引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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映画「未来の食卓」試写会

2009年07月03日 | ときどき日記

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「この映画は見逃さないでくださいね」

試写会のご案内をいただいた

日本有機農業研究会の方から、

そう、念を押されていた作品でした。

Img_3610

<サブ・タイトル>

農薬や化学肥料による食物汚染が、

子供達の未来を脅かす。

すべての学校給食と、

高齢者の宅配給食を

オーガニックにしようと

フランスの小さな村が

立ち上がった。

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環境汚染、地球温暖化、農薬、化学肥料、

食品添加物などなど、多くの問題を

食の観点から指摘したドキュメンタリー映画です。

ドキュメンタリーですから、事実です。

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農業のあり方と食生活。

切り口はいくつもありましたが、

料理をするわたしは、

こどもたちがオーガニックの給食を

食べ続けていくことで

食への意識が高まり、

変化していく過程を楽しみました。

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南フランス・ガール県

バルジャック村の小学校では、

オーガニック給食を導入。

と同時に

こどもたちに農業体験をさせるべく、

校庭に畑をつくり野菜づくりを指導していきます。

給食の厨房では、

地元で獲れたオーガニックの野菜を愛しむように扱い、

料理をしていく調理師。

料理を食卓に配膳するたび、

家庭における母と子のように、

こどもたちの顔や料理の反応を確かめ、

問いかけます。

「味はどう?」と。

率直に感想を述べるこどもたち。

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やがて、野菜が育ち、

こどもたちは収穫し、厨房に運びます。

調理師は、その野菜を使って料理をつくり食卓に。

こどもたちに訊きます。

「どう?」

こどもたちは、

自分たちが育てた野菜で作られた料理を

新鮮な思いで食べます。

しかもおいしい。

次第に、

こどもたちの味に対する反応が、くっきりしてきます。

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1年後、こどもたちの嗜好は変わり、

すっかりオーガニックに目覚めてきました。

ただ1人、

フライドポテトが好物のフィリップという子は、

オーガニックの野菜の味がわからず、

「どう?」と訊かれても無言。

目が泳いでいます。

しかし、その後、給食を食べ続けるうち、

発言するようになったといいます。

こどもの好みが変われば、親も変わります。

親たちも、こどもに影響されてオーガニックに目覚め、

「すべてオーガニック、というわけにはいかないけど」

と食卓を変えていきます。

食料を直接購買する親の意識が高まり変われば、

企業も変わり、農業のあり方も変わらざるを得ないでしょう。

それが今、真剣に立ち向かうべき「未来の食卓」です。

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多くの深刻な問題をまとめた映画です。

しかし、さすがフランス映画。

美しい画面構成で問題を提示しています。

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「未来の食卓」を観た翌日。

隣の駅・千歳船橋にある「岩手屋」という

岩手県のアンテナショップでのこと。

70代前半と思われる女性が

「こんなところに岩手の店があったなんて」

と、岩手なまりの言葉で入ってきました。

その方が野菜を手にとり

「野菜も岩手から?うれしいね」

店主の若い女性(30代)

「はい、うちの野菜は全部、岩手の無農薬です」

その女性

「わたしの実家は岩手で手広くやってた農家。

そんなことができるはずがない。

減農薬ならわかるけど、無農薬だなんて

いい加減なことをいうんじゃないの」

店主

「わたしも実家は岩手の農家です。

うちは無農薬で野菜作ってます。

今は、土に手をかけて土を改良していけばできるんです」

「いや、絶対使ってる!不可能だ。

それでなきゃ農家は食べていけない」

「使ってません!

それでなきゃ、わたしこの店やってません」

土をつくればやれます」

真剣にやりあう2人。

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映画では、有機栽培農家と一般農家との

対話のシーンがありました。

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こんな偶然に出会うなんて・・・。

千歳船橋版の「未来の食卓」の1シーンでした。

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「未来の食卓」8月上旬より一般公開。

2008年フランス映画・112分

銀座シネ・スイッチ

渋谷アップリンク

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コメント
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