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スパイ事件なしの選挙はなし 米国のお話

2012-10-19 | ラジオ
スパイマニアが大手を振ってまかり通っている。ロシア政府のために産業スパイ行為を働いたとして、旧ソ連邦構成共和国の出身者11名が起訴された。なお11人のうち4人はロシアのパスポートを所持していた。
ロシアの諜報専門家たちは、アメリカの当局が示したシナリオに微笑みを禁じえないでいる。容疑者達が見つかるまで、数カ月はおろか数年が必要だったというのだ。そして他ならぬ今の時期に、大統領選挙投票日まで数週間を残す今になって突然彼らは逮捕された。

ロシアの産業スパイが丸4年間も非常に多くの官僚たちの鼻を明かし、軍事転用可能な電子製品をロシアに運んでいたにも関わらず、現行政当局は国の諜報部が政府の指導のもと、決して眠り込んでなどいないというを有権者達に示したいようだ。
アメリカの大統領選挙終盤、その行方は一対一の候補者同士のテレビ討論に掛かってくる。3回実施される内の第一回目が先般行われたが、現職のオバマ大統領敗北との結果に終わった。

ロシアの声記者は、チェスの国際グランドマスター、トカチェフ氏に話を聞いた。
「テレビ討論はチェスの試合に驚くほど似ている。総じて、それぞれの候補がどんな色のネクタイをしてくるか、オバマ氏は青、ロムニー氏は赤というところから、持ち出される論拠に至るまで、事前にかなり予想できるものでした。ただ結果は予想外で、ロムニー氏が勝利を収めた。
世論調査の結果によると、討論でロムニー氏が優勢だったと見なす人々が67%、オバマ氏が優勢だったと見た人々は25%に留まった。こうした結果となった主な原因は、ロムニー氏の方が自信に満ち、ずっと堂々と見えたからだ。それに対し4年前には持前の雄弁さにより、あらゆる人々を退けたオバマ氏は、その発言が余りに抽象的であり集中力がないように見えた」
チェスの名人は、このようにコメントしている。

アメリカの大統領選挙でテレビ討論が始まったのは1960年の事だ。それはまるでチェスの試合を思わせ、時には駒をいかに正確に打つかよりも、心理的ファクターの方がより大きな意味を持つ。
国際チェス名人、トカチェフ氏の意見を、さらに御紹介したいと思う。
「しばしば討論のテーマそのもの、つまり候補者が示す行動プログラムや改革などの選挙公約は2次的なものに引っ込んでしまい、心理的なものが最も重要なファクターになる。相手の炎のような激しい視線を浴びながら、正しい受け答えをする事が、如何に困難かは容易に見てとることが出来る。リアクション一つで盛り上げたり、あべこべに士気をくじく事も可能だ。オバマ氏は今回、ロムニー氏が自信満々に見えた中で、あまり分がよくなかった」
チェスの名人のコメントを続けて紹介した

しかしアメリカの大統領選候補者のテレビ討論会はあと2回あり、まだまだオバマ氏挽回のチャンスはある。何と言っても彼は今のところ、世論調査でわずかながらロムニー氏をリードしているのだ。
オバマ氏にとって肝心なのは、思慮深く人間味溢れているがが、あまり決断力はないリーダー、といったイメージを払拭する事だろう。なぜなら、そうした指導者像は変革の時期には、まったくふさわしくないからだ。
チェスで、チェスにおける実践が示すように、プレイスタイルはあまり急激に変えるべきではないが、それが必要であれば決断をするすべきだろう。

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10月11日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル