チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 350

2020年07月06日 17時59分07秒 | 日記

昨日東京博物館で開催されている「きもの」を見てきた

植物染料の力強さに改めて感動、特に茜と紫根それに山藍と苅安で染めた緑、檳榔樹の黒、室町時代からしっかりと残っていて、万葉時代の高貴な人々の茜と紫根 武士の茜と紫根、江戸時代の紅花や橡色イヤー日本って本当に素晴らしい。若いお嬢さんはウコン染めの地色の着物が好まれたようで、年月たったら色が退色して渋くなり、計算されたのか差し色も刺繍の糸の色もほどほどに年老いて渋くなっていた

幻の「打ち出し鹿の子」と手絞りの「鹿の子」の比較もできて有意義。縒り糸をっ使わない刺繍の見事さ、糸目が今ほど精密ではないけどそれだからこそダイナミックさを示す友禅染

久しぶりに皇女和宮の打掛にも出会えてうれしかった!

この打掛が芝の増上寺に保管されていたころ取材で伺いなんとなんと肩にかけて写真を撮った!しかも柄をパクリ今でも色留め袖として着ているふふふ

内親王の着物選びの感性と姑である武家の息女天璋院の選ぶ着物の違いを、現物を手に取りながら、学芸員の方と語り合った増上寺の内庭の美しい芝生の色とともに思い出しながらその場所に一番長く足を止めてしまった

 

やんごとなき方は繻子や綸子など艶のある生地を使うことが多く、ちりめんは豪商の息女の物が多い、素材の選び方ひとつ階級があったのだとつくづく感じた、財力は豪商の方があったので縮緬が多いのかも

それにしても昔の一越ちりめんは美しい、縮緬糸が出来たときはみんなどんなに驚いたであろうか、そのころは友禅もあり一気に着物キャンバスが華やかになる

 

ずいぶん昔久保田一竹さんが見た安土桃山の時代の「辻が花」の端裂にも出会えた、その裂に魂を奪われて「一竹辻が花」を構築したと熱っぽく語ってくれたその部屋の様子までが思い出されて思わず顔をガラスにくっつけてしまった

「もしもし下がってください」と無粋な声が耳元に(昔この裂触ったんだよバカ)でもにっこりと「あらごめんあそばせ」何回も注意された。(ガラス越しに見てるんだもの顔を近づけてどうしていけないのかしらね、ようわからん)

 

で堪能したけどカタログの貧弱さに呆れかえった

入館するとき「マスクしてない方はお帰りください」と言われたチャ子ちゃん先生、おもむろに紅絹のマスク入れから麻のマスクを取り出しつけて黙って最敬礼してはいった(お帰りくださいはないだろうこのあほ)とは口にしなかったが、入り口でつまずいたが、西洋の絵画に詳しい友人と一緒だったので、屏風絵と洋画の遠近法のとらえ方の違いなど教えていただき有意義だった

 

着物は日本の歴史を黙って語ってくれる

コメント
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