6) 顔料(着色材)
陶芸材料メーカーや材料店では、釉に直接混入させて色釉が作れる各色の顔料が市販され
ています。それ故、必ずしも御自分で顔料を調合する必要は無いのですが、何かの参考に
して頂ければ幸いです。
顔料は酸化鉄、酸化同、酸化錫、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の金属類と
長石、石英、カオリン、石灰石などを適宜混合させて作ります。
以上が前回まで話です。
尚、上絵付け用の顔料もありますが、ここでは、釉に添加する顔料に付いて述べます。
① 乾式混合と湿式混合。
顔料を合成すのには、乾式と湿式混合の方法があります。
乾式とは使用する原料を正確に秤り、水を用いずに乳鉢などで混合した後、匣鉢(さや)
等に入れ規定の温度で焼成する方法です。湿式は水を用いて乳鉢などで混合した後、石膏
型等で脱水後匣鉢(さや)などに入れ焼成する(フリット化)方法です。
混合する際の注意点は、不純物が混入しない事と、微粉末にする際粒子の細かさに注意し
ます。粒子の細かさによって発色(色調)も変化します。
尚、顔料は必ずしも、フリットにする必要が無く、直接釉に投入する方法もあります。
② 着色剤
ⅰ) 褐色系
a) 酸化マンガンは、硼酸やアルミナを含む無鉛釉では、濃い紫紅色系の褐色を呈し
ます。
b) 酸化鉄が3~6%添加すると、茶褐色になる。酸化バリウムが入ると色はより濃く
なります。更に亜鉛華が入ると、添加量によって、チョコレート色~茶色掛かった
黄色の範囲で変化します。
c) 酸化ニッケルは、硼酸やアルミナを多く含む無鉛釉では、褐色を呈します。
但し、ニッケルの添加量は2%以下にします。ニッケルの含有量が少な過ぎると、
灰色になります。釉の成分で酸化カルシウムを酸化バリウムに置き換えるか、酸化
リチウムを、酸化カリに置換すると、色はより濃くなります。
ⅱ) 青色
a) 全ての青色には、コバルトの化合物が使用されます。
色の濃度は、アルカリ成分と、コバルトの化合物によって左右されます。
b) 鉛を含む釉では、温か味のある青色になりますが、無鉛釉では、冷たい感じの
青色になり、色調も薄くなります。
c) マグネシアと亜鉛華が入ると、青色の色調は変化します。
特に亜鉛華が多いと、紫掛かった青になり、少ないと冷たい感じにの青となります
ⅲ) 黄色
a) 酸化鉄、酸化アンチモン、ルチルなどを添加する事で得る事ができます。
b) 黄色や橙色はウラン化合物で作る事が出来ます。
ウラン化合物には、酸化ウラン、ウラン酸ソーダがあります。
酸化ウランの添加量は0.003モル以上が必要です。
中位の石灰と亜鉛華を服務釉に、酸化バリウムと酸化ソーダが多く入っている場合
は、黄色を呈します。更に硼酸や硼砂を含む場合には、緑掛かった黄色になります
c) 酸化ウランは、酸化焼成で1,050℃以上で赤色から黄色に変化します。更に温度
が高くなると、黒色になります。還元焼成では、灰色から黒色になります。
d) 橙色は、酸化ウランが6~10%で、亜鉛華が多く、アルカリ(又はアルカリ土
金属)を少なくすると、得られます。更に酸化錫(すず)を5%添加すると、褐色掛
かった橙色になります。
e) ウラン酸ソーダによる着色は、釉の組成によって、クリーム色、明黄色、黄色、
暗黄色と変化します。ウラン酸ソーダの添加量が増えるに従い暗黄色になります。
クリーム色(0.16%)、明黄色(0.6%)、黄色(1.4%)、暗黄色(2.2%)
ⅳ) 赤色
参考資料: 図解 工藝用陶磁器 -伝統から科学へー:
著者; 素木洋一(しらき よういち): 技報堂出版社
以下次回に続きます。
陶芸材料メーカーや材料店では、釉に直接混入させて色釉が作れる各色の顔料が市販され
ています。それ故、必ずしも御自分で顔料を調合する必要は無いのですが、何かの参考に
して頂ければ幸いです。
顔料は酸化鉄、酸化同、酸化錫、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の金属類と
長石、石英、カオリン、石灰石などを適宜混合させて作ります。
以上が前回まで話です。
尚、上絵付け用の顔料もありますが、ここでは、釉に添加する顔料に付いて述べます。
① 乾式混合と湿式混合。
顔料を合成すのには、乾式と湿式混合の方法があります。
乾式とは使用する原料を正確に秤り、水を用いずに乳鉢などで混合した後、匣鉢(さや)
等に入れ規定の温度で焼成する方法です。湿式は水を用いて乳鉢などで混合した後、石膏
型等で脱水後匣鉢(さや)などに入れ焼成する(フリット化)方法です。
混合する際の注意点は、不純物が混入しない事と、微粉末にする際粒子の細かさに注意し
ます。粒子の細かさによって発色(色調)も変化します。
尚、顔料は必ずしも、フリットにする必要が無く、直接釉に投入する方法もあります。
② 着色剤
ⅰ) 褐色系
a) 酸化マンガンは、硼酸やアルミナを含む無鉛釉では、濃い紫紅色系の褐色を呈し
ます。
b) 酸化鉄が3~6%添加すると、茶褐色になる。酸化バリウムが入ると色はより濃く
なります。更に亜鉛華が入ると、添加量によって、チョコレート色~茶色掛かった
黄色の範囲で変化します。
c) 酸化ニッケルは、硼酸やアルミナを多く含む無鉛釉では、褐色を呈します。
但し、ニッケルの添加量は2%以下にします。ニッケルの含有量が少な過ぎると、
灰色になります。釉の成分で酸化カルシウムを酸化バリウムに置き換えるか、酸化
リチウムを、酸化カリに置換すると、色はより濃くなります。
ⅱ) 青色
a) 全ての青色には、コバルトの化合物が使用されます。
色の濃度は、アルカリ成分と、コバルトの化合物によって左右されます。
b) 鉛を含む釉では、温か味のある青色になりますが、無鉛釉では、冷たい感じの
青色になり、色調も薄くなります。
c) マグネシアと亜鉛華が入ると、青色の色調は変化します。
特に亜鉛華が多いと、紫掛かった青になり、少ないと冷たい感じにの青となります
ⅲ) 黄色
a) 酸化鉄、酸化アンチモン、ルチルなどを添加する事で得る事ができます。
b) 黄色や橙色はウラン化合物で作る事が出来ます。
ウラン化合物には、酸化ウラン、ウラン酸ソーダがあります。
酸化ウランの添加量は0.003モル以上が必要です。
中位の石灰と亜鉛華を服務釉に、酸化バリウムと酸化ソーダが多く入っている場合
は、黄色を呈します。更に硼酸や硼砂を含む場合には、緑掛かった黄色になります
c) 酸化ウランは、酸化焼成で1,050℃以上で赤色から黄色に変化します。更に温度
が高くなると、黒色になります。還元焼成では、灰色から黒色になります。
d) 橙色は、酸化ウランが6~10%で、亜鉛華が多く、アルカリ(又はアルカリ土
金属)を少なくすると、得られます。更に酸化錫(すず)を5%添加すると、褐色掛
かった橙色になります。
e) ウラン酸ソーダによる着色は、釉の組成によって、クリーム色、明黄色、黄色、
暗黄色と変化します。ウラン酸ソーダの添加量が増えるに従い暗黄色になります。
クリーム色(0.16%)、明黄色(0.6%)、黄色(1.4%)、暗黄色(2.2%)
ⅳ) 赤色
参考資料: 図解 工藝用陶磁器 -伝統から科学へー:
著者; 素木洋一(しらき よういち): 技報堂出版社
以下次回に続きます。