尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

そもそもパーティー券は「詐欺」に近いー「外国人」の購入制限問題

2024年03月22日 22時40分58秒 | 政治
 安倍派パーティー券の「裏金」不記載問題は、予想されたような展開になっている。衆参の「政治倫理審査会」(政倫審)が開かれ、多くの議員が出席したものの肝心なことは何も判っていない。野党側は嘘をつけば偽証罪に問われる「証人喚問」を求めているが、与党側は応じていない。また多くの「不記載」議員が政倫審に出ていない。政倫審は3分の1の要求があれば招致できるが、野党委員だけでは数が足りない。そこで与党である公明党に協力を求めたが、公明党は応じないようだ。(公明党は自民党に厳しいようなことを口では言うが、肝心なところでは自民党を離れない。)しかし、こういう展開は予想通りだろう。
(野党は証人喚問を要求)
 憲法の規定により、2024年度予算が年度内に成立することは確定している。そうなれば、もう与党は野党に譲歩する必要はなく、国民向けに関係議員に対する「一応の処分」は行われるだろうが、自民党としてはそれでウヤムヤにしたい。補欠選挙で自民党に厳しい結果が出れば、岸田首相に責任を取って貰えば良いのであって、それで終わり。そう考えているだろう。「もし」があるとしたら、予算案の衆院通過が3月第2週まで延びていれば、政府は暫定予算を組む必要に迫られたかもしれない。

 その時にこそ、野党側が与党を追いつめ証人喚問などを実現できたのである。ただ、その場合与党や与党寄り「識者」から「能登半島地震復興をジャマするのか」という声が殺到するだろう。立憲民主党が採決直前に予算委員長の不信任案鈴木財務相の不信任案を出して抵抗した時に、予算案本体には反対した「日本維新の会」「教育無償化を実現する会」は両不信任案に反対し、「国民民主党」は財務相不信任案に反対した。野党というけど、肝心な時に与党を助ける党がある。そしてSNSでも立憲民主党の「抵抗」に批判の声があり、結局腰砕けになってしまった。「闘う」時に足を引っ張るのが日本社会である。

 それはともかく、最近は「そもそも政治資金パーティー券って何だろう」と思っている。これまでは派閥のパーティー券収入が還流して、政治資金報告書に不記載だったことを批判してきた。まあ、当然である。政治資金パーティーを開くことは合法行為だが、政治資金を記載しないのは違法行為である。現行法でそうなっている以上、パーティーそのものは問題視せず、組織的に不記載だったことを批判したわけである。だけど、それで良いのだろうかと思うようになってきた。
(有村質問)
 きっかけとなったのは、3月6日の参院予算委員会における有村治子議員(元女性活躍担当相)の質問である。「外国人による政治献金が禁じられる一方、政治資金パーティー券の購入は認められている現状について「事実上どちらも政治活動への経済的支援に変わりはない。外国人によるパーティー券の購入をただしていかなければ、日本の政治が外国勢力から支配や干渉を受ける制度的な脆弱性を持ち続ける」と述べ、法改正を訴えた。」と質問しているのである。

 あれ、やっぱりそうなの? それ言っちゃうの? 政治献金が禁じられているのは、何も外国人(法人)だけではない。「一定の補助金等を受けている会社(法人)」や「(3年以上の)赤字企業」なども同様である。しかし、パーティー券については制限がない。それは何故かと言えば、パーティー券購入は「パーティーに出る対価」であって、「政治献金」じゃないからだろう。パーティーを開く(参加する)のは、集会の自由があるから問題ない。パーティーに参加するには、コンサートやスポーツの試合などと同じく「チケット」が必要だ。外国人であれ赤字企業であれ買っても良いわけである。

 しかし、やはり自民党議員であってさえ、タテマエではそうだけど、実は政治献金そのものだと理解している。売った分全員が来たら会場があふれてしまうし、飲み物、食べ物もあっという間に無くなる。それでも会社でまとめ買いして、代表一人が出席し多くの政治家と名刺交換して、一緒の写真を撮って帰る。パーティー券分の飲み食いをする気は初めからないのである。だから実質は政治献金。そこで「外国人も実質的に政治献金可能じゃないか」と発想するのは、さすが自民党議員は「排外主義」なんだと判るけど、真の問題は外国人じゃないだろう。

 3月2日付朝日新聞「企業献金の深層②」という企画記事では、「パーティー券購入「行くわけないが」」と大きく報じて、岐阜県の建設業者の話が載っている。「東京のホテルだろ。朝8時に行くわけないよ」と国会議員秘書に言ったら、「今はオンラインでも参加できますよ」と返されたとある。それならば、オンラインで参加する場合は(飲食しないんだから)パーティー券を安くするべきだろう。こういう風に「行くはずがないパーティー」の券でも個人で買うのは自由かも知れない。だが企業が負担していれば、背任とか横領に当たらないのだろうか。

 これって限りなく詐欺に近くないだろうか。昔の豊田商事(老人から金塊を買うとしてお金を集めて、買ってなかった)とか、最近のトケマッチ(高級時計を預かって貸し出すと称して、売り払っていたらしい)なんかの商法に何となく似てないだろうか。ただし、パーティー券の場合は、お互いに出ないことを承知で金を出して(集めて)いることが違っている。だが、「全員来たら入りきれないパーティー券を売る」のは、そもそも「詐欺事件」なんじゃないかと思う。

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