わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 (向付3, 織部)

2010-06-11 22:37:17 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
向付の話を、続けます。

織部は、染付け(後述予定)と共に、人気の有る向付です。

1) 織部の向付

  美濃の焼き物も、黄瀬戸から、志野、織部へと発展して行きます。

  黄瀬戸の円形、志野の四方形、そして織部では、不定で、形が複雑になり、

  絵柄も、多様化してきます。

 ① 織部の向付の特徴

  ) タタラ造り(板造り)

   形が不定形ですので、轆轤では成形せず、タタラを、型に押し付けて、作品を造ります(型起し)。

   蚊帳などの、布を型に置きますので、布目の痕が付いているのが、普通です。

  ) 形と絵付け

   ・ 青織部と呼ばれる、緑釉(銅釉)が掛けられ、余白部分に、鉄絵が描かれ、鉄絵の部分に、

     透明性の、釉が掛かっています。文様も動物文、植物文、幾何学文、抽象文など色々あります。

   ・ 黒織部と呼ばれる物は、黒い釉が、青織部の替りに、掛けられています。

   ・ 鳴海織部は、白土と赤土を、継ぎ合わせて、成型した物です。

   ・ 総織部は、青織部一色の、釉を掛けた物で、鉄絵はありません。

     形と絵付けは、多様で、具象的なものから、抽象的な物まで、実に多くの種類が有ります。

  ) 代表的な、向付の形

     誰袖(たがそで)、州浜(すはま)、扇面(せんめん)、木瓜(もっこう)、分銅(ふんどう)、

     松皮菱(まつかわびし)、結文(むすびぶみ)、隅切(すみきり)、舟形、田楽(でんがく)、

     三亀甲(みつぎっこう)、六角、八角、円形(轆轤成形)などの他、手付きの向付など、

     多種に渡ります。

   ・ 誰袖: 衣桁(えこう)に架けられた、衣の袖を、連想させる形から、名が付けられました。

   ・ 州浜: 浜辺と入り江の姿を表し、 三角洲など浜辺に出来る、島形の洲の事で、その形に

     似ている為、名付けられました。

   ・ 扇面: 扇(おおぎ)型をした器で、扇を二枚重ね合わせた、形もあります。
     
   ・ 木瓜: 胡瓜(きゅうり)の、切断面の様な、形で、花菱の周囲に四鐶(かん)を巡らし、

         これを、四葉で囲んだ物が、基本的な形です。

     その他の形についての、説明は省略します。興味の有る方は、調べて下さい。

  ) 形と大きさ

     形が不定形ですので、寸法が表示し辛いですが、 一般に、長径が12~15cm、高さが5cm

     程度です。

     底は、広く平坦で、3~4個の、半月状の、脚が付いています。
  
    ・ 筒向付(深向付)と呼ばれ、深い為、中の料理が見えない所から、“のぞき”とも言われる

      物もあります。形も色々有り、細長く、高さも8~10cm程度です。

      又、蓋付きの、向付も有ります。
    
次回に続きます。
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