わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 303 陶芸の手順とは20(窯入れの手順4)。

2017-08-25 19:56:54 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。

 ⑤ 窯詰めの実際。(前回の続きです)

  ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。

  ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。

  ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。

  ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に

   積み上げる方法があります。(以上が前回の話です)

  ⅴ) 横扉型の窯では、上部に行く程作業がやり難くなります。

   窯の天井部との隙間が段々狭くなる為で、作品の置く位置も前方方向から見える程度で、次第

   に不明瞭に成り易いです。注意する事は常に周囲の作品との間隔で、隣と接触しない隙間が

   必要です。天井部との隙間も多めに取ります。出来れば10cm程度空けると良いでしょう。

   隙間が狭すぎる場合、天井に当った炎が反転し下に向かう隙間が不足し、窯全体に熱が伝わり

   難くなります。この状態では温度上昇も「はかばかしく」ありません。

   尚、作品を手に持つ場合、釉によっては釉が薄く成ったり、剥がれてしまう場合があります。

   それ故、作品の何処を持つかも重要になる場合もあります。勿論触れる場所が狭い程良いの

   ですが・・・。

  ⅵ) 棚板を支える各支柱は下から上まで、一本の線状に成る様にします。

   これは、作品の重量や揺れを安定的に支える為です。支柱が「アチコチばらばら」では、

   十分支える事は出来ません。   

  ⅶ) 窯積めで注意する事は、不安定な作品は出来るだけ、据わりを良くする処置をとる必要が

   あります。下面(底)が狭い作品は重心も高く、不安定になります。作業途中で隣同士が接触

   し、釉剥がれの原因にもなります。窯積め時には安定していても、窯の中での不測な爆発事故

   や、窯焚き中の地震などで、不安定な作品が倒れる恐れも起こります。底が不安定の場合には

   楔(くさび)状の粘土片を差込み安定させる事もできます。隣の作品に倒れ掛かった作品は、

   「ひっつき」と呼ばれ珍重される事も稀にはありますが、多くの場合、一方の作品を破壊し、

   他の一方を救う事が多いです。

  ⅷ) 織部釉の様に、銅を使った釉では銅が揮発する現象が見られます。揮発した銅が隣の作品に

   転写する事があります。その為、直ぐ隣の作品の表面が汚れます。酸化銅を広い面に釉として

   使用する場合には、いつもより距離を多くとるか、同じ釉の作品を並べる必要があります。

   尚、釉の揮発現象は、おおむね酸化銅を使った釉に限られます。

  ⅸ) 割れた棚板も使い方によっては重宝します。

   棚板が割れる主な原因は、立て掛けて保管した棚板が何らかの原因で倒れる事です。

   割れ方も千差万別ですが、おおむね棚板に刻まれた線に沿う事が多いです。即ち二分されるか

   三分割される事になります。但し割れた端面はギザキザに成っていますので、砥石やダイヤ

   モンドやすり等で、滑らかにします。大小異なる作品を同じ棚板に載せる必要が出る場合も

   珍しくありません。その際、施の低い作品の上に割れた棚板を載せ、その上に他の背の低い

   作品を載せ背の高い作品とバランスを取る事ができます。同時に無駄なスペースを無くす事に

   なります。

 ◎ 最後に窯詰め忘れに注意の事。

  何らかの理由で窯に入れるべき作品を、入れ忘れる事があります。忘れる理由は色々あると思い

  ますが、窯焚きが始まってから気が付く事もあり、窯出し終了後に気が付く事もあります。

  いづれにしても、次の窯焚きまで約1ヶ月以上待たねば成らなくなります。急いでいる作品では

  間に合いません。それ故、窯詰めが終了した段階で、作品置き場などを再度点検し忘れ物が無い

  事を確認する事が大切です。多くの場合他の物の陰に隠れているか、忘れない様に特別な場所に

  保管して、うっかり忘れる場合さえもあります。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 302 陶芸の手順とは19(窯入れの手順3)。

2017-08-18 19:30:41 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。

 ① 陶芸は窯が命です。

 ② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。

 ③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。

 ④ 窯詰めは下部奥から始める。(以上が前回の話です)

 ⑤ 窯詰めの実際。

  施釉した作品が窯の傍にあれば良いのですが、窯から離れている場合には、窯の近くまで持って

  来る必要があります。小物であればまとめて運びますが、大きな作品では一個一個運ぶ事になり

  ます。窯が屋外にある場合、屋根続きでなければ雨天の日では、窯詰めできません。施釉した

  作品に、雨水が当たると剥がれたり、斑(まだら)模様に成ってしまいますので、雨水が当たら

  ない様にしなければなりません。出来れば雨天での窯詰めは避けた方が無難です。

  ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。

   窯詰めの仕方一つで、焼きの良し悪しが左右されるからです。温度の上昇や酸化還元など色彩

   にも関与しますので、窯詰め作業は疎(おろそか)にできません。更に、商業的な窯焚きでは

   別ですが、一般は常に同じ様な作品や同一釉のみを使う事は、むしろ稀な事で一回一回異なり、

   色々の形の作品や釉を使うのが普通です。その為、毎回窯詰めも異なります。前回良く焼けた

   からと言って、次回も同じ様に焼成出来るとは限りません。そこが窯詰めの難しさかもしれま

   せん。但し長く同じ窯で焼成し続けていれば、どの様に窯詰めすれば良いかが、自然に会得で

   きる様になります。

  ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。

   それ故、どの作品をどの位置の棚板に載せるかは、ある程度予測して置く必要があります。

   和食器の様に、三客又は五客が一揃えと成っている作品では、出来るだけ同じ棚板に載せて焼

   くと色合いが似てきます。但し、棚板の端と中央部分では異なる事も多いです。それは作品の

   陰に入って炎や熱線の通り道が、端の作品とは異なる為です。特に大物の後ろ側に影響が出易

   いです。

  ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。

   一般には同じ大きさの棚板を載せますが、最上部などでは、大きさの異なる棚板を載せる事も

   あります。出来るだけ沢山窯詰めしたいのですが、詰め過ぎると温度上昇も弱く「焼き不足」

   になる危険性があります。逆に作品の量が少な過ぎる場合にも、温度上昇は悪くなります。

   即ち、熱が作品間を素通りし、熱が作品や窯に蓄積されない為です。その場合には、支柱など

   ダミーの物を入れ、容積を増やすと良い結果になります。

   又、作品の最上部と新たな棚板の隙間も重要になります。素焼きした作品は本焼きすれば、

   高さも収縮し自然と隙間も大きくなるので、上の棚板がぶつからないギリギリの高さでも良い

   訳ですが、出来れば指一本程度の隙間を残す事で、熱の流れも良くなります。

  ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に

   積み上げる方法があります。又窯の前後で複数枚の棚板を使う場合には、奥側の棚板を先に

   積み上げ、その後に前側の棚板に詰める事で、作業がやり易くなります。特に頭部を窯の中に

   差し込む格好での作業ですと、手前側の作品が邪魔に成りますので、窯詰めの順序を考える

   必要があります。更に利き手側には常にスペース的に余裕を持つと、作業もはかどりなす。

   支柱は三本で行うのが基本ですが、四本で行う事もあります。三本だと上部の棚板が安定する

   事と、棚板上に多くの作品を載せる事が可能になります。但し、棚板に「ひび」が入っている

   場合には、四本立てる場合もあります。尚、棚板の「ひび」は棚板の幅の1/3程度ならば安全

   と言われています。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 301 陶芸の手順とは18(窯入れの手順2)。

2017-08-15 09:47:22 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。

 ① 陶芸は窯が命です。

 ② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。(以上が前回の話です)

 ③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。

  ⅰ) 窯の扉には多くの種類があります。但し、薪窯の様に扉と呼ばれる物が無い窯もあります。

   ここでは、薪窯に付いての説明は除外します。

   一般には、横方向に開閉する方式が多いのですが、上扉型もあります。又シャトル式と呼ばれる

   方法は、窯詰めする部分を台車に載せて手前に引き出し、台車の周囲から窯詰めする事が可能

   で、窯詰め作業も容易になりすが、窯が大きくなり高価ですので、余り一般的ではありません。

  ⅱ) 窯の容積は限られていますので、狭い空間で行う事になります。

   その為、手際良く窯詰めしないと、途中でやり直す事も多いです。容積の大きい窯では、複数

   の棚板を使います。一枚の棚板には同じ高さの作品を並べるのが一般的ですが、天井部が

   アーチ型に成っている窯では、アーチに沿わせて作品の大きさを変える事になります。

   尚、特に高さが高い作品は、支柱を必要としない最上部に窯詰めします。

   多いトラブルは作品が予定の位置に入らなく事です。窯にはスペースが十分に有るのですが、

   どうしても特定の作品が入らない場合があります。作品に一寸した出っ張りがある為や1~2mm

   程度高さが高い為など、最初には余り予想もしなかった自体に遭遇する事も多いです。その為

   一度窯詰めした作品を外に出し、入れ替え戦をする事も多いです。入れ替えを行うと、周囲の

   作品に接触したり、手で持つ為施釉の一部が剥がれる事もありますので、なるべく入れ替えは

   しない方が良いです。

  ⅲ) 窯内の温度変化は一様ではありません。この事を上手に利用する。

   窯の上部は温度上昇が早く、下部は温度上昇は遅いです。容積の大きい窯程この傾向は強い

   です。逆に窯が冷える際には、下部が速く上部は遅くなります。その為、釉の種類によって

   窯詰めの位置を変えます。即ち、黒天目等の急冷向きの釉は下部に、結晶釉は徐冷向きです

   ので、なるべく上部に窯詰めする事が多いです。釉の中には1180℃、1200℃、1230℃、1250℃

   など、所定の温度で焼成する様に推奨された釉もあります。一つの窯で複数の釉を使う場合には

   この温度差を考慮して、適した位置に窯詰めする必要があります。

  ④ 窯詰めは下部奥から始める。

   ⅰ) 最下部の棚板は、サイコロと呼ばれる直方体の支柱で窯底より浮き上がって敷き詰めし、

    棚板の下は熱風や熱線が通りに抜け様にします。複数の棚板を使う場合、高さは揃えます。

    但し、棚板同士には、指一本程度隙間を空けます。

   ⅱ) 窯詰めをする際、作品の高さに応じて、上部を密に(背の低い作品を並べる)し、

    下部に従い段々と疎に(背の高い作品を並べる)にする方法と、上部を疎にし下部を密に

    する方法があります。疎の方が炎や熱線が自由に移動できます。その為作品に熱が均等に

    伝わり、更には、隣や下の棚板の作品にも熱が移動できます。逆に密であれば、熱がこもり

    易くなり局部的に温度も上昇し易くなります。技術書を読むと、窯詰め方法で疎密に関する

    事項が記されている記事はほとんど見当たりません。多くの場合、各自工夫を凝らし、窯の

    温度が均一に成る様にていると思われます。即ち、決まりが無いのではと思われます。

    尚、棚板上に同じ程度の高さの作品を並べ、効率を重視する事が基本ですが、あえて高さの

    異なる作品を並べ、炎や熱線を通り易くする方法を取る方もいます。

     注: 背の高い作品を並べると多くの場合、作品上部に隙間が出来き、即ち疎(隙間が

     大きい)になります。

  ⅲ) 作品は両手で持ち、所定の近傍に置いたら少しずつ移動させます。

   作品同士の間隔は指一本程度空けます。鶴首の様に上が細い作品では、細い部分を片手で吊る

   す様に持てば問題有りませんが、寸胴形の作品では、持った手が邪魔になり、隙間が広くなり

   易くなります。そこで徐々に移動させ所定の位置に移動します。但し、棚板上では引っ掛かり

   があり、滑らせる事も容易ではありませんので、底を少し浮かせながら移動します。

   尚、高さに隙間がある場合は、口縁周辺の内外を両手(又は片手)で持ち上げる様にして移動

   する方法もあります。狭い空間ですので各自の方法で慎重に作業する事です。

以下次回に続きます。

 
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素朴な疑問 300 陶芸の手順とは17(窯入れの手順1)。

2017-08-11 17:30:14 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。(前回の続きです)

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。

  窯焚きには、素焼きと本焼きがあります。施釉する前に行うのが素焼きで、比較的低い温度で

  焼成します。施釉した後に行うのが本焼きで、一般に1200~1300℃の高温で焼成します。

  但し、無釉の「焼き締」陶でも高い温度で焼成します、一般には素焼きは行いません。

 ① 陶芸は窯が命です。

  作品の良し悪しは、必ずしも形ではありません。むしろ焼きの良し悪しが焼き物の命と言っても

  過言では有りません。その為、陶芸では窯が一番大切な設備です。

  ⅰ) 焼きの良し悪しは、良く焼けている事と意図した釉の艶(マットも含む)や色、又は予想

   した以上の窯変に仕上がる事が含まれます。

  ⅱ) 良く焼けているとは。

    素地となる粘土や磁土には、各々焼きしまる温度範囲があります。その温度以下であれば

    例え気に入った色になっても、焼き物としては不完全とも言えます。

    即ち、焼き締り不足の結果、強度不足や水漏れなどの問題が起こり、実用に耐えない焼き物

    と成ってしまうからです。 当然飾り物として使用する分には、何ら問題になりませんが・・

    尚、焼き過ぎと言う事は、ほとんど問題になりません。その素地が持ち応えられる温度範囲

    内であれば、時間を長くすればするほど良いとも言われています。

  ⅲ) 色の良し悪しは、最高焼成温度も関係しますが、多くは窯が冷える過程で起きると言われ

    ています。その為、冷やす方法(主に冷却スピード)に工夫が必要になります。

  ⅳ) 窯詰めする場所によって、焼きと発色が左右されます。

    容積の小さな窯であれば、窯内の温度分布に大きな差は出難いですが、容積が大きくなる

    に従い、温度分布に差が出易いです。勿論、焼成の仕方によって温度分布に差が出ない様に

    するのですが、必ずしも解消される訳ではありません。更に、炎の出る窯(薪、ガス、灯油、

    重油など)では、炎の当たり具合によって、発色に変化がでます。(窯変が起こり易くなり

    ます。)

  ⅴ) 窯には各々癖(個性)がある。

    望む焼き物を作るには、窯の癖を理解する事だ大切です。その癖に合わせて窯詰めをしたり、

    焼き具合を変化させます。具体的には、窯の中で他の場所より温度が上昇し易い場所

    (火力が強く反映される場所)、逆に冷却スピードが早い場所があります。

    又、酸化焼成に成り易い場所や還元焼成に向いた場所などもあります。更に結晶釉の様に、

    特別な発色を希望する場合には、ここでしか発色しないと言う場所もあります。

    その為、発色に拘る人では、しばしば窯を改造したり、新たに窯を築く事も珍しくありま

    せん。勿論癖を発見するには、数回~数十回の窯焚きが必要に成るかも知れません。数多く

    窯を焚く事で、その窯の個性が浮かび上がってきます。

  ② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。

   尚、同じ釉のみの作品を焼成する場合は、大きさのみを揃えます。

   勿論、窯道具や窯の掃除などがすでに終わっている事が前提になります。更に、不要な釉は

   取り除いていなければ成りません。即ち、棚板に接する部分に残った釉は、ブラシ等で取り

   除き、濡れたスポンジで拭き取ります。蓋物の場合も同様に蓋と本体の合わせ目の釉は取り除

   必要があります。又、焼き付き防止の為、水で溶いた「水酸化アルミナ」等を塗ります。

   ⅰ) 同じ釉はなるべく近い場所に置くと、お互い発色が似てくる。

    現実には隣同士であっても、発色が大きく異なる場合もありますが、大抵の場合似てくるのが

    普通です。特に組作品の場合には、近くに配置します。

   ⅱ) 同じ大きさの作品を揃えておくと、窯を有効に使う事が出来ます。

    現在では棚板を使う事が多いですので、同じ棚には同じ高さの作品を窯詰めする事で、窯の

    隙間(上下)の無駄を出来るだけ少なくし、有効に使う事が出来ます。

  ③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。

以下次回に続きます。
    
  
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素朴な疑問 299 陶芸の手順とは16(施釉作業の手順7)。

2017-08-04 20:40:55 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

2) 施釉の手順。

 ⑦ 施釉を行う。

  ⅵ) 施釉の実際。 以下は当方のやり方ですので、皆様とは異なるかも知れません。

   a) 漬け(浸し)掛けの場合、施釉時間は最短で3秒、最長でも5秒で終わらせます。

   b) 袋物と呼ばれる壷や徳利の様な場合、先に内側を塗り、その後外側を施釉します。

   c) 漬け掛けの一種に「ガバ漬け」があります。

   d) 一般的な漬け掛けによる方法。

   e) 小さな手板を用いると、濡れた作品を触らずにテーブルに置く事ができます。

    (以上までが前回の話です。)

   f) 流し(柄杓)掛けの方法。

    イ) 大皿や壷などの大きな作品や、部分的に重ね掛けする時に行う施釉の一方法です。

     又、比較的口縁が大きく掌で蓋が出来ない、袋物と呼ばれる作品の内側に施釉する際にも

     利用されます。

    ロ)  用具は注ぎ口のある、釉が入りる容器であれば、何でも良いのですが、持ち手が

     付いた物の方が使い易いです。当然流れ出した釉を受け止める容器も必要です。

    ハ) 流し掛けの場合、内外を同時に施釉するのが難しいので、内側(又は外側)を塗って

     から外側(又は内側)を塗る事になります。手で蓋の出来ない口径の大きな袋物は、内側

     に流し込んだ釉を、作品を抱え回転させながら、内側全体に施釉する様に、外に流れ出し

     ます。滴は完全に切ってから、口を上に向けます。特に滴が外側に垂れない事が大切です。

    ニ) 柄杓に入れる釉の量によって、塗れる範囲と形状が変化します。

     即ち、たっぷり釉を取れば、広い範囲を一度で塗れますが、少量取れば細い線状に釉を

     流し掛ける事になります。

    ホ) 大皿などを施釉する際には、二人掛りで行う事が多いです。即ち一人が作品を両手で

     持ち、他の一人が釉を皿の内側(又は外側)に流し掛けします。持ち手の人も只持つだけ

     でなく、皿を回転させながら、全体に均一に施釉する様にします。

    ヘ) 重量のある壷などや大皿の外側を施釉する場合には、作品を手回し轆轤上に置き、

     ゆっくり回転させながら施釉します。急いで回転させると、塗り残しが出ますので、

     注意が必要です。作品を直接轆轤上に据えるのではなく、高台が載る程度の台があると、

     裾周りを不必要に施釉する事も少なくなります。尚、大皿などを伏せて施釉する際、

     高台内もしっかり塗ってください。又、作品と柄杓の距離が遠くなると、釉の掛かる位置

     がずれます。即ち予定していた位置より、下側から施釉する事になりますので、できるだけ

     注ぎ口は作品の近く、又は接した位置から流す事です。他の釉を部分的に二重掛けする際

     にも利用できます。但し釉は垂直方向に流れ落ちますので、斜め方向に施釉する際には、

     何らかの工夫が必要です。

  ⅶ) 施釉出来ない(してはいけない)部分の処置。

   釉は一種のガラスですので、窯の中で熔けた後、固まります。その為、棚板に接する部分や

   器本体と蓋が接する部分には、一般には釉を塗る事は出来ません。この処置の方法には、

   施釉前に釉が掛からない様にする方法と、施釉後に塗れた部分を剥ぎ取る方法があります。

   a) 施釉前の方法として、撥水剤や熔けた蝋を使います。但し、現在では手間隙の掛かる蝋

    を使う方法は少なくなっています。撥水剤は陶芸材料店で容易に入手できます。使い方は、

    筆や刷毛で塗ります。注意する事は、撥水剤は強力ですので、一度素地に浸み込むと素焼き

    する以外に取り除く事はできません。それ故必要な部分(面)より、少なめに塗り余分に

    掛かった部分はブラシ等で綺麗に取り除きます。又、蝋抜きと同じ技法の代用品として使う

    事もあります。特に脚の無い板皿は、広い裏面全体に釉は掛けない様にします。その為、

    撥水剤が有利になります。撥水剤で使った筆類は、使用後石鹸水で洗う事うと、何度でも

    使えます。

   b) 施釉後に取り除く。

    釉は単に作品の表面に載っているだけですので、ブラシ等で容易に取り除く事ができます。

    取り除く位置は、主に高台の下面と高台脇です。特に流れ易い釉薬を使う場合には、底面より

    5mm程度施釉しない場合もあります。取り除いた後は、濡れたスポンジ等で拭き取ります。

    蓋と器の合わせ目も施釉出来ない場所です。但し、器と蓋を一体で焼くのではなく、別々に

    焼成する場合には、器側は施釉できます。

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業

以下次回に続きます。
     
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