わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸は総合芸術である 2(文化的要素)

2009-09-30 21:45:03 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に引き続き、陶芸の文化的要素に付いての、話を進めます。

焼き物は、中世より「茶の湯」世界や、華道の世界と、「持ちつ持たれつ」の関係で、

互いに影響し合って来ました。

2) 文化的要素

 ① 茶の湯(茶道)

   焼き物は、茶の湯に使う、抹茶々碗、水指、茶壷、香炉、香合、花入れ、等に使われると同時に、

   茶会の後の、食事会とも言える、懐石料理の器(向う付、酒器など)にも、多用されています。

   茶の湯の発展と伴に、焼き物も発展を遂げています。

   特に、抹茶々碗は、著名人が伝承した、「名物もの」や、国宝や、重要文化財に、

   指定された作品も多く、関心の高いものです。

   それ故、お茶の心得(決まり事)も、茶道具を作る当っとて、大切な要素に成ります。

   又、茶道の道具を専門に作る作家も、多いです。

   (茶道具は、他の作品より高価に、売買している理由も有りますが。)

 ② 華道(花を活ける)

   花を生ける為の器、即ち「花瓶」や「花活け」なども、陶器で作ったものが、多いです。

   華道にも、色々な流派が有り、使う器も、千差万別です。ですが、目的は一つで、

   花を引き立たせる、役目をします。それ故自分で、華道の器を作る人も、多いです。

   器は、あくまでも、花を引き立せる物で、陰の役割を果たし、前面に出る物ではありません。

 ③ 料理の器(特に和食の食器)

   「和食は、器で食べさせる」と言われる程、器は大事な要素です。

    特に、前出の懐石料理、料亭などで食す料理、寿司(鮨)や、活魚を盛り合せる器や、皿などは、

    器の良し悪しで、料理が美味しく感じる程です。
  
    料理人は、器を選んで、盛り付けます。料理と器は、密接に関係しています。

    昨今、創作料理を作る料理人が多く、一種のブームに成っています。

    その料理に合わせる為、従来の器にはない、新しい形や、色使いの、器が求められています。

    但しこの場合も、華道の器と同じ様に、あくまでも、料理を引き立てる、陰の役割です。

    料理人でなく、一般の主婦でも、料理と器の組み合わせに、留意しているはずです。

    作品を作る上でも、自分で料理の出来る人は、有利の状態にあると、思われます。


以上の様に、陶芸(焼き物)は、日本の伝統的な文化と、密接に関係し、お互いに影響しあっています。

今後も、この関係は、続く事でしょう。
   
  以下次回に続きます。

茶道具 華の器 料理の器
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陶芸は総合芸術である 1(美術的要素)

2009-09-29 22:27:35 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
陶芸は、美術的要素と、文化的要素、科学的要素、そして実用的要素など、幅広い事項を持ち、

その知識が有用で、総合芸術と、言われているのも、最もな事です。

陶芸が、他の芸術品と、最も違う点は、実際に使用する用途(実用性)が、有る事です。

では、具体的な事を、述べたいと思います。

1) 美術的要素

 ① 美しい物、デザイン性

   出来上がった作品が、美しく無ければ成りません。

   ここで言う、「美しい」とは、単に綺麗と言う意味だけではなく、何らかの魅力を持っていると、

   言う事です。 たとえ形が歪んでいても、又傷が有ったとしても、手触り、温もりなど、

   人に安らぎを、与えてくれる物は、「美しい」物です。

   又、優れたデザインや、合理的なデザインも、「美しい」ものです。

   更に、使い勝手の良い(使い易い)物も、「美しい」ものと言えます。

 ② 絵画、書の要素

   絵や書は、一般的に、平面に描かれた芸術です。

   陶芸作品も平面だけでは無く、立体的な面を有し、その面(平面、曲面)に、

   絵や書(文字)等を、描きます。(下絵、上絵付け)

   又、絵や書には、「構図」と言う、大事な要素が有ります。どの位置に、何を、どの様に配置するか、

   と言う事で、全体のバランス感覚(美的感覚)が、必要です。

   更に、書や絵では、線が「生きている」とか、「死んでいる」とかと、表現する場合が有ります。

   1本の線を描くだけで、その人の技量(腕前)が、解かると言われています。

   それ故、絵画や書の心得があれば、より作品に、幅を持たせる事が、可能に成ります。

   尚、陶器の場合には、最初から最後の窯焚きまで、一人で行う事が多いですが、特に磁器では、

   作業が分業化し、絵付け専門の方がいます。

 ③ 彫塑(ちょうそ)、彫刻、篆刻(てんこく)の要素

  ) 彫塑は、立体的作品を作る際、材料に成る粘土などを、足して(加えて)行く方法です。

    (原型を粘土で作り、石膏型や砂型に取り、更に銅や鉄等の金属に、置き換え、完成させます。)

  ) 彫刻は、逆に一塊の材料(石や、木材、金属など)を、削り取って、作品に仕上げる方法です。

  ) 篆刻は、印鑑の様に、石や木材、金属等に、字や模様(紋章など)を掘り込む物です。

  何れの要素も、陶芸作品に、使える事が出来る、重要で必要な技法です。


以下次回に続きます。
   

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化粧土3 (貫入、その他)

2009-09-28 21:40:49 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
化粧掛けの問題点と、解決方法(対策)の話を続けます。

4) 貫入が入り易い。

   化粧掛けした場合、化粧土の皮膜に、「ひび」即ち、貫入が入る事が有ります。

   釉薬に出る貫入は、決して「悪い物」ではありません。

   むしろ積極的に、取り入れて、装飾として好む方も、多いです。

 ・ 一方、化粧土に入った貫入は、釉にも「ひび」となって、現れます。

   長く使用していると、その「ひび」から、汚れが入り込み、見苦しくなる場合も多いです。

   それ故、化粧土の「ひび」は、出したく無いものです。

  ① 貫入の原因

    化粧土と、素地の熱膨張率が、一致しない時や、化粧土の、機械的強度が、

    弱い時に、起こります。 具体的には、以下の状態の時に、起こり易いです。

   ) 珪石、石英の含有量が、多い時

   ) 長石が多過ぎる時
  
   ) 作品を、必要以上の高温で、焼成した時

   ) )とは逆に、焼成温度が、低過ぎた時

 ② 対策としては、化粧土の原料の配合を、調節する事と、焼成温度に、注意する事です。

   又、耐火度の高い、カオリンや、珪砂の多い化粧土を、掛けた作品に、更に釉を掛けて焼成すると、

   釉薬が載らずに、飛ぶ場合(釉飛)が有ります。

  この場合には、カオリンの一部を、白く焼ける可塑性の有る、粘土に変えて、調合します。

5) その他

 前々回(2009-09-26投稿)、「水ガラス」を入れ、水分を少なくして、化粧土に流動性を、

 持たせる方法(解コウさせせる)を、 述べましたが、流動し過ぎて、刷毛塗りで、流れ落ちて、

 使い難い場合は、この化粧土に、凝集剤(凝コウ材)を添加し、調整する方法が有ります。

 凝集剤: 「にがり」、塩酸、硼砂などですが、一番手に入り易いのは、台所にある「酢酸=お酢」です。

 「酢」を数滴入れ、良く撹拌すると、やや固まり、「ドロリ」とした感じに、変化します。

 こうする事により、化粧土の流動性を、コントロールし、化粧土の濃度と、塗り易さを、

 好みに合わせて、調整可能に出来ます。

 即ち、素地を不必要に濡らさず、流れ難いから、塗り易くなります。

 又、「流し掛け用」と、「ハケ塗り用」と、調整して分けます。

  「解コウ後に凝集させる」方法は、、酢に代えて(あるいは併用して)、CMC糊を入れても、

  良いです。(CMCも凝集効果があります)。

  CMCは、保水力が大きいので、塗った化粧土が、より長い時間、濡れた状態を保ち、

  「すぐ乾いてしい、刷毛の跡が残る」という事も少なく成ります。

以上にて、化粧土についての、説明を終わりにします。

化粧土
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化粧土2 (亀裂、剥がれ、めくれ対策)

2009-09-27 21:36:37 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
化粧掛けの問題点と、解決方法(対策)の話を続けます。

2) 亀裂が入る。化粧掛けした土が、素地から、剥がれる、めくれる。

 ①  亀裂の原因

   化粧土を、厚く掛け過ぎた時、化粧土に可塑性(水ひの朝鮮カオリンなど)粘土が、多い時、

   化粧土の原料が、細か過ぎる時、化粧掛け後の乾燥が、急乾燥させた場合などです。

 ②  対策

   朝鮮カオリンは、元土を使い、細かくし過ぎない様にする。

   「粉引き」の際には、乾燥を早くしますが、「刷毛塗り」の場合には、乾燥を遅くします。

 ③  化粧土が、剥がれる(めくれる)原因

   化粧土が、素地への付着性が、弱い為や、作品が乾燥し過ぎっている場合が、多いです。

   又、素地と化粧土との、乾燥時の、縮み率に差が有る為です。
  
 ④  対策、
   
  ) 化粧土の付着性を高める為、化学糊「CMC」や、ゼラチン、膠(にかわ)を入れる。

  ・ ゼラチン、膠の使い方: 使う原料の重さの、10倍程度の水を入れ、充分軟らかく成るまで、

    放置した後、「とろ火」で加熱する。この溶液を化粧土(泥)に入れ撹拌する。

    溶液と化粧土の割合は、1:20程度です。撹拌するに従い、粘度は緩く成ります。

  ) 作品が、乾燥し過ぎている場合、霧吹きで、軽く「スプレー」してから、作業に取り掛かります。

  ) 縮み率に差が有る時は、(化粧泥の方が、縮み易い)、化粧土(泥)の粘度が強い場合等で、

     粘度を調整したり、化粧土に、素地の土を混ぜる場合も有ります。

     (但し、色の付いた素地の土は、化粧土の色が変わり、不向きです。)

3) 「ぶく」と「ピンホール」が出る。

   「ピンホール」とは、針で突いた跡の様な、細かい穴です。

   「ぶく」とは、「ピンホール」が、多数集合している、状態の事です。

  ) 原因は、作品の表面に、「ほこり」が付いていたり、化粧泥に、細かい気泡が、

     入って居る場合です。

  ) 対策は、「ほこり」を、払い落とします。

     (水拭きすると、逆に「ほこり」を、擦り付ける事に成りますので、注意)

     化粧泥は、良く撹拌し、気泡を残さない様にします。

  ) 化粧掛けした後、表面に「ピンホール」が有る場合、「木のへら」や「スプーン」の裏側で、

     上から押さえる(又は、軽く擦る)様にすると、「ピンホール」の予防と、作品の「割れ」、

     「剥がれ」、「めくれ」を防ぐ事が、出来ます。

以下次回に続きます。

 化粧土 亀裂、剥がれ対策
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化粧土の調整 (粉引き)

2009-09-26 16:13:49 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
化粧掛けには、色々な問題が発生し易いです。その解決方法を、記したいと思います。

 1) 作品が壊れる(特に粉引きの場合)

 2) 亀裂が入る。化粧掛けした土が、素地から、剥がれる。

 3) 「ぶく」と「ピンホール」が出る。

 4) 貫入が入り易い。

 以下順に説明して行きます。

 1) 作品が溶けて壊れる。

  粉引きで、不用意に「漬け掛け」すると、作品が壊れてしまう事が、多いです。

  なぜ素焼をするのか? 素焼なしで、釉は掛けられ無いのか?、その理由を、考えて下さい。

  素焼しないで、釉を掛ける事を、「生掛け」と言いますが、(生掛け)では、作品が壊れます。

  (但し、「生掛け」可能な土も、存在しますが、ほとんどの土は、不可です。) 

  その原因は、釉薬の水分が、素地の側へ移るからです。

  同じ事は、白化粧にも言えます。解決策として、前回お話した、素焼後の「南蛮掛け」も、

  一つの方法ですが、「粉引き」の場合は、「生掛け」の方が、作品は綺麗に出来ます。

  尚、「南蛮掛け」の場合には、一度水に通してから、「粉引き」の作業をします。

  では、その解決方法を、述べます。

(1) 水分の少ない化粧土を作る。

   即ち、解コウ剤を添加した化粧土を使う。

   解コウ剤: 炭酸ソーダや、珪酸ソーダ(水ガラス)など

    泥しょう中の原料を、分散させる物で、少量の水で、粘性の少ない、流動性の有る、

    化粧土を作る事が出来ます。

   作り方は、

  ① 化粧土に、「べたつく」程度の、少量の水を入れます。

  ② 少量の、「水ガラス」等を、添加する。

    添加する量は、化粧土の組成によって、変わりますが、少量です。

    添加量が多過ぎると、「ぼてぼて」した状態に成ります。

  ③ 出来上がった化粧土は、極端に水分が少なく、「刷毛塗り」も、し易いです。

    「刷毛塗り」では、水分が少ないので、一度の塗りで、厚く掛ける事が出来ます。

(2) 化粧土の水分が、素地へ移りにくくする。

   即ち、化粧土の保水力を、高める為、化学糊「CMC」を、化粧土にかなり多く、添加します。

   1)、2)の方法を述べましたが、1)の方が、断然効果が大きいです。

 3) その他

  ① 粉引き」をする場合、素地の乾燥具合も、大きな要素です。

   素地が乾燥しているほど、壊れる危険性が、大きいですが、乾燥不十分ですと、化粧土の

   厚みが、薄くなりがちです。色々なタイミングで、試行錯誤して下さい。

  ② 「粉引き」の作業終了後、10~15分程で、作品が壊れてくる事が多いです。

    水分が、作品の中に入り込まない内に、表面を乾燥させれば、壊れるのを防ぐ事が出来ます。

    即ち、 「ドライヤー」で3分程度、強制的に、均一に(回転させながら)乾燥させたり、

    場合によっては、電子レンジで、間欠的に通電し、乾燥させる方法も、有ります。

    又、作業後直ぐに、天日干しし、乾燥させる技法も有ります。


 以下次回に続きます。

   
  粉引き

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化粧土について

2009-09-26 14:17:44 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
化粧土は、作品の本体(素地)に、使う事は出来ませんが、作品の装飾には、欠かせない材料です。

素地の上に、薄い皮膜を作り、鉄化合物の多い素地(赤土など)では、素地の色を隠したり、

素地表面の、小さな穴(ピンホールなど)や、粒々による凸凹を、平滑にする為に、使います。

 又、各種装飾にも、使います。

 化粧土は、英語で「エンゴーベ」或いは、「スリップ」と言います。

 白化粧土が基本ですが、顔料を混入して、各種の色化粧土を、作る事も出来ます。

 (自分で調合しなくても、色々な化粧土が、市販されています。)

基本的な顔料を、記します。

 ① 青色: 酸化コバルト、明るい色2%、暗色10%

 ② 緑色: 酸化クロム、 明るい色5%、暗色20%

 ③ 灰色: 酸化ニッケル、明るい色2%、暗色10%
 
 ④ 褐色: 酸化マンガン、明るい色5%、暗色20%

 ⑤ 黄色、琥珀色: 酸化ウラン、明るい色5%、暗色10%

 ⑥ 黒色: 酸化鉄に、Co 20%、MnO2 20%、Cr2O3 10%の混合物を仮焼し、加える。

 ⑦ 赤、ピンク: 酸化鉄、明るい色5%、暗色15

   但し、酸化クロム、石灰石、少量の酸化錫の混合物を、仮焼した顔料の方が、断然良い色が出ます。

白絵土

 白化粧土として、市販されていて、このまま使用可能ですが、より白く焼き上げた場合には、

 白絵土:ローセキ(滑石):蛙目粘土 = 1:1:1 の様に調合します。

 又、素焼後に、化粧掛けする事を、南蛮掛けといいますが、その調合例は、以下の様に成ります。

 白絵土:ローセキ:蛙目粘土 = 3:1:1 とします。

 但し、一般的に、南蛮掛けは、安全に白化粧を、掛ける事が出来ますが、生掛けより、接着力が弱く、

 問題も多く、綺麗ではありません。

化粧土を使った装飾には、以下の技法が有ります。

 )イッチン(スポイト掛け)、 )刷毛目、 )搔き落とし、 )泥打ち、 

 Ⅴ)鉄絵(白化粧後、絵を描く)、 Ⅵ)象嵌、 Ⅶ)墨流し、 )粉引き(こひき)が有ります。

  (以前に、説明しましたので、ここでは詳細は、省きます。)

 粉引き以外の方法は、「刷毛塗り」や、作品の一部に、「流し掛け」等の方法で、化粧土を塗り

 ますので、さほど問題は起こりませんが、

 粉引きは、作品全体を、「浸し掛け=ずぶ掛け」や「流し掛け」で、化粧土を掛ける為、作品が溶けて

 壊れる恐れが大きいです。それ故、その対策をする必要があります。


 化粧掛けには、色々な問題が発生し易いです。その解決方法を、次回に記したいと思います。


   化粧土
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粘土の種類(近江土、カラー土、その他)

2009-09-24 17:06:00 | 陶芸入門(初級、中級編)
御影石調に出る土に、近江土 が 有ります。

11) 近江土

 ① 近江土(赤)

  還元焼成で窯変しやすく、御影調の黒斑点が出る、荒目の粘土です。
 
  黒く焼締まり、目の粗い長石を、含ませた粘土です。

  酸化焼成で焼締めると 薄いピンク色になります。

  手びねり、轆轤成形に、適しており、焼成温度は、1150~1250℃です。

② 近江土(グレー)

  黒い粒の混ざった、荒目の粘土で、酸化焼成で焼締めると、濃いグレーになる。

 ③ 近江土(黄)

  黒い粒の混ざった荒目の粘土で、酸化焼成で焼締めると、黄土色になるが、透明釉で、

  釉薬部分が緑色透明と変化します。


12) カラー粘土 

 各種の着色材を、混入した粘土が、市販されています。一般粘土より割高ですが。

 又、「練り込み用」と、表示された、着色材も市販されています。
 
  (自分で混ぜる場合には、土に対して、3~10%程度で、濃さを調整できます。)

   焼成温度1200~1250℃

 酸化焼成で、所定の色に、焼き上がります。還元では、色が異なります。

 轆轤、手捻り、鋳込みなど、各種の方法で、製作できます。

 色は、ホワイト、ブラック、グレー、グリーン、ライトブラウン、ダークブラウン、 ピンク、

 イエロー、トルコブルー、スカイブルー等が有ります。

 使用上の注意としては、色土を混ぜてしまうと、綺麗な色に成りません。

 違う土が混ざらぬ様に、注意して下さい。


13) その他の粘土

 ① 陶板土

  レリーフ用の粘土です。シャモットや、大粒の珪砂など混入し、大型の作品製作に向いています。

 焼成温度 1250~1300℃  中、大物向きの土です。

 尚、陶板焼きに使われる土は、この土でなく、直火に掛けられる、鍋土を使います。

 (陶板土では、割れます。)

 ② 道具土

   作品を作る為の土ではなく、窯道具を作る為の土です。

   焼成には、耐火性の有る、道具類が必要です。

   敷き台(作品の下に敷く板)、コロ、「せんべい」等に使い、棚板に直接、釉が流れ無い様に、

   防止する物です。


 土の種類は、無数に存在します。各々固有の特徴を有します。

 ・ 一般に良いと、言われている土は、

 ) 色が白く焼き上がる。(生の状態で、黒い土でも、焼くと白くなる土も、多いです。)

 ) 耐火温度が高い。(高い温度で焼いても、作品が壊れない、肉厚が薄く出来る。)

 ) 良く焼きしまる。(強度が強くなる)、(焼成時間も、短い)

 ) 作業性が良い。(轆轤、手捻りがし易い、「ひび、割れ」が出ない。粘りが有る。)

 Ⅴ) どんな釉とも、相性が良い。(色が綺麗に出る。貫入が出ない等。)

 等々ですが、これから外れた土でも、良い所を持った土も多いです。

 その土の良さを、引き出す事は、新しい技術や、新しい形や色を、作り出す可能性を、含んでいます。

 ・ 地元の土を見つけて、その土で作品を作る事を、陶芸を志す人は、夢見るものです・・・。

 以上で、土の種類と特徴の、話を終わります。

 粘土の種類

近江土 カラー土 陶板土 道具土
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粘土の種類と特徴(南蛮土、御影土)

2009-09-21 22:04:57 | 陶芸入門(初級、中級編)
粘土の中には、赤土ではない黒い土や、地に斑点の入った土(御影土)が、有ります。

9) 南蛮土 (黒陶)

  黒く焼き上がる土に、南蛮土があります。

  赤土よりも濃いため、還元で焼き締め(無釉)れば、綺麗な赤黒色に、仕上がります。

  南蛮土の焼き締めは、独特の光沢と、粒々感が有ります。

  赤土よりも温度は少し低めにします。 焼成温度目安:1100~1200℃

 ・ 南蛮土単味では、肌理が細かく、手触りは良いが、土は伸びません。

  それ故、 信楽の並漉しなどの、土を混入すると、耐火度も上がり、作業もし易く成ります。

  又、楽土や黄土など、少し荒めの土を加える事により、異なった風合いや、耐火度に、

  幅を持たせる事も出来ます。

  勿論、施釉する事も、可能です、食器などの、小物の作品に向いています。

10) 御影土

    珪長石粒や雲母を混ぜ合わせ、御影石調に、斑点の入る様にした、粘土です。

    白御影土 、黒御影土、グレー御影土、赤御影土、ピンク御影土、黄色御影土、深海ブルー御影土

    等の土が、市販されています。

 ① 白御影土(荒、細目) 

    白素地(磁器土)に硅長石粒、黒雲母が混入されており、御影石調に、黒点が入ります。

    焼成適温: 1230~1270℃

    用途: 成形はし易く、小物の食器用 に向いています。

② 黒御影土( 荒、細目)

    黒泥土を基に、コバルト、ルチール、硅長石、シャモット等が、混入してあり、酸化焼成で黒、

    還元焼成で、ややグリーンがかった、黒の御影石調に仕上がります。

    焼成適温: 1230~1300℃(最適焼成:1230~1250℃)

    用途: 成形は容易で、食器等に向いています。

 ③ グレー御影土

    焼き上がりがグレーで、御影石調の、黒や白の斑点粒が出てきます。

    大粒のシャモット、珪砂粒などを混入した粘土です。

    焼成温度 : 1200~1230℃

    用途: 成形は容易で レリーフ、置物・花器・大皿等 小物から大物まで、使えます。

 ④ 赤御影土(低温用)

    赤土にシャモット・硅砂・雲母などを混ぜ込んだ赤土です。

    耐火度は多少弱いですが、面白い土です。薄い赤茶色に、焼き締ります。

    用途 : 小~大物まで、使用されます。

    焼成温度 : 1200~1230℃

⑤ ピンク御影土

    大粒の珪砂や、雲母粒などを混入した粘土です、薄いピンク色に、焼き上がります。

    用途 : 小~大 物まで

    焼成温度 :1230~1250℃

⑥ 黄御影土

    大粒の珪砂や、雲母粒などを混入した物で、薄い黄色い地に、黒い斑点の出る土です。

    成形は大物から小物まで万能です。

    焼成温度 : 1230~1250℃

⑦ 深海ブルー御影土

    石灰系透明釉を施釉して、1250℃前後で、還元焼成すると、深海ブルーの味わいが出ます。

    用途 : 小~大 物まで

    焼成温度 : 1200~1250℃

粘土の種類

南蛮土 御影土
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粘土の種類と特徴(半磁器土、鋳込み用粘土)

2009-09-20 21:55:36 | 陶芸入門(初級、中級編)
引き続き、粘土の種類について、述べます。

8) 半磁器土

  基本的には、鋳込み(流し込み)用の、粘土ですが、轆轤(ろくろ)成形も、可能です。

  但し、土に粘りが無く、轆轤挽きの際、土が伸びずらいです。

  (以前は、鋳込み用に、多用されていましたが、昨今は、轆轤用に使われる事も、多いです。)

  手捻りでは、乾燥が速く、「ひび」が入り易く、作業がしづらいので、ある程度の、技術が必要です。

  陶長石(磁器土)と、木節粘土を配合した物で、真っ白い色をした物が、多いです。

  肌理(きめ)が細かく、吸水性が良く、手触りも、滑らかです。磁器の様な、感覚に仕上がります。

  鋳込み用の泥は、粘土(乾燥粉末)100に対して、水30、珪酸ソーダ(水ガラス)

  0.3~0.5の混合が、基本です。

  珪酸ソーダを、入れる事により、泥に伸びが出、強度も強くなり、作業し易く成ります。

  釉との相性は良く、貫入が全く入らず、焼成温度範囲も広く、180℃~1280℃程度で、焼成します。

  但し、鋳込みの場合、1250~1300℃で、焼成するのが、一般的です。


  ・ 鋳込み用泥しょうの作り方

 鋳込み用泥しょうとは、粘土・水・珪酸ソーダの三者をよく混合攪拌した、液状の粘土のことです。

 ① 水の量は粘土の水分によって変える必要があります。

   普通の練り粘土の場合…5~10%

   半磁器粘土の場合…25~35%

 ② 粘土は、一度に多く入れずに、少量ずつ、水に混ぜ込んで行きます。

 ③ 珪酸ソーダの量は、粘土100に対し0.3~0.5%で、必要量を、ぬるま湯で溶いて、

   少量ずつ加えます。

  ・ 練り粘土使用は、完全に溶けるまで、時間がかかります。

 ④  硬くなった土は、一度白く乾燥させてから粉砕し、水に戻せば、容易に液状にする事が出来ます。

 ⑤  ひしゃく等で、すくってみて、糸を引く様に流れれば、出来上がりです。

 ⑥ 鋳型(石膏型が多い)に、流し込み、乾燥後取り出します。

   尚、鋳型にも、簡単な構造の物から、複数の割り型まで、多種多様です。

   当然ですが、鋳型を使えば、同じ形の作品を、短時間で多く作る事が、可能です。

半磁器土 鋳込み用粘土
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土鍋を使う時の注意

2009-09-18 23:05:29 | 陶芸入門(初級、中級編)
土鍋を使う時の注意に付いて述べたいと、思います。

1) 土鍋を最初に使う時、(ペタライトの入った、土鍋の使い始めにも)、先ず「おかゆ」を、炊いて下さい。

   ご飯が糊の役目を果たして、汁や汚れが、鍋に浸み込み、難くなります。

   使っているうちに、底に「ひび=貫入」が入りますが、土が収縮するのに、余裕ができて、

   割れてしまう事は、少ないです。


 2) 土鍋を安全にお使う方法

  ① 天婦羅、フライ、炒めもの、油料理には絶対に、使用しない事。火事になる恐れがあります。

  ② 空炊きは絶対にしない。( たとえ空炊き可能でも)

  ③ 熱くなった土鍋を、急に冷やさない。

  ④ 鍋底が濡れたまま、火にかけない。

  ⑤ 長時間、水につけたままにしない。

  ⑥ 使用後は水でよく洗い、必ず乾燥させてから仕舞う事。


 3) 市販の土鍋には、「焦げにくい」「ふきこぼれ難い」「手入れが簡単」と、宣伝されています。

   土鍋を作る際には、以下の事を留意します。

  ① 深さが深いと、「吹きこぼれ難い」のですが、熱が満遍なく、通らない事もあります。

    浅いと火が満遍なく通りますが、吹きこぼれ易くなります。

  ② ガスコンロなどに載せた時、安定感が有る事。  

  ③ 土鍋の蓋に、蒸気が出る穴を付けます。

    (圧力をかけて炊く、ご飯用の土鍋には、穴がない事もあります。)

  ④ 取っ手や蓋のつまみは、必要な物です、持ち易さや、掴み易さも大切な、要素です。

  ⑤ 使う土によって、粗っぽかったり、滑らかだったりします。粗っぽい土の方が、吸水性が良いです。

    手入れが簡単なのは、人工的に土を混ぜている物(ペタライト入り)です。

 以上で、土鍋に付いての話を、終わりに致します。


土鍋の使い方
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