チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

紅花染

2011年01月13日 13時08分37秒 | 日記
「24日から寒染めに入りますよ」
と山岸幸一さんから紅花染めの宣告
早速肌襦袢、湯文字、裾除けの合計7枚を送る

今年から本格的な紅花染めの肌着にすることにした
しかも寒染め

今までももちろん紅花染めに間違いないのだが
エキスを使うこともあって
紅花を植え、真夏の紅花摘み、紅花餅つくり、そして寒染め
全て手作りの山岸幸一さんに
恐る恐る
「ねえ肌着を寒染めで染めていただけるかしら」
「いいですよ染めるのを送ってください」

山岸さんは桑を植え、蚕を飼い、染材も育て、煤染の灰汁も作って
自分で糸を引き、染め、手織りをしている日本一の染織作家
こだわりの極地を行っている
最近はほとんど神の世界に居る風情だ

その彼に
「肌着用に染めて」
はないだろうとずっと遠慮をしていた
しかし
きものを着る人にとって肌着が一番本物であって欲しいのだ
肌にじかに触れるものを山岸さんの意図した本物であることは
肌にとっても幸せ

思い切って言ってみるものだ
いとも簡単に
「いいですよ」
肌着から長襦袢そして腰紐にいたるまで、そのうえ手作りのきもの
となると「余は満足」の世界

撮影や着付けの現場でも
きものは国宝クラスのきものなのに
肌着は化学繊維
と言う組み合わせの人がきものを着る全体の9割を占めていると思う

見えるところはいいもの
見えないところはまあそこそこでーー

江戸時代の庶民は
表はボロをまとっていても
裏は絹と言うケースが多い
昔のきものに裏に紅絹をつけているのはその名残
表木綿うら絹と言う取り合わせもある
「裏に凝る」
と言うのは粋の権化のようなものだったが
今は逆になっている
見えるところに贅沢をする
これはきものに限らず全てにいえるようだ

さて染め上がって送られてきた寒染めの紅花肌着
包みを開けたとたん
「愛らしい!」
スタッフ一同思わず感嘆
柔らかくて優しい、赤ちゃんの肌のような色合い

写真はツイッターに載せたので見てくださいな

紅花と紫恨染めは寒中に染めると色につやが出るだけでなく
色落ちもしにくい

山岸さんは裏の小川に出て紅染めの糸を素手で洗う

チャコちゃん先生
「おおつめたい」
と口で言いながら防寒コートにくるまって眺めている
あたりは白一色
その白い雪を背景に紅染めの糸が青い空に翻る

コメント
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