goo blog サービス終了のお知らせ 

きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

グローバル経済の迷宮 日本の新属国化① 企業本位に政策を支配

2018-04-19 11:37:50 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 日本の新属国化① 企業本位に政策を支配
日本企業の多国籍化(グローバル化)が日本の製造業空洞化を招くとともに、米国企業のグローバル化は日本の新たな属国化を推し進めています。前回(2月20~23日)に続き、『空洞化と属国化』の著者、名古屋経済大学の坂本雅子名誉教授に聞きました。
(聞き手・杉本恒如)

名古屋経済大名誉教授 坂本雅子さんに聞く

前回の連載で、グローバル化は多国籍企業の対外投資と一体であり、それが先進国の製造業空洞化や諸矛盾の原因になっていることを述べました。今回は、グローバル化と国家間の関係を考えます。それは、日本と米国の関係や、なぜいまアジアで平和を破壊する動きが起きているかを考えることになるでしょう。
外国に投資し、外国で活動する企業にとって不可欠なことがあります。投資先の国での自由な企業活動と権益が守られることです。この投資環境の整備を相手国に行わせるために、企業の母国は投資協定を締結します。つまり企業の母国がグローバル企業の利益を代弁、代行するのです。
投資協定は1989年の385から2009年の2753へと、1990年代以降に激増しました(累計)。多くは貿易自由化と一体で自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)として締結されました。



「TPP11ノー」の幕を地面に広げるTPP反対デモ参加者=3月7日、サンティアゴ(ロイター)

外国資本に開放
投資協定に最も早くから積極的だったのは、世界の対外直接投資で圧倒的な比重を占める米国です。米国がメキシコ、カナダと締結した北米自由貿易協定(NAFTA=1994年発効)は投資協定に新たな時代を画するものとなりました。
それまでの投資協定は、他国にすでに投資された企業の財産を守るものでしたが、NAFTAは投資相手国に対する投資前からの「自由化」強制や、投資相手国の政策への異議申し立てまで行えるようにするものです。
環太平洋連携協定(TPP)は、NAFTAを完全に踏襲しています。製造業はむろん、サービス分野(金融、保険、医療、通信、流通など)も含むあらゆる分野を外国資本に開放するよう締約国に求めるものです。投資を受け入れる国の国有・公営企業、独占企業の解体まで要求します。外国企業の参入と活動を有利にするためです。
また、TPPにはNAFTAと同じく、「投資家対国家紛争解決」(ISDS)条項があります。外国企業の活動に不利に作用する新たな法律や措置に対して、外国企業が投資相手国政府を国際仲裁廷に提訴し、賠償させることができるものです。
ISDS条項による過去の提訴の例を挙げると、カナダ政府が人体に有害なガソリン添加物を禁止したことに対し、それをカナダに輸入していた米国企業がカナダ政府を訴えたことがあります。従来容認してきたものを取引禁止にするのは「間接的収用」にあたると、NAFTAを根拠に2億5000万バの損害賠償を求めたのです。

民主主義を破壊
TPPはまた、いったん緩和した規制は何があっても後戻りさせられないというラチェット(逆回転できない歯車)原則で全編縛られています。自国の政策を自国で決められないという問題が多々生じるのです。
つまりTPPの本質は、グローバル企業本位のルールを締約国に押し付け、逆戻りできないよう固定化するものです。企業が他国の政策まで支配し、国境を越えた統治圏を形成する属国形成のシステムなのです。国民の意思を最も尊重すべき民主主義国家が、根底から破壊されます。
米国はTPPから脱退しましたが、今後、日米FTAが締結される可能性は極めて高く、ISDS条項も確実に入るでしょう。ISDS訴訟大国・米国とのFTAが締結されれば、日本政府は米国企業に顔を向け、米国企業の意向を忖度(そんたく)して政策を決定しなければなりません。
(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年4月17日付掲載


海外投資そのものを否定するものではありませんが、国家が母国の企業集団を代表して、投資先国家に市場開放を求める。NAFTAやTPPなど。
投資先国家の経済主権もあったもんじゃありません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする