2018年9月は比較的訃報が少なかった。樹木希林をその時に書いたから、同じく俳優との訃報から。まずアメリカのバート・レイノルズ。1936~2018.9.6、82歳。1980年前後にアクション映画のスターとして「キャノンボール」などで知られた。演技で評価されたのはポール・トーマス・アンダーソンのデビュー作「ブギーナイツ」で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。ポルノ映画業界の裏を描いた映画で、バート・レイノルズは「ポルノの巨匠」を演じた。
僕の思い出にあるのはロバート・アルドリッチ監督の「ロンゲスト・ヤード」だ。9月にあった「ぴあフィルムフェスティバル」でアルドリッチ作品が特集され、黒沢清監督が「キッスで殺せ」の後で講演した。その時に学生時代に見た「ロンゲスト・ヤード」や「北国の帝王」などの魅力を語っていたのだが、僕も全く同じ。「映画表現論」で、講師の蓮見重彦が「ロンゲスト・ヤード」を見なければならないと力説するから宿題みたいな感じで見た。元アメフトスターで今は刑務所暮らしの男が、囚人アメフトチームにのめり込む。バート・レイノルズの自堕落な感じが良かった。
中国の名優、朱旭(チュウ・シュー、1930~2018.9.15,88歳)が亡くなった。日本では山崎豊子原作のNHKドラマ「大地の子」の養父役が一番知られているだろう。でも僕は東京国際映画祭で主演俳優賞を獲得した呉天明監督「變臉 この櫂に手をそえて」(1996)が大好きだった。「變臉」は「変面」で、仮面の早変わりをする大道芸。「変面王」と呼ばれる名人を演じて圧倒的な存在感だった。他にも「心の香り」「こころの湯」「王様の漢方」などの映画に出ていた。
寺山修司の「天井桟敷」の俳優だったサルバドール・タリが9月27日に亡くなった。70歳。もちろん画家のダリに似たヒゲだったことで寺山が付けた芸名で、本名は川筋哲朗。
フランスの歌手、俳優だったシャルル・アズナヴールは、取り上げるかどうか迷ったけれど、まあ書いておくことにしたい。というのも、命日が9月30日夜から10月1日朝までのどこかで、どっちかというと10月1日らしい。月ごとにまとめるなら来月回しにするべきかも。でも、そう細かくこだわることもないだろう。94歳だから本来は驚くものではないが、何しろ9月に来日公演をしていたので驚いた。さすがに最後の公演になるだろうと思ったが、高いから行かなかった。
もともとは「アズナヴ―リアン」(Aznavourian)で、これはアルメニア人に特徴的な「末尾にアン」の姓である。一番思い出すのはトリュフォー監督の映画「ピアニストを撃て」のピアニスト役。兄弟は犯罪者で、巻き込まれていく。僕はあまりフランスの「シャンソン」と言われるジャンルを知らないけど、1946年にエディット・ピアフに見いだされたという。英語でも歌を作り世界的に知られた。国籍は変えてもアルメニア人意識を持ち、アルメニアに協力してきた。パリで行われた国家追悼式にはアルメニアのサルキシャン大統領も参列した。
文楽三味線の鶴沢寛治(9.5没、89歳)、日本舞踊の花柳寿南海(はなやぎ・としなみ、9.11没、91歳)は人間国宝だった。芸の中身はよく知らないけど。
・井出正一(いで・しょういち)、2日没、79歳。1993年に自民党を離党して「さきがけ」結成に参加。自社さ連立内閣で厚生相を務めた。一時さきがけ代表を務めた。井出一太郎の長男。
・高見敏弘、6日没、91歳。那須にアジア、アフリカの青年指導者養成のためアジア学院創設。
・小藤田千栄子(ことうだ・ちえこ、11日没、79歳)、映画評論家。
・小田裕一郎、17日没、68歳。作曲家。代表作に「青い珊瑚礁」。
・山本KID徳郁(やまもと・きっど・のりふみ)、18日没、41歳。総合格闘家。ガンで死去。
・元原利文、21日没、87歳。元最高裁裁判官。弁護士出身で一票の格差訴訟などで多くの反対意見を書いた。
・小野竜之介、27日没、84歳。「新幹線大爆破」を書いた人。
・藤田洋、28日没、84歳。演劇評論家。
・渚ようこ、28日没、歌手、年齢非公表。クレイジーケンバンドと組んだり、若松孝二や森山大道らとコラボする仕事をした。新宿ゴールデン街で「汀」という店をやっていた。
僕の思い出にあるのはロバート・アルドリッチ監督の「ロンゲスト・ヤード」だ。9月にあった「ぴあフィルムフェスティバル」でアルドリッチ作品が特集され、黒沢清監督が「キッスで殺せ」の後で講演した。その時に学生時代に見た「ロンゲスト・ヤード」や「北国の帝王」などの魅力を語っていたのだが、僕も全く同じ。「映画表現論」で、講師の蓮見重彦が「ロンゲスト・ヤード」を見なければならないと力説するから宿題みたいな感じで見た。元アメフトスターで今は刑務所暮らしの男が、囚人アメフトチームにのめり込む。バート・レイノルズの自堕落な感じが良かった。
中国の名優、朱旭(チュウ・シュー、1930~2018.9.15,88歳)が亡くなった。日本では山崎豊子原作のNHKドラマ「大地の子」の養父役が一番知られているだろう。でも僕は東京国際映画祭で主演俳優賞を獲得した呉天明監督「變臉 この櫂に手をそえて」(1996)が大好きだった。「變臉」は「変面」で、仮面の早変わりをする大道芸。「変面王」と呼ばれる名人を演じて圧倒的な存在感だった。他にも「心の香り」「こころの湯」「王様の漢方」などの映画に出ていた。
寺山修司の「天井桟敷」の俳優だったサルバドール・タリが9月27日に亡くなった。70歳。もちろん画家のダリに似たヒゲだったことで寺山が付けた芸名で、本名は川筋哲朗。
フランスの歌手、俳優だったシャルル・アズナヴールは、取り上げるかどうか迷ったけれど、まあ書いておくことにしたい。というのも、命日が9月30日夜から10月1日朝までのどこかで、どっちかというと10月1日らしい。月ごとにまとめるなら来月回しにするべきかも。でも、そう細かくこだわることもないだろう。94歳だから本来は驚くものではないが、何しろ9月に来日公演をしていたので驚いた。さすがに最後の公演になるだろうと思ったが、高いから行かなかった。
もともとは「アズナヴ―リアン」(Aznavourian)で、これはアルメニア人に特徴的な「末尾にアン」の姓である。一番思い出すのはトリュフォー監督の映画「ピアニストを撃て」のピアニスト役。兄弟は犯罪者で、巻き込まれていく。僕はあまりフランスの「シャンソン」と言われるジャンルを知らないけど、1946年にエディット・ピアフに見いだされたという。英語でも歌を作り世界的に知られた。国籍は変えてもアルメニア人意識を持ち、アルメニアに協力してきた。パリで行われた国家追悼式にはアルメニアのサルキシャン大統領も参列した。
文楽三味線の鶴沢寛治(9.5没、89歳)、日本舞踊の花柳寿南海(はなやぎ・としなみ、9.11没、91歳)は人間国宝だった。芸の中身はよく知らないけど。
・井出正一(いで・しょういち)、2日没、79歳。1993年に自民党を離党して「さきがけ」結成に参加。自社さ連立内閣で厚生相を務めた。一時さきがけ代表を務めた。井出一太郎の長男。
・高見敏弘、6日没、91歳。那須にアジア、アフリカの青年指導者養成のためアジア学院創設。
・小藤田千栄子(ことうだ・ちえこ、11日没、79歳)、映画評論家。
・小田裕一郎、17日没、68歳。作曲家。代表作に「青い珊瑚礁」。
・山本KID徳郁(やまもと・きっど・のりふみ)、18日没、41歳。総合格闘家。ガンで死去。
・元原利文、21日没、87歳。元最高裁裁判官。弁護士出身で一票の格差訴訟などで多くの反対意見を書いた。
・小野竜之介、27日没、84歳。「新幹線大爆破」を書いた人。
・藤田洋、28日没、84歳。演劇評論家。
・渚ようこ、28日没、歌手、年齢非公表。クレイジーケンバンドと組んだり、若松孝二や森山大道らとコラボする仕事をした。新宿ゴールデン街で「汀」という店をやっていた。