神戸製鋼 不正の病巣③ 裏社会と首相と
1999年11月9日、神戸製鋼所の役員が総会屋への利益供与による商法違反の容疑で事情聴取されるという事件が発生しました。事情聴取された役員は、同日付で辞任しました。「関係者の厳正な処分」を行ったと神鋼の社史(『神戸製鋼100年』)はつづっています。
この事件は、神鋼と闇の勢力との呪縛の実態を浮かびあがらせました。
神鋼が尼崎製鉄を合併した65年の時、次期社長の座をめぐり両社が対立しました。この紛争に介入したのが右翼の大物児玉誉士夫(よしお)(故人)でした。これを契機に、神鋼経営陣は、闇の勢力との関係を深めていきます。同氏の死後、側近の大物総会屋の木島力也(故人)が引き継ぎました。木島氏の息子の結婚式には、神鋼幹部が出席したこともありました。会社幹部の中には「俺の自慢は、山口組とさしで話ができることだ」と公言する人物までいたといいます。
2006年の製鉄所のばい煙データ不正処理事件、09年には、地方選候補者への不正献金事件が発生しています。不正の病巣は、地下深く浸透しているのです。

神戸製鋼所の加古川製鉄所=兵庫県加古川市
有名OBとして
日本国内で最も有名な神鋼OBは安倍晋三首相、その人です。
安倍首相は、1979年から80年まで神戸製鋼所に在籍していました。80年5月から81年1月末まで、加古川製鉄所工程部工程課に勤務していました。
2016年3月30日に放送された自民党インターネット番組で安倍首相は「神戸製鋼所の新入社員時代、数値の入力ミスで長さの足りないパイプを大量に製造してしまった」「首になるかと思ったが、事なきを得た。多少の失敗にもめげずに、みなさんにも頑張ってもらいたい」と発言しています。
安倍首相は、07年3月10日には、加古川製鉄所を訪問しました。1時間にわたり工場内を見学して回りました。社会人としての原点が神鋼にあるという安倍首相。「みなさん、ご安全に。工程課厚板係の安倍晋三です」と、神鋼時代の肩書で現場の労働者にあいさつしていました。
石炭火力を推進
安倍首相は、今年6月24日にも、神戸製鉄所の石炭火力発電所を視察しました。石炭火力発電は、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を多く排出するため、脱石炭火力が世界的な流れになっています。しかし日本政府の「エネルギー基本計画」では、原発と並んで石炭を「重要なべースロード電源」と位置付けています。神鋼は、安倍政権と一体となって石炭火力発電を推進しているのです。
神鋼は、10月末に神戸製鉄所内の高炉を休止。関西電力と電力需給契約を結んで、跡地に石炭火力発電所を建設しています。21年度の稼働開始を目指しています。
神鋼が電力事業を開始したのは、02年からです。16~20年度のグループ中期経営計画でも安定収益基盤に位置付けています。
石炭火力発電の推進については、住民たちによる反対運動も起きています。日本共産党神戸製鋼委員会は「石炭火力発電は巨大な負の遺産となりかねない」と警鐘を鳴らしています。
裏社会と最高権力者との二つの結びつきは、企業不正の温床になるとともに事業活動そのものにも巨大なゆがみをもたらしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年12月12日付掲載
裏社会とのつながりといえば、映画「金融腐蝕列島 呪縛」がありますね。1999年9月公開、金融機関と裏社会とのつながりを扱ったものでした。
ちょうど同じ時期に神戸製鋼の問題も発生していたのですね。
安倍首相とのつながりも神鋼の石炭火力推進と無関係ではありません。
1999年11月9日、神戸製鋼所の役員が総会屋への利益供与による商法違反の容疑で事情聴取されるという事件が発生しました。事情聴取された役員は、同日付で辞任しました。「関係者の厳正な処分」を行ったと神鋼の社史(『神戸製鋼100年』)はつづっています。
この事件は、神鋼と闇の勢力との呪縛の実態を浮かびあがらせました。
神鋼が尼崎製鉄を合併した65年の時、次期社長の座をめぐり両社が対立しました。この紛争に介入したのが右翼の大物児玉誉士夫(よしお)(故人)でした。これを契機に、神鋼経営陣は、闇の勢力との関係を深めていきます。同氏の死後、側近の大物総会屋の木島力也(故人)が引き継ぎました。木島氏の息子の結婚式には、神鋼幹部が出席したこともありました。会社幹部の中には「俺の自慢は、山口組とさしで話ができることだ」と公言する人物までいたといいます。
2006年の製鉄所のばい煙データ不正処理事件、09年には、地方選候補者への不正献金事件が発生しています。不正の病巣は、地下深く浸透しているのです。

神戸製鋼所の加古川製鉄所=兵庫県加古川市
有名OBとして
日本国内で最も有名な神鋼OBは安倍晋三首相、その人です。
安倍首相は、1979年から80年まで神戸製鋼所に在籍していました。80年5月から81年1月末まで、加古川製鉄所工程部工程課に勤務していました。
2016年3月30日に放送された自民党インターネット番組で安倍首相は「神戸製鋼所の新入社員時代、数値の入力ミスで長さの足りないパイプを大量に製造してしまった」「首になるかと思ったが、事なきを得た。多少の失敗にもめげずに、みなさんにも頑張ってもらいたい」と発言しています。
安倍首相は、07年3月10日には、加古川製鉄所を訪問しました。1時間にわたり工場内を見学して回りました。社会人としての原点が神鋼にあるという安倍首相。「みなさん、ご安全に。工程課厚板係の安倍晋三です」と、神鋼時代の肩書で現場の労働者にあいさつしていました。
石炭火力を推進
安倍首相は、今年6月24日にも、神戸製鉄所の石炭火力発電所を視察しました。石炭火力発電は、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を多く排出するため、脱石炭火力が世界的な流れになっています。しかし日本政府の「エネルギー基本計画」では、原発と並んで石炭を「重要なべースロード電源」と位置付けています。神鋼は、安倍政権と一体となって石炭火力発電を推進しているのです。
神鋼は、10月末に神戸製鉄所内の高炉を休止。関西電力と電力需給契約を結んで、跡地に石炭火力発電所を建設しています。21年度の稼働開始を目指しています。
神鋼が電力事業を開始したのは、02年からです。16~20年度のグループ中期経営計画でも安定収益基盤に位置付けています。
石炭火力発電の推進については、住民たちによる反対運動も起きています。日本共産党神戸製鋼委員会は「石炭火力発電は巨大な負の遺産となりかねない」と警鐘を鳴らしています。
裏社会と最高権力者との二つの結びつきは、企業不正の温床になるとともに事業活動そのものにも巨大なゆがみをもたらしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年12月12日付掲載
裏社会とのつながりといえば、映画「金融腐蝕列島 呪縛」がありますね。1999年9月公開、金融機関と裏社会とのつながりを扱ったものでした。
ちょうど同じ時期に神戸製鋼の問題も発生していたのですね。
安倍首相とのつながりも神鋼の石炭火力推進と無関係ではありません。