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横浜教室終了後、
担当の秋場さんに
「どこかおいしいところ、ない?」
「あります、あります。
82歳のおやじさん、
たった1人の寿司屋。
わたしまだ仕事で、
ご一緒できないけど
だいじょうぶですか?」
「わたし、1人、好きだから」
「そばまで行きますから」と
Tさんにご案内いただくことに。
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ランドマークタワーから
15分も歩けば野毛です。
「あそこですよ」と、Tさん。
駐車場の隅っこの小さな平屋。
「なんだか、つげ義春の世界だわ」と、
勝手にワクワク。
店内は6席のカウンターと
小さな2席のテーブル席。
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引き戸を開けると、
まだ早い時間なのに、2人の先客。
「いらっしゃい、
一番奥へどうぞ」
張りのある声、
とても82歳には見えない。
ひと通り握ってもらい、
お腹が落ち着いたところで
おやじさんも対面の片隅に座り、
なにがきっかけだったか、
「終戦が14歳のときでさ」と、
戦前、戦中、戦後の横浜物語が
はじまりました。
「テレビのなんか、きれいごと。
みんな、生きるのに必死だったさ」。
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「俺はね、行列に絶対並ばない。
倒れそうなくらい腹すかせて
1日並んだって
なんにも食べるものない、ての
嫌んなるほど経験してるから。
トラウマだな、
行列見ると、思い出しちゃう」
「お店、年期入ってますね」
「この店はね、
昭和47年に大和ハウスが販売した
プレハブの勉強部屋」。
「昭和47年というと、
いま、昭和89年だから(私の数え方)
42年経ってるの!」
「帰りにもう1度見てごらん。
ほんとに小さなプレハブだから」
次々とやってくる、お客。
ガラス戸に人影が見えるでしょう。
勉強部屋には、きっちり8人入り、
わいわい、わいわい
まーー、にぎやかなこと。
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この日は、火曜日。
人気の程が知れるでしょう。
野毛、多留満(だるま)寿司。
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いや、もっともっと、
感銘を受ける話があったんだけど、
書ききれないの。
プレハブの、
しかも勉強部屋のお店、
しびれますよね。
自分のサイズで生きるということ、
ですね。
自分のサイズに身を置けば
無理もしない
飾りもしない
欲も張らない
だから
毎日ラクに働ける、と。
お勘定して、
つい、
「また、きますね」と言ったら
「ほんと!ありがとう。
ぜひ、またきてください」って。
だから、いつかまた行きます。
無理もしない
飾りもしない
欲も張らない
長生きは、してみるものですね。こういう話が実感としてわかるようになるんですから。(笑)
それにしても、引頭さんは、いつもいい出会いをしていますね。
私も東京を発つ前に、一度行ってみたいな……。
にぎり寿司も、ここしばらく食べていないし(^^;