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きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2020年回顧⑧ 中南米 感染広げた新自由主義

2020-12-25 08:11:19 | 国際政治
2020年回顧⑧ 中南米 感染広げた新自由主義
中南米は21日現在、新型コロナウイルスの感染者が約1472万人、死者が約48万5000人確認されています(世界保健機関<WHO>集計)。世界人口の約8%を占めるこの地域で、感染者は世界の約20%、死者は30%近くと突出しています。
人口比死亡者数は、新自由主義経済政策をいち早く取り入れ、プライマリー・ケア(1次医療)が脆弱(ぜいじゃく)なチリ、ペルー、メキシコなどで高くなっています。大統領が感染を軽視したブラジルの死者数は米国に次ぎ、社会インフラが貧弱なアマゾンの先住民居留地は「制御不能」といわれます。
労働者の半分は政府機関が関与しないインフォーマル(非公式)就労という構造も、コロナ禍が浮き彫りにした地域特有の問題です。真っ先に失職し、失業手当の受給資格もない人々です。
国連はパンデミックでこの地域の4000万人以上が失業すると予測。近年、格差解消などを求めて各地で発生している抗議行動はさらに高まりそうです。
チリでは、新憲法制定の是非を問う10月の国民投票で、8割近くが賛成。軍政時代の現憲法は、教育や福祉を国家の義務とは明記していません。新憲法にどう盛り込まれるのかが焦点です。



ブラジル・リオデジャネイロ近郊で、新型コロナの検査を受ける人たち=12月4日(ロイター)

ボリビアでは、10月の大統領選で社会主義運動(MAS)のルイス・アルセ元経済・財務相が低所得者への分配などをかかげて勝利しました。同氏は、昨年の選挙で不正疑惑が発覚して辞任、亡命したモラレス大統領(当時)の後継。左派政権の返り咲きです。
ベネズエラの物資不足はますます深刻です。国内総生産(GDP)はマドゥロ大統領就任の2013年比で8割減の見通し。米国の制裁も影響しています。
12月の国会選挙では、公正性が保証されないと主要野党がボイコットし、与党が「圧勝」。投票率は30%でした。与党幹部は「投票しない者に食料はない」と公言。配給停止を示唆しました。
核兵器禁止条約を批准した51カ国(21日現在)のうち21カ国は中南米です。発効要件である50カ国目は親米といわれるホンジュラスでした。平和と対米自立の流れは絶えていません。
(松島良尚)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月23日付掲載


効率優先、社会保障抑圧の新自由主義経済を押し付けられた中南米で、とりわけ高い新型コロナの死亡率。
そこでも政治変革が始まっています。
核兵器禁止条約を批准した51カ国のうち21カ国はなんと中南米です。
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2020年回顧⑦ フランス 政権に国民の抵抗続く

2020-12-25 08:09:30 | 国際政治
2020年回顧⑦ フランス 政権に国民の抵抗続く
5年間の任期半ばを過ぎたマクロン仏大統領は今年、年金改革、コロナ危機対応、治安問題など、内政で多くの試練にさらされました。
1月16日の25万人デモなど、年金改革法案への反対運動が昨年から続き、2月の国民議会(下院)では、左翼政党「服従しないフランス」とフランス共産党が合わせて3万6千以上もの修正案を提出して抵抗。それでも政権は、内閣の信任を問えば賛否投票なしに可決できるという強権的な憲法49条3項を発動し、3月3日下院を強引に通過させました。
その上でマクロン大統領は3月16日、新型コロナ対策の外出禁止発令と同時に、年金改革の中断を表明しました。
コロナ禍のなか行われた市町村(コミューン)議会選挙(3月15日、6月28日)では、緑の党、社会党、フランス共産党、「服従しないフランス」などの左翼・緑陣営が得票率26%に達し、共和党ら右派陣営(同24%)を上回り、「共和国前進」ら与党陣営(12・5%)は惨敗しました。



「総合治安」法案に反対してデモ行進する女性=12月12日、パリ(ロイター)

この結果を受け、ブイリップ内閣は7月3日に総辞職。高級官僚のカステックス氏が新首相に就任しました。
秋にはコロナ感染の第2波が深刻化し、11月の新規感染者は週30万人を超えました。
雇用も悪化し、労働省の統計によると3月以降のリストラで6万7千以上の雇用契約が破棄。政府は企業支援を中心とした経済対策を講じるものの改善せず、9~11月には3万5千以上の雇用が失われました。
9~10月には、シャルリエブド旧本社前の刺傷事件、パリ近郊の中学教師殺害事件、ニースの教会での殺人事件など、イスラム教信者による殺傷事件が相次ぎました。
これを受けて、マクロン政権は、治安当局の権限を拡大する「総合治安」法案を11月24日、国民議会で強行採決しました。しかし、反対運動が広がり、11月28日の抗議デモには50万人(内務省発表で13万5千人)が参加。政権は、警官の撮影禁止条項(24条)の「全面的な書き換え」を表明せざるをえませんでした。
9日に閣議提出された「イスラム分離主義」を敵とみなす「共和国原則強化」法案と併せて、ムスリム・移民・人種への差別の拡大や警察国家化への懸念を広げ、依然、反対運動が続いています。
(米沢博史)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月22日付掲載


コロナ禍で、国民の苦難に逆行する政治は抵抗の抗議行動。地方議会選挙では野党や躍進。
政府の治安弾圧では、国民の運動は抑えることはできません。
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