引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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さよなら!セタガヤママ

2008年12月25日 | ときどき日記

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*写真は、今年7月に撮ったものです。

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経堂駅から徒歩18分、住宅街、桜小学校のそばに、

「セタガヤママ」という自然食のお店があります。

6畳位のログハウスを2軒ジョイントさせた小さなお店。

自然食の食品や有機栽培の野菜、

店主・正子さんの手作りのランチが人気のお店でした。

昭和50年代末、開店当初は、

店内で、1日数時間、ミニFM放送局つくり、発信していたとか。

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あれは昭和60年代の後半だったか、

わたしが初めて訪れた日、

お客の姿はなく、正子さん1人。

「いらっしゃいませ」

と言った声がくぐもっており、彼女は涙ぐんでいました。

初めて飛び込んだお店で事情がつかめないわたし。

困ったな、と思いつつも、

「どうなさったんですか?」とたずねたら、

西道路に面した窓辺に手招きし、

「明日、お隣のその桜の樹、切られちゃうんです。

敷地にマンションが建つんですよ。

小さいころから眺めてた、大好きな桜なんです。

今も、業者の人に、残す方向で考えてください、と言ってみたけど、

切らないとマンションが建たないって・・・。

40数年見てきた桜です。

もう、悲しくて・・・」

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「樹との別れのとき、

これは植木屋さんから聞いた話なんですけで、

お酒を根のまわりに撒いて、

「ありがとうございました」って、

お別れするといいと言ってましたよ。

送る人の自己満足かもしれませんけど」

すると、ぱっと、顔が明るくなり、

「じゃ、明日、職人さんが来る前にしてみます」

西向きの小さな窓辺に2人で並んで立ち、明日、伐採されることなど

なにも気がついていない

言葉を知らない

大きな桜の樹をながめていました。

大きいな、

どれだけ長い間、多くの人を楽しませてきたのだろう。

ながめているうち、わたしも、初めて見る桜なのに、

鼻がツンと痛くなりました。

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正子さんは、その日の印象通り、感受性の豊かな、

文学少女がそのまま大人になったような人でした。.

わたしは、それからときどき通うようになり、

お店でいろんな人と知り合い、経堂での友達もできました。

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正子さんは、約20数年、セタママを1人できりもりし、

集まる人たちの話を聞き、

背中を押したり、

くらしの知恵を与えたり、

子供を預かったり、

どこか教会や学校のような場をつくっていました。

しかし、

昨夏、病に倒れ、あっという間に他界。

お店は、

お嬢さんとそのお友達があとを引き継ぎ、1年半経ちましたが、

27日(土)、閉店することになったそうです。

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写真は、19日、当時の仲間が集まってのさよならパーティ。

12人集まりました。

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手前は、引き継いでがんばってきたゆっこさん。

アイルランドに短期留学することになりました。

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さよなら、セタガヤママ。

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ありがとう、セタママ、正子さん。

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コメント (2)
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