「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。
介護保険改悪ストップ⑨ Q 「地域包括ケア」とは?
A 「介護難民」増やす方向
介護保険の見直しは「地域包括ケア」を実現するための一環と位置付けられています。
「地域包括ケア」とは、「できる限り住み慣れた地域で尊厳をもって暮らせる」ように、「介護・医療・住まい・生活支援・介護予防を一体的に提供する」システムだとされています。
しかし実際には高齢化のピークといわれる2025年に向けて公的医療・介護費を削減するため、病院や老人保健施設などからの早期退院・退所を進め、ベッド数を抑制して安上がりな体制をつくる内容になっています。
介護保険見直しでは、「地域」での「重度者」への対応に重点化するとして、「軽度者外し」が打ち出されています。これでは「軽度者」の生活が困難になって「重度者」が増え、かえって医療・介護費用が増える矛盾に陥るだけです。
しかも、地域包括ケアの目玉である「定期巡回サービス」を実施している自治体はわずか1割。月に約2万2000~3万4000円も利用料(要介護4~5の場合)がかかり、たった4000人程度しか利用者がいません。
また、特養ホームの代わりに政府が建設を促してきた「サービス付き高齢者向け住宅」に入って在宅介護・医療を受けるには、およそ月15万~25万円程度が必要です。
これでは、だれも「住み慣れた地域で尊厳をもって暮らし続ける」ことはできません。「医療・介護難民」「漂流高齢者」をいっそう増やす方向です。
在宅でも施設でも安心して暮らせるよう、利用料の減免や施設、体制の整備などを国の責任で進めることが必要です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年1月22日付掲載
特養ホームの代わりに政府が建設を促してきた「サービス付き高齢者向け住宅」。在宅介護・医療を受けるには、およそ月15万~25万円程度が必要だとの事。有料老人ホームに比べると安いのかもしれませんが、このような高負担では、とても普通の人が入れるようなものではありません。
佐川1億円疑惑って? 都知事選予定候補の細川氏
求められる説明責任
東京都知事選に立候補を表明した細川護熙元首相(76)について、「佐川急便からの借入金(1億円)未返済疑惑が晴れぬままだ」などと報じられています。医療法人「徳洲会」グループからの5000万円裏献金疑惑で猪瀬直樹前都知事が辞任したことを受けておこなわれるだけに、「政治とカネ」の問題は都知事選の焦点の一つです。佐川1億円疑惑とは、いったい、どんなものだったのか―。
細川氏は、肥後熊本藩主だった細川家の18代当主。新聞記者を経て、1971年6月の参院選全国区に自民党公認で立候補し、初当選。連続2期当選し、大蔵政務次官(当時)などを務めました。空前の金権腐敗事件、ロッキード事件で有罪判決を受けた田中角栄元首相の「門下生」で、82年2月、東京・目白の田中邸を訪問、元首相から「君、やれよ」とハッパをかけられ、83年2月の熊本県知事選に立候補、当選しました。
県知事を2期務めた後、92年5月、日本新党を結成、再び国政に転じ、93年8月、「非自民」8党・会派連立政権で首相となった細川氏が、国会で追及され、94年4月、わずか在職263日で辞任することになったのが、今回、問題になっている佐川1億円疑惑です。
細川元首相が佐川急便から借りた1億円で修理したという自宅の塀=1994年4月、熊本市
借金の2カ月前
この1億円は、83年の県知事選の前年の82年9月に、細川氏が東京佐川急便から借り入れたというもの。当時、細川氏は、借りた目的について、東京・元麻布のマンション購入と、熊本市の細川邸の山門と土塀の修理に使ったと説明しました。
ところが、日本共産党国会議員団と「しんぶん赤旗」の調査、追及で借金の2カ月前にマンションを購入していたこと、山門・土塀の修理が借金の1年も2年も後だったことがわかり、「佐川1億円」の使途が別のところにあった疑惑が濃厚になりました。浮上したのは、83年県知事選をめぐる裏献金疑惑です。
同知事選では、4選をめざしていた現職知事との間で公認を得るための激しい市町村議・県議に対する工作合戦が繰り広げられました。本紙は、細川氏擁立のために奔走した選挙参謀や複数の県議から次のような証言を得ました。
カネがドーンと
「細川氏の秘書から工作資金として何十万円、何百万円単位で金がいるといってもらっていたが、82年10月以降になると、カネがドーンときて、これ以降カネには苦労しなかった」
「細川事務所の秘書が『選挙資金は潤沢にある。佐川清(佐川グループの総帥)からカネがきたから。それで、当座の選挙資金をつくった』といっていた」
日本共産党は94年1月、国会で、公認決定をめぐって自民党熊本県連の5役会や常任総務会が開かれた時期と、佐川からの資金提供の時期が符合していることや、これら関係者の生々しい証言をもとに、「佐川マネーは知事選の工作資金ではなかったのか」と追及。細川氏は「知事選に備える必要もあり、借り入れの必要があった」と認めざるを得ませんでした。
その後、細川氏は、同年2月、国会に、日付のない契約書や、押印もなく、発行者の名前も記載されていない1000万円の「領収書(控)」のコピーなどを提出、「完済した」としました。しかし、佐川側との間で「返済などの実務を担当した」という細川氏の“金庫番”だった秘書の証人喚問にも応じず、国会が空転。説明責任を果たさないまま政権を投げ出したのです。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年1月21日付掲載
細川氏の佐川疑惑とは古い話なので忘れていました。「しんぶん赤旗」日刊紙に掲載されていたので転載します。
「非自民にあらずんば、人にあらず」とまでもてはやされた細川氏ですが、佐川疑惑であっけなく退陣しました。
徳洲会の裏献金疑惑で行われる都知事選なんですから、「時効」なんて逃げ事は言わないで、しっかりと説明責任を果たしてほしいものです。
名護市長選挙 4000票差の歴史的勝利
地元紙も「大勝」「大差」と報じる
名護市長選での稲嶺進氏の勝利が歴史的・画期的なものであることは、得票からも読み取ることができます。
稲嶺氏は1万9839票を得て、安倍政権が全面支援する末松文信氏に4155票差で勝利しました。前回並みの投票率(76・71%、前回比0・25%減)で得票数を1889票伸ばしています。
これについて地元紙は「大勝」「大差をつけ再選」などと報じています(写真)。それは、辺野古の新基地問題が争点になって以降の名護市長選挙は、2002年を除き、いずれも僅差(きんさ)での大接戦だったからです。
名護市民投票で市民が「基地建設反対」の民意を示した直後に行われた1998年の市長選では、1150票差で基地建設反対派が落選。06年は基地反対派が分裂しましたが、これを合計すると、新基地推進派との差は1381票差でした。10年に稲嶺氏が初当選したときは新基地推進派の現職に1588票差で競り勝ちました。
今回は、安倍政権が「辺野古移設推進」を狙い、自民党の沖縄関係の国会議員や県連の公約まで強圧で変えさせ、県知事に埋め立てを承認させました。さらに市長選の新基地推進候補の一本化にまで自民党本部が乗り出しました。同党の石破茂幹事長が500億円の「名護振興基金」創設をちらつかせ、企業・団体を締め付けるなど、国家権力を総動員しての組織戦を展開しました。
それだけやっても前回より差を広げられた末松陣営は大打撃を受けました。19日夜、末松氏は「全く無念」とうなだれ、「善戦・健闘」などと胸をはる関係者は皆無でした。
「稲嶺圧勝」というにふさわしい結果です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年1月21日付掲載
僕も、この記事を読むまでは「得票率55.8%でなぜ圧勝、大勝なのか」と思っていましたが、そういう歴史的経過があったのですね。
500億円のアメにも惑わされずに、新基地建設反対の判断を名護市民が示したことに自信をもって、これからも辺野古新基地建設阻止、普天間基地無条件撤去の運動を進めていきましょう。
介護保険改悪ストップ⑧ Q 制度を続けるため?
A 国費をふやすことこそ
安倍政権が介護保険見直しを進める口実にしているのは、「制度の持続可能性を高めていく」ことです。
2000年に介護保険制度が発足した当初、全国平均で月2911円だった65歳以上の保険料は、現在4972円。25年には8200円程度に上昇するとして、“制度の存続が危ぶまれる”という脅し文句で、大改悪を迫っているのです。
しかし、サービス切り捨てと負担増を進めた結果、“保険あってサービスなし”といわれるような危機的な状況を生んだのは、歴代政権の責任です。改悪は撤回し、拡充に向けて抜本的な見直しを行うことこそ必要です。
保険料が値上がりし続けるのは、国庫負担の割合が低く抑えられているためです。介護保険導入時、それまで介護費用の50%だった国庫負担割合は25%に削減され、保険料で50%をまかなうこととされました。その後、施設費用への国庫負担は20%にまで引き下げられました。このために介護保険制度は、サービス利用の増加が保険料の値上げに直結するという欠陥を抱えているのです。
日本共産党は、国庫負担割合を直ちに10%増やし、将来的には介護保険が始まる前の50%にまで引き上げることを提案しています。こうすれば、保険料・利用料の減免と介護内容の充実、介護労働者の処遇改善を同時に進められます。
財源を消費税に頼る必要はありません。①ムダ遣いの一掃と「応能負担」の原則に立った税制改革で財源を確保する②国民の所得を増やす改革で経済を内需主導の健全な成長軌道にのせ税収を増やす―ことによって、社会保障充実と財政危機打開の展望は開けます。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年1月21日付掲載
元々、所得の少ない層である高齢者と40才以上の人に、介護保険財政の半分を負担さえるって仕組みがおかしいのです。
国の負担を元々の5割まで戻すべきですね。
介護保険改悪ストップ⑦ Q 利用料はどうなる?
A 負担は2割に引き上げ
介護保険の利用者負担は制度開始以来1割ですが、一定以上の所得がある人は2割に引き上げられます。
合計所得が単身で160万(年金収入のみで280万、夫婦では359万円)以上が基準。65歳以上の20%が対象になり、「高所得」とはいえないのに利用料が急増します。
在宅では、要介護1の人が7700円から1万5400円になるなど軒並み倍加。施設では有料老人ホームで要介護1の人をのぞいて施設入所者すべてが負担上限額(3万7200円)に達します。
「これまで使えたサービスを減らさないといけない」「いずれ全員が2割にされる」との声が上がっています。
特養ホーム入所者は低所得者への居住費・食費の補助(補足給付)が縮小されます。
補足給付は、05年に居住費が保険から外された際、低所得者の負担軽減のため設けられたもので、103万人が利用しています。これを一定以上の預貯金(単身1千万円、夫婦2千万円)があれば、補助対象外にします。年30万~80万円も負担が増えかねません。
厚労省は、特養ホームを退所しても国民年金(年79万円)と預貯金1000万円があれば「10年間生活できる」と説明。“10年以上は生きるな”といわんばかりの姿勢です。
現在、夫婦のどちらかが施設に入る場合、多くが「世帯分離」をしていますが、今後は世帯分離していても、配偶者が住民税課税されている場合は補足給付の対象外にします。
さらに補足給付の支給額を決めるさいの収入に、非課税の遺族年金、障害年金も加えるなど手当たり次第に負担増を求めています。
利用者負担を2割にすると年750億円、補足給付縮小で年700億円の給付費が削減できると厚労省はもくろんでいます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年1月19日付掲載
元々、利用料が1割負担ってのも問題があるんですよね。介護度が高くなれば保険で使えるサービスがふれる仕組みなんですが、それは使うだけの利用料を払っての事。
本来なら、定額の負担で(それも支払い能力に応じた)、必要なサービスが受けられるような仕組みにすべきです。
それなのに、1割負担を2割負担にするなんて逆行しています。