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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

異次元緩和5年 アベノミクス破たん① 計り知れない重荷さらに

2018-04-05 21:29:05 | 経済・産業・中小企業対策など
異次元緩和5年 アベノミクス破たん① 計り知れない重荷さらに

日銀が量的・質的金融緩和政策(異次元の金融緩和)を開始してから4日で5年。異常な金融政策は日本経済に多くのひずみをもたらしています。日銀の失敗はアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)の破綻そのものです。

「再任されたら、引き続き政府と連携しながら2%の物価目標実現の総仕上げを果たす」
黒田東彦(はるひこ)日銀総裁は3月、再任案を審議した衆参両院の議院運営委員会でこう強調しました。
2013年1月、日銀に政府と「共同声明」を結ばせ、大規模な金融緩和に踏み切らせたのは安倍首相です。その実行にあたったのが同年3月に就任した黒田総裁。同氏の再任にあたって首相は「引き続き物価安定の2%に向けてしっかりと金融政策を遂行していただきたい」(3月1日、参院予算委員会)と異次元緩和の継続を求めました。



日銀本店=東京都中央区

■異次元緩和の経過
2013年 1月 政府・日銀が2%の物価上昇を目標に共同声明
3月黒田東彦総裁が就任
4月異次元の金融緩和を決定
14年10月国債購入を増やす追加緩和決定
15年12月上場投資信託(ETF)購入を増やす補完措置導入
16年 1月マイナス金利政策を決定
7月ETF購入を増やす追加緩和決定
9月長期金利を操作する新たな枠組み導入
18年 3月黒田総裁の再任に国会が同意
4月黒田総裁が任期満了、2期目へ


●下がる実質賃金
異次元緩和のシナリオは「年2%の物価上昇を安定的に実現すれば賃金が上がり、所得、雇用も増え、好循環が期待できる」というものです。なぜ「2%」か、政府、日銀とも「グローバルスタンダード」(世界標準)というだけで根拠を示せません。「2年程度で達成する」とスタートしました。
結果はどうか。実質賃金指数は5年間で約5%下落。個人消費が伸び悩んでいるため、国内総生産(GDP)成長率も1%台で主要国中、最低です。その一方、株価はほぼ2倍に上がっています。
異次元緩和は外国為替市場で円安を加速させ、海外投資家の日本株買いを促しました。異次元緩和で、株価に連動する投資信託、株価連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを日銀が増やしていることも株価を支えています。
物価上昇率はこの2月時点で1%(生鮮食品を除く)。エネルギー価格の上昇を除けば0%台が続きます。物価目標達成のめどは6回も先送りされ、現時点では「19年度ごろ」。異次元緩和を「2年」どころか6年以上続ける宣言です。
この政策の異常さは日銀が大量の国債を買い取って、金融市場に巨額のお金を供給するところにあります。日銀が国債を直接引き受けることは財政法で禁止されています。日銀自身がホームページで次のように説明しています。
「中央銀行がいったん国債の引き受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです」
しかし、政府、日銀とも「2%の物価安定目標の実現のために市場で流通しているものを買い入れているから財政法に抵触しない」としています。

●政府に資金供給
政府が新規に発行した長期国債を金融機関が落札すると、ただちに日銀が買い取っています。その量は当初、残高が年間50兆円増えるペースでした。14年10月には80兆円増に拡大しました。償還期限が来る国債もあるので市場で買い取る額はそれ以上です。
安倍政権での新規発行国債は年30兆~40兆円程度。
日銀が大半を市場から買い入れた上、民間金融機関が保有していた国債も買い取っていきます。実質は日銀が政府の借金を引き受け、アベノミクスの資金を供給していることと変わりません。
日銀による大規模な国債買い取りによって、金融市場で国債が枯渇し、日銀は買い入れる国債を減らさざるをえなくなっています。
日銀が保有する長期国債の増加ペースはこの1年、50兆円程度に減速しています。しかし、異次元緩和は日本の財政と金融にすでに計り知れない重荷を背負わせています。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年4月4日付掲載


異次元の金融緩和で、大企業や銀行には資金がジャブジャブ供給されるが、投資や賃金、消費に回らない。
もっぱら、株価つり上げなどに回っている。

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