読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

春風伝 高杉晋作・萩花の詩  葉室麟  小説新潮2011.4~2012.8月号

2013-05-06 17:37:29 | 読んだ
小説新潮に連載されていた小説で近頃単行本になったらしい。
4月は小説新潮をひっぱり出してきてこれを読んでいた。

高杉晋作は知っている。(会ったことはないけれど)
知ってはいるけれど、いろいろな物語の主人公ではない登場人物としてであって、詳しくはない人物であった。

私の幕末に関する思いは、司馬遼太郎の「燃えよ剣」と子母沢寛の「勝海舟」なので、どちらかといえば幕府側である。
そして、私の住んでいるところは伊達藩内であり、小学校6年生の修学旅行が会津若松だったので白虎隊の飯盛山に行ったりしたので、どうしたって佐幕派である。

だからあまり討幕側の人たちが主人公の小説は好きになれない。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」は読んだけれども、感情移入の量は少なかった。
もっと言えば明治政府があまり好きにはなれない。
薩長が太平洋戦争を起こし敗戦国にしたと、思ったりしている。

薩長でも特に長州は嫌い。薩摩はなんとなく許せるかなあ、くらいである。
いろいろな幕末ものを読んでいると、どうしてもそうなってしまう。

そういう私が、高杉晋作を読むのは、ただなんとなくという気持ちと、著者が葉室麟だということだけである。

何故長州が嫌いか?ということだが、どうも私に似ているというか私が似ているからかもしれないと、近頃思っている。
理屈っぽくて、頭で納得しないと行動できない。理屈で納得したら他の理屈は受け入れない。
そんなところが嫌なのかもしれない。

本書に登場する高杉晋作もそういう長州が嫌いだったんだと思う。
だから、長州を或いは日本を壊そうと思ったのではないか。
この「壊す」というのは「体制を壊す」ということではなくて、どちらかといえば「今の生き方」を壊そうとしていたのではないか。

高杉は政治は嫌いだったように思える。しかし、政治的に動かなければならない。
そのあたりのジレンマが「壊す」ということにあったように思える。

しかし「壊す」ことは考えられても「創る」ことが曖昧だったように思える。
そのあたりが、幕末期の限界だったように思える。

それにしても、高杉晋作、爽やかである。
というか、爽やかすぎる。

本書を読んだ後に爽やかな春風が心を吹き抜けていく。

ちなみに「春風伝」の「春風」とは高杉晋作の『諱(いみな)』である。

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