大企業の決算どうみる③ 銀行 メガ減益 リストラ加速
大銀行グループの2019年3月期決算で連結純利益の合計額は、前期比24・0%減の2兆449億円と2年ぶりに減少しました。三井住友トラスト・ホールディングスを除く4グループが減益でした。3メガバンクでは、みずほフィナンシャル・グループ(FG)が83・2%の大幅減、三菱UFJFGが11・8%減、三井住友FGが1・0%減でした。りそなホールディングスも25・9%減でした。
3メガバンクの2019年3月期決算
カッコ内は前期比増減率%、▲は減。実質業務純益は傘下行合算または単体。総資金利ざやは単体。
みずほ銀は逆ざや
日銀の「異次元の緩和」政策による超低金利政策が長期化し、各行とも企業や個人への貸し出しで稼ぐ本業が不振です。貸出金や有価証券で稼ぐ資金運用利回りから預金や債券などの資金調達コストを差し引いた総資金利ざやは、みずほ銀行がマイナス0・21%。貸し出しや運用で利益が出ない「逆ざや」です。三菱UFJ銀行は0・07%で、前期の逆ざやから抜け出しましたが、かなり厳しい状況です。
このため、本業のもうけを示す実質業務純益は、三菱UFJが25・6%減(傘下行合算)、みずほが24・5%減(同)でした。
3メガの国内向け貸出金に占める中小企業向け貸出金の比率は59%。06年に3メガ体制が発足してから最低です。
3月14日、全国銀行協会の藤原弘治会長(当時)は記者会見で「異次元の政策が長期化することによって金融システム全体に下押し圧力が働き、金融仲介機能や市場機能の低下につながる」と日銀の異次元緩和政策を批判しました。
地方銀行の経営は大手行以上に深刻です。大手地方銀行、第二地方銀行11行と主な地銀グループ8社の19年3月期連結決算で、純利益は合計4・0%減。11行・グループが減益でした。
東京都内に立ち並ぶ大手銀行の看板
店舗の削減上乗せ
3メガは中期経営計画で経費削減の目標を定め、店舗削減を中心とするリストラ策を強化しています。三菱UFJは23年度までに約500店舗のうち20%(約100店舗)を減らす予定でしたが、今回の決算発表と同時にさらに15%、約80店舗の削減を上乗せする方針を打ち出しました。IT(情報技術)を活用した業務量削減について23年度までに1万人超相当分に拡大できるとしています。
みずほも従来の削減計画に30店舗を上積みし、17年度末時点の約500店舗から24年度までに130店舗を削減する方針を示しました。三井住友は約430の個人顧客向け店舗を20年3月までに「次世代型店舗」にする計画を実行しています。
また、3メガは海外事業を強めています。三井住友FGの連結粗利益のうち三井住友銀行の海外事業が占める比率は02年度の5%から18年度上期には19%に急増。逆に、国内貸出金・預金関連は、同期間に35%から15%に激減し、海外事業の収益の比率が国内の本業を上回る逆転現象が起きています。同グループの海外貸出金は09年3月期の1010億ドルから18年3月期には2240億ドルに倍増しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月30日付掲載
異次元の金融緩和のあおりは3大メガバンクも同じこと。経費削減は店舗削減だけでなく、三菱UFJは紙の通帳の新規発行を原則廃止で、スマートフォンなどで閲覧できる「デジタル通帳」に切り替えるとか…。
大銀行グループの2019年3月期決算で連結純利益の合計額は、前期比24・0%減の2兆449億円と2年ぶりに減少しました。三井住友トラスト・ホールディングスを除く4グループが減益でした。3メガバンクでは、みずほフィナンシャル・グループ(FG)が83・2%の大幅減、三菱UFJFGが11・8%減、三井住友FGが1・0%減でした。りそなホールディングスも25・9%減でした。
3メガバンクの2019年3月期決算
銀行名 | 連結純利益 (億円) | 実質業務純益 (億円) | 総資金利ざや (%) |
三菱UFJ | 8,726(▲11.8) | 5,329(▲25.6) | 0.07 |
三井住友 | 7,266(▲1.0) | 5,840(▲5.3) | 0.37 |
みずほ | 965(▲83.2) | 2,477(▲24.5) | ▲0.21 |
みずほ銀は逆ざや
日銀の「異次元の緩和」政策による超低金利政策が長期化し、各行とも企業や個人への貸し出しで稼ぐ本業が不振です。貸出金や有価証券で稼ぐ資金運用利回りから預金や債券などの資金調達コストを差し引いた総資金利ざやは、みずほ銀行がマイナス0・21%。貸し出しや運用で利益が出ない「逆ざや」です。三菱UFJ銀行は0・07%で、前期の逆ざやから抜け出しましたが、かなり厳しい状況です。
このため、本業のもうけを示す実質業務純益は、三菱UFJが25・6%減(傘下行合算)、みずほが24・5%減(同)でした。
3メガの国内向け貸出金に占める中小企業向け貸出金の比率は59%。06年に3メガ体制が発足してから最低です。
3月14日、全国銀行協会の藤原弘治会長(当時)は記者会見で「異次元の政策が長期化することによって金融システム全体に下押し圧力が働き、金融仲介機能や市場機能の低下につながる」と日銀の異次元緩和政策を批判しました。
地方銀行の経営は大手行以上に深刻です。大手地方銀行、第二地方銀行11行と主な地銀グループ8社の19年3月期連結決算で、純利益は合計4・0%減。11行・グループが減益でした。
東京都内に立ち並ぶ大手銀行の看板
店舗の削減上乗せ
3メガは中期経営計画で経費削減の目標を定め、店舗削減を中心とするリストラ策を強化しています。三菱UFJは23年度までに約500店舗のうち20%(約100店舗)を減らす予定でしたが、今回の決算発表と同時にさらに15%、約80店舗の削減を上乗せする方針を打ち出しました。IT(情報技術)を活用した業務量削減について23年度までに1万人超相当分に拡大できるとしています。
みずほも従来の削減計画に30店舗を上積みし、17年度末時点の約500店舗から24年度までに130店舗を削減する方針を示しました。三井住友は約430の個人顧客向け店舗を20年3月までに「次世代型店舗」にする計画を実行しています。
また、3メガは海外事業を強めています。三井住友FGの連結粗利益のうち三井住友銀行の海外事業が占める比率は02年度の5%から18年度上期には19%に急増。逆に、国内貸出金・預金関連は、同期間に35%から15%に激減し、海外事業の収益の比率が国内の本業を上回る逆転現象が起きています。同グループの海外貸出金は09年3月期の1010億ドルから18年3月期には2240億ドルに倍増しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月30日付掲載
異次元の金融緩和のあおりは3大メガバンクも同じこと。経費削減は店舗削減だけでなく、三菱UFJは紙の通帳の新規発行を原則廃止で、スマートフォンなどで閲覧できる「デジタル通帳」に切り替えるとか…。