わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動ろくろ26(トラブル4、撚れとヘタリ2)

2019-10-28 16:03:57 | 続 電動ろくろに付いて

 ⅳ) 土の「ヘタリ」によるトラブル。

  上の土の重量を持ちこたえる事ができず、形が崩れる事ことを「ヘタル」と言います。

  又、「潰れる」と言う事もあります。

  上の土の重量は、それを支える下の土の形状によって異なると共に、支える側の土の

  肉厚や柔らかさ、支える角度にも関係します。「ヘタッタ」場合には、土を取り換え

  最初からやり直す必要があります。勿論形を立て直す事も可能ですが、上手くいかない

  事が多いです。最も代表的な現象は、皿(特に浅皿)が「オチョコ」状になる事です。

  a) 皿類を作る際には、底(高台)の付け方によって「ヘタル」場合が多いです。

   これは轆轤作業だけでなく、タタラ作り(板作り)でも同じです。底を付けた為に、

   作品の縁が落ちたり、全体が変形する事も珍しくありません。

   轆轤の場合は、円形の高台になりますが、皿の直径と、高台の大きさの割合が重要

   に成ります。一般に外形の1/2~1/3と言われていますが、確実な数字ではあり

   ません。高台の径が大き過ぎると、皿の中央が下に落ちます。尺皿と言われる30cm

   以上の大皿の場合、高台を内外二重にする事が多いです。

  b) 厄介なのは、素焼きまでは、何ら変形する事も無いのですが、本焼きした後に

   現れる事です。これは高温で焼成すると、素地が柔らかくなる為です。

   素地の種類によって耐火度に差があり、同じ形でも、素地の違いによって「ヘタリ」

   具合も異なります。赤土など鉄分を多く含む土は、耐火度は落ちます。その為焼成

   温度を下げる必要があります。

  c) 最上部を真平にする事は出来ません。特に平の面積が広くなると、ほぼ不可能

   で中央が下に落ちます。真平でなくても、傾斜が緩く重量のある物を上に載せると

   中心付近や、上部に載せた部分の縁の部分が「輪っか状」に凹みます。

  d) 下膨れの壺なども、「ヘタリ」易いです。

   特に底の横を急激に外に出すと、その上の土を支えきれず、底の真横に落ち込みます

   当然内側の底の形状も、高さが二段になります。即ち外側に折り込む事になります。

   下膨れの形状にするには、ある程度底の面積を広く取り、大き過ぎる場合は乾燥後の

   底削りで調整します。   

  e) 鶴首の様に急激に径を細くすると、下の土が支えきれず、「ヘタル」場合が多い

   です。特に肩の部分は「なだらか」にする事で予防できます。

  f) 前回述べた「撚れ」による「ヘタレ」も有ります。

   撚れは肉厚に差がある時に起こり易いすので、薄過ぎる時は当然支える力は出ません

   し、円周上で肉厚に差が出ると、支える力も一定せず、弱い所から形が崩れます。

  g) 素地の水分が多い程、「ヘタリ」が早く起こります。

   水分は、素地そのものに多く含まれている場合と、轆轤作業が長引く程土が水を

   吸い込みますので、轆轤作業は出来るだけ短くする事も大切です。

  h) 一度「ヘタリ」が発生すると、徐々に「ヘタリ」部分は成長します。

   轆轤の回転を止めても、全体が完全に「ヘタル」場合もあります。

   更に、立て直そうと土を触り続けると、一層「ヘタリ」ます。

   i ) 皿の場合、どの程度まで平(浅く)に出来るのかの判断は、経験するしかあり

   ません。何度も失敗する事で、限界を把握する事が出来ます。

以下次回に続きます。

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続 電動ろくろ25(トラブル4、撚れとヘタリ1)

2019-10-25 11:26:32 | 続 電動ろくろに付いて

 ⅲ)土の撚(よ)れによるトラブル。

  撚れは「ねじれる」現象です。一度撚れが発生すると、土にねじれた癖が付き、肉厚が

  部分的に厚く成ったり、薄く成ったりし、形を造る際作業が難しくなります。

  「ねじれ」にはそれなりの原因があります。

  基本的には、土の壁の厚みと、上部の重量に関係する現象と、土と手指との摩擦の強さ

  に由来します。

  a) 肉厚による物

   器や筒状の壁面の肉厚が薄過ぎても、厚過ぎても起こります。特に土を伸ばす際や、

   形作りの際に壁面の一部に厚みの差が生じます。同じ場所を長く触っていると、

   肉厚は薄く成る傾向があります。なるべく均等な速さで指を上に上げる事です。

   イ) 周囲(上下)より薄過ぎる場合

    土を薄く延ばす際、下部が若干肉厚で、上部に行く程肉薄にしますが、途中で肉厚

    が薄く成ると、その部分が撚れ易くなります。撚れる方向は轆轤の回転方向と逆に

    なります。撚れた状態で続けて轆轤作業を行うと、撚れは更に大きくなり酷

    (ひどく)なります。それ故、撚れが発生したら直ぐに修正する必要があります。

   ロ) 轆轤に慣れた方では、撚れそうな予感を得る事も有りますが、慣れない方は

     ある程度撚れが酷く成ってから気が付く事も多いです。

     撚れた部分は見た目でも判りますが、成るべくなら指先で感じ取って下さい。

   ハ) 薄く成った土の厚みを再度厚くするのは結構難しいです。

     但し十分肉厚であれば、元に戻す事も可能です。撚れが発生する程、肉が薄く

     成ると、直径を細くすれば肉厚は厚く成りますが、撚れる程に肉薄の場合には、

     径を細くする事も困難です。

   ニ) 肉薄のよる撚れの修正方法。

     口縁で肉厚が薄くなる場合は、口縁を上から垂直に指で力を加えれば、比較的

     容易に肉厚にする事が可能ですが、高さ方向の中間又は中間よりやや上部に発生

     した撚れは直し難です。即ち上部より圧力を加えれば余計に撚れます。

    ・ 土を上から下に移動させる方法。

      撚れた部分より上は撚れた部分より肉厚が厚く成っている事が多いです。

      この厚く成った部分の土を両手の指を使い徐々に下に降ろし、薄く成った部分

      の肉厚を厚くしようとする物です。下に降ろす事は、土のねじれ方向を逆に

      する事にもなりねじれを解消する方向に作用します。

      但し、回転は「ゆっくり」にし丁寧に作業する必要があります。

    ・ 轆轤回転方向を逆にして普通に轆轤挽を行う。

      轆轤の回転方法を逆にすると、手指の使い方は左右反対になります。

      慣れないと難しいかも知れません。

    ・ 一度薄い部分の直径広げてから、径を細する。

      但し、撚れ部分は水を含み柔らかく成っている事が多いですので、ドライヤー

      等で乾燥させてから径を細くます。

    ・ 撚れが大きく形も歪んだ時には、失敗作ですので最初から直した方がベスト

      です。大きな作品などの場合、ねじれた部分を切り取り、その上に土を載せて

      継ぐ方法もありますが、意外と難しいです。

    ホ) 水不足で、手指が土の表面を滑らず撚れる場合。

      土が硬く、且つ水不足に成ると摩擦力は強くなり、土が引っ張られて撚れが

      発生する場合があります。土に触れる指は出来るだけ面積を小さくし、撚れを

      防ぎます。

   b)  肉厚が厚く成って撚れる場合。

    直径を細くすると、肉厚は厚くなります。その状態で轆轤作業を続けると撚れが

    発生します。土が中心に集まる為、部分的に肉厚に差が出る為です。

    撚れを発生させない為いは、細くしたら肉厚を薄くする事です。即ち土を上に伸ば

    す事に成り背も高く成ります。この行為を繰り返し行う事で、撚れの発生を抑える

    事が出来ます。尚径を細くする際いは、土の逃げ場を無くす(径が小さ時)か、

    逃げ場を左右対称にすると良いでしょう(径が大きい時)。

ⅳ) 土のヘタリによるトラブル。

以下次回に続きます。  

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質問 38 筆に付いて

2019-10-19 12:04:12 | 質問、相談、問い合わせ箱

「うず」様より以下のご質問をお受けしましたので、当方の見解をお知らせします。

 

陶芸初心者なのですが、絵心がないのに絵付けに力を入れようとなぜか考えています。

それで筆を探しているのですが、どういったものを使用すればいいのかわかりません。

初心なのでいきなり絵付け用の高い筆を買わず、100均に売っている絵画用の筆や、

100均じゃなくても習字用の筆とかいろいろありますが、最初はどんなものでもいいの

しょうか?

筆についてネットでは出てこないので教えていただきたいです。


明窓窯より

 どの様な絵付けをしたいかによって、高級な筆(数万円)から安価(100円均一)な筆

 まで多様で、材質も異なります。

 1) 絵付けには、下絵付けと上絵付けがあります。素焼きした素地に絵付けをするの

   が下絵付けで、施釉し本焼きした後に描くのが上絵付けです。(有田焼、九谷焼等)

   下絵付けは高い温度で焼成する為、近頃は色数も増えましたが、色数も少なく綺麗

   な色(金や銀は無い、その他鮮明な色)は少ないです。

 2) 陶芸初心者との事ですので、下絵付けに付いてお話します。

  ⅰ) 素地が陶器の物と磁器の物があります。絵の発色が良いのは素地が白い関係で

   磁器が適します。但し磁器を教えてくれる所はほとんどありませんので、陶器に付

   いてお話します。尚陶器でも絵付けをする場合には、白っぽい素地を使うと絵が映え

   るでしょう。(例えば、半磁器土、志野土など)

  ⅱ) 絵筆には水彩絵の具用と、油絵用の絵筆が有りますが、一般的には水彩絵の具用

   を使います。筆先が柔らかく小回りが利く為です。

  ⅲ) 筆には形状により丸筆と、平筆があります。その他刷毛(はけ)が存在します。

   広い範囲を一度に描く(塗る)場合は、刷毛や平筆(大小あり)を使います。

   細い線や点を描くには、筆先が細い面相筆(丸筆)を使います。

   広い面積を線が途切れる事無く、順番に描くには、絵具を多く含み事の出来るダミ筆

   (大中小あり)を使います。特に素焼き上に描く場合、素地が水分を吸収する為

    線が途切れ長く引けません。

   ⅳ) 陶器に絵を描く場合、磁器と違い「ラフ」の絵が多いです。

    何が描かれているか良く判らないばあいも多いです。その場合、筆以外に箒の先を

    加工したり、藁(わら)束の刷毛を使う事があります。ご自分で作る事が出来ます

    勿論、毛筆も使い方によっては、趣のある絵を描く事ができます。

   ⅴ) 参考までに

    絵付けは筆で絵具を塗る以外に、色土を使う方法や、象嵌(ぞうがん)、掻き落と

    し技法等その他で、絵柄を描く事も出来ます。挑戦して下さい。

 3)結論。

   最初に使う筆は、100均(数本セット)で十分です。

   使っていて不都合な点が出てきたら別の筆を試して下さい。高価な筆である必要は

   有りません。多く描く程、筆の要望が増えると思いますが・・・

   尚、陶芸材料店や、陶芸材料店のカタログ類にも、絵筆が載っていますが、一般に

   同じ筆でも、市販より高価です。興味がありましたらカタログを取り寄せてご覧下

   さい。

以上 参考にして下さい。

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続 電動ろくろ24(トラブル3、土振れと高低)

2019-10-14 13:57:45 | 続 電動ろくろに付いて

3)制作時のトラブル。 

 ② 形を造る時のトラブル

   素地(粘土)を最も薄く出来る(背を高くする)のは、土を垂直方向に伸ばした

   時です。即ち上の土を支える為には、斜め方向より垂直方向又は内側に斜めに積み

   上げる事が大切です。特に上開きの状態で下部が肉薄であり、上部に行く程肉厚で

   は高さを出す事は出来ません。

  ⅰ) 轆轤は両手で土を挟み、土を上逃がしながら土の厚みを薄くします。

   一度で薄くするのではなく、数度に分けて行います。(慣れた方は3回程度で終わ

   らさえる事が多いです。)

   外側の力が若干強く内側の力が若干弱くし、口も直径も広らない様にします。

   薄くする順序は最初に上部を次に中部を、最後に下部の順序で行うと、均一の厚みに

   なり易いです。(勿論やり方には色々な方法がありますので、この方法が最良の方法

   とするものではありません。)最初に下部から土を薄くすると当然上部は肉厚にな

   ります。下部から両方の指で薄くすると、上部の肉厚で指の上昇が押さえられ、

   肉厚の段差が生じる恐れがあります。慣れた方ならこの段差を騙しながら無す事が

   出来ますが、慣れない方はこの段差で手が止まり、その止まった所の肉厚を薄くす

   る事が難しく成ります。   

  ⅱ) 土が振れるトラブル。

   土を上に伸ばす際に土が振れるのは、根本付近に原因がある事が多いです。

   それ故、土を上に伸ばす前に、土が綺麗な円(凸凹していない事)にして置く必要が

   あります。上記した様に、根本を肉薄にし上部が肉厚の場合、振れ易くなります。

   根本の僅かな振れでも先端部では、振れは何倍にも増幅されます。即ち、振れている

   部分のみを修正しても、根本の振れを直さないと、又直ぐに振れは発生します。

   a) 偏肉で起こる振れ。

    円周上の一部が肉厚(又は肉薄)の場合には、遠心力の掛かる場所に差が出ます。

    即ち、肉厚の部分に働く力は他の部分より遠心力が強く働く為、外側に引っ張られ

    振れ易くなります。それ故、土の中心に孔が掘れないと偏肉が起こり振れが発生

    します。中心からズレた場合、一度孔の直径をやや広げた後、径を小さくすると

    中心が出易いです。

   b) 轆轤で基準に手は土の外側の手(指)です。(右回転なら左手)

    基準に成る手が振らついていては、真円は出ません。振れを防ぐには、基準になる

    手の肘を体の一部(太もも等)に付ける事です。土が上に伸びると肘が浮き易く

    成りますので注意が必要です。

   c) 手(指)を上に上げる速さと、回転速度による振れ。

    土は螺旋状に上に伸びていきます。螺旋の状態は、手を上に上げる速さと、回転

    速度によって決まります。間隔(ピッチ)の粗さと、溝の深さは向かい合わせの

    指の強さによって異なります。ピッチが粗いと肉の薄さも螺旋状になります。

    手はなるべく極端に挙げず、一定速度で上昇させる事です。

    但し速度は個人によって好みが有りますが、早過ぎでも遅過ぎでも触れは発生し

    易いですが、遅過ぎると遠心力も弱く、指先が土を一周するのに時間が掛り、

    少しの狂いでもその部分に再び指先が到達するタイミングを逸し、修正が難しく

    なります。逆に早過ぎると遠心力が強く成り、振れ易くなりますが、螺旋の間隔

    (ピッチ)が狭いですので轆轤慣れた方たでは、対応しますが、慣れない方あ恐怖

    心が出ますので、回転速度は押さえた方が良いしょう。

    更に、土の最上部近辺では、轆轤の回転速度を落とすと良いです。

   d) 筒状に伸ばした土の上部に高低差の出るトラブル。

    円周上で肉厚の部分すとは、他の部分り土の量が多いうので高く伸びます。

    高くった部分は、剣先(針)や弓で切り揃える。但し、元から狂っていると切って

    も切っても狂いは無くなりません。尚、狂いは悪とは限りません、高さの狂いを

    利用する方法もあります。例えば徳利の口縁(注ぎ口)を引っ張り出そうとする時

    この部分を外に出せば、注ぎ口が極端に低くなる事あ有りません。

   e) 剣先(針)と弓の使い方。

    針は縫い針度の細さの針を使います。割り箸等の細い木片に埋め込み、接着剤で

    固定します。針は円の内側から切る方法(径が大きい時が)と、外側から切る方法

    (径が細い場合)があります。切りたい場所に針を水平にし回転方向にやや斜めに

    して徐々に押し込みます。針に水で濡らすと切り易くなります。

    弓はバネ性のある針金等の両端に細い糸(撚り糸等に)を、ピント張って作ります

    弓の一端を円の中心付近に位置取しりし、弓を口縁から真下に押し込みます。

    2回転したら、急いで真上に上げ切り取ります。一回転目は切り取りが斜めになり

    ますが、2回転目で位置(高さ)を固定すると綺麗に切り取れます。

  ⅲ) 土の撚れのトラブル。

以下次回に続きます。

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続 電動ろくろ23(トラブル2、偏芯と底の厚み)

2019-10-09 16:17:03 | 続 電動ろくろに付いて

3) 制作時トラブル

 ① 土の中心孔を開ける。(偏芯と底の厚みのトラブル)

  土取り等で、必要な土の量が決まれば、左手の親指又は両手の親指で、土の中心に孔を

  開けます。(土の量が少ない場合には左手の親指で、量が多い場合は両手の親指を使う)

  ⅰ) 中心からズレない様に孔を開ける事が大切です。

   中心に孔が開かないと、作品は肉厚に差が出、高さににも高低差がでます。

   a) 孔は逆円錐型に掘り込みます。即ち真っ直ぐに下に押し込むのではなく、やや口

    を広げる様に指に傾斜を付けて掘り込みます。これは孔の底の厚みを確認しながら

    行う為で、底の形状が良く見える様にする事になります。

    親指を土の中心に置き、他の指は土の周囲を包み込む様にして抱え込み、親指を

    やや傾斜(上開き)を付けて下に押し込みます。周囲の土を他の指で抱え込むのは

    外側の円が変形しない様にする為です。尚親指の届く深さには限度があります。

    指が届かなくなったら次の方法で、更に掘り込みます。

   b) 土の量の多い場合には、右手の中指を用いて更に掘り込む。

    その際、指を濡らしたり孔の中に水を注ぎ込み、指が滑る事が大切です。

    中指を他の指(左手の親指等)で支え、指が中心から離れない様にします。

    掘り込む指は、中心に置きますが、中心から「ズレ」ていると、指先は円を描く様

    に成りますので、真ん中が掘れていない事が分かります。指先が一点で止まって

    いれば、「ズレ」ていない事に成ります。一度「ズレ」ると直すのが難しい場合

    (特に土が硬い時)が有りますので、急がずに孔を掘ります。

    c) 底を抜かない様に注意。

    数挽きの際の底の位置を見出すのは、少々困難です。厚く残せば安全ですが、

    重たい作品に成ったり、薄過ぎれば底削りも出来ない程肉薄になり易いです。

    土取りした際の土の厚みは、中指を内側の底に当て、同じ手の親指を外側の底

    に当て、その高さの差によって判断します。慣れないとかなり難しいですので、

    スケールや棒等を使い、内側の高さと外側の高さを測りその差で判断する事も

    有ります。

   d) 底の厚みは、底の高台の形状と高さによって異なります。更に作品の大きさ

    によっても異なります。5~8mm程度で輪高台では10~15mm程度の肉厚に

    します。碁笥底高台も輪高台と同じ程度の肉厚にします。

    以上は、削り高台の場合ですが、それ以上高くする場合には、付け高台にした方が

    良いでしょう。

   e)一個作りの場合には、棒の先に針を付けた用具を、底の中心に差し込み厚みを

    確認ます。即ち、棒の先に針を埋め込みす。棒より5~15mm程度飛び出す様に

    何本か用意します。この針の付いた棒の一種類を中心刺し、棒の痕が付けば底の

    肉厚判ります。

 ② 形を造る時のトラブル。

以下次回に続きます。

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続 電動ろくろ 22(トラブル1、肉厚と土取り)

2019-10-04 11:55:38 | 続 電動ろくろに付いて

希望通りの作品を作る為には、電動轆轤を上手に操作(コントロール)する必要があります

しかし轆轤操作では、色々な問題点やトラブルに見舞われ勝ちです。特に轆轤作業に不慣

れな方に多く見られる事項を取り上げ、述べたいと思います。

1) 轆轤操作で最大の難問は、土(素地)を如何に高く延ばせるかです。

  勿論形作りも大切ですが、その前段階の轆轤の特徴である綺麗に、肉厚を薄く出来るかが

  作品の良し悪しを左右する場合が多いです。一般には作品を使うという事が前提で、

  使い易い事も大事な要素です。その為に程良い重さが存在します。

  重さ(軽さ)重視の立場からは、肉厚を薄くする事が出来るかが重要になります。

  勿論、削り作業で肉厚を薄くする事も可能ですが、出来るだけ轆轤挽の段階で肉薄に

  したい物です。重量は大きさと肉厚が関係します。大きさは目で見れば判りますが、

  肉厚は持って初めて判ります。更に、重たい土と軽い土も存在しますし、作品の重心が

  どこにあるかによっても、同じ重さでも軽く感じる事も出来ます。

  尚、軽過ぎる作品も敬遠されますが、例え設置して使用する作品でも重過ぎる作品も

  良い作品とは言えません。

  土の種類によって伸び易い土や、伸び難い土も存在しますので、伸び易い土で練習し、

  コツを覚えたら伸び難い土に挑戦した方が良いでしょう。

2) 土取りのトラブル。

 作品を作る際、どの程度の土の量が必要かを知る事は大切です。量が少な過ぎると、

 予定の大きさの作品を作る事ができず、土が多過ぎると肉厚に成ったり、余分な土を切り

 取る必要があります。若干多い方が造り易いのも事実です。その為数挽きの場合は、

 必要な量を予め用意する(土取りと言います)事になります。但し一個作り(一本挽)

 の場合には、必要な量の土を秤で測り、轆轤上にセットする事になります。

 ① 土殺しの終わった土を、左手の指を使って必要量を土取りする。

  (轆轤が右回転の場合)

  土の最上部を左手で抱え込み、左手の中指、薬指、小指のどれかを、土の側面に当て、

  横筋(くぼみ)入れます。小指が土の量が一番多くなり、中指が一番少なくなります。

  勿論、土殺しの終わった段階で、土の直径と形状にも関係します。円柱形だと判り易い

  です。同じ太さの土で、太く小指を使う際が最も土の量は多くなります。

  同じ形の作品を作る場合には、同じ量の土取りをする必要が有ります。

  指で筋を付けた所から上部が使う土ですので、筋の部分が底になります。

 ② 一個挽き(一本挽)の場合、作品によって土の量を変えます。

  (秤で重さを測ると良い)

  ⅰ) 湯呑茶碗であれば、一般的には350g前後です。(1kgで約3個)

  ⅱ) ご飯茶碗で有れば、400g前後。

  ⅲ) 抹茶茶碗や小丼であれば、450~500g程度。(1kgで2個)

   中皿(16~20cm)も同様な量になります。

   但し、轆轤に慣れた方の場合は、同じ土の量でも,作品は大きく成ります。

  ⅳ) 出来上がりが30cm以上の大皿を作るには、1.5~2kg程度の土が必要です。

  ⅴ) ぐい吞みの様な小さな作品は、この方法では、土の量が少な過ぎて土殺しが非常に

   やり難くなりますので、①の数挽き方が造り易いです。

3) 制作時トラブル

 ① 土の中心孔を開ける。(偏芯と底の厚みのトラブル)

以下次回に続きます。

 

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