自民党総裁選に続き、立憲民主党代表選やアメリカ大統領選なども書きたいところだが、8月中に「靖国神社」について書いておきたい。靖国問題に関しては折々に書いてきたが、2024年1月27日には『自衛隊幹部の靖国神社集団参拝問題ーこれが「通達違反」じゃないとは!』を書いた。これはタイトル通り、自衛隊幹部が靖国神社を集団で参拝した問題について考えたものである。2024年になって「自衛隊と靖国神社」をめぐる深い関係がたびたび報道されている。しばらく靖国参拝が何で問題なのかという「そもそも論」を書いてないからこの機会に書いておきたい(次回)。(自分にとって「当たり前」のことはスルーすることが多い。)
(8月15日に木原防衛相が参拝)
毎年夏になると「8月15日に閣僚が靖国神社を参拝」というニュースが流れる。2024年は3閣僚が参拝したそうで、それは高市早苗経済安全保障担当大臣、新藤義孝経済再生担当大臣、木原稔防衛相の3人である。新藤、高市両氏は今までも大臣として参拝をしてきた。木原稔氏は熊本1区選出の当選5回で、55歳。今回が初入閣なので閣僚としては初参拝になる。茂木派所属だったが、今までも保守的な主張や行動をしてきたようだ。閣僚が何人か参拝したとしても、今までは官房長官、外相、防衛相など外交安保に関わる主要閣僚が参拝したことはなかった。防衛大臣が平気で参拝できる世の中になってしまったのである。
大日本帝国憲法下の帝国陸海軍と日本国憲法下の自衛隊は、法制的には関係がない別組織である。自衛隊が日本国憲法に違反しているかどうか、その問題には今深入りしない。ただ、長年「自衛隊違憲論」が影響を持ってきたのは事実だから、自衛隊側も旧陸海軍とはタテマエ上は違うフリをしてきたと思う。実際は「日本の再軍備」は旧軍人が中心になって進められたが、それらの事実はあまり公言されてこなかった。戦前の靖国神社は陸海軍が直接管轄していた神社なのは当時の世代は皆がっている事実だ。戦後は「政教分離」を定めた憲法が制定されたのだから、自衛隊幹部は靖国神社と公に関わるのは避けてきたわけだろう。
(最近の自衛隊と靖国神社の関係)
8月になって、海上自衛隊の幹部が靖国神社の「遊就館」を研修として5月に集団見学していたことも明らかになった。これもちょっと考えられない出来事で、自衛隊が靖国神社とズブズブの関係になりつつあるのが判る。「遊就館」というのは、靖国神社にある「軍事博物館」的な施設で、有名な寺社によくある「宝物館」みたいな場所だ。だから宗教施設ではないけれど、ここを集団で見学するというのは、神社参拝以上のとんでもない出来事である。何しろ遊就館は「大東亜戦争肯定論」を広めるイデオロギー施設なのである。日本の国家方針と違う考え方の施設に公務員を研修で見学させるのは、いうならば「国家反逆行為」に近い。
公務員であっても思想信条や信仰の自由はもちろんあるわけだが、それを仕事の中で勝手に表現することは認められない。もちろん「遊就館を批判的に見学した」わけじゃないだろう。公正な解説者を付けて問題点を理解させるというような配慮はなかったに違いない。要するに幹部自衛官に、遊就館に対する問題意識がなく、ここは自分たちの場所だと思っているんだろう。九段の近くには「昭和館」や「しょうけい館」という施設もある。集団で行きたければそっちを見るべきだ。
(靖国神社の新宮司の文章)
そして4月1日に靖国神社の宮司に元海上自衛隊海将の大塚海夫氏が就任した。崇敬者総代も自衛隊経験者が就任するのが恒例化しつつあるらしく、現在は元陸上幕僚長の火箱芳文氏、その前は元海上幕僚長の古庄幸一氏が就いているという(朝日新聞)。新聞記事によれば火箱氏は「旧軍と自衛隊は歴史的には関係を切ってきたが、旧軍の気持ちを理解できるのは自衛隊だ」と語っている。このように一宗教法人と国家の実力組織が深い関係を持つのは「政教分離」原則に反するだろう。だがそういう問題に留まらず、「何だか恐ろしい」という「新しい戦前」の到来を感じさせるのである。
(8月15日に木原防衛相が参拝)
毎年夏になると「8月15日に閣僚が靖国神社を参拝」というニュースが流れる。2024年は3閣僚が参拝したそうで、それは高市早苗経済安全保障担当大臣、新藤義孝経済再生担当大臣、木原稔防衛相の3人である。新藤、高市両氏は今までも大臣として参拝をしてきた。木原稔氏は熊本1区選出の当選5回で、55歳。今回が初入閣なので閣僚としては初参拝になる。茂木派所属だったが、今までも保守的な主張や行動をしてきたようだ。閣僚が何人か参拝したとしても、今までは官房長官、外相、防衛相など外交安保に関わる主要閣僚が参拝したことはなかった。防衛大臣が平気で参拝できる世の中になってしまったのである。
大日本帝国憲法下の帝国陸海軍と日本国憲法下の自衛隊は、法制的には関係がない別組織である。自衛隊が日本国憲法に違反しているかどうか、その問題には今深入りしない。ただ、長年「自衛隊違憲論」が影響を持ってきたのは事実だから、自衛隊側も旧陸海軍とはタテマエ上は違うフリをしてきたと思う。実際は「日本の再軍備」は旧軍人が中心になって進められたが、それらの事実はあまり公言されてこなかった。戦前の靖国神社は陸海軍が直接管轄していた神社なのは当時の世代は皆がっている事実だ。戦後は「政教分離」を定めた憲法が制定されたのだから、自衛隊幹部は靖国神社と公に関わるのは避けてきたわけだろう。
(最近の自衛隊と靖国神社の関係)
8月になって、海上自衛隊の幹部が靖国神社の「遊就館」を研修として5月に集団見学していたことも明らかになった。これもちょっと考えられない出来事で、自衛隊が靖国神社とズブズブの関係になりつつあるのが判る。「遊就館」というのは、靖国神社にある「軍事博物館」的な施設で、有名な寺社によくある「宝物館」みたいな場所だ。だから宗教施設ではないけれど、ここを集団で見学するというのは、神社参拝以上のとんでもない出来事である。何しろ遊就館は「大東亜戦争肯定論」を広めるイデオロギー施設なのである。日本の国家方針と違う考え方の施設に公務員を研修で見学させるのは、いうならば「国家反逆行為」に近い。
公務員であっても思想信条や信仰の自由はもちろんあるわけだが、それを仕事の中で勝手に表現することは認められない。もちろん「遊就館を批判的に見学した」わけじゃないだろう。公正な解説者を付けて問題点を理解させるというような配慮はなかったに違いない。要するに幹部自衛官に、遊就館に対する問題意識がなく、ここは自分たちの場所だと思っているんだろう。九段の近くには「昭和館」や「しょうけい館」という施設もある。集団で行きたければそっちを見るべきだ。
(靖国神社の新宮司の文章)
そして4月1日に靖国神社の宮司に元海上自衛隊海将の大塚海夫氏が就任した。崇敬者総代も自衛隊経験者が就任するのが恒例化しつつあるらしく、現在は元陸上幕僚長の火箱芳文氏、その前は元海上幕僚長の古庄幸一氏が就いているという(朝日新聞)。新聞記事によれば火箱氏は「旧軍と自衛隊は歴史的には関係を切ってきたが、旧軍の気持ちを理解できるのは自衛隊だ」と語っている。このように一宗教法人と国家の実力組織が深い関係を持つのは「政教分離」原則に反するだろう。だがそういう問題に留まらず、「何だか恐ろしい」という「新しい戦前」の到来を感じさせるのである。