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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

米中デジタル競争① GAFAの支配と動揺

2019-06-16 11:24:53 | 経済・産業・中小企業対策など
米中デジタル競争① GAFAの支配と動揺
トランプ米政権は、米中の貿易摩擦が激化する中、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)を狙い撃ちにした貿易制限措置を発動しました。世界の先端技術産業であるデジタル産業で何が起きているのか―、愛知東邦大学教授の夏目啓二さんに寄稿してもらいました。

愛知東邦大学教授 夏目啓二さん

世界のデジタルな産業を支配しているのは、GAFA(ガーファ)と呼ばれている企業利益の巨額なアメリカ企業、多国籍企業です。グーグル(親会社はアルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの頭文字を並べた造語です。GAFAこそ、現代世界経済の支配者です。二つの特徴を持っています。
スマートフォンを舞台(プラットフォーム)に活動しているところからプラットフォーマーと呼ばれます。デジタルな産業のプラットフォーマーとは、スマホの設計・開発と販売(アップル)をはじめ、検索サイト(グーグル)や交流サイト、SNS(フェイスブック)、ネット通販(アマゾン)の運営などスマホ上で事業活動するデジタル企業のことです。国境を越えてグローバルに事業活動することからデジタル多国籍企業とも呼ばれます。



アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルのロゴ(ロイター)

囲い込みで巨利
共通するのは、膨大な顧客データを収集し、顧客の好みにあった商品の広告を開発し、その魅力と価格競争力を高めて、顧客を囲い込んで売り上げ規模を成長させ、巨大化していることです。このことが巨額な利益額と高い売上高利益率の源泉となります。プラットフォーマーの第一の特徴です。
第二の特徴は、IPO(新規株式公開)の仕組みを利用して株式を公開し、資本調達することです。GAFAもスタートアップの時代からIPOを目標にしてデジタル技術開発を推進し巨大化しました。IPO前の10億バ(約1100億円)以上の未公開企業のことをユニコーンと呼びます。
シリコンバレーはじめ、アメリカのハイテク地域には、スタートアップ、ユニコーンが数多く集積しています。ユニコーンは、GAFA予備軍です。株式公開会社となったGAFAの高い純利益率や売上高の成長性が、かれらの株式の時価総額(企業価値)を押し上げ、投資家を引き付けます。GAFAの起業家、経営者たちと出資者である大株主の投資ファンドは、高い売上高利益率と株式の時価総額のひとにぎりの独占者=支配者となります。
アップル、アルファベット、フェイスブックの筆頭株主は、いずれも米資産運用大手バンガード・グループです。同社にブラックロック、ステート・ストリートを加えた3社が世界の株式市場を席巻(990兆円)しています。GAFAへの投資は、500兆円といわれています。GAFAの経営成果と企業価値は起業家や経営者と株主(=投資家)のものになるのです。ここにこそ、今日の世界的な規模の所得格差と資産格差の原因があります。

低下する利益率
ところが、2018年末現在、GAFAの世界経済支配の結果である高い利益率と株式時価総額が揺らぎはじめています。GAFAの18年通年の税引き前利益は合計で15兆円規模と、圧倒的な収益力を示しましたが、売上高に対する利益の比率は12年の約26%から20%割れ目前に下がり、低下傾向にあるのです。こうした売上高利益率の低下傾向こそ、GAFAの世界経済の支配が動揺し始めている兆候です。
GAFAの利益率を下げる要因の一つに、中国のプラットフォーマー(BATH)の台頭とかれらとの間のグローバルな競争があります。BATHとはバイドゥ(百度)、アリババ集団、テンセント(騰訊控股)、ファーウェイです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年6月13日付掲載


世界のデジタル業界を席巻しているGAFAですが、最近は中国のプラットフォーマーの台頭に押されているんですね。
バイドゥ(百度)などはフリーソフトをインストールした際に勝手にインストールされる検索ソフトで有名ですが、アリババ集団やテンセント(騰訊控股)もあるんですね。
コメント
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