きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑤ ネット通販膨張の代償

2022-03-20 07:11:07 | 働く権利・賃金・雇用問題について
コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑤ ネット通販膨張の代償

店舗へ行かずに欲しい商品を素早く届けてもらえるインターネット通販は、急速に社会に浸透してきました。
東京都内に住む下川麻衣さん(48)は楽天とアマゾンの専用クレジットカードを作成するほど頻繁にネット通販を利用しています。
「買わなければいけないものが出るとすぐにネットで検索します。共働きで子どももいるので買い物に行く手間をできるだけ省きたいんです」
新型コロナウイルスの感染拡大で外で買い物をする機会が激減。代わりに通販の利用が増えています。
宅配便の取扱個数は2020年度に過去最多の約48億個を記録しました。前年度からの増加率は11・9%に達し、過去20年で最大です。
国内のネット通販市場は大手の楽天とアマゾンで約4~5割のシェアを占めます。商品に違いが生じにくい通販市場において企業が競争に生き残るための条件は、商品を大量に、早く、安く配送することです。ネット通販企業は物流現場を自らの競争に巻き込む形でシェアを拡大させてきました。
その筆頭がアマゾンです。




楽天を猛追
2000年に日本でサイトを立ち上げ、顧客が集中する首都圏を中心に大型物流センターを相次いで設立してきました。注文から出荷までの時間を短縮し、当日配送や翌日配送を拡充。ライバルの楽天に先駆けて無料配送にも着手しました。
アマゾンの日本サイトには直販商品のほか、約16万社もの中小業者が商品を出品しています。20年の1年間で外部の出品業者は5億点以上の商品を販売。平均で毎分900個以上の商品が売られました。
日本に進出して以降着々とシェアを拡大したアマゾンは、首位の楽天を猛追します。焦った楽天はアマゾンに追随する形で物流網の構築に乗り出しました。12年、通販サイト「楽天市場」の出品業者向けに商品の保管・配送を代行するサービス「楽天スーパーロジスティクス」を導入。翌日配達や365日の出荷に対応することでアマゾンと出品者の囲い込みを競っています。
宅配市場は、大手のヤマト運輸を筆頭に佐川急便、日本郵便の3社で9割のシェアを占めてきました。各社はネット通販企業などの大口顧客から大量の配送を受注しています。しかし、大口顧客には割引料金が適用されることが通例です。
この商慣行は宅配事業者の利益を押し下げ、利益なき繁忙がもたらされてきました。



軽バンの荷台に積み込まれたアマゾンの荷物

過重労働に
ネット通販膨張の代償は労働現場に及び、膨大な荷量をさばくために長時間・過重労働が常態化しました。その実態が表面化したのが17年の「宅配クライシス(危機)」です。ヤマト運輸でドライバーの長時間労働や不払い残業が発覚。ヤマトに次いで物流各社も相次いで配送料の値上げや荷量の抑制に踏み切りました。
とりわけ大きな衝撃を受けたのがヤマトの最大顧客だったアマゾンです。当日配送などのサービス縮小を余儀なくされたほか、約4割の運賃値上げを迫られました。
ドライバーの窮状を改善する契機となるはずだった宅配クライシス。しかし、ネット通販企業は宅配業者に依存しない「脱宅配便」にかじを切ります。より低コストの労働力を求めて個人事業主への外部委託化を加速させていきました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月19日付掲載


新型コロナウイルスの感染拡大で外で買い物をする機会が激減。代わりに通販の利用が増えています。
宅配便の取扱個数は2020年度に過去最多の約48億個を記録しました。前年度からの増加率は11・9%に達し、過去20年で最大。
ドライバーの窮状を改善する契機となるはずだった宅配クライシス。しかし、ネット通販企業は宅配業者に依存しない「脱宅配便」にかじを切ります。より低コストの労働力を求めて個人事業主への外部委託化を加速させていきました。
僕も、数あるネットショップで安くて品質の良いところを探します。決済の際、アマゾンや楽天はワンクリックでできるので簡単。選ぶことが多いのは確実。
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