尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

2018年アメリカ中間選挙をどう見るか

2018年11月09日 23時56分58秒 |  〃  (国際問題)
 2018年11月7日にアメリカの中間選挙が行われた。その頃から、トランプが大統領に当選した2016年に書いた「アメリカ下院選挙の結果」という記事が読まれるようになった。当然のこととして、今年の結果を調べようと検索してヒットしたんだろう。2年前の話が出てきて申し訳ない感じがするので、とりあえず「2016年アメリカ下院選挙の結果」と「2016年」と年をタイトルに入れることにした。2年前だけじゃ何だから、2018年の選挙結果についても書いておきたい。

 ニュースで報じられているように、今回は上院は共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪還した。最終結果はまだ確定していないが、上院は共和党が51議席民主党が46議席未定が3となっている。日本ではその日のうちに当選者が決まってしまうが、アメリカでは各州ごとに規則が違う。僅差の場合、再集計したり、場合によっては決選投票をしたりする。

 今回の改選議員は33人だが、ミネソタ州とミシシッピ州の辞任議員の分を同時に行った。現時点でアリゾナ、フロリダ、ミシシッピ州の補欠分が未定となっている。アリゾナは民主が、他は共和が若干有利な情勢。今回だけの結果を見ると、民主党が21+2(民主党と統一会派を組む無所属2人を含む。一人はバーニー・サンダース)、共和党が9、未定3である。非改選議員が42人もいたから、共和党が過半数を維持できた。しかし次回以後は共和党に民主党の倍ぐらいの改選議員がいる。今回の勢いが続けば、2020年に民主党が上院の過半数を握る可能性は高い。

 下院は2年ごとに全435議席をすべて改選する。過半数は218議席。現時点で民主党が225議席、共和党が197議席、未定が13議席。未定区をちゃんと見る気はないが、ざっと見たところ民主5、共和8になりそう。一時想定されていたほど民主党の圧勝にはならなかった。共和党は前回235議席を獲得したが、今回の民主党はそこまで行かない。直前に共和党が盛り返したと言われる。中米からの移民キャラバンの影響もあるだろう。なぜこのキャラバンが今来るんだろうか。トランプ本人じゃなくても、支持者の誰かが金を出していたとしても全く驚かない。

 以前書いたように、選挙区の区割りが民主党に不利な州が多い。またニューヨークなどの大都市では民主党支持者が多く圧倒的に勝つけど、郊外地区には共和党支持者が万遍なく住んでいる。小選挙区制度だから、ちょっとでも票が上回れば勝つ。そんな中で久しぶりに民主党が勝利したのは、中間選挙では一番高い投票率のためだ。女性と若者が動けば世の中は変わるのである。多くの若い女性議員が新しく誕生した。カンザス州3区で当選した「先住民+レズビアン」であるシャリス・ダヴィッド議員の写真を載せておく。

 そんな結果の中間選挙だが、僕にはどうもトランプ再選に道を開いたように思える。どういうことかというと、共和党内が親トランプ一色になった。共和党の下院議員も「トランプ・チルドレン」が多くなった。テキサスのテッド・クルーズでさえ、民主新人に追い上げられトランプの応援を受けて、51%の得票で辛勝した。もう党内でトランプに逆らえる人はいないだろう。トランプは危険すぎて、「主君押し込め」の動きが出るとも言われていたが、支持者に人気があって不可能だろう。

 一方の民主党はオバマ以後のスターが出て来ない。今回当選した新人では2020年大統領選には間に合わない。一番人気が前副大統領のジョー・バイデン(1942~)らしい。あるいはバーニー・サンダース(1941~)もいるが、トランプ大統領は1946年生まれだから、トランプより年長者である。未だ2020年の民主党大統領候補の有力候補は見つかっていない。トランプのようなケースがあるんだから、現時点で政界にいない者が彗星のように出てくる可能性もあるんじゃないだろうか。

 今後民主党が下院で多数を占めるから、トランプの政策は一定の制限を受ける。しかし、それもトランプに不利とは言えない。「極左に支配されたクレージーな民主党」がジャマするのがいけないと言い続けて、どんな失敗も民主党のせいにできるのである。キリスト教福音派が不道徳なトランプをなぜ支持できるのか。テレビのニュース番組を見て驚いた。確かにトランプその人には問題もある、しかし、そのような人物を通して正しい道を示すのが神のふるまいなのだ、いつもトランプ大統領が悔い改めるように祈っていると言っていた。こう言われては返す言葉もない。
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