わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

自己流と陶芸 2

2014-04-23 21:26:46 | 陶芸入門(初級、中級編)
5) 必ずしも多くの技術(技法)は必要有りません。

 ① 目的が同じの場合、その目的を達成する方法や手段は多く存在するのが一般的です。

  だからと言って、それらの方法や手段を、全て身に付ける必要は無いのは当然の事です。

  例えば、制陶する前に土を練るのは、必要不可欠で基本的な事です。 

  この場合、土の硬さを均一にする。土の中の空気を抜く事が主目的になります。

  その為に、手で菊練をするのが普通ですが、その他に足の踵(かかと)を使う方法や、土練機を

  使う方法などがあります。気泡を抜く真空土練機が理想ですが、一般の土練機の場合には、

  菊練を行う事になります。

  又、数十回ランダムに糸で切る方法や、土を床や机に叩き付ける方法など色々あります。

 ② 一般的な手を使っての菊練でも、右手を使い土を右回転方向に移動する方法と、左手を使い

   左回転で練る方法があります。又一度練って丸めた土を、天地を逆にして再度練る方法も

   有ります。どちらが良くどちらが悪いと言う問題では有りません。但しその方法を採用して

   いるのには、それぞれ言い分があると思われます。

 ③ 練った土を轆轤(ろくろ)上に据える場合にも、そのまま据える人と、天地を逆にして据える

   人もいます。 練りの回転方向と、轆轤の回転方向を考慮(同回転、逆回転)して決めて

   いる様です。

 ④ 轆轤は作品を早く綺麗に作る道具です。

   轆轤に付いても、好みに応じて電動轆轤、蹴り轆轤、昔の回し棒を使う手轆轤など多様です。

   同様に轆轤の回転方向も右回転(時計回り)と左回転(反時計回り)があり、両方を使い

   分けている人もいれば、一方向で全てを済ませる人もいます。

   当然、両手の指の使い方に差が出ます。更に、手や指の使い方は人によって千差万別です。

   それ故、先生又は最初になら習った方法で、専念すべきと考えます。

 以上の様に、目的を達成するには幾つかの方法が存在します。だからと言って全てを見に付ける

 必要はありませんし、各々の方法の間には、厳密には違いが有るのでしょうが、お互いに大きな

 違いはないと思われます。多くを知る事はベテランでは無い限り、混乱(混同)の元になります。

6) 蕎麦打ちを趣味にしている方が、菊練の仕方を蕎麦を練る様にして練っているのを見かけます

  本来別の目的と思われる行為を、同じ物と勘違いしたのも「自己流」と言えます。

  「自己流」と本人が自覚している場合には、さほど問題も無いのですが、「自己流」とは

  認識しないで行っている場合も多いです。注意してくれる人がいれば、「自己流」である事が

  解かるのですが・・、自分のしている行為を他の人と見比べたり、たまには見つめ直すのも

  「自己流」を発見する手段になります。

  前回にも言いましたが、必ずしも「自己流」は悪い訳ではありません。 

7) STAP問題では、実験ノートの有無が重要な証拠として議論されています。

  同様な事が陶芸にも言えます。几帳面な方はノートを所持し作品名、使用粘土の種類、作品の

  形と大きさ、釉の種類などが書き込まれています。そこから何時どの様な作品を作ったかを

  知る事ができます。ノートは自分自身が知れば良い事ですので、公にする必要はありませんが、

  後々大変役に立つ資料に成ります。

8) 陶芸の範囲は、土作りから制作、装飾、絵付け、釉の調整、施釉の仕方、焼成方法などと

  非常に広く、これらを一人で行う事が多いです。即ち分業の部分が少ないです。

  それ故、あれもこれもと手を広げ過ぎると、混乱が起こり自分が一番したい事がおろそかに

  成ってしまい勝ちに成り易いので、十分注意が必要です。

以上せ、「自己流と陶芸」の話を終わります。

次回より、「焼き物の着物」の話に戻ります。
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自己流と陶芸 1

2014-04-22 21:20:09 | 陶芸入門(初級、中級編)
本来本日より、「焼き物の着物」で古唐津に付いて述べる予定でしたが、ここで小休止を挟みます。

昨今STAP細胞に付いて話題になっており、小保方さんの記者会見も関心を集めました。

陶芸とSTAP細胞とは、何ら関係が無いのですが、記者会見の中での彼女の発言は、陶芸の技術

習得方法にも、いささか関係があると思われますのでお話します。

「あちこちの研究室でお世話になり(本人は居候と言っています)、多くの先生にご指導して頂いた

 にも関わらず、基本的な事が身に付かず、自己流で物事を処理してしまい、私の未熟さもあり

 多くの人々に大変ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした」と言う様な趣旨の発言をされています

1) 自己流は決して悪いわけではありません。

  他の人と同じ事をしていては、進歩発展は望めません。特に科学の世界や芸術の世界では一番

  最初に試み成功した人が、賞賛を浴びる事になります。人とは違った方法や技法は、必ずしも

  他人から教えて貰うのではなく(ヒントは貰えかも知れませんが)、自分で発見しなければ

  成りません。当然それは良い意味の「自己流」と言うことになります。

2) 多くの場合「自己流」は失敗する事が多いのも事実です。

 ① 彼女も述べている様に「基本的な事が身に付かず」に「自己流」に走る事は多くの場合失敗し

  ます。長い期間同じ様な作業(研究や制作など)をしていると、最初の基本からどんどん離れ

  「自己流」に成っていくのは、ある意味必然とも言えますが、「基本が身に付いた」人でないと

  簡単に自己流の道に進むのは危険です。「自己流」とはある意味、楽な方法とも言えます。

 ② 「基本が身に付いている人」とはどうゆう人か。

  「なぜそうするのか?」、「なぜそうしなければならないのか?」が理解出来ている人です。

  この事が十分理解できれば、その応用や自分なりの違う方法を見付ける事が可能ですし、失敗

  しても元に戻す事もできます。

 ③ 陶芸の世界でも、「基本が身に付いていない」にも関わらず、「自己流」に落ち込む人は非常

  に多い様に見受けられます。

  教える立場からすると、「自己流」を矯正させるかどうかは、判断が迷う処です。

  「自己流」でどんどん悪い方向に進みそうな場合は、矯正の必要があるかも知れませんが、

  10年も陶芸をやっている方に、注意するのも問題ですし、本人も意固地になるかも知れません

  本人が気付くのが一番良い方法なのですが・・・

3) 趣味程度でも、陶芸の道に入った方は最初に先生から基本的な事柄を学ぶはずです。

  (世の中には、先生を持たずに成功したと言う人もいますが、何らかの先生はいるはずです。)

 ① 最初に学んだ事も年月が経つにつれて、往々にして忘れて仕舞う事も多い物です。

  例えば、自動車の運転免許を取る為に学科試験があり、受かる為に勉強をし交通規則を憶え

  ますが、合格すれば、綺麗さっぱり忘れて仕舞うのと同じです。なにかの際、教本を再度引っ張

  り出し読み直す事もあるかも知れませんが、そんな事はめったにありません。

 ② 「基本」から「自己流」に成るのは自然の事ですが、その方法の目的がしっかり理解出来て

  いれば、何時でも「自己流」を修正する事も出来ます。修正できる人が、「自己流」に進める

  権利が有るとも言えます。

4) 「自己流」には、ご自分で発見したやり方と、第三者の真似まがいの「自己流」があります。

 ① 前者の場合には、創造性を含む場合がありますので、大いに歓迎しますが、後者の場合には

  大きな疑問が生じます。

 ② その第三者に直接学んだ真似であれば問題は少ないのですが、見様見真似の「自己流」は

  危険が一杯です。即ち「まがいもの」ですので、自分で勝手に解釈しているからです。

  第三者の真似まがいの例として、書籍やテレビ等で映し出された映像の真似があります。

  実演者が手早く綺麗な形の器を作っている場合、手や指や用具類を実演者と同じ様にすれば

  自分でも出来ると勝手に思って仕舞う事があります。実演者はなぜその様な方法を取るのかは

  完全に理解しているはずです。物真似者は表面的な様子を見るだけです。 

 ③ 特に、今までのやり方と異なる技法をやってみたいと思うのは良いのですが、付け焼刃的では

   上手くいきません。

5) 必ずしも多くの技術(技法)は必要有りません。 

以下次回に続きます。
 
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化粧土と色土55 色土の技法5 松井康成の技法2

2013-12-11 22:18:42 | 陶芸入門(初級、中級編)

松井氏は1970年代の「嘯裂」「象裂」などの亀裂文様の練り込み技法から、1980年代の絵画的な

表現の「堆瓷(ついじ)」などの作品を経て、1990年代に玻璃光(はりこう)、 萃瓷練上(すいじねり

あげ)の技法で新境地を開きます。

3) 堆瓷文方壺 「春の松」

  ① 堆瓷(ついじ)とは、泥漿(でいしょう)化した色土で、模様を描く方法の様です。

   同様に泥漿化した色土で模様を描いた陶芸家に楠部彌弌(くすべ やいち、1897~1984年)氏 

   がいます。彩埏(さいえん)と名付け た釉下彩磁は独自の技法です。

   尚、埏とは良く練られた土との事です。

  ② 両者とも、磁土に顔料を入れて化粧土を作りますが、楠部氏が白い磁器の上に一つの絵柄を

    丁寧に描いているのに対し、松井氏は、同じパターンの模様の繰り返しです。特に磁器の白さ

     には拘りが見られません。

  ③ 堆瓷文方壺 「春の松」などの作品があります。

4) 萃瓷練上(すいじねりあげ)

  ① 「萃」とは、花などを集めるという意味だそうです。それ故、同じ花模様が途切れる事無く連続

    的に連なって表現されています。

  ② 金太郎飴風に作った多数の磁土の色土を模様が表に出る様に積み上げ作品にします。

   萃瓷練上陶筥、萃瓷練上大壺「烈日」などの作品があります。

5) 練上玻璃光(はりこう)

  ① 「玻璃(はり)」とは水晶やガラス等の事だそうです。磁土の練り込みで萃瓷練上の技法で

   作った作品を釉を掛けて焼き上げ、更に、その表面をダイヤモンド粉末(ダイヤモンド・パウダー)

   で磨き、強い光沢を出し宝石状の輝きを持たせます。ダイヤモンド粉末は、硬度が高く作品の

   表面を磨く際に作品を傷つける恐れもあります。どの様な方法で研磨しているのか不明です。

 ② 代表的な作品に、練上玻璃光(はりこう)大壺 1999年 東京国立近代美術館蔵があります。

  尚、ダイヤモンドの粉末は色々の粒度(粒子の粗さ)のものが市販されていますので、入手は

  比較的容易です。

練上技法は手間隙の掛かる技法であり、土の無駄も多く、割れ等の失敗する事多い方法です。

しかし、出来上がった作品は、見た人に感動を与える作品となります。どの様に作った物か、考えさせ

られる作品も多い様です。工夫や努力次第で、新たな模様の美と造形の輝きのある作品を制作する

事も可能です。挑戦する価値はあるはずです。

 

以上にて、化粧土と色土の話を終わります。

次回より、新しいテーマでお話したいと思います。

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化粧土と色土54 色土の技法5 松井康成の技法1

2013-12-10 22:06:39 | 陶芸入門(初級、中級編)

色土を使った「練上手(ねりあげで)」の技法で人間国宝と言えば、笠間の故松井康成(まつい

 こうせい、1927~2003年)氏がいます。松井氏に関しては当ブログで、現代陶芸34~36

(松井康成1~3)(2012-02-01~03)で取り上げていますので、参考にして下さい。

 尚、以下の記事は、以前の記述と重複している部分もありますので、ご了承下さい。

 松井氏の代表的な作品には以下の様な作品があります。

  練上嘯裂(しょうれつ)文大壺「風船」1981年 茨城県陶芸美術館蔵 

  三層象裂瓷(しょうれつじ)壺「岳」1978年 茨城県陶芸美術館蔵

  練上玻璃光(はりこう)大壺 1999年 東京国立近代美術館蔵 

  萃瓷練上(すいじねりあげ)壺

1) 嘯裂(しょうれつ)文

  ① 円形に積み上げた数種の色土や、平行なタタラ状の色土を貼り合わせ、筒に巻くなどして

   筒状の粘土を作り、底を付けてから轆轤にセットします。

  ② 筒の側面に針や櫛で円周方向に刻みをいれます。

    この刻みの荒さが、作品のひび割れ状態に反映しますので、細かくするか荒くするか、浅く

    するか、深めにするかを考えて作業します。

  ③ 轆轤を回転させ内側から膨らませます。轆轤の回転に合わせ、土は螺旋状に捩れます。

    表面のみを乾燥させ、内側から「柄コテ」を当て、膨らませると表面に螺旋状の亀裂が入ります

    但し、外側は指で触れると、折角出来た亀裂模様が消えますので、触らない様にします。

    片手での馴れない作業なので、綺麗な円形の壷にする事は難しいです。

  ④ 表面に亀裂を入れる方法には、ガスバーナーの炎で短時間(数秒~十数秒)炙って乾燥させ

    てから、膨らませる方法も有ります。この方法が一番無難な方法と思われます。

2) 三層象裂瓷(さんそうしょうれつじ)壺

  象裂瓷とは、タタラ状の異なる色土を二層三層と色土を重ね、円筒に巻き轆轤成形した後に

  外側の層に縦や斜めに、切り込みを入れ、更に轆轤挽きで全体を膨らませ、切り込みの幅を

  広げて複雑な裂け目を入れる技法です。裂け目から下層の色土が現れて見えます。

  この場合も、「柄こて」を使って内側のみ触る事に成ります。

  尚、瓷器(じき)とは磁器の事で、白色の磁土を使う事により、色も鮮明になりますし、焼き締まりの

  強度も堅くなります。三層とも磁土を使う場合と、表面の一層のみを磁土を使う方法があります。

  ・ 嘯裂(しょうれつ)文が粘土を使うのに対し、三層象裂瓷は磁土を使います。

    粘土は可塑性に優れていますので、円周方向に刻みをいれても、さほど問題には成りませんが

    磁土の場合可塑性が劣ります。その為、容易に亀裂が入り易く、切り口もすっきりした状態に

    成ります。又円周方向に刻みを入れると、切れる恐れがありますので、縦や斜めの亀裂を

    入れる事に成ります。又、円筒形の中央をやや肉厚にしてから、轆轤挽き した方が安全です。

以下次回に続きます。

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化粧土と色土53 色土の技法4 タイル模様、亀甲模様

2013-12-06 21:32:57 | 陶芸入門(初級、中級編)

1) 色土を単色で使う方法。

  ① 色土をタイル状に使う方法。

   作品の表面に各種の色土で作った色々な模様や、色々の形の物を貼って、好みの模様にします

   作品の種類は問いません。即ち貼れるスペースがある作品ならば、どの様にも対応可能です。

   小振りな食器や壷、花瓶から、大きな物では陶壁などもこの方法で装飾制作する事も出来ます。

   但し、貼り付けますので、作品が厚くなり重くなります。

   尚、あえて色土を使わなくても、化粧土や絵付け、色釉を使っても、同じ効果が得られますが、

   質感や見た目などに大きな差がでますので、色土を使う人も多いです。

  ) 幾何学文様の色土を貼り、模様を作る。

    a) 三角、四角、丸などの幾何学文様を、適度の厚みに制作し、好みの形に配置します。

       表面が平らの物や、凹凸のある物など自由に制作できます。

    b) 貼り付ける方法には、色土同士を隙間無く並べる方法と、適度の間隔を開けて並べる

      方法があります。後者の場合、その隙間に他の色土を埋め込み、表面を平らにする

      方法と、凸凹の状態のままの方法もあります。食器などの場合は、平面にした方が良いです

    c) 作品本体と色土の乾燥度合いが同じであれば、接着面に刻みを入れ、「どべ」を塗って

       接着できます。     

  ) 不定形の色土を貼り模様にする。

     例えば、花の模様にする場合、花(花びら)になる色土と、葉になる色土、茎(又は枝)になる

     色土などが、構成要素に成ります。同様に動物の模様にするならば、頭、顔、胴体、足、

     尻尾などの各パーツを異なる色土で作り、一つづつ作品に貼り付けます。

     上記の様に具象的である必要はありません。抽象的な模様であっても、貼り付ける方法は

     同じです。

  ② 異なる色土を団子状に丸め、五角又は六角形(亀甲)の連続模様を作る。

   ) ボールなどの器の内側に、団子状にした色土を並べます。

      蚊帳などの布をボールの内側に被せるか、ボールの内側に片栗粉を塗り、型離れを良く

      します。又、一つの団子の色土の周囲は、異なる色の団子を並べます。

      団子の大きさが、一つの色土の大きさ(面積)に関係します。大きな団子では大きな模様に

      なります。全ての色土の大きさを統一した方が、綺麗な模様に成ります。

   ) 丸い団子を潰して五角や六角形にする。

      潰す道具は、乳鉢と一緒に使う乳棒の様に、先端が丸い物が適します。

   ) ボールなどの中心部分から、一つづつ渦を巻くように順番に潰していきます。

      団子を真上から潰すと、周囲の団子の影響で、自然に五又は六角形になります。

      同時に団子同士にある隙間も埋まり、圧接されます。

   ) 潰す量は作品の肉厚に関係しますので、均一の力で潰す事です。

      更に、各色土の乾燥具合もほぼ同じにする事で、色土同士の接着性を良くし、潰した面も

       凸凹の少ない綺麗な面になります。

    ) ボールの内外の模様は同じです。

       ボールに接している部分は、ボールのカーブに沿って綺麗な形に成ります。

    ) 乳棒などで押さえた面は、多少凸凹するものです。

       ボールの入れた状態で削れる程度に乾燥後、丸いカンナを使って表面を削り仕上げます。

  割合簡単な方法で、綺麗な亀甲型(六角形)などの文様を作る事が出来ます。

  尚、小さな作品で試してから大きな作品にトライして下さい。

以下次回に続きます。

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化粧土と色土52 色土の技法3 練上手(練込)3 金太郎飴4

2013-12-05 20:25:30 | 陶芸入門(初級、中級編)

前回の続きです。

 ⑤ 鉢などの食器類に埋め込む。

   表面に貼り付けるのとは違い、埋め込む為表面に凸凹が出来ません。

   それ故、食器の内外に模様を埋め込む事も出来ます。

  ) 石膏型などを使う場合には、前回と同じ方法でタタラに練込み模様を埋め込みます。

     これを石膏型に押し付けて、鉢などの形にしますので、さほどの困難はありません。

  ) 形作られた作品に練込み模様を埋め込むのは、容易ではありません。

     作品はある程度乾燥していますので、容易に押し込む事が出来ません。

     どうしても模様を埋め込みたい時には、次にお話する刳り貫き(くりぬき)の方法をとる事に

     なります。

9) 刳り貫きにより練込み模様を嵌め込む。

   壷や鉢、花瓶、茶碗などの立体的な作品に練込み模様を取り付け、表面に凹凸を付けないと

   すれば作品の側面に孔を開け、模様土を嵌め込む方法になります。

   この場合、内外の模様が同じになります。

  ① 金太郎飴風に作った練込み模様を切り出します。若干作品本体より肉厚は厚めにします。

     土を締めたり、削り代を残す為です。 切り出した模様の外形を型紙に写し取ります。

     複数個の模様を嵌め込むには、各々型紙を取った方が良いでしょう。

     型紙の外周を切り取ります。

  ② 作品本体に孔を開けます。

   a) 上記型紙を作品に押し当て、全体のバランス(配置)を見ます。

   b) 取り付ける位置が確定したら、型紙を当てて、針で当たりを付けます。

     作品が曲線の場合には、型紙に霧を吹いて軟らかくして、曲面に貼り付けます。

   c) 全ての型紙で当たりが出来たら、作品の表面を型紙に沿って、針などで刳り貫きます。

     作品の乾燥が進んでいると、土は「もろい」ですので、慎重に輪郭に切れ目を入れます。

     針は時々水で濡らし、土が切れる様にします。又、乾き過ぎた作品には、霧吹きで水を掛け、

     やや軟らかくして作業を行います。

   d) 刳り貫く面積は型紙の寸法よりやや小さめにします。

     大きく切り取った方が、嵌め込み易いですが、繋ぎ目に亀裂や隙間が出来易いです。

     若干小さめの孔に模様土を嵌め込む方がより強固に嵌り(はまり)ます。

     模様の土をやや軟らかにし、外周を縮めながら嵌め込み、嵌ったら模様の内外から圧縮し

     面積を増やして、孔に密着する事も出来ます。

   e) 孔の切り口の断面は、平行、「ハの字」、「逆ハの字」の三通りあります。

    ・ 平行が一般的です。「ハの字」は外側が広く内側が狭い孔で、「逆ハの字」はその逆です。

    ・ 「ハの字」の場合は、作品の外側から模様土を嵌め込みます。この方法は作業が容易ですが

      内側から外側に働く力に弱くなります。即ち花瓶の様に水を入れ物では、常に外側に水圧が

      掛ますので、水漏れの恐れが生じ易いです。

    ・ 「逆ハの字」は内側から外側への力に対し強いですが、外側から内側への力には若干

      弱いです。但し作業は難しくなり、口径が大きくなければ内側から嵌め込む事は出来ません

    ・ 嵌め込む際には、模様が崩れ無い様に、丸や平たい「当て木」を両側から当てます。

   f) 模様の外周と作品の土は同じ物を使っていますので、竹へらや指で繋ぎ目をよく撫ぜれば

     繋ぎ目は目立ちません。

     嵌め込む際、模様の外周と孔の内側に「どべ」を塗っておくと、よりしっかり接着できます。

   g) 仕上げ。嵌め込んだ模様が、不自然に感じ無い様にします。

     即ち、丸い曲線の作品に嵌め込んだ模様も、同じ様に丸みを持たなければ違和感がでます。

以下次回に続きます。

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化粧土と色土51 色土の技法3 練上手(練込)3 金太郎飴3

2013-12-04 22:56:26 | 陶芸入門(初級、中級編)

前回の続きです。

8) 埋め込み模様を作る。(一種の象嵌模様とも言える技法です。)

  金太郎飴風に作った色土の練込み模様を、作品に埋め込んで模様を付ける方法です。

  前回の貼り付ける方法ですと、作品より外に出っ張る感じに成りますが、埋め込む方法では、

  表面は凸凹しなくてすみます。

 ① 埋め込む為には、作品はある程度軟らかい状態になっている必要があり、逆に色土模様は

    ある程度乾燥しており、押し込む際の圧力で、模様が変形しない状態の時に行います。

 ② 作品として、皿の様な平たい物や、タタラから作る作品に向いています。

    即ち、タタラの状態では、練込み模様を安定して埋め込む事が出来ます。

 ③ 角皿を作る。

   ベースになる四角い皿を、タタラで作ります。土の種類は模様の外側の色(海苔巻きの海苔に

   相当する土の色)と同じにする方が、後の処理が楽です。

  ) 切り出した(スライスした)練込み模様の土を、上記四角い皿の上に並べます。

    隙間無く並べる事も可能ですが、ワンポイントとして一箇所のみに置く事も出来ます。

    模様の配置の仕方によって、出来上がりに差が出ますので、良く考える事です。

    置いた上に濡らして、きつく絞った布を掛けます。くっつき防止です。

  ) 足の付いた平たい板を逆さにして足を持ち、上記布の上から、体重を掛けて平行に押さえ

     ます。 面積の広い板ですと力が分散し、潜る量は僅かですので狭い板の方が有効です。

     但し、狭い板の場合には、押す位置によって若干の差(凸凹)が出ます。

  ) 上記の作業では十分に押し込める事は出来ないはずです。

     そこで更に、ローラーを掛けて押し込みます。但し数度に分け、四方八方に中心から外側へ

     転がし押し込めます。模様の高さとベースの土の高さ(厚さ)が均一であればOKです。

     若干模様の方が出っ張っていても、削り作業で平らにする事が出来ます。

  ) 上記の作業を行うと、ベースの土は伸びます。

     それ故、最初に設定した寸法に成る様にカッター等で切り取ります。    

  ) 角皿にするには、四辺と各角を持ち上げ形を作ります。

     又、模様入りの平たい板を乾燥後に組み立て利用し、色々の作品を作る事もできます。

     但し、模様の入った部分を急激に曲げない事です。

 ④ 直接練込み模様を貼り付けタタラを作る。

   上記方法はベースの土に練込み土を押し込む方法ですが、ベースの土を使わずに直接

    色土を並べ、互いに接着させて板状にする事も出来ます。

   ) 濡らした布の上に複数枚の模様土を並べます。

      基本的には、複数の色土を密着させて貼り合わせます。

      四角い模様であれば、比較的隙間を少なくして、並べる事が出来ますが、丸い模様であれば

      三枚の模様の中心には隙間ができます。

      又、海苔に相当する部分の土を切ったり変形させて、なるべく隙間を少なくします。

    ) 一枚毎に側面を押して隣の模様の土に圧着させます。同様にして必要の枚数をくっつけて

       いきます。乾燥が進んでいる場合には、海苔に相当する外側の土に、筆で水を引きやや

       軟らかくして変形と接着を助けます。

     ) 模様の形によっては隙間ができるかも知れませんが、少しの隙間であれば、次の作業で

        修正できます。大きく隙間が出来た場合には、海苔に相当する土を小さく丸めてその

        隙間に入れ、上から押さえて伸ばし、隙間を完全に埋めます。

    b) 濡らした布を上から掛け、上から圧力をかけ圧着します。更にローラーを掛けて均一に

      伸ばします。伸ばす方向によって模様も変化しますので、伸ばす行為より接着する事を

      優先させます。

    c) 模様同士が隙間無く密着すれば良いのですが、接着が不十分ですと、後から「割れや

      ひび」が入ります。

     d) 接着方法は、水のみの場合と、側面に傷(刻み)を付け「どべ」を使う事もできます。

        乾燥度合いでどの方法を取るかを考えます。

 ⑤ 鉢などの食器類に埋め込む。

以下次回に続きます。

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化粧土と色土50 色土の技法3 練上手(練込)3 金太郎飴2

2013-12-03 21:59:11 | 陶芸入門(初級、中級編)

前回の続きです。

6) 金太郎飴と同じ様に作った練込み模様を、作品作りに応用する。

   応用の仕方は、作品の表面に貼り付ける、表面に埋め込む、刳り貫いた孔に嵌め込む、更に、

   練込み模様のみで、作品を作る等の方法があります。

 ① 棒状の練込み模様を適度の厚みに切取ります。

  ) 切り取る厚みは、貼り付ける場合には出来るだけ薄くします。表面より飛び出す形と成るから

     です。但し薄く切り取る事は難しいですので、切り取った後薄く伸ばす事に成ります。

  ) 埋め込む場合には、2~4mm程度の厚みにします。平らの面に練込み土を載せ、板などを

     使い真上より圧を掛けて埋め込みます。

  ) 作品に嵌め込む場合には、その作品の肉厚より若干厚めに切り出します。

  ) 練込み模様のみで作品を作る場合には、作品の肉厚より1~2mm厚めに切出します。

     繋ぎ合わせる糊代部を多く取る事と、出来上がった作品の表面を一皮削り取る為です。

 ② 切り出し方法。

   一般に練込みの棒方向と直角に、切れる刃物や糸で切ます。その他に、棒方向に対し直角

   以外の方法で切る方法があります。丸い断面では無く、楕円状になります。斜めにすればする程

   丸から極端な楕円に成ります。四角い断面の場合は、長四角形になります。

   当然断面積も増えますし、練込み模様も大きく変化します。

 ③ 練込み模様が左右又は上下対称でない場合、切り取った土の裏表では模様が、左右(又は

   上下)対称形になります。

7) 貼り付け模様の作品を作る。

  貼り付ける相手は、壷や花瓶その他、食器類もあります。但し貼り付けた面が凸状に盛り上がり

  ますので、食器の内側などには、向いていません。

 ① 模様土の厚みに付いて。

   切り出した練込み土を適度の厚みに加工します。立体的な模様にするのであれば、あえて薄く

   加工する必要はありませんが、出っ張り過ぎると、見た目にも使用勝手でも違和感が出ますので

   適度の厚みにします。

  ② 薄くする方法。

    模様の形を崩さずに薄くするのは意外と困難です。先ず、平らな板でサンドイッチ状態にして、

    両面の板を押して(又はプレスして)薄くします。当然面積は広がります。更に薄くしたい場合

    には、模様に布を掛けて、ロラーで薄く伸ばします。但し一気に薄くすると部分的に薄くなる為

    模様が「いびつ」になります。中心から外へ徐々に伸ばします。

  ③ 模様を小さくする方法。

     同じパターンの模様でも大小が欲しい場合があります。一つの作品にバラエティーに富んだ

     模様を配列したい場合です。この場合には、切り出した模様の外側全周から中央に向かって

     力を加えます。全体は小さくなりますが、肉厚になりますので、削り作業の時薄くします。

  ④ 作品の貼り付ける位置を決め、模様の向きも決めます。

     丸い面に取り付ける際には、模様を仮止めして印を付けます。数箇所に数種類の練込み

     模様(左右、上下が逆、模様の大小など)を貼り付ける場合には、レイアウト(模様の位置

     関係)も重要ですので、仮置きして確認します。

   ⑤ 模様を貼り付ける。

    ) 「どべ」(泥、接着剤)を用意します。

       「どべ」は作品本体の土を泥状にしたものです。他の色の土を使うと接着面からはみ出した

       色が邪魔に成ります。

    ) 取り付け面と取り付ける模様の裏側に針で刻みを入れ、その刻みの部分に「どべ」を

        置く様にして、筆で塗っていきます。

    ) 模様を貼り付けますが、接着面に空気が入らない様に、中心から外側に向かって貼って

        いきます。曲面の場合にはその曲面に沿うように模様の土を変形させます。

        模様の裾野をしっかり作品に押し付けます。はみ出した「どべ」は塗らした筆で拭き取り

        綺麗にします。

    ⑥ 模様の部分を削り、裾野の段差を無くす。

       作業中に模様の表面に触れる為、模様に汚れが付き易いですので、一皮削り取ります。

       又、模様が盛り上がり過ぎると思われる場合には、表面を削り薄くします。

       模様の部分と作品の間に段差が出来ますが、これを嫌う場合には裾野を削り取るか、

       裾野の土を作品側に伸ばしなだらかにします。作品の土と、模様の外側の土は同じもの

       ですので、伸ばしても問題ありません。   

 以下次回に続きます。 

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化粧土と色土49 色土の技法3 練上手(練込)3 金太郎飴1

2013-12-02 20:25:49 | 陶芸入門(初級、中級編)

七五三の千歳飴の中に入っている、棒状の金太郎飴は切り口が常に金太郎の顔が出てくる様に

作られています。即ち同じ模様を多数作りたい場合には、この方法が役にたちます。

太巻きと言われる海苔巻きにも、同様に切り口が常に同じに成った物があります。

それぞれ材料は異なりますが、作り方はほぼ同じと見て良いでしょう。当然色土を使ってもこの様な

表現技法は可能です。金太郎飴は丸い模様で、太巻きは丸又は四角形ですが、好みの形にする

事は不可能では有りません。勿論、具象的な物だけでなく、抽象的な模様であってもかまいません。

但し、作った模様をどの様に使うかが問題に成りますが、一般的には作品の一部に取り込んで使い

ます。薄くスライスした模様を作品に貼り付ける方法や、やや肉厚に切り出した模様を、刳り貫

(くりぬく)いた作品の一部に嵌め込む技法などがあります。

その他、模様をどの様に生かすかは作者次第です。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

1) どの様な模様にするかを考える。(準備)

   模様の種類、模様の大きさ、使う色土の種類と数などですが、重要なのは、海苔巻きの海苔に

   相当する色を決める事です。基本的には、作品の土の色と合わせます。合わせる事で、貼り

   付けたり、嵌め込んだ際に、繋ぎ目の処理が楽に成ります。

2) 必要な色土と海苔に相当する土を用意します。

  ① 海苔に相当する土は、一般的には四角形ですが模様の大きさや形状に合わせて厚みや

    大きさを決めます。

  ② 良く菊練された色土を棒状にします。模様によっては太い物や細い物、丸い物、四角い物

    更には三角形や不定形の物など、模様に応じて様々な棒に成ります。但し、棒の長さは統一

    する必要があります。

3) 巻き取って模様を作る。

  ① きつく絞った布や蚊帳の上に、海苔に相当する土を載せます。その上に、上記の色土を並べて

    いきます。当然、意図的な模様にするには、それに適した色の配列が必要です。

    準備の段階で紙などに配置図を描いておくと作業が早いです。

    又、実際に色土片を寄せ集め、模様を作って試作し状態を確認する事です。

  ② 海苔巻きの様に巻き取る。

    下に敷いてある布や蚊帳ごと丸め込みます。

    巻き取る際、各々の色土同士が圧着する様にきつく締ます。巻き取りは一周以上にし、  

    重なり部分もしっかり接着します。巻き取りは円形の方がやり易いです。もし四角が必要ならば

    丸くしてから四角や楕円などの形に変えます。当然模様のバランスは変わります。

  ③ 巻いた太さを調整する。

    太さを細くしたい場合には、回転させながら手を左右に広げます。逆に太くするには左右の手を

    近づけます。尚、次の模様の確認の際にも、全体を大きくしたり小さくしたりする事が可能です。

4) 模様を確認する。

  ① 海苔巻き状の両端を切れる刃物や細い糸で切断し、切り口を見て模様を確認する。

    両端は模様が崩れている事が多いですので、切り取りますが、その際その切断面を見て

    模様を確認できます。

  ② 模様を微調整する。

    棒状のままで微調整する事も可能ですが、棒状の物をスライスして薄くしてからの方が調整

    し易いです。微調整は色土の位置と形、色土の面積の増減、及び模様全体のバランス等です。

5) スライスし微調整が終わった土を、上下を板で挟み圧を掛けて、よりしっかり土を締めます。

  スライスする厚みは、模様を作品に使う方法によって異なります。

以下次回に続きます。

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化粧土と色土48 色土の技法3 練上手(練込)3 轆轤造り4

2013-12-01 22:14:36 | 陶芸入門(初級、中級編)

轆轤で練込み模様を作る際、練込みした色土を筒状に積み上げ、成形させて作品を作るのが

普通です。それ故、どの様に練込みした土を筒状にするかによって、作品の模様も大きく変わります。

4) 鶉(うずら)文や矢羽文の作品を作る。

   板状の鶉文や矢羽文を作り、筒に巻いて形を作ります。作品は壷類などや鉢などが多い様です。

 ① 鶉文や矢羽文の板(タタラ)を作る。

   鶉(うずいら)はキジ科の鳥で、全長約20cm位、全体に茶色で黄白色の縦斑と黒斑とがあり、

   草原に住み地上を歩き回ります。食用になる鶉の卵が有名です。

   鶉文とは、鶉の羽の様に茶褐色に黒白の斑紋(まだらもん)がある模様を言います。

   但し、白黒や茶色の色土で仕上げる必要はありません。単に模様が似ているだけです。

  ) 鶉文も矢羽文も作り方はほぼ同じで、色土の切り方の差によります。

  ) 作り方は次の通りです。

    a) 数種類の色土を積み上げる。

      タタラ状にした色土を順番に重ねて積み上げます。しっかり圧接して各土が離れ無い様に

      します。二個の角材などを利用して、色土の塊を平行にプレスします。

    b) 色土を厚みが8~10mm程度に糸でスライスし、タタラ状にします。

      この段階で更に圧接します。その際、ビニールの風呂敷の上に色土を置きます。

      圧接すると面積が縮みますが、ビニールが有ると、床に着かずに自由に移動できます。

      ビニールはそのままにしておき、次の工程で役立たせます。

    c) 不揃いの耳を定規を当てて、剣先や針、カッター等で切り落とします。

    d) 細長い平らな棒を定規にして、「竹へら」で等間隔(1~2cm程度)に切ていきます。

      その際、一方向(上から下へ)にのみ切ると鶉文になります。又上から下、下から上へと

      交互に切ていくと矢羽文になります。即ち、軟らかい色土を「竹へら」で切ると、切り口は

      「竹へら」を引いた方向(動かした方向)に伸ばされ変形します。切れ過ぎる刃物では上手く

      模様に成りません。

     ・ 鶉文は連続した蒲鉾(かまぼこ)形になりますし、矢羽文は「Vの字形」になります。

    e) 円筒に巻き付け円筒形の色土を作る。

     イ) 円筒を用意し、その筒を一回りする大きさに、上記色土を切り取ります。

        但し円筒の太さは、片手が入る程度は必要です。

     ロ) 円筒には紙を巻いて、くっつのを予防します。

     ハ) ビニールを外側にして、海苔巻きの要領で、筒に巻き付けます。

       合わせ目はしっかり接着して押さえます。次に出来た筒状の色土を手轆轤上に立て、

       中の筒を垂直に引き上げます。中の紙は筒中にあると思いますが、これは紙の一端を

       摘み、手轆轤を回転させれば簡単に取り除く事が出来ます。

    f) 電動轆轤などを使い、作品の底を轆轤挽きします。形は凹形にしその外径は上記筒の

      外径に合わせます。底の部分に色土の筒を嵌め込みます。底と良く接着させる為に、内外

      から土同士を締めます。

    h) 轆轤挽きを行う。

      色土が垂直である事を確認したら、轆轤挽きを行います。筒状の物の胴部分を広げ直径を

      大きくして、徐々に膨らませ形を作ります。模様は轆轤回転とは反対方向に捩れながら

      横に倒れるます。轆轤の回転スピードと、轆轤挽きの時間の長さによって模様が変化します

      ので、なるべく手早く轆轤挽きを行うと良い結果が得られます。

    i) 形が出来たら削れる程度に乾燥させた後(生渇き状態)、カンナで削って模様を出します。

      削る際、口縁に手が入れば内側からも支えられ、作業がやり易いです。

      電動轆轤を手回し轆轤の様に使い、ゆっくり回転させ模様の出具合を確かめながら削ります

    j) 削り終えた作品は時間を掛けて徐々に乾燥させます。急な乾燥は土同士の接着を弱め、

      境目に割れが発生します。その後素焼きし、透明釉を掛けて本焼きします。

   この工程で一番の楽しみは、削り出しで模様が現れる瞬間です。どの様な模様になっているかは

   削り作業で初めて確認できるからです。

以下次回に続きます。    

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