BBCニュース Antarctic shelf 'hangs by thread'
南極の氷が、予想以上の速さで溶けている。
3月末、最大級の棚氷(たなごおり)である「ウィルキンス棚氷」の一部が崩壊した。残りの部分も、崩壊の危機にあるという。これから夏に向け、どこまで溶けるか。
棚氷とは、南極大陸から押し出されて、海にせり出している氷を言う。海に浮かんでいる氷なので、溶けて水に変わっても、海面が上昇するわけではない。だが、陸上にある氷が溶ける前兆と言えるだろう。
目撃者の証言によると、「大爆発が起きたように、一軒家くらいのサイズの氷塊が散らばっていた」というから、凄まじいスケールである。
ウィルキンス棚氷は、1万3000平方キロもの広さがある、巨大な浮島だ。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を合わせたくらいの広さ。「少なくとも、ここ数百年は現在の位置にあった」というから、単なる氷ではない。島そのものと言えるだろう。
専門家は、1990年代初め頃には「ウィルキンス棚氷はあと30年で溶ける」と予想していた。しかし、予想を大幅に上回るスピードで溶けている。このままでは、あと2~3年で消えてしまうかもしれない・・・・・。
↑ 観測史上最小になった北極海の氷(2007.9.24) JAXA 北極海の海氷モニタ
昨年の夏は、衝撃的な事実が明らかになった。なんと、「北極海の氷が溶けてしまった」というのだ。
「これから温暖化が進み、北極の氷は溶けていくだろう」という予想は、だいぶ前からなされていた。だが、「これほど早く溶けるとは・・・」と、誰もが衝撃を受けている。
そう。北極の氷は、何ぴとたりとも予想できなかったほどのスピードで、急激に溶けてしまったのだ。
(もっとも、南極大陸の氷とは違って、北極海の氷は海に浮かんでいる。だから、これが溶けて水に変わるだけなので、海面が上昇するわけではない。ひと安心?)
もっとも、「昨年の夏が、特別に異常だったのかもしれない」という、冷静な意見もある。 問題は、今年の夏がどうなるかだろう・・・・・。
北極海の氷が溶けると、どうなるか。
今まで、日本からヨーロッパに船で行くためには、わざわざ東南アジアのマラッカ海峡とエジプトのスエズ運河を通る赤道回りのコースを通り、とてつもなく遠かった。 それが、ロシアとアラスカの間のベーリング海峡を通って、北極海を横切れば到達できることになる。
赤道を回る航路と比べれば、大幅なショートカットである。「輸送費が3分の1になる」と試算されている。
地球環境にとっては悪夢だが、航路短縮は夢のような話だ。
アジアとヨーロッパ間の貿易は、増大する一方。「憧れの北極航路」をめぐって、地球人たちの政治対立も、例によってさっそく激化し始めた・・・・・。
アサヒ・コム 熱帯の魚が息苦しく 「不毛の海」広がる
熱帯の大西洋や太平洋で、低酸素の海域が広がっていることが、独米の研究チームのデータ分析でわかったそうだ。
海の表面は酸素が多いのだが、深くなるにつれて酸素不足になる。これは当たり前。問題は、酸素が減る度合いである。
このたびの調査では、熱帯の海の、中くらいの深さで異常な酸素不足が進行しているという予想が裏付けられた。 例によって、「地球温暖化の影響」だという。
なぜ、温暖化すると海水が酸素不足になるのか。 海の表面に、酸素が溶け込む。海の水は、常に対流している。長い時間をかけて、海面の水と、海底の水が、グルグル回って混ざり合っていくようになっている。
ところが、海面の温度が高くなるにつれて、海底の水と混ざりにくくなっていく。
風呂の水を炊くと、上の方が熱く、下は冷水だということがよくある。熱湯は、冷水よりも密度が低く、軽いので冷水の上に浮かんでしまう。このような分離が、海でも起きている。 このため、酸素の多い海面の水が、深いところまで沈んでいかない。このため、海の深いところは酸素不足になっているという。
動物は、酸素がなければ生きられない。これは、魚やエビ・カニ・イクラといえども同じこと。
地球生物5億年の歴史の中では(微生物の時代も含めれば、もっと長い)、何度も酸素不足による大絶滅が引き起こされたということが明らかになってきている。
これは、海の生物に深刻な影響をもたらさずにはおかないだろう・・・・・。