わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸に於ける有害物質 15 (石膏、その他)

2010-11-14 21:56:36 | 陶芸の困り事
陶芸に於ける有害物質について、まだお話していない事も、残り少なくなりました。

1) 硫化水素: 火山ガスに混じり、空気より重く、硫黄(いおう)の臭いがする、無色の気体です。

   この物質は、毒性が強く、血液中のヘモグリビンに結びつき、わずかな量で、人を窒息死させる、

   「猛毒ガス」です。

  ・ 一見、陶芸とは、無関係の様ですが、陶芸では、型などに、石膏を使う事が多いです。

    この石膏の中に、硫黄が含まれ、地中に埋もれたり、溶けて、下水道のマンホールに流れたり

    した場合、そこに生息する、嫌気菌により、硫化水素が、発生します。

    実際に、マンホール内で、硫化水素ガスによる、死亡事故が起ています。原因は、石膏の廃棄

    による物と、推定されています。

    それ故、廃棄する場合には、下水などに、流れない様に、注意しなければなりません。


窯からの排出ガスについて。

2) ダイオキシン

  通常の陶芸用の材料(粘土、釉など)に、ダイオキシンの元になる物質が、含まれてはいません

  から、燃焼により、ダイオキシンが、出る事はありません。

  但し、光化学スモッグ等、大気汚染の、原因物質である、NOX(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、

  及び、CO(一酸化炭素)は、燃料を使う窯の中では、発生しています。

  勿論、発生量は窯の焼き方(酸化、還元、温度)によっても、左右されます。

 ・ HCやCOは、還元雰囲気を作る際に、故意に発生させていますが、煙突などから、排出すると、

   外気に触れて、ほとんどが、無害になると、考えられます。(水と二酸化炭素になる。)

   それ故、黒煙を、発生させなければ、排気ガスは、環境に悪い影響を、与えないと思われます。

 今まで述べて来たの様に、普段気が付かない、有害事項も、多く有りますので、陶芸材料を、取り扱う

 時や、廃棄する場合には、ご自身の、健康問題や、環境に注意し、公害問題にならないように、注意

 する必要があります。

 ・ 但し、陶芸に於ける、重要な有害物質は、「粉塵」や「鉛」など、限られています。

   「マスク」の使用や、手洗いを、心掛ければ、ある程度、予防出来ますので、大袈裟に、

    考える必要はありません。


 ・ まだ取上げていない、事柄も有りますが、強い有害物質については、ほとんど、お話しましたので、

   以上で、「陶芸に於ける有害物質」の話を、終わります。

 次回より、別のテーマで、お話する予定せす。

  石膏の有害性
 
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陶芸に於ける有害物質 14 (アスベスト)

2010-11-13 21:36:33 | 陶芸の困り事
由緒ある窯元では別ですが、アマチュアの陶芸家では、本人一代で終わる事が、多い様です。

何らかの理由で、陶芸の終わりを迎えた時、後に残った、陶芸の窯や、粘土、釉、及び釉の材料の処分が

必要に成ります。有効利用が出来れば、喜ばしい事ですが、必ずしも、望む様にいくとは、限りません。

前回の友人の話しを続けます。

 ) 粘土は、自然界の物であっても、空き地や、川などに、やたらに、捨てる事は、出来ず、

    庭に埋めたりも、出来ません。(水はけが悪くなる、植物が成長し無いなどの、影響が出ます。)

    一番良いのは、知り合いの陶芸家(仲間)に、無料でも、引き取って貰う事です。

  ) 使用していない釉(梱包したまま)も、購入したメーカーに、相談しましたが、引き取って、

    もらえなかった、そうです。(購入から、年月がたっていた為かも、知れません。)

 3) 結局、相談を受けた、私が、粘土と釉を、譲り受け(買い取り)ましたが、その量に驚きました。

    私も、あと10年位は、陶芸教室を開いていたいと、思っていますが、それまでに、全ての釉を、

    使い切るのは、難しい程の量でした。

  ) 引き受け手が、決まった後も、その友人は、諸々の作業が、必要だったと、話していました。

     使い掛けの釉は、バケツに入っていました。運搬する為に、水分を抜き、乾燥させる事に

     しましたが、意外と手間取ったそうです。乾燥した粉の釉は、ビニールの袋に、入れますが、

     同じ様な色をしていて、名札を付けておかないと、混同する恐れがあります。

   ) 釉の好みも、個人差があり、私が使った事の無い釉も、多く含まれていました。

      又、メーカーの違いで、同じ名前の釉が、生の状態では、全く違う色で有る事も、新たな

      発見となりましたので、 私としても、良い勉強になりました。

      但し、新しい釉を、当教室の生徒さんに、使ってもらうまでには、テスト焼きと、色見本を

      作る必要もあり、意外と面倒でした。

 4) 皆様方の、お手持ちの釉は、どの程度、用意しているのかは、判りませんが、最小限の量にした方が

    良いと思います。陶芸を、長くしていると、釉は段々種類が増えて行く、傾向に成ります。

    新しい釉に、挑戦したくも成りますので、今使っている釉が、いつまでも、最上の釉であるかは、

    定かでは、ありません。その為にも、最小限の釉を、備蓄すれば十分です。

 5) アスベスト(石綿)について

    取り扱いが容易な事、耐熱性や断熱性があり、しかも安価な事もあり、高温で使用する窯などには

    大変重宝されていました。しかし現在では、「肺がん」の原因とされ、アスベストの使用は、

    禁止されています。

   ① アスベストの害は20数年前から、突然言われだしましたので、古い窯などには、アスベストが

     使われています。

   ② 私も、16~7年前に、窯を築いた時、アスベストを、使いました。

     窯の壁を、耐火レンガで、内外二重にし、その中間に、板状のアスベストを、挟み込みました。

   ③ 昔は、窯の蓋を密閉する為に、蓋の周囲にアスベストを、使用するのが、当たり前でしたので、

     窯の扉の開け閉めの度に、アスベストに触れていた事に、成ります。

     現在では、アスベストに替わる、無害のグラスウール(商品名)が、使われています。

     私の窯も、この品物を使っています。

   ④ 問題は、不要になった窯を、解体する時です。

     前述の友人の様に、メーカーが引き取ってくれれば、問題ありませんが、個人が築いた窯や、

     移動が困難な窯は、放置するか、解体する必要が有ります。広い土地ならば、放置の手も有り

     ますが、一般には、解体する事に成ります。解体業者に頼むか、本人が解体する事に成ります。

     それ故、アスベストが使われている事を、常に念頭に置いて、作業する必要が有ります。

   ⑤ 解体後の耐火レンガは、庭などの、エックステリアの材料として、使う事も出来ます。

     (ホームセンター等では、使い古した、耐火レンガが売られています。かなり人気の有る商品と

      成っている様です。) 花壇の周囲や、土止め、敷石替わり等、使い方は、多彩です。

以下次回に続きます。

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陶芸に於ける有害物質 13 (釉の廃棄)

2010-11-12 22:19:11 | 陶芸の困り事
釉の廃棄方法について

 釉の原料は、必ずしも、安全とは言えず、有害な重金属類も多く、含まれています。

 故意に、釉を破棄する場合は、少ないと思いますが、無意識に、釉を下水などに、捨てている事も、

 多いですので、注意が必用です。

 1) 釉は下水(本下水)に流さない事

   市販の釉は、色々な原材料が、交じり合い、どんな有害物質が入っているのかは、判りません。

   それ故、なるべく釉は、下水などに、流さない様にする、必要が有ります。

    (勿論、ご自分で調合した釉も、同じ事が言えます。)

  ) 大量の釉を、やたらに捨てる事は、無いと思いますが、施釉した際に、汚れた手や容器、

     柄杓、筆等も、専用の器の中で、大まかに洗い、仕上げで綺麗な水道水で、洗い流す様にします。

     この程度の少量の、釉ならば、環境にも大きな悪影響は、与えないと思います。

  ) 上記専用容器には、各種の釉が混ざり合いますが、1日放置して置けば、釉の成分は沈澱し、

     水と分離します。上澄み液を取り除き、より大きな容器に、蓄えて置きます。

  ) 釉が入った容器を、かき混ぜたり、施釉する際などに、釉が机の上や、床に飛び散る場合が

     有りますが、これを、スポンジや雑巾で、水拭きしすると、綺麗に拭き取ったつもりが、

     「拭き拡げる」結果に成ります。即ち、汚れの範囲を、広げた事に成ります。

   ・ この場合には、その汚れが乾燥するまで待ち、歯ブラシなどのブラシで、床などから浮かせて、

     紙などに、掃き入れます。釉以外に、粘土の粉末も、混入しますが、)で述べた、容器に、

     一緒に入れておきます。

  ) この混ざり合った釉は、花瓶、徳利、壺などの、袋物と呼ばれる、外から見えない、器の

     内側に使います。又、この釉に、弁柄などを、添加して、黒い釉にする事も、可能です。

     なるべく、何らかの方法で、釉を使い切りたい物です。

   ) 前回述べた、使用後の「栃渋」や「塩酸」も、直接下水に、流さないでください。

     「酸」ですので、環境に悪い影響を、与えます。重曹(重炭酸ナトリウム)や、石灰などの、

      アルカリで、中和してから、下水に、捨てて下さい。

   ) どうしても、不要になった釉は、素焼の容器に入れて、焼成すると、ガラス化しますので、

      安全になり、不燃物として、一般のゴミに、出す事も出来ます。

      但し、少量づつ、処理する必要があります。

 2) 釉は必要以上に、作ったり、購入しない方が、良いでしょう。

   私の古い友人が、健康上の理由で、陶芸を辞めざるを、得なくなりました。

   陶芸の窯や電動轆轤は、購入したメーカーに、引き取ってもらいましたが(料金は不明)、

   使い掛けの粘土や、釉をどうするか、悩んだそうです。

   又、将来、使うであろうと、多種類の釉を、大量に所持していましたので、この処分にも、

   苦労したそうです。

この話は、次回に続きます。

 釉の廃棄

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陶芸における有害物質 12 (栃渋、塩酸)

2010-11-11 22:49:03 | 陶芸の困り事
窯出しは、何回経験しても、不安と期待で、扉を開ける物と、成っています。

織部釉は、表面に酸化皮膜(くもり)が出来、色が「ぼやけ」て、綺麗な緑色が、出ない事が有ります。

そこで、この皮膜を取る方法が、かなり古い時代から、行われています。

その方法が、栃渋(とちしぶ)を使う方法と、塩酸で洗う方法が有ります。

この塩酸は、強酸で人体に影響を与える、物質(溶液)と成ります。

1) 銅釉に酸化皮膜の出きる理由

 ① 他の金属釉で、酸化皮膜が出来ず、銅のみに、酸化皮膜が出来易いです。

   銅は高温で、揮発します。それ故、他の金属釉よりも、多量の銅を使う、必要が有ります。

   銅の量が、多い(10%以上)と、酸化皮膜が出来易いです。

   同様に、釉を厚く掛けた場合にも、皮膜が出来易く、厚く掛け過ぎると、表面が、黒っぽく、

   仕上がります。

 ② 織部釉は、急冷で綺麗な色に、発色します。(皮膜は、冷却時に、発生します。)

   それ故、窯が大きな場合や、窯の壁が厚い場合には、窯の冷却は遅くなり、皮膜が出来易いだけで
   
   なく、皮膜の強度も強くなります。  

   但し、焼成温度を低くすると、釉の表面が、艶のない、黒色になり易いです。

   一度黒くなった表面は、高い温度で、もう一度焼成しても、中々取れません。表面の皮膜が邪魔を

   している為で、表面の酸化膜を取除いた後、再度焼成します。

 ③ 長石成分を、多くした織部釉の場合も、酸化皮膜が出来易いとも、言われています。

   酸化皮膜は、銅分が表面に露出したものであり、食器の場合は、除去したい物です。

   (曇った器も、使用していると、段々綺麗になると、言われています。これは、皮膜が少しづつ

    剥がれるからだと、考えられます。)

2) 栃渋と塩酸

  栃渋も塩酸も、強酸ですので、希釈(薄めて)して、使用します。

  酸を扱う作業ですので、手袋などをして、手荒れや取扱いには、十分注意が、必要です。
 
① 栃渋

  ) 栃渋は、椚(くぬぎ)の実、即ち「どんぐり」の袴(はかま=へた)又は、栃の実の笠を、

     水に漬けて、2週間以上放置した物で、黒色をしています。

     少々独特な、匂いがあります(更に、作品にもある程度、匂いが移ります。)

  ) 栃渋は、市販されていますので、必ずしも、自作する必要は、有りません。

     市販品の、酸性の強さは、pH 5~5.8の弱酸性です。

  ) 使い方は、栃渋の液の中に、作品を、2日程漬け置き後、取り出し、水洗いしてから、乾燥させ

     ます。漬ける時間は、季節の温度差によって、左右されますので、適度に調整します。

  ) 長く浸けると、渋が貫入に入り込み、程素敵な雰囲気を、かもし出し、更に、古びた味のある

     表情が得られます。

     尚、長過ぎると、織部が白く、粉を吹いた様に、変色してしまいます。

     次に述べる、濃い塩酸に漬けると、成り易いので注意が必要です。

  ) 栃渋ではなく、柿渋を用いる方法もあります。ホームセンターなどで、手軽に入手できます。

     原液を器に塗り、乾燥後に水洗いします。効果として、目止めになって、汚れに強くなります。

     更に「タンニン」には、防腐作用も、有ります。
     
 ② 塩酸
    
   現在では、希塩酸を使って、短時間で、皮膜を取り除く方法が、一般的です。

  ) 容器に水を入れてから、塩酸を入れて、希塩酸を作り、15~20分程度、漬け置きます。

    当然、塩酸の希釈度によって、時間に差がでます。取り出した後は、水洗いをするか、重曹

    (炭酸水素ナトリウム)溶液で、酸を中和します。

    尚、熱湯に塩酸を溶かすと、反応が良くなり、塩酸の濃度を、抑える事ができます。

  ③ 栃渋と、塩酸とでは、織部の発色も、多少変わります。栃渋の方が、酸化銅の発色が、鮮やかで、

    深みが有ると、言われています。

 栃渋や塩酸以外にも、物理的な方法で、皮膜を取る方法も有ります。

 即ち、表面を、「バフ研磨」して、機械的に、酸化皮膜を取り除く方法で、大きな作品等の場合に、

  行う事が、あります。

以下次回に続きます。

 栃渋 塩酸
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陶芸に於ける有害物質 11 (焼成中の有害物質3)

2010-11-10 22:43:40 | 陶芸の困り事
今年は、奈良遷都1300年の歳に成ります。その為、大勢の人が、奈良に出かけた様です。

・ 奈良と言えば、東大寺の大仏が有名ですが、大仏が造営された時には、全身に金メッキが、施されて

  いました。今の化学では、この作業は大変危険な物で、当時多くの水銀中毒者が、発生したのでは

  ないかと、言われています。

・ 陶磁器の上絵付けで、使用する金液は、水銀以外の、有機溶剤を、使用していますので、水銀中毒は、

  起こりませんが、有機物が燃焼する際、有害と思われる、物質が発生しますので、注意が必要です。

4) 金液(水金)、金アマルガム

  金は、24Kが純金です。たとえば18Kなら、6K分が、金以外の成分となります。

 ① 金液: 「テレピン油」の様な、精油の硫黄化合物と、塩化金を結合させ、これにテルペンを

   加えて、粘度を調整して作ります。

   テルペンには、ロジウム、ニッケル、クロム等の金属を加えます。

   金液は、金色でなく、黒い色をしていて、揮発性があり、ドロドロの状態です。
 
   (注: テルペンとは、天然有機化合物の事で、アルコール、アルデヒド、ケトンの総称です。)

  ) 「金」が11~40%含まれる「水金」を作り、絵の具のように着色します。

      焼き上がると、18金~24金に近い、「金」の膜になります。

  ) 金彩: 金泥や、金液を使った装飾で、液状の金やプラチナを、金油で伸ばして、使用します。

     金液(銀液)は、かなり特殊なに臭いがします。長時間、嗅ぎ続けると、人体に害があり、

     換気の必要性が、あります。

  ) 金液の希釈剤(金油)

     金液が濃くなった時に添加し、薄めるのに使用します。又、筆についた金液を、落とすのにも

     使用します。成分 は、テレピン ショウノウ油 ニトロベンゼンの混合物で、やはり臭いが

     有ります。
 
  ) 焼成の際に、最も注意すべき事は、炉内の換気です。一般的な金液の成分中、11%程度の

     金ですが、大部分は樹脂、溶剤です。これらは400℃位までに、燃焼してガス化させます。

    ・ 又、転写を施した、製品がある場合は、転写に使われる、樹脂オイルの熱分解ガスも、同時に

      発生します。それ故、窯の蓋を少し開き、窯の中のガスを、逃がします。

    ・ 上絵付けは、電気の窯を使うのが、一般的ですので、屋内で作業する事も、多いです。

      そこに、排ガスを窯から逃がす事は、排ガスが、屋内に出る事に成ります。

      このガスは、各種溶剤の燃焼物です、それ故、このガスを、吸い込む事は、有害ですので、

      屋外に排出するように、換気をする必要が有ります。

    ・ 健康や環境問題に対応する為、塩素と硫黄の、入っていない金液が、開発されています。

 ② 金アマルガム

   「アマルガム」とは、水銀と他の金属との、合金の総称です。

   水銀は、他の金属を、溶かす性質があります。水銀の量が多いと、液体に成ります。

   上記、奈良の大仏は、金1に水銀2~3に溶かした、半固形状のアマルガムを、銅像の上に塗った後、

   銅像を暖め、水銀を蒸発させ、金のみを銅の上に残し、金メッキした物です。

   この方法は、現在の電気メッキが、普及する以前のメッキ方法で、古代より、行われていた技法

   です。鍍金(めっき)と呼ばれていました。

 ) 水銀の有害性

   液体の水銀は、空気中に放置すると、蒸気としてわずかずつ拡散します。

   わずかでも、長期間吸入すると、中毒症状を呈します。水銀の化合物にも、有毒なものが多く、

   たとえば昇汞(しょうこう=塩化水銀)は、致死量0.6グラムと、されています。

   又、メチル水銀による中毒は、水俣(みなまた)病をはじめ、公害問題として知られています。

 ・ 但し、陶芸で、水銀を使う事は、無いと思いますので、心配は要らないでしょう。

以下次回に続きます。

 金液 金アマルガム
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陶芸に於ける有害物質 10 (焼成中の有害物質2)

2010-11-09 21:57:35 | 陶芸の困り事
陶磁器の、焼成中に発生する、猛毒ガスに、塩素ガスが有ります。

塩釉(えんゆう、しおゆう、しおぐすり)の技法で、焼成すると、窯の中に、猛毒の「塩素ガス」が、

発生します。

・ 特殊な技法なので、一般の方は、試す機会もないと、思いますが、知識として、知っていても、良い

  事と、思いますので、以下説明します。

・ 塩釉は、15世紀頃に、ドイツのライン地方で始まった技法で、 日本には、民芸運動を通じて、本格

  的に導入さますが、比較的歴史は浅く、塩釉による作品は、土管や日用品を中心に、行われてきまし

  たが、現在、工業製品には、この方法は、禁止されているそうです。

・ 現在は、一部の陶芸家や愛好家が、塩釉の技法を使って、作品を作っています。

3) 塩素ガス

   塩素ガスは、第二次世界大戦で、「毒ガス」として、使われた、人体に猛毒な気体です。

   一般家庭では、塩素系の漂白剤と、便器を掃除する、塩酸が混ざり合うと、塩素を発生します。

   「混ぜると危険」の表示の、漂白剤も有ります。換気が十分でないと、中毒を起こします。

 ①  陶芸では、塩釉と言い、燃焼中の作品の上から、岩塩や食塩を振り掛ける、技法が有ります。

  ) 窯の温度が、1100℃程度の時、窯の中に、数回に分けて、岩塩や食塩を、用具や手で、

    投げ込みます。その際、塩(NaCl)の成分が、熱分解して、「ナトリウム」と、猛毒の塩素ガスに、

    分離します。発生した、塩素ガスは、窯に充満した後、煙突から、排出されます。

   ・ 「ナトリウム」は、素地の「シリカ」と、反応し、塩釉独特の、不規則な、美しい条痕文が出来

     ます。素地に鉄や、マンガン、コバルト等を施すと、多彩な色に成るそうです。
  
  ) 但し、なんらかの、「トラブル」で、このガスを吸い込むと、大変危険な事に、成りますので、

    注意が必要です。(当然、投げ込む際には、窯の一部を、開け閉めする事になります。)

    塩釉の方法は、危険性や、環境問題、更に、窯を痛める為、一部の限られた、陶芸家や愛好家が、

    行っていて、一般的な方法ではありません。

 ② 「塩素ガス」の毒性は、眼や鼻の粘膜、皮膚を強く刺激し、吸引すると、喉や肺、気管支等の、

    呼吸器に損傷を与え、呼吸不全で、死に至ります。

 ③  現在では、塩素ガスの排出規制から、塩釉の焼き物は、色々規制がある様です。

   ) 塩素ガスは、それ自体が猛毒です。更に、空気より軽いため、上昇し、紫外線を遮断する、

     「オゾン層」を破壊し、環境問題を、引き起こします。

   ) 「ナトリウム」と、素地に含まれる「シリカ成分」が、化学反応して、ガラス質になります。

     「ナトリウム」は、揮発し、作品のみでなく、耐火レンガの窯自体や、窯の中にある、窯道具

     (棚板等)全てに、ガラス質が、付着します。

      その故、別の釉を使用して、窯を焚く事が、出来なく成ります。その結果、塩釉専門の窯と

      成ります。更に、窯の耐火レンガを、傷めますので、窯の寿命も極端に、短く成ります。

4)金液、水金、金アマルガム

 以下次回に続きます。

 塩釉と塩素ガス
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陶芸に於ける有害物質 9 (焼成中の有害物質1)

2010-11-08 21:41:49 | 陶芸の困り事
作品を焼成中でも、有害物は発生します。

焼成前では、無害な物でも、窯の中では、高温により、化学分解が起こり、有害物(猛毒)になる物質も

有ります。その他、焼成中に、有毒ガスが発生し、人体に多大な影響を与え、死に至る場合さえ有ります。

1) 一酸化炭素中毒

  電気による、焼成では、ほとんど起こりませんが、燃料を使用する焼成では、一酸化炭素中毒が、

  特に大きな問題に成ります。

 ① 一般に、燃料を使う焼成は、屋根が付いた程度の、屋外で作業する事が多く、空気も十分供給

   される為、人が一酸化炭素ガス(C O)を、吸入し中毒を起こす事は、少ないです。

   しかしながら、還元焼成に移ると、窯の中では、盛んに(C O)ガスが、発生します。

 ② 例え、電気による焼成であっても、還元を掛けると、窯の中は、必ず(C O)ガスが、充満

   しています。何らかのトラブルで、そのガスが、室内に漏れた場合には、(C O)ガス中毒を、

   引き起す事に成ります。

 ③ 一酸化炭素ガスは、無色、無臭の気体ですので、その存在を、感知する事は、出来ません。

   このガスは、空気より、やや軽く(比重は、空気を1とした時:0.967です)、理論的には、

   部屋の上部から、溜りますが、人の動きで、空気がかき回されますので、当てにしない方が良い

   様です。

  ) 毒性は強力で、手足がしびれて、動けなくなる事もあります。

  ) 重傷になると、脳神経細胞を破壊したり、意識不明や、死亡に至る事があります。

  ) 軽い中毒症状は、風邪に似ています。頭痛、吐き気、気分が悪いなどの、症状を感じたら、

    ただちに、窓を開放したり、換気扇が作動しているかを、確認し、最悪の場合、燃焼を中止する

    必要が有ります。

  ) 血液中の酸素は、ヘモグロビン(酸素を運ぶ物質)と結びつき、身体に運ばれています。

    一酸化炭素は、酸素の200~300倍の強さで、結合すると言われています。このため、微量

    であっても、身体が酸素欠乏状態となり、進行すると死亡(窒息死)に至ります。

  ) COガス(一酸化炭素)警報器が、市販されています。

    もしも、屋内で、窯焚きを行う時、特に還元焼成をする場合には、この警報装置を、設置

    したい物です。

     (先日も、窯焚きで、一酸化中毒で、数人が亡くなった事が、報道されていました。)

2) ガス漏れ事故。

 ・ ガス漏れ事故は、焙り(あぶり)と呼ばれる、焼成中に起こりがちです。

   即ち、「ガスバーナー」のバルブを、極端に絞り、炎を細くして、急激な温度上昇を、抑えます。

   強い風が吹いた場合には、炎が吹き消される、恐れが有ります。その為、窯の中に、ガスが充満

   した状態に成ります。この状態で、再点火した場合、窯は爆発します。

   それ故、窯の中のガスを、外に出してから、再点火する必要があります。

 ① 天然ガス(都市ガス)は、空気より軽い為、窯の扉を開ければ、自然と排出されます。

  「メタンガス」のみの、都市ガスでは、人に対して健康上に、有害性はありません。

  但し、都市ガスの成分は、一定ではなく、ガス会社によって、差があり、(C O)ガスを含む、

  場合も有りますので、ガス漏れには、注意が必要です。

  都市ガスは、元々無臭のガスですが、漏れたら直ぐに、判る様に、臭いを付ています。

  天然ガスは、燃焼する際に、発生する二酸化炭素の排出量が、少ないという、特徴があります

  又、窒素酸化物の排出も少なく、硫黄酸化物は全く排出しない為、クリーンで環境に、やさしい

  エネルギーです。

 ② プロパンガスは、プロパン、ブタンを主成分とするガスで、液化石油ガス(LPG)の事です。

  プロパンガスは、同じ容積で、都市ガスの2倍以上の熱を、出す事ができます。

  それ故、都市ガスより、大量の空気が必要です。ガスには、特有の臭いがあり、ガス漏れには直ぐに

  気が付くはずです。

 ・ 空気より重く(約1.5~2倍)、常に低い場所へ、低い場所へと、広がります。

   ガスが、風などで、吹き消された場合には、窯の中に生ガスが、残り易いので、団扇などを用いて、

   外に出す必要が有ります。LPガスそのものには、人体に有害な、(CO)ガスは、含まれていません。

   ただし、換気不足などで、不完全燃焼を起こすと、COガスを発生します。

 ・ LPガスそのものを、大量に吸い込むと、意識を失ったり、窒息することもあります。

以下次回に続きます。
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陶芸に於ける有害物質 8 (有機化合物2)

2010-11-07 21:50:06 | 陶芸の困り事
陶芸で有害な、有機化合物の、話を続けます。

 ③ 薄め液(有機溶剤)

  ) 「シンナー」の意味は、「薄める」と言う事の様です。

    色々な、有機物が、混合された液体で、メーカーによって、その構成素材に、違いがあります。

    「ペンキ」や「ニス」などの、塗料を薄める溶剤として、又、各種、剥離剤として、使用されて

    います。
  
  ) 以前には、「ベンゼン」や「トルエン」などの、有害な物質を、含んでいましたが、現在では、

    規制されている様です。

  ) シンナーの有害性は、幻覚作用を起こす事です。興味本位で、シンナーを吸い過ぎ、急性中毒で、

    命を落とした、若者も、多くいました。

  ) 衣類や、精密機械の、洗浄に使う「ベンジン」も、シンナーの一種で、引火性がありますので、

     火気厳禁と、風通しの良い環境で、使用します。   

  ) 陶磁器が破損した場合、「金継ぎ」と言い、金粉で補修する方法が、有ります。

    破損部は、「漆(うるし)」を用いて、接着しますが、その漆(天然、合成)の、濃度を調整する、

    「薄め液」が、市販されています。液には、何が含まれているかは、表示されていません。

   この液にも、警告文が、添付されています。

   a) 引火性液体で有る事。

   b) 有機溶剤中毒の、恐れが有る事。

    ・ 長時間、匂いをかがない事。換気を良くする事。

    ・ 取り扱い中は、保護めがね、マスク、手袋を着用する事。

    ・ 皮膚に触れた場合には、多量の石鹸水で、洗い流す事。

    ・ 目に入った場合は、多量の水で、洗い流し、医師の診察を受ける事。

    等が、表示されています。

2) 焼成後に使用する、有機化合物

   陶器を使用する際、水も漏れや、貫入の部分に、汚れが付き、見苦しくなる場合が、有ります。

  ) 食器類の場合

   a) 陶器は、磁器に比べて、吸湿性が大きいです。

     例え、施釉していても、吸水と水漏れを、起こす場合が多いです。

     一般に、食器の場合には、使用前に、一定時間(約5分程度)、水に漬け置き、吸水させます。

     こうする事により、器に光沢が出て、瑞々(みずみず)しくなり、見た目にも、美しく、料理を

     盛っても、器が汚れる事も、なくなります。

   b) 汁物を入れる器で、中の汁が、染み出て来る場合や、梅干など、塩分を含んだ食品を、入れて

     置くと、水分や、塩が出てくる時には、水止め防止剤を、使う必要が有るかも、知れません。

     (米の煮汁で、止める方法や、「米ぬか煮沸」も有りますが。)

    その場合には、(食品衛生上)無害、無臭な水溶性の、食器用の防水シリコンを、使います。

     (主成分は、アルカリ金属塩、シランモノマーと、言うそうです。)

   c) 但し、防水シリコンを使うと、土の器の本来の楽しみである、「器の景色」が楽しめなくなり、

     使う程に、変わる器の変化(景色)も、楽しめなくなります。

     それ故、器の内側又は、外側の一方に、使用した方が良いでしょう。

   d) 花入れ等の、水漏れ防止剤

     常に液体(水)が入った器(花器)には、食器用では、効果がありません。

     より強力な、防止剤が必要です。この防水シリコンには、20~30%程度の「トルエン」が

     入っています。 その為、食器用には使用できません。

   e) トルエンの有害性

    ・ 特徴的な、臭気のある、無色の液体です。

    ・ トルエンは、吸入、接触により、体に吸収されます。

      急性毒として、中枢神経系に、影響を与え、低量でも錯覚感、吐き気などの、症状がでます。

      多量では、酩酊、神経錯乱、歩行異常が、現れます。
      
      慢性毒は、薬物依存症、視野狭窄、眼振、難聴、中枢神経機能障害、脳の萎縮が見られます。

      但し、「発がん性」に関しては、報告されていないそうです。

   f) 取り扱いに注意する事: 揮発性が有りますので、吸入しない様にすると伴に、

     換気を良くして下さい。手に付いた場合には、速やかに、石鹸で洗います。

以下次回に続きます。    
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陶芸に於ける有害物質 7 (有機化合物1)

2010-11-06 22:50:17 | 陶芸の困り事
陶芸で扱う物質で、有害な物は、釉の原料以外にも、様々な物があります。

 例えば、「トルエン」、「キシレン」など、有害な物質を含む、製品を取り扱う事も有ります。

1) 焼成前に使う、有機化合物: 撥水剤やラテックス、その他の、各種溶剤など

2) 焼成後に使用する、有機化合物: 止水剤などです。

 ① 撥水剤: 施釉する際に、施釉したく無い所に塗り、釉を弾き、釉を塗り残す時に、使用します。

   昔は、「蝋抜き(ろうぬき)」と言い、湯煎で溶かした、蝋を筆などで塗りましたが、現在では、

   撥水剤を、使う事も多くなりました。

  ・ 撥水剤を、素焼した素地に、直に塗る方法や、釉に混ぜて施釉後、その上に掛ける釉を、弾いて、

    色模様に、変化を与える方法が、あります。

  ・ 撥水剤の欠点は、一度塗ってしまった所は、除去出来ない事です。どうしても取り除きたい場合は、

    もう一度、素焼する必要が、有ります。

  ・ この撥水剤も、揮発性の有機化合物で、刺激臭があり、有害物質が、含まれていると、思われます。

    (材料に、何が使われているかは、不明ですが、どぎつい赤、ピンク、青色が、付けられている

     物も、有ります。即ち、有毒の表示も、兼ねているかも、知れません。)

     それ故、使用時には、吸い込まない事と、換気を行うと同時に、床などに、こぼさない事です。

  ・ 使用した筆は、石鹸水などで、洗い落とします。油性ですので、水では洗えません。

    又、手に付いた場合にも、同様に石鹸で洗います。

 ② ラテックス(陶画のり)

   蝋抜きと、同じ作用をする物に、「ラッテックス」が有ります。

  ) のり(糊)状の液体で、素焼された作品の上に、筆などで、模様を描くと、そこには、施釉が、

    出来ません。施釉後、その部分を、針やピンセットなどで、剥がす事が出来ます。

  ) 天然又は合成のゴム液で、マスキング剤として、使用します。乾くと透明になります。

    自然界に存在する、乳状の樹液は、空気に触れると凝固します。タンパク質、アルカロイド、

    糖、油、タンニン、樹脂、天然ゴムを含む、複雑な物質です。

    植物から、分泌される、ラテックスは、ほとんどの場合、白、黄、オレンジ樹液です。

    凝固しない様に、保存剤として、アンモニアを0.6%加えている為、アンモニアの臭いがします。

    使用後の筆は、中性洗剤で洗います。

 ) ラテックスとアレルギー

   ラテックスはアレルゲン(アレルギーの抗原)でもあります。

   頻度は、低いですが、重いラテックス、アレルギーを持つ人々もおり、ゴム手袋などの、ラテックス

   製品に触れると、アナフィラキシーを起こします。

  注: アナフィラキシーとは

   症状: 顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚のカユミ、蕁麻疹、口唇や舌・手足の痺れ感、むくみ、

    吐き気、顔面蒼白、手足が冷たくなる、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなどで、突如として現れます。

    発症後は、急速に症状が進行し、チアノーゼや呼吸困難、意識障害、血圧低下等の、ショック

    症状を引き起こし、生命を脅かす様な、危険な状態に、陥入る事があります。

  ・ 発症してからの進行は、2時間以内と非常に早い事が特徴で、救急車などを利用して、早急に

    救急救命処置が、可能な医療機関を、受診しなければ、致命的となる可能性もあります。

 ③ 薄め液(有機溶剤)

以下次回に続きます。

 撥水剤 ラテックス(陶画のり)

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陶芸に於ける有害物質 6(灰釉、灰汁)

2010-11-05 22:18:28 | 陶芸の困り事
今まで述べて来た、有害物質は、主に釉の着色剤として、使用されていた、金属物質でしたが、釉本体の

構成原料である、「アルカリ類」(灰を含む)について、述べます。

 ・ 釉は、長石(主にシリカ、アルミナ成分)、珪石(シリカ成分)、塩基性成分(アルカリ類)から、

  成っています。

 ・ 塩基性成分には、炭酸カリウム(真珠灰)、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)、炭酸マグネシウム、

  炭酸カルシウム(石灰石)、炭酸バリウム、炭酸リチウム等の他、タルク(滑石)、蛍石等があります。

  これらの化合物は、弱アルカリ性を呈し、ほとんど、健康に影響を与えません。

 ・ 但し、中華麺類に使用される、「かん水」は、炭酸カリウムや、炭酸ナトリウム等の炭酸化合物や、

   リン酸カリウムなどの、リン酸化合物で作られ、炭酸化合物を摂りすぎた場合、消化粘膜を腐食する

   毒性を持っています。

 ・ 有害性が問題に成るのは、自分で、天然灰を作る場合です。以下その理由を述べます。

 ⑭  灰釉(かいゆう): 上記「アルカリ類」の替りに、灰を使う釉の事です。

  ) 「灰」には、天然灰と、合成灰が有ります。

    市販されている、両方の灰には、有害物質は、ほとんど、入っていませんが、自分で灰を作り、

    釉として、利用する際には、注意が必要です。

  ) 灰の中には、各種の塩基成分が、含まれています。それ故、灰釉を、好んで使う、陶芸家も、

    多いです。灰も、使い方によっては、有害に成ります。

  ) 植物の「灰」は、昔から、酒造の麹作りの、種麹に木灰を利用したり、清酒の製造の際に、

    色を澄ます為や、酸味の調整に、利用したりしていました。

  ) 灰汁(あく): 植物の灰を、水に溶かして、上澄みを、すくった液のことです。

     灰汁も、昔より、色々な分野で、利用されてきました。

  ・ 製紙業では、灰汁を加え、純粋な繊維を取り出したり、灰汁を煮て、繊維を分離し易くします。

  ・ 染色として、藍染め液の、アルカリ性の調整や、植物色素の抽出し、色を鮮やかにするのに、

    利用しています。

  ・ 洗剤剤 として、灰汁で食器や、衣服等を洗ったり、漂白剤として、利用されていました。

 ) 言うまでも無く、「木灰」は、樹木や稲など、植物の燃え残った、不燃物の総称です。

   「灰」の中には、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの他に、鉄やマンガン等が、含まれて

   います。「灰」が水に溶けると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが、生成されます。

   これらの水酸化物質は、強塩基性(強アルカリ性)を呈し、色々な分子を、分解します。

 ) 塩基の有害性

    酸を含んだ多くの物質は、身近に存在していますが、塩基性の物質は、アンモンニア、石鹸など、

    限られています。塩基は、酸よりも、危険度が大きいです。

    (但し、中性洗剤は、文字通り中性で、アルカリ性では、ありません。)

  ・ 塩基は、皮膚の蛋白質を、溶かす働きがあり、触ると「ヌルヌル」感が、あります。

     (炭酸系の温泉に入ると、「ヌルヌル」するは、この為です。)

  ・ 塩基の強さは、PH(ペーハー)で測られ、7以上ですが、強アルカリでは、10以上の物も

    あります。それ故、眼に入ると、失明の危険性があります。

 ) 灰汁には、炭酸カリウム等の他に、「シュウ酸」が含まれ、これにも毒性があります。

    「シュウ酸」の毒性は、血液中の石灰分を奪い、神経系を侵すと、されています。

 ) 灰汁は、食品に含まれる、渋み・苦み・不快な臭いなどの、元となる不要な、成分の総称です。

    上記成分の他に、多様な物質を含み、硝酸、シュウ酸、ホモゲンチジン酸などの有機酸や、

    アルカロイド物質、タンニンなどのポリフェノール類等が、入っています。

 ) 釉薬用の灰は、燃やした灰を、直接使用せず、前処理が必要です。

    必ず、何度も、水に晒したり、煮沸したりして、灰汁(あく)即ち、水酸化化合物などを、取り

    除く必要が有ります。さもないと、釉に触る事により、手が荒れ、火傷状になり、釉に不純物で、

    斑点等が出たり、気泡等が発生する(釉が荒れる)事になります。

以下次回に続きます。

 灰汁の有害性

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