わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問43焼成後に表面にカン(?)が入る

2020-06-29 14:57:44 | 質問、問い合わせ、相談事

国本加代様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの回答をします。

初めて投稿させていただいています。

マジョリカという土で成形された器に、他メーカーの低温透明釉薬を筆で塗っ

て焼いているのですが、1ヶ月ほどたつと傷のように大きさカンが入り出すのです。

膨張率が合わないということなのでしょうが、どうすればいいのか、その先が

判らなくて困っています。何か方法が、あるでしょうか。

よろしかったら教えて下さい。よろしくお願いいたします。

 

明窓窯より

焼成後1ケ月程すると、「カン」が入り出すとの事ですが、「カン」の意味が判りません。

貫入(ひび)の事でしょうか?又は割れや釉が剥がれる事でしょうか?

いずれにしても、窯出し直後は問題ではなかった事の様です。

当方はマジョリカ(土、釉)に付いて経験は有りませんので、一般的な土や釉の場合

から推測して述べたいと思います。

注)マジョリカ:素地は白と軽さを増すために、可塑性粘土に石灰石や白雲母(ドロマイト)

を加えた、多孔質の軽質陶器の事で、スペインの地中海にあるマジョリカ島で17世紀前後に

制作され、950~980℃程度の低下度焼成され低温の釉が掛けられた陶器です。

1)自然に、数ケ月後又は数年後に突然作品にヒビが入ったり、割れが生じる事は、

 一般的な土や釉薬でも、起こる事は昔から知られている現象です。

 素地や釉に掛かる応力(歪=ストレス、部分的に加わる力等)が解放された結果と

 思われていますが、何故突然起こるのか、ハッキリした理由は私の知る限り判り

 ません。

 作品が記載されていない事や、市販の土や釉をご使用との事。

 更に焼成条件等不明な事が多いのですので、適格な答えに成っていません。

2) 素地の構成要素に起因するのか、釉に起因のかどちらによる物かも、いまいち

 不明です。即ち、有る時突然に素地が急膨張するか釉が急激に縮む為ですが

 その理由が判らないのです。素地と釉との収縮率の差と簡単にはいえません

 当然、制作に取り掛かる前には十分な土練りが重要です。

 尚、今回は市販の土と釉を使用との事ですので、土や釉を修正して解決

 する事は困難です。そこで他の要素を検討する事にします。

3)制作方法(手捻り、ろくろ)、施釉方法(筆塗り)、焼成条件が原因の場合。

 a)作品が表示されていませんので、作品の大きさや肉厚が不明ですが、作品に肉厚の

  差がある場合、肉厚の部分にはより強い応力が働きます。

  出来るだけ肉厚さを均等にすれば応力は少なくなります。

 b)釉の弾性率(伸び縮)が部分的に異なる場合、釉が急激に縮貫入や割れが生じ易い

  です。今回施釉は筆塗りとの事ですので、釉の厚みも部分的に濃淡が有ると思われます。

  筆塗りの理由がいまいち不明ですが、スプレー掛け等他の方法に変更するのも

  良いと思われます。尚、筆塗りの場合、薄目の釉を重ね塗りすると、改良される

  場合もあります。

 c)焼成の冷却時間を長くする。

  窯を急冷すると、貫入が入り易くなります。勿論釉によっては急冷する必要が

  ある場合もありますが、なるべく徐冷すると素地や釉に与えるストレスを少なく

  する事が出来ます。

結論

 作品の肉厚を出来るだけ均一化し、差を設けない。

 施釉の際、釉の厚みに差を設けない。

 焼成時窯を徐冷する。

当方では以上の事しか思い付きません。参考に成るか分かりません。

尚、当ブログの読者の方で、対処方法をご存知ならば、コメントして頂ければ有難い

です。

以上

コメント (1)
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