3) 焼成収縮率が大き過ぎる際のブレンド土。
土を高温で焼くと、大なり小なり縮みます。縮む事で素地が緻密に焼き締まり、機械的強度を
増し、使用に耐える作品になります。それ故収縮率を極端に小さくする事は出来ません。
更に、極端に縮むと作品が小さくなるだけでなく、部分的な変形を引き起こす恐れもあります。
① 素地に熔剤となる原料が多過ぎる場合に、収縮率は大きくなります。
即ち、長石、雲母、石灰石、酸化化合物などが多く含まれた素地です。これらの物質の粒子が
細かい程、収縮率は大きくなります。
収縮を小さくするには、アルミナや石英などの耐火物質を加えます。カオリン等の耐火性の
ある素地を適量添加するか、シャモット(焼き粉)を加える事でも改善されます。
② 粘土粒子及び混在する不純物の粒子が細かい程、収縮率が大きくなりまう。
粒子が細かい程、表面積が増え個々の粒子間の化学的、物理的な相互作用が大きくなる為と
思われています。それ故、粒子の粗い粘土類を適量添加する事で、縮み率が改善されます。
③ 焼成温度が高くなるに従い収縮率は大きくなります。
但し、混在物質の中の、多量のガラズ質を発生させる成分を多く含む素地は、逆に収縮率は
低くなります。これは、ガラス成分の比重が粘土粒子より小さく、その分容積が大きくなる
からです。高い温度で焼成する利点も考慮して、最高焼成温度を決めるます。
④ 温度上昇を時間を掛けてゆっくりする程、収縮率は大きくなります。又「寝らし」時に一定
温度を長く保持すればする程、収縮率は大きくなります。即ち、低い焼成温度であっても
長時間焚き続ける事で、素地は焼き締まる事になります。
4) 焼成による変形対応方法。
窯出しで作品が変形している事は珍しい事ではありません。特に平たい皿等に多く見られます。
① 主な原因は、焼き固まり(焼固)と素地の温度範囲が狭い事です。
即ちこの範囲が、100℃以内の場合に起こり易いです。特に赤土など鉄化合物を多く含む素地の
場合要注意です。
② 変形し易い素地の場合、焼成温度を下げる事です。
又、寝らし時間を長く取る事も得策ではありません。即ち、最終温度で長時間焼かない事と、
温度上昇をゆっくりさせない事も有効です。
③ 素地を改良するには、微細な珪砂やカオリン又は耐火粘土を10~20%程度添加します。
尚、1100℃以下で変形を起こす素地の改良は困難です。
④ 本焼きの窯詰め時に注意する事で、変形の危険を回避できます。
ⅰ) 作品に荷重が掛からない様にする。
左右対称でない場合、片側に荷重が掛かる場合があります。例えば片方に取っ手のある作品で
あれば、取っ手側に荷重が多く掛かります。特に制作時に取っ手を肉抜きして軽く作る事も
大切ですが、重そうな取っ手の場合は、取っ手の下側に貝などで、支えると良いでしょう。
ⅱ) タタラで作った板皿に、脚を付けると変形し易いです。
平たい板皿であればある程、脚の付ける位置が問題になります。中央寄りに付けると、皿の
縁が下に垂れ変形します。逆に縁側に付けると、皿の中央が下がる(又は上がる)場合が
あります。いずれの場合にも、下から支えて変形を回避する事が大切です。
ⅲ) 作品が部分的に強く加熱された場合にも、変形が起こります。
これは、強く加熱された部分が他より大きく縮む為です。これを予防するには、火盾などで、
直接炎が作品に当たらない様にする事です。又、大きな作品の前に小さな作品を置き、炎を
分散させる方法もあります。
5) 焼成中の剥離と切れ。
① 肉厚の作品の場合、焼成中に表面の層が剥離する事があります。
制作時に層状に制作した物は勿論、層状の作品でない物も起こります。特に可塑性の大きな素地
で作った陶板の作品に、多く見受けられる現象です。
素焼きの際の急激な温度上昇で起こり易いです。これは、肉厚の素地では結晶水や素地中の
遊離水が水蒸気と成って素地を通過し難く、水蒸気爆発を起こすからです。
これを防止するには、作品を十分乾燥させる事です。又珪砂やシャモットなどを加え素地の粒子
をやや荒くする事です。
② 焼成中の亀裂と、冷め割れ(窯の冷却時に亀裂が発生する事)。
作品を見ればこの差は区別できます。即ち焼成中の亀裂は、幅広で角が「ギザギザ」で亀裂の
断面が表面と同じ色をしています。即ち熔けた釉が縁部分に付いています。
冷め割れの場合は、磁器を割った様に鋭く直線状になります。更に急冷の場合には一点を中心
として、枝状の割れになる場合もあります。石灰の多い素地では急冷に注意です。
容積の小さい窯や、窯の壁が薄い場合、作品の数が少ない時には、急激に冷えますので、直ぐに
火を止めるのではなく、窯を焚きながら温度を下げる事も考えて下さい。
6) 水漏れ(透水性)に付いて、及びその予防と対策。
以下次回に続きます。
土を高温で焼くと、大なり小なり縮みます。縮む事で素地が緻密に焼き締まり、機械的強度を
増し、使用に耐える作品になります。それ故収縮率を極端に小さくする事は出来ません。
更に、極端に縮むと作品が小さくなるだけでなく、部分的な変形を引き起こす恐れもあります。
① 素地に熔剤となる原料が多過ぎる場合に、収縮率は大きくなります。
即ち、長石、雲母、石灰石、酸化化合物などが多く含まれた素地です。これらの物質の粒子が
細かい程、収縮率は大きくなります。
収縮を小さくするには、アルミナや石英などの耐火物質を加えます。カオリン等の耐火性の
ある素地を適量添加するか、シャモット(焼き粉)を加える事でも改善されます。
② 粘土粒子及び混在する不純物の粒子が細かい程、収縮率が大きくなりまう。
粒子が細かい程、表面積が増え個々の粒子間の化学的、物理的な相互作用が大きくなる為と
思われています。それ故、粒子の粗い粘土類を適量添加する事で、縮み率が改善されます。
③ 焼成温度が高くなるに従い収縮率は大きくなります。
但し、混在物質の中の、多量のガラズ質を発生させる成分を多く含む素地は、逆に収縮率は
低くなります。これは、ガラス成分の比重が粘土粒子より小さく、その分容積が大きくなる
からです。高い温度で焼成する利点も考慮して、最高焼成温度を決めるます。
④ 温度上昇を時間を掛けてゆっくりする程、収縮率は大きくなります。又「寝らし」時に一定
温度を長く保持すればする程、収縮率は大きくなります。即ち、低い焼成温度であっても
長時間焚き続ける事で、素地は焼き締まる事になります。
4) 焼成による変形対応方法。
窯出しで作品が変形している事は珍しい事ではありません。特に平たい皿等に多く見られます。
① 主な原因は、焼き固まり(焼固)と素地の温度範囲が狭い事です。
即ちこの範囲が、100℃以内の場合に起こり易いです。特に赤土など鉄化合物を多く含む素地の
場合要注意です。
② 変形し易い素地の場合、焼成温度を下げる事です。
又、寝らし時間を長く取る事も得策ではありません。即ち、最終温度で長時間焼かない事と、
温度上昇をゆっくりさせない事も有効です。
③ 素地を改良するには、微細な珪砂やカオリン又は耐火粘土を10~20%程度添加します。
尚、1100℃以下で変形を起こす素地の改良は困難です。
④ 本焼きの窯詰め時に注意する事で、変形の危険を回避できます。
ⅰ) 作品に荷重が掛からない様にする。
左右対称でない場合、片側に荷重が掛かる場合があります。例えば片方に取っ手のある作品で
あれば、取っ手側に荷重が多く掛かります。特に制作時に取っ手を肉抜きして軽く作る事も
大切ですが、重そうな取っ手の場合は、取っ手の下側に貝などで、支えると良いでしょう。
ⅱ) タタラで作った板皿に、脚を付けると変形し易いです。
平たい板皿であればある程、脚の付ける位置が問題になります。中央寄りに付けると、皿の
縁が下に垂れ変形します。逆に縁側に付けると、皿の中央が下がる(又は上がる)場合が
あります。いずれの場合にも、下から支えて変形を回避する事が大切です。
ⅲ) 作品が部分的に強く加熱された場合にも、変形が起こります。
これは、強く加熱された部分が他より大きく縮む為です。これを予防するには、火盾などで、
直接炎が作品に当たらない様にする事です。又、大きな作品の前に小さな作品を置き、炎を
分散させる方法もあります。
5) 焼成中の剥離と切れ。
① 肉厚の作品の場合、焼成中に表面の層が剥離する事があります。
制作時に層状に制作した物は勿論、層状の作品でない物も起こります。特に可塑性の大きな素地
で作った陶板の作品に、多く見受けられる現象です。
素焼きの際の急激な温度上昇で起こり易いです。これは、肉厚の素地では結晶水や素地中の
遊離水が水蒸気と成って素地を通過し難く、水蒸気爆発を起こすからです。
これを防止するには、作品を十分乾燥させる事です。又珪砂やシャモットなどを加え素地の粒子
をやや荒くする事です。
② 焼成中の亀裂と、冷め割れ(窯の冷却時に亀裂が発生する事)。
作品を見ればこの差は区別できます。即ち焼成中の亀裂は、幅広で角が「ギザギザ」で亀裂の
断面が表面と同じ色をしています。即ち熔けた釉が縁部分に付いています。
冷め割れの場合は、磁器を割った様に鋭く直線状になります。更に急冷の場合には一点を中心
として、枝状の割れになる場合もあります。石灰の多い素地では急冷に注意です。
容積の小さい窯や、窯の壁が薄い場合、作品の数が少ない時には、急激に冷えますので、直ぐに
火を止めるのではなく、窯を焚きながら温度を下げる事も考えて下さい。
6) 水漏れ(透水性)に付いて、及びその予防と対策。
以下次回に続きます。