リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

演劇と劇作の核心が見えて来た気がするんだけど

2024年03月30日 | 日々の風の吹くまま
3月27日(水曜日)。🌧☁⛅🌧。今日もパッとしない天気。朝ご飯を食べながら、今日のArts Clubのオープニングの足はどうする?カレシが運転する?それともウーバーを呼ぶ?とあれこれ相談。「スタンリーなら自分で運転して行っても不便はないよ」とカレシ。そう、いつもはお屋敷町ショーネシーの日本総領事公邸の近くに無料で路駐して、劇場まで下り坂を徒歩15分だもんね。でも、帰りは上り坂でちょっと急なところがあるし、天気予報はあんまり良くないし・・・。

今夜の『Red Velvet』は、アメリカで生まれの役者でイギリスに渡って黒人として初めてシェイクスピアのオセロ役でロンドンの檜舞台になったアイラ・オルドリッジの伝記的な物語。時は19世紀の半ば。オルドリッジのことは全く知らなかったので、事前にウィキペディアで調べて予習。彼はシェイクスピアの懐であるロンドンの演劇界で名作『オセロ』の主役を演じることになって、黒人であるが故のいろいろな軋轢や差別や壁にぶち当たるんだけど、オセロはヨーロッパでムーア人と呼ばれていた黒人なのに、それを近代の黒人(アメリカに売られた奴隷の末裔)が演じることに白人が反対するというのは皮肉というのか何というのか。

午後いっぱい曇ったり晴れたり雨がしょぼついたりで、2人して空を見上げてはどうしようか、どうする?と思案した挙句、カレシが「めんどうだからウーバーで行くかな」。そうだよね、こんなふうに楽するために遊び資金があるんだから。(盛大に贅沢しようと意気込んだのはいいけど、さっぱり目に見えて減ってない・・・。)

☆☆ウーバーで行ったら、行きは青空、帰りは土砂降り・・・☆☆

3月28日(木曜日)。🌧☁🌧。復活祭の3(または4)連休の前日。きのうはラッキーだったな。晩ご飯を食べて、住まいからスタンリー劇場までの距離と所要時間をチェックして、6時過ぎにウーバーを手配。とたんにさぁ~っと青空が広がって、あれれ。でも、5分ほどで「迎えの車」が到着して劇場まですいすい。ウーバーだと、カレシは渋滞なんかでイライラ、カリカリしないで済むし、ワタシはカレシのイライラ、カリカリに付き合わずに済んむので、せっかくのおでかけがストレスにならなくていい。

アイラ・オルドリッジについてはウィキペディアから得た知識だけだったので、芝居としてどんな展開になるのか想像がつかなかったけど、なかなか感動的で、休憩を挟んで2幕2時間という長い作品が短く感じられた。何よりも実在した人物が主人公なので、ワタシが実在の人物の悲劇的な死を取り上げた脚本と格闘していることもあって、奴隷解放運動の活動家でもあったオルドリッジの生涯のどの部分をどのように切り取るかにも興味があったんだけど、そっちの方面でも得るところが多かった。それで一番印象に残ったのはやっぱりラストシーン。オルドリッジはイギリスでは冷遇されてもヨーロッパで高く評価されたそうで、劇団を率いてヨーロッパ各地を回っていたのが、ポーランドのウッチというところで60歳で急死。ラストシーンは、若い女性記者が「話題になる仕事はいつも男性記者に行ってしまう」と憤りながら有名人であるオルドリッジの経歴を記事にするために質問攻めにする中で、(死が迫っていることを知らない)オルドリッジがシェイクスピアの『リア王』を演じるために顔を白く塗っているところ。(白人である)リア王に変身して、ゆっくりと立ち上がって「嘘だよ」と呟いたところでライトが落ちる。

さて、芝居の余韻を咀嚼しながらばたばたと1日を過ごして、午後6時、劇作ワークショップ第6回。今夜はブロックAの番で、ワタシも予めオリジナルは「声が小さ過ぎる」と感じるようになった脚本を書き直すための要点やアイデアを募る質問を送ってあったので、ゆうべの芝居から得たことを織り交ぜながら喧々諤々。ネイサンがトロントで制作された『Red Velvet』に出演していたということで、舞台の上の視点から提案してくれたポイントはすごく貴重で感謝感激。トフはいつものように論点、視点を理路整然と提示してくれて、これまた最高。講師のシドニーとアシスタントのアシュリーも共に演出家として、プロデューサーとしての視点から、ワタシの脚本に欠けているものを指摘してくれて、漠然としていたものがだんだんはっきりして来るのを実感できて、はあ、もう言うことなし。

私の番が終わった後は、ネイサンが書き直しすると言って場の輪郭を送って来ていたコメディをああでもないこうでもないと喧々諤々。ネイサンもドラマのテーマがはっきり見えて来たと言って、一同拍手。最後はトフの殺人ミステリーで、核心に迫ろうとする第2幕の2つの場を取り上げて、トフが登場人物の役を振り当てて読み上げ。スコットランドのへき地の島が舞台なので、気難し屋のおばあちゃんのせりふをうろ覚えのスコットランド訛りで読んだもので大笑い。でも、どっちも(ワタシがイメージした)ラストシーンがすごく良くて、ゆうべの芝居のシーンと相まって、そっか、エンディングが肝心要なんだと発見した気分。ワークショップが終わった時には脳みそがスクランブルエッグになってしまっていたけど、これがワタシの学習スタイル。寝酒を傾けながらゆっくりと反芻しなくちゃと思っていたら、トフから個人的にまた長い、長いコメントとサジェスチョンのメール。さすが元編集者というだけあって、すごいスピード。はいっ、がんばります!