きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑨ 社会の連帯 是正への光

2022-03-29 07:12:44 | 働く権利・賃金・雇用問題について
コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑨ 社会の連帯 是正への光

低運賃の要因である多重下請け構造の改善は喫緊の課題です。
立教大学の首藤若菜教授(労使関係論)は、一定以上の下請けを禁止するなどの他国の動向に倣い、日本も規制を強めるべきだと主張します。
「労働運動・社会運動を通じて働き手自らがネット通販企業や元請けの運送会社に不公正な取引関係を改善するよう訴えていく必要があります」

守れ配送者
個人事業主扱いされている宅配ドライバーの働き方を改善するため、2019年11月に発足したのが建交労軽貨物ユニオンです。設立から2年ほどで組合員数は約200人にまで増えました。アマゾンの配達を担う個人事業主のドライバーから「突然契約を解除された」「1日12時間働いて脳梗塞で倒れた」など深刻な相談が相次いでいます。
21年11月には一方的な運賃引き下げや運賃未払いの改善を求め、関係省庁と大手物流会社へ要請しました。
国土交通省によると、15年度から20年度にかけて軽貨物の運送事業者数は約4万2千、軽貨物の車両数は約6万6千、それぞれ増加。車両1台から始められる手軽さから新規参入する人が増えています。
軽貨物ユニオンの高橋英晴代表は、働き手の増加に社会的な保護が追い付いていないと指摘。「働いている実態は個人事業主ではなく労働者です。個人事業主にも労働者と同じく団体交渉権が認められるべきです。会社負担の労災保険や失業手当を保障するため、法改正を認めさせる運動を強めていきたい」
そこへ、「ぜひ連帯したい」と声をかけたのが、楽天とたたかう運送会社「トランプ」の矢作和徳社長です。
「楽天の都合でドライバーが長時間労働を余儀なくされ使い捨てにされている状況を変えたい。企業の側に立つ運送会社ではなく、ドライバーを守る会社が必要です」
下請けの運送会社が、労働条件を改善するためドライバーが所属する労働組合と連帯するという新しい動きです。



不在のため宅配ボックスに商品を入れるドライバー

意識変える
また、消費者の意識改革を求める声も識者から上がっています。ネット通販企業は、翌日配送や「送料無料」など安価で便利なサービスを消費者にアピールすることで市場を拡大してきました。
実際に無料ではないにもかかわらず、「送料無料」をうたって他社から市場シェアを奪ってきたのがアマゾンです。東京法律事務所の菅俊治弁護士は「こうした不公正な競争は規制すべきだ」と指摘します。「送料無料」の価格設定によって、実際にかかる配送費用は不明になりました。運送会社は運賃引き下げ競争にのみこまれ、荷物を運ぶドライバーは長時間・低賃金労働に追い込まれました。
立教大の首藤教授は、消費者がドライバーの負担を知り、そのコストを分かち合うことが過酷な労働の改善につながると語ります。一例として、再配達への課金や、不在でも玄関前に置くだけで配達完了とする「置き配」の普及をあげます。「社会の仕組みをドライバーの働き方に沿ったものへ改めるべきです」
国内で初のコロナ感染者が確認されてから2年以上がたちました。この瞬間も、感染リスクを背負いながら個人事業主の宅配ドライバーは私たちの荷物を運び続けています。
ドライバー、労働組合、事業者、消費者…。それぞれの立場から生まれた社会的な連帯が宅配の闇をただす一筋の光となっています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月26日付掲載


軽貨物ユニオンの高橋英晴代表は、働き手の増加に社会的な保護が追い付いていないと指摘。「働いている実態は個人事業主ではなく労働者。個人事業主にも労働者と同じく団体交渉権が認められるべき。会社負担の労災保険や失業手当を保障するため、法改正を認めさせる運動を強めていきたい」
そこへ、「ぜひ連帯したい」と声をかけたのが、楽天とたたかう運送会社「トランプ」の矢作和徳社長。
立教大の首藤教授は、消費者がドライバーの負担を知り、そのコストを分かち合うことが過酷な労働の改善につながると語ります。一例として、再配達への課金や、不在でも玄関前に置くだけで配達完了とする「置き配」の普及を。
宅配ドライバーの労働が報われるように…。
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