きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

自民党の人権思想 改憲草案に見る② 多様な「個人」を否定

2023-09-02 07:40:57 | 平和・憲法・歴史問題について
自民党の人権思想 改憲草案に見る② 多様な「個人」を否定
性自認や性的指向の多様性を人権として保障する動きは憲法13条の「個人の尊重」に深くかかわる問題です。
ところが先の国会で自民、公明、維新、国民民主の4党はLGBT法について「全ての国民が安心して生活できる」などの“留意事項”を盛り込む「修正」を強行しました。これでは「多数派が認める範囲内」でしかマイノリティーの人権・尊厳は認めないとのメッセージになりかねません。失望や怒りの声が湧き起こっています。多様な「個人」のあり方を否定する重大な動きです。



憲法13条

その人らしさ
「個人の尊重」をめぐり驚くべき事実があります。
自民党改憲草案では、日本国憲法13条の「個人の尊重」規定において、「個人」の文言から「個」の一文字をとり去り「人として尊重される」にすり替えています。これは人権保障の根本を破壊するものです。
人は、一人一人それぞれの個性と固有の人格を持ち、その人らしさ、自分らしさを保持し自由に追求するーここにこそ「個人の尊重」の意味があり、人権保障の根本的意義があります。
憲法の英文でも13条は「All of the people shall be respected as individuals.」としています。ここで「個人」は「individuals」とされ、この単語は「分けることのできないもの」という意味も持ちます。一人一人が独立した存在であることをあらわします。人一般をさす「human beings」とは明確に区別されます。
思想・信条、信仰、表現活動には、それぞれの個人にとって固有の中身があります。13条の「個人の尊重」・幸福追求権から、思想・信教の自由(19、20条)や、表現の自由(21条)などの個別の人権保障が派生して出てくるのです。「個人」を否定することは多様性の否定、人権保障の否定に行き着く重大な問題です。

戦前の継続性
こうした「個人」を否定、軽視する考えの根本には、戦前を「美しい国」とする自民党内の保守派=日本会議勢力の強い影響があります。明治憲法下の天皇絶対の専制支配のもとで「個人」の存在は否定されていました。
天皇支配の徹底を図るため1937年に文部省が発行した『国体の本義』には次のように記されています(編集部の責任で現代表記に変換)。
「個人は、その発生の根本たる国家・歴史に連なる存在であつて、本来それと一体をなしている。然るにこの一体より個人のみを抽象し、この抽象せられた個人を基本として、逆に国家を考え又道徳を立てても、それは所詮本源を失つた抽象論に終わるの外はない」
「抑々(そもそも)我が国は皇室を宗家とし奉り、天皇を古今に亙る中心と仰ぐ君民一体の一大家族国家である」「我が国民の生活の基本は、西洋の如く個人でもなければ夫婦でもない。それは家である」
こうして国民は「個人」として存在することは許されず、天皇絶対の国家体制=「一大家族国家」に溶け込んだ部分として、天皇に対する絶対的忠誠を強いられ、戦争に駆り出され、徹底的に搾取されたのです。
ここに13条の「個人」から「個」を消し去る思想の淵源(えんげん)があります。自民党改憲草案は、「個人」のほか天賦人権思想を否定した一方で、「天皇は、日本国の元首」と明記しました。
「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」と記され、戦前との歴史的継続性を前提に“天皇の中心性”が強調されています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月21日付掲載


「個人の尊重」をめぐり驚くべき事実。
自民党改憲草案では、日本国憲法13条の「個人の尊重」規定において、「個人」の文言から「個」の一文字をとり去り「人として尊重される」にすり替え。これは人権保障の根本を破壊するもの。
憲法の英文訳。ここで「個人」は「individuals」とされ、この単語は「分けることのできないもの」という意味。
こうした「個人」を否定、軽視する考えの根本には、戦前を「美しい国」とする自民党内の保守派=日本会議勢力の強い影響。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自民党の人権思想 改憲草案... | トップ | 世界経済と構造転換① アジア... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和・憲法・歴史問題について」カテゴリの最新記事