方向のスペースは必要になります。

     中央から外側に向かって、全体を細くするのが原則ですが、状況を見て部分的に転がす

     場合があります。その際、必ずしも、紐全体を回転させる必要はありません。 

 ② 前記と同じ方法ですが、指の代わりに平らな板を使う方法があります。

   手や指では力の入れ方により、部分的に力が強くなり、太さがバラツク場合に、ある程度

   幅のある板を用いて転がします。板は奥行きが浅く、横に広いものを使用します。

   その際、板に桟(さん)などを設けるて持ち易くします。

  ) やや太目の短い紐を、濡らしたテーブルの上に横に寝かせます。

  ) 板をテーブルと平行に保ちながら、前後に土を転がす様に移動させます。

    力を入れ過ぎると、扁平な紐に成ってしまいますので、力は抜いて回数で稼ぎます。

    力は板全体に均等に掛かる様にします。

  ) 板の横幅には限界がありますので、あまり長い紐が作れません。横幅が広過ぎると、

    粘土の紐が見えなくなります。板を横に移動させれば、長い紐を作る事も可能ですが、

    その作業の繋ぎ目が綺麗な円に成り難いです。 

 ③ 粘土の紐を垂直に下に垂らしながら、両手で挟み込み、揉む様にして、細く伸ばす方法。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 48 自前の轆轤の功罪 2?

2014-12-19 22:06:46 | 素朴な疑問
轆轤作業に興味のある人は、自前の電動轆轤を持つ事が、最大の関心事かも知れませんが、持った

からと言って、好きな時間に好きなだけ、作業できる訳ではありません。

多くの場合、時間があるのもかかわらず、中々作業に取り掛かれない物です。

前回お話した様に、自宅に電動轆轤を備え付けても、轆轤作業に取り掛かるには、それなりの準備が

必要に成る為、直ぐに取り掛かる訳にはいかず、その行為が喜びのはずの轆轤作業の楽しみを

減衰させる事に成ります。更に言えば、人間は「切羽詰まって」初めて物事に取り掛かると言う

傾向が見られ、何時でも出来ると言う考えから、中々「身が入らない」事も多いです。

3) 一人での轆轤作業は意外と大変です。

 ① 轆轤作業を行っている時には、大抵の方は他の事を考えずに、神経を集中していますので、

  一人の事は苦に成らないはずです。

 ② 轆轤作業は苦になら無くても、それに付随する準備や後片付け(掃除など)は意外と面倒で、

  どうしても翌日に回したくなります。仮に翌日再び轆轤作業を行いたいと思っても、前日の

  後片付けを終われあせてから行う必要があります。

4) 轆轤作業が上手く行かない場合の対応に苦労するはずです。

 ① 轆轤作業を、誰の手助けや相談無く出来る為には、多くの経験が必要です。

   多くの場合、経験不足の為途中で中断する事も珍しくありません。又、轆轤作業はその日の

   気分によっても、好不調が現れます。不調は単に体調だけの問題だけでなく、粘土の状態や

   作業場の環境によっても左右されます。

 ② 上手く行く時よりも、失敗する事が多いのが、轆轤作業です。特に轆轤作業に慣れていない方

   は、その度に意欲が減退し勝ちです。仲間がいれば気分転換に他の作業をする事で、一時気を

   紛らす事も可能ですが、一人の場合は、そこから中々抜け出せない事に成り勝ちです。

5) どの様な条件が整えられば、自前の轆轤を持つ事が可能か?

 ① 少なくとも、土練がマスターできている事。

   即ち、土の中の空気を完全に追い出す事が出来る事と、粘土の硬さの調整が出来る事です。

   土に硬い処と軟らかい部分が同居している状態では、轆轤は挽けません。又、空気が入って

   いる場合でも、轆轤は上手に挽く事が出来ません。勿論、土練機があれば、ある程度硬さの

   調整は可能ですが、自前の轆轤を持ったばかりの人には、贅沢品かも知れません。

 ② 土殺しが完全に出来ること。

   土殺しは轆轤作業の基本的中の基本事項です。これを「おろそか」にすれば、まともなな

   作品は出来ません。当然、土の量が増えれば、力も必要になりますし、轆轤挽きの姿勢も

    定まっていなくては成りません。土の量は少なくても1Kg以上の粘土の塊を、土殺しが

    出来なければ、大きな作品は出来ません。

 ③ 轆轤作業は手順を踏んで、作業を行いますので、頭で考えなくても、自然と体が動いて作業が

   出来る事です。轆轤作業はある意味、時間との勝負ですので、じっくり考えている時間は

   有りません。手順が十分身に付いている事が重要です。

 ④ 轆轤作業中には、色々なアクシデントが発生し易いです。それに対応できるだけの技量や知識

   が必要になります。例えば、土の振れが発生した場合や、「よれ」が発生した場合、水を吸い

   過ぎ土が「へたり」掛けた時などに、いかにすれば、元の体制に整える事が出来るかの技術や

   知識などが必要です。

 以上の様な事柄がマスター出来ていないと、轆轤も上手くなりませんし、いつも失敗を繰り返し、

 次第に轆轤から遠のく結果になり、轆轤は宝の持ち腐れ状態に成り易いです。

 手頃の値段の小型の電動轆轤もありますが、本格的に轆轤を憶えたいと思うなら、それなりに馬力

 のある轆轤を購入したいです。但し、基本的事項などをマスターした後でも遅くは有りません。
  
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素朴な疑問 47 自前の轆轤の功罪 1?

2014-12-11 22:35:03 | 素朴な疑問
電動轆轤をある程度経験された多くの方は、自前の轆轤を持ちたいと思うのは、最もな事です。

・ 自分専用の轆轤を得る事で、何時でも好きなだけ轆轤作業が出来、轆轤技術が格段に上達すると

  期待するからです。しかし、現実には期待通りに行かないものです。

・ 良く聞く事ですが、写真に興味を持ち写真に「のめり込んで行く」に従い、高価な良いカメラが

  欲しくなります。高価なカメラで傑作の写真が取りたいと思い、高価なカメラで傑作が撮れると

  思い込んで購入した場合でも、折角手に入れたカメラを十分に使いこなす事なく、お蔵入りさせ

  てしまったりう事も稀ではありません。

・ 同様に、釣りに興味を持ち、高価な釣竿を手に入れれば、大きな魚が釣れる錯覚に陥り(おち

  いり)易いです。しかし、良い釣竿であるから、大きな魚や大漁に成る訳ではありませんので、

  次第に釣りの興味が薄れてしまい、宝の持ち腐れ状態となる場合も珍しく無いそうです。

・ 人によっては、道具を揃える事で満足し、そこで終わってしまう人もいる様です。

・ 同様な事が電動轆轤に付いても言えます。小生の経験から言うと、電動轆轤を自前で持った場合

  十分使いこなす事が出来ない事もありますが、何時でも出来ると言う判断から、逆に陶芸から

  遠のく人も沢山見てきています。

前置きが長くなりましたが、ここから本題です。

1) 各メーカーによって電動轆轤にも色々な種類がありますが、一般的には馬力の強い物を選ぶ

  事です。

 ① 「ターンテーブル」も30cm程度は欲しいです。馬力の無い電動轆轤では、大物を

  轆轤挽きする事はできません。弱い馬力の轆轤では、土殺しの際、轆轤がストップしてしま

  います。亀板を使えば「ターンテーブル」も30cm程大きくしなくても良いのですが、大きい

  物は作業がし易いです。

 ② 無段変速付きの轆轤を選びます。作品の直径の変化に合わせて、回転速度を変化させる為に

   どうしても必要な機能です。

2) 電動轆轤を購入すると、当然作業場が必要に成ります。

  上で述べた、カメラや釣り竿と違い、轆轤作業の出来る環境を整える必要があります。

 ① 手捻り陶芸であれば、居間やキッチン等の場所で作陶が可能ですが、電動轆轤の場合は、

   最低一坪(畳2枚)程のスペースが必要です。

 ② 更に、水を大量に使いますので、轆轤の周囲は確実に泥で汚れます。それ故、居間と言う

   訳には行きません。泥の他に、削りカスも発生し微粒子として空中を舞う事にもなりますので

   換気扇なども必要に成るかも知れません。又、掃除のし易い様に整理整頓の出来る場所である

   必要もあります。

 ③ 電動轆轤に付随する、道具類も手元に置く必要がありますので、そのスペースも必要になり

  ます。土を練る台は必須条件で必要になります。勿論他の場所で練り、持ち込む事も可能ですが

  面倒で厄介な事に成ります。尚、施釉や焼成は外部に委託する事も可能ですので、釉や窯の置き

  場所等は、当面持つ必要が無いかも知れません。

 ④ 轆轤作業では、手や道具類は泥だらけになりますので、洗う必要があり、洗い場も近くに

  用意したいですが、やや離れた場所でも、厄介ですが問題ありません。

 ⑤ 更に、作品を保管して置くスペースが必要になります。

  轆轤挽きした作品は、底削りの為に半日程度は自然乾燥させたいです。削り終えた作品は窯入れ

  まで、保管して置く必要があります。作品の数が増えるに従い、作業場所はいよいよ狭くなり

  ます。

 ⑥ 電動轆轤は数十キロの重さがありますので、床が丈夫でなければなりません。更に一度設置

  すると、移動させる事が困難になります。

 以上の様な色々な条件を「クリア」して電動轆轤を持っても、次なる試練が待っています。

以下次回に続きます。 
   
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素朴な疑問 46 なぜ底割れが起きるか2?

2014-12-10 22:27:35 | 素朴な疑問
2) 底割れの原因は、乾燥時と本焼き時に土が縮む事が原因です。(前回の続きです。)

 ② 乾燥は作品の各部が一様には起こりません。

  ) 自然乾燥の場合、外気に触れる割合が多い程、早く乾燥します。即ち、作品の外側から

    乾燥が始まり、内側へと乾燥が進みます。

  ) 特に作品の底の部分は、底の外周辺から乾燥が進みます。その為、底の外周は小さくなり

   ますので、底の中心方向に力が働き、「底割れ」は起き難いはずと考えます。但しこれは、

   作品全体を見た場合で、底の外周をミクロ的に見ると、様子が異なります。

   一番外側は底の中心方向の力ですが、そのわずかな内側では、縮む為に外側へ向かう力が働く

   事になります。即ち、縮むとは四方八方からその部分の、中心方向に力が働く事に成ります。

  ) 底の中心部は、乾燥が遅いです。特に、底面がテーブル等に載せている場合は、下面が

    密封状態の為、空気の循環が行われず、乾燥が更に遅れる事に成ります。

    乾燥の遅い部分は、周囲の乾燥の力に合わせて、外側に引っ張られます。

  ) 引っ張る力に打ち勝つ事が出来れば、「底割れ」は起こりません。

    その為には、素地が締まっている事です。大皿などの場合には、拳固で底を叩き締めてから

    成形に取り掛かるのは、「底割れ」防止の為です。

    轆轤挽きの場合、大物以外は土殺しを行って直ぐに、制作に取り掛かります。中央に穴を

    掘り込み、底を作りますがこの際上から下に力を加え、土を締める事である程度の「底割

    れ」を防ぐ事が出来ます。

 ③ 素地が濡れている程、乾燥は遅れます。特に轆轤挽きの際には、多量の水を使います。

   その為、底の内側に水が溜まります。轆轤挽きの最後の工程として、この水をスポンジ等で

   吸い取ります。出来ればスポンジに力を入れ底を締め、「底割れ」を防ぐ様にします。 

 ④ 肉厚の厚い程乾燥は遅くなる。

   「底割れ」の原因の一つに、肉厚に差がある事です。即ち、薄く作った部分は早く乾燥し、

   肉厚の部分は乾燥が遅れます。底周辺の肉厚は、削り作業で調整する事が多いです。

   多くの場合、作品を伏せて削りますので、慣れない方は、肉厚を確認しながら削る事が出来

   ません。多くは削り不足となり勝ちで、作品が必要以上重くなります。

 ⑤ 肉厚が厚いと「底割れ」を起こし易いです。

  ) 一見、肉が薄い為に「割れ」が発生すると考え勝ちですが、実際は肉厚が厚い部分に多く

   発生します。

  ) 肉が厚い事は、乾燥が遅い事に成ります。その為、外力の影響を受け易く、周囲から

    引っ張られると、「底割れ」を起こし易いです。

  ) 高台周辺部分の肉厚が厚い場合で、その部分の乾燥が速い時には、その肉厚部が大きな

    引く力が発生します。肉が厚い程引っ張る力は強くなります。その結果、周囲の乾燥の甘い

    部分が肉厚方向に引っ張られ「割れ」が発生します。

    それ故、作品の肉厚を均等にする事が、「底割れ」予防となります。

  ) 肉厚が厚い部分では、乾燥時だけでなく、本焼きの場合も同様の現象を起こしますので、

    「割れ」は更に広がります。本焼きで「割れ」の幅が狭まる事はありません。

3) 素焼きや本焼きで「底割れ」が発生した場合、ほとんど修正不可能です。但し、二度目の

   本焼き(同じ温度の場合)で、更に広がる事はありません。そこで、一度目の本焼き後に

   補修し再度焼成する事で、完全ではないが補修する事が出来ます。

  ) 補修の方法は、割れ目に補修用の接着剤やシャモット(焼き粉)を埋め込み、その上に

    釉を厚めに掛け、釉で接着します。

  ) 裏表の両面から行うと効果的です。但し「ベタ高台」の場合は裏面に釉を掛ける事は

    出来ません。

  ) 補修の方法として、漆を用いて金粉で割れを繋ぐ方法もあります。

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素朴な疑問 45 なぜ底割れが起きるか1?

2014-12-09 22:11:06 | 素朴な疑問
底割れは、比較的多く起こる現象です。特に底の広い作品や、轆轤挽きした作品に多く発生します。

底割れは、素焼きや本焼きで起こる事もありますが、圧倒的に素地の乾燥時に発生する事が多いです

素焼きや本焼きで突然発生した様に見えますが、実際には乾燥時に確認できない程度の「ひび」が

すでに起きている結果、焼成でよりはっきりと出現する事になります。

例え成形が無事に終わっても、安心は出来ません。乾燥時に突然底割れが現れる事も珍しくは無い

からです。多くの場合、大きく底割れが発生した後に見つける事になります。

又、底割れを起こし易い人もいます。底割れの原因はある程度判明し予防できるのですが、なぜか

どうしても一人の人に集中して起こり勝ちです。多分その人独特の「癖」や習慣が関係していると

思われます。

尚、「底割れ」に付いては、以前に何度か述べていますので、重複するかも知れません。

ご了承して下さい。

1) 底割れの特徴。

 ① 底の中央付近に、一本の直線又はやや曲た線として現れます。割れがひどい場合には、底を

  数mmの幅の溝が貫通しています。程度が低い底割れの場合は、主に内側の中央部分に数cmの

  長さで「Iの字」状に現れます。

 ② 小さな「ひび」が成長して「割れ」へと発展して行きます。

  轆轤挽き直後の濡れている作品には、「ひび」は入っていません。例えこの段階で「ひび」に

  気付いていれば、「皮」や指で撫ぜて補修する事ができますので、「割れ」まで成長する事は

  有りません。

 ③ 一度発生した底割れは、の補修はかなり難しいです。

  ) 素地の乾燥と伴に「割れ」は発生しますので、「割れ」始めを見つける事は中々困難です

   なぜなら、制作し終えた作品を常に監視している事はほとんどありません。

  ) 乾燥以前であれば、「ひび」の周囲の土を「ひび」の方に移動させて、補修する事が

   出来ますが、乾燥している状態では、周囲の土の移動が困難ですので、その「割れ」た部分に

   同じ土を盛る事に成ります。

  ) 当然盛った土は柔らかいですし、乾燥の進んだ作品との収縮に差が出てきます。

   即ち、後から盛った土は大きく縮む事になります。その為、補修しても補修部分に、更に

   「割れ」が起る事になります。

   要するに、確実に「割れ」の溝に新たに土を充填する事ができませんので、補修できない

   訳です。数度の補修を繰り返す事で、どうにか素地の段階での「割れ」を補修できても、

   本焼き時には、作品が縮みますので、弱い補修部分に「割れ」が発生します。

  ) 素地の乾燥時に「割れ」が見付かった場合、素焼きに進まずに、この段階で「お釈迦」

   にします。素焼きを行うとより悪い結果になるからです。この段階ならば、素地を再生する

   事が出来るからです。

2) 底割れの原因は、乾燥時と本焼き時に土が縮む事が原因です。

 ① 土が縮む原理は乾燥時と本焼き時では、若干の違いがあります。

  ) 乾燥と伴に素地の水分は、徐々に蒸発して行きます。同時に体積を小さくしようとする

    現象が起こります。

  ) 体積を小さくする際、各粘土粒子は中心に向かう力が働きます。その為、各粒子は綱引き

    の様に引っ張り合います。引っ張り力の弱い処は、両側から引っ張られ股裂き状態になって

    「ひび」が入り、やがて大きく成長して「割れ」と成って現れます。 

  ) 乾燥時には水分が関係していますが、本焼き時の収縮は水分とは関係なく、粘土自体の

    質的変化の結果起こります。

以下次回に続きます。
  
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