わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 徳利 1

2010-06-22 21:39:40 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
懐石料理にも、お酒(当然、日本酒)が出てきます。

一汁三菜の膳には、燗鍋(かんなべ)に入れられたお酒と、朱杯(しゅはい)と呼ばれる、杯(さかずき)

が付きます。(最初から、膳に載って居る場合と、後から人数に合わせて、持って来る場合が有ります。)

 ・ 燗鍋とは、鉄、銅、錫などの、金属製の銚子の一種で、急須の様な形(但し、把手は真上)をし、

   そのまま、お燗ができます。「チロリ」と呼ばれる事もあります。

   本来、「チロリ」は、金属製のコップ型に、把手の付いた形で、酒を温める道具を指します。

 ・ 朱杯とは、朱漆塗りの、木杯で、大変浅く出来ていて、両手で持たないと、こぼれる恐れが有ります。

   (大きさは、径が9cm、高さが2~2.5cm位です。)

この膳に供される、酒の量は、わずかです。それ故、酒の量が、足りなさそうと、思ったら、

この膳の終了と共に、預け鉢と、強肴(しいざかな)が、出され、亭主は酒を入れた「徳利」と、

「ぐい呑み」を、提供します。

 ・ 「ぐい呑み」は、焼き物(陶磁器)を使用しますので、石杯と呼びます。

   「ぐい呑み」に付いては、後日お話致します。

 ・ 燗とは、お酒を温める事ですが、現在では、冷酒の場合も、多い様です。

1) 徳利の出現

  本来、茶の湯の懐石には、徳利は出てこず、提供されても、ほんの脇役に過ぎませんでした。

   (前述の、燗鍋と朱杯が、本来の姿です。)

  茶懐石に本格的に、徳利とぐい呑みを、取り入れたのは、古田織部との事です。

  徳利の出現により、茶懐石で、気楽に多量の酒が頂け、好評に成ります。

2) 徳利と、預け徳利

 ① 徳利の、使い易い大きさは、高さが、15~18cm位で、容量は、1合(180CC)程度です。

 ② 預け徳利は、腰や肩の張った、形をしていて、2~3合入る、大きな器です。

   亭主が、酒を注いで回ずに、客に徳利ごと、預ける事から、この名前がつきました。

   このスタイルは、客が存分に酒を、飲む事が出来る為、大いに受けた様です。

3) 徳利の産地

 ① 備前焼、唐津焼、古九谷焼、祥瑞(景徳鎮)、粉引(こひき、李氏朝鮮)等が有ります。

 ② 備前焼の徳利は、大変人気の有る物です。但し、桃山時代の徳利は、少ないそうです。

   無釉の備前焼は、使うほどに、渋い地肌が、落ち着きが、出て来ます。

   火襷(ひだすき)や、自然釉の胡麻、牡丹餅風の模様(器を寝かせて焼く)の他、口造りも、

   玉縁で、山道(口の凹凸)風に、うねって(起伏)います。

   注ぎ口は、特別、設けない形で、どの位置でも、注ぐ事が出きる、利点が有ります。

   底は平底(ベタ)です。

 ③ 唐津焼の徳利は、和物としては、備前焼と並び、人気の有る物です。

   絵唐津、斑(まだら)唐津、朝鮮唐津に、分類されますが、特に、茶人には、朝鮮唐津が、

   珍重されています。

  ・ 朝鮮唐津: 黒い鉄釉の上に、藁(わら)灰による白濁釉を、掛けた物で、ニ種類の釉が

    混ざり合い、独特の趣が、茶人に喜ばれました。

  ・ 作り方は、叩き造りが、基本です。

    即ち、内側に、当て板を置き、外側から、叩き板で、胴を締めながら、成形する方法です。

    叩き板に溝が彫られ、より強く締める、働きをします。この溝が、表面の模様に成る事もあります。

以下次回に続きます。   
  
    
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