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原油と政治、同じ鎖でつながれしもの

2012-10-26 | ラジオ
原油の世界価格は15日、緩やかに下がり続けたが、分析専門家たちは、その理由をイラン外務省のメフマンパラスト報道官が、イランはウラン濃縮問題に関し交渉する用意があるとの声明を出した効果だと説明している。
報道官はイラン・イスラム共和国政府は、同国の核プログラムに向けられた国際社会の不安のレベルを下げるため柔軟性を示し、ウラン濃縮問題に関し交渉を行う用意があると述べた。
彼の言葉によると、もし原子力の平和利用にとって必要な濃縮度20%以下の低濃縮ウランの供給を、イラン政府に対し保障するのであれば、我々は、そうした柔軟な立場を示す可能性があるとのことだ。 

尚、ここで注意を促したい事は、アフマディネジャド大統領も先日、もしIAEAが必要な核燃料をイランに提供するのなら、そもそもイランは低濃縮ウランの製造を全く止める用意があると発言した点だ。
イランの核問題と原油価格が、直接関係していることは広く知られている。この問題をめぐる緊張の度合いが高まれば高まるほど、原油の価格は上昇する。
早ければ今年11月か12月に実施予定のイランと6ヶ国、6ヶ国とは国連安全保障理事会常任理事国5ヶ国にドイツを加えたものだが、早ければ今年11月か12月に実施予定のイランと6ヶ国の次の交渉で、おそらく6ヶ国側はイランに対し、イランが講じる信頼醸成措置、一つひとつに対し自分達が現在導入している制裁を、こちらも一つひとつ解除して行く方法を提示するだろう。
これはロシアのラヴロフ外相が提起した、段階的調整プラン・step by stepに大変似ている。

ここでロシア社会政治調査センターのエフセーエフ所長の意見を御紹介したいと思う。
「イラン政府の提案は、制裁行動中止プロセスの9つの段階を含んでいる。しかし一つだけ異なっていることは、制裁解除に関する9つの項目すべてを相手が遂行して初めて、イランはコム郊外にあるフォルドの地下工場での低濃縮ウランの製造を、一時停止するとしている点だ。
つまりイラン政府の要求では、制裁はイランが然るべき措置を取った後、それに応じて解除されるのではなく、最初の措置が講じられる前に、もう解除される事になる。その際、ウラン濃縮の最終的な停止は最後の段階で初めて、それもフォルドの濃縮施設でのみなされる」
しかもそればかりではなくイランはウラン濃縮の停止は、イランへの低濃縮ウランの提供が保障されるという条件下で行う用意があるとしている。
そして最も肝心なのは、すべての施設がそのまま残され、いつでもウランの濃縮が再開でき、濃縮度さへも上げる事さへも可能だという点だ」
所長は、このようにコメントしている。

こうしたイランの立場が、6ヶ国にとって受け入れられないものである事は明らかだ。近くEUは、ひとまとまりとなった新たな対イラン制裁措置を導入する。この措置は、EUによるイラン産ガスの買付禁止などエネルギー領域を初めとして貿易、金融、運輸、無線通信に及ぶ幅広いものだ。 
今後の原油市場の動きがどうなるか、それはイラン政府がこうした措置を、どう受け止めるかに掛かっていると言ってよいだろう。

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10月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル