わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 274 釉の重掛けと掛分けとは3?

2017-03-14 15:04:06 | 素朴な疑問
2) 釉の掛分け。

  施釉する部分を二重にするのでは無く、部分部分を区切り、異なる釉で彩色する方法です。

 ① 釉の掛分ける境目を、決めておく必要があります。

 ② 境目を設ける方法。

 ③ 複数の釉は同一の作品に掛けますので、焼成温度が同じであり、且つ流れ難い釉が適します。

 ④ 釉同士の境目を決める際、施釉する方法も考える必要があります。

 以上が前回までのお話です。

 
 ⑤ 掛合わせのやり方。

  釉を掛け合わせるには、施釉したくない側をマスキングの方法が一般的です。

  マスキングには幾つかの方法があります。

  ⅰ) マスキングテープによる方法。

   粘着テープを用いる方法で、市販のマスキングテープや、ガムテープ等も利用できます。

   素焼きした作品には、テープが密着し難く、隙間が出来易くなりますので、強く圧着する必要

   があります。例え隙間が発生しても、テープを剥がした際確認できますので、隙間に入った

   釉は容易にブラシ等で取り除く事ができます。

   当然ですが、施釉した部分はテープ等でマスキングする事は出来ませんので、別な方法で行い

   ます。又、テープは直線は得意ですが、曲線は不得手ですので、曲線状に掛分けしたい場合

   には他の方法を使う事に成ります。

  ⅱ) 市販の撥水剤を使う方法。

   撥水剤を素焼きの素地に塗る方法と、施釉した上に行う方法があります。

   但し、取り扱いには火気厳禁です。

   a) 素地に直接塗る方法。 筆などを使い、施釉したくない部分に塗ります。

    注意点は、一度塗ってしまった部分を取り除くのは大変ですので、はみ出さない様に予め

    塗る範囲を鉛筆やマジイック等で囲んだり、マスキングを施したりしでおく事です。

    尚、取り除くには再度素焼きを行う必要があります。紙ヤスリ等では取り除けません。

    それ故本焼きした場合、撥水剤を使用した部分は、素地がそのまま表れます。

   b) 撥水剤は、施釉した上に行う事も出来ます。

    隙間を作らない掛け分けに適する方法です。即ち、境目にマスキングテープを貼り、撥水剤

    が境目より外に出ない様に塗ります。その後マスキングテープを剥がし、他の釉を塗ります

    撥水剤を塗った部分に施釉しても、釉を弾いてしまい、容易にスポンジ等で拭取る事が出来

    ます。本焼きで撥水剤は飛んでしまいますので、撥水剤の影響はありません

    撥水剤で使った筆類は、石鹸水などで綺麗に洗って下さい。

  ⅲ) ラテックス(陶画のり、液体のり)を使う方法。

   これらは釉を施した後で、容易に取り除く事が出来るのが特徴です。取り除いた跡に施釉が

   可能です。但しラテックスを剥がした跡は、釉を弾き易くなっていますので、紙やすり等を

   掛けておくと良いでしょう。当然ですが釉の上で使う事は、釉毎剥がしてしまいますので出来

   ません。又、ラテックス等は筆を痛めますので、一度使うと駄目(使用不能)になる事が多い

   ですので、なるべく捨てても良い物を利用する事です。尚、使用後シイナー等の有機溶剤で

   洗えば再度使用できます。

  ⅳ) 蝋抜(ろうぬき)の方法。

   熱して液体にした蝋を使う方法です。昔から使われた技法です。蝋で有れば、蝋燭の蝋も使用

   可能です。一般に蝋を湯煎(ゆせん)して使用します。素地の上又は施釉した上でも使用でき

   ます。筆(刷毛)塗りが一般的です。それ故、小回りが利き細かい掛け分けには便利な方法

   です。素地上に塗った蝋は剥がれ易く、その部分に他の釉を掛ける事も出来ます。但し蝋が

   残らない様に気を付けるる事です。本焼きをすれば、施釉上の蝋は、燃えて無くなります。

   難点は使用前の準備が面倒な事です。

  ⅴ) スプレー掛けの場合上記各種の方法と組み合わせる事により、より細かい掛け分が可能に

   なります。興味のある方は、各自工夫してトライしてください。

以上にて「釉の重掛けと掛分け」の話を終わります。
 
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