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民話の故郷PART-Ⅱ オシラサマ(遠野物語より)

2006-08-09 | 旅行
オシラサマ  (遠野物語より)       オシラサマの謂れを簡単に説明いたします。

昔々、遠野の村にめんこいむすめが父親と二人、愉しく暮らしておりました。
雪のように光る若駒がいて、いつも一緒に高原を走り回っておりました。夜は何時までも仲良く語り合っていました。
むすめと若駒はいつのまにか離れられない仲になりました。
父親は次第に若駒を憎み、ある日娘のいない間に若駒を裏山の桑の木に吊るしました。
若駒は、苦しんで死んでしまいました。雪の様に白い若駒の毛皮は、桑の枝で銀色に光っていました。
飛んできた娘は、泣いて泣いて死んだように泣き崩れました。
突然、銀色の毛皮に包まれた娘は、空高く舞い上がっていきました。
父親は「俺のめんこいボッコ、これから俺はどうして暮らせばいい」と嘆き悲しみました。ある夜、父親は夢を見ました。「私を可愛がってくれたお父さん、ご恩返しに三月十六日に土間の臼に、頭が馬に似ためんこい虫をさしあげます。それは雪の様な繭を作る私の化身です」
三月十六日夜明けを待って、土間の臼の上を見たら「めんこいボッコの化身」が!手に乗せて大声で泣きました。裏山の桑の葉を食べた蚕は、雪のような繭を作り、若駒の毛皮そっくりのやわらかい銀色の布になりました。
父親は裏山の桑の木を切って、一組の神様を作りました。一つは娘、一つは若駒です。
その名前は
オシラサマ。
遠野は蚕が大切に飼われて、銀色の繭を作る村、蚕の神様は、オシラサマだとさ。


以来、蚕の神様のみならず、願いを叶えてくれる内様として大切に祀られています。
         (写真は絵本「おしらさま」より丸木俊画伯の絵をお借りして、合成したものです)