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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

世界経済と構造転換① アジア圏が最大に成長

2023-09-05 06:56:43 | 経済・産業・中小企業対策など
世界経済と構造転換① アジア圏が最大に成長
群馬大学名誉教授 山田博文さん

世界経済の構造転換と日本経済の関係について群馬大学名誉教授の山田博文さんに寄稿してもらいました。

近年、私たちは世界経済の構造転換を目の当たりにしています。それも、数十年といったスパンでなく、19世紀の産業革命以来の大転換が進展しています。この大転換にどう対応していくかが、日本の21世紀の明暗を決するようです。
21世紀初頭100兆ドル(約1京3149兆円)に達した世界経済(各国GDP合計額)は、主に三つの経済圏で営まれています。19世紀の産業革命を境に世界経済のシェアはアジアから欧米経済圏に移行しましたが、21世紀に入り、アジア経済圏が逆転し、最大の経済圏に成長しました(図1、2)。アジア経済圏の急成長を牽引したのは中国でしたが、インドも続きます。







米金融の源泉も
二つの超大国・米中の実体経済の規模は身近な自動車で確認できます。自動車の生産・販売台数(2021年)で比較すると、生産台数では中国2608万台対米国916万台、販売台数では中国2627万台対米国1540万台です。中国は米国のほぼ2倍です。しかも今後の伸び代は、14億人の中国と3・3億人の米国の人口差で決められます。
利益追求が資本の本質ですから、世界の自動車メーカーだけでなく、製造業も金融業も草木がなびくように中国に吸い寄せられています。製造業は利潤・剰余価値の生産を担っています。剰余価値(付加価値)は多種多様に派生し、配分されます。米国が得意とする金融ビジネスは価値そのものを生産できず、その配分に参加するだけです。
21世紀の金融ビジネスの利益の主要な源泉は中国などアジア経済圏に依存します。ウォール街が中国に傾倒する背景もここにあります。
「米中新冷戦」と騒がれますが、米中貿易額は記録を更新し続けています。これは資本の論理の当然の帰結です。米国が資本主義をやめない限り、この傾向は続いていくことでしょう。

成長寄与率70%
国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しのデータを基にブルームバーグ社は、今後5年間の世界の国内総生産(GDP)増加に対する各国の寄与率を試算しました。
すると、中国は22・6%、続いてインドが12・9%、米国は11・3%でした。
世界銀行によれば、13~21年の世界経済成長への平均寄与率において、中国は一国で38・6%であり、米日など主要7力国(G7)の合計25・7%を上回っています。
IMFは、中国とインドが23年の世界経済成長の約半分を占め、アジア経済圏全体では、世界経済の成長率への寄与率は70%を上回ると予測しています。世界経済におけるアジアの比重の高まりと影響力は目を見張るものがあります。
米6大銀行による10年間の利益は初めて1兆ドル(約133兆円)に達したようですが、その価値の源泉はアジア経済圏を中心にした製造業の生産現場です。世界経済は明らかに構造転換しました。アジアがくしゃみをすると、世界が風邪をひく時代になりました。
日本はこの30年間、成長するアジア経済圏に位置していながら、経済的没落を続けています。それは世界経済の構造転換を見落としているからなのかもしれません。
(つづく)(5回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月29日付掲載


21世紀初頭100兆ドル(約1京3149兆円)に達した世界経済(各国GDP合計額)は、主に三つの経済圏で営まれています。19世紀の産業革命を境に世界経済のシェアはアジアから欧米経済圏に移行しましたが、21世紀に入り、アジア経済圏が逆転し、最大の経済圏に成長しました(図1、2)。アジア経済圏の急成長を牽引したのは中国でしたが、インドも続く。
国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しのデータを基にブルームバーグ社は、今後5年間の世界の国内総生産(GDP)増加に対する各国の寄与率を試算しました。
すると、中国は22・6%、続いてインドが12・9%、米国は11・3%。
日本はこの30年間、成長するアジア経済圏に位置していながら、経済的没落を続けています。それは世界経済の構造転換を見落としているからなのかもしれません。

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