Yモード 発車よし! 三陸鉄道 運転手デビュー 女性乗務11年ぶり
岩手・宮古出身 宇都宮 聖花(せいか)さん(23)
東日本大震災による壊滅的な被害から全面復旧し、現在は「日本一長い第三セクター鉄道」に向けた準備を進める岩手県の三陸鉄道。そこで歴代2人目となる女性運転士として、地元出身の宇都宮聖花(せいか)さん(23)が、10月14日にデビューしました。
洞口昇幸記者


復興にがんばる地元に明るさ届けたい
独り立ちから約2週間後の26日朝、澄んだ空気と青い空の下で宇都宮さんが運転する車両が、宮古駅(宮古市)から久慈駅(久慈市)に向けて出発しました。
一両編成の車内には、地元の通学途中の高校生、病院へ向かうお年寄り、カメラを携える旅行者の姿がありました。絵の具で色付けしたような秋色の山の中、柔らかく輝く海沿いを、ディーゼル車両が駆けて行きます。
真剣なまなざしで操縦レバーを握る宇都宮さん。各駅で「よし」「よし」「よし」と指さし確認してから出発。ワンマン運転のため、乗客が降りるときには立ち上がり、「ありがとうございました」と切符を受け取ります。
三陸鉄道の女性運転士の乗務は11年ぶり。宇都宮さんは乗務を終えた後、「今の時期は、落ち葉や朝露でレールが汚れて湿り、車輪が空転したりブレーキが利きにくくなったりします。
今日は予想以上に神経を使いました。人の命を預かっている仕事ですから」と、安堵(あんど)の表情を見せました。

久慈駅の発着ホームに向かう三陸鉄道の車両
帰郷を決意
鉄道好きの宇都宮さんは、鉄道会社に入ることが夢でした。生まれ育った宮古市内の高校を卒業後、関東の西武鉄道(埼玉県所沢市)に就職。駅員として働いていましたが、昨年4月に運転士を募集していた三陸鉄道に転職しました。
2011年3月11日の東日本大震災が起きたとき、宇都宮さんは高校1年生で下校途中。「驚きと恐怖しかなかった」と振り返ります。友人も亡くしました。
それでも、「いったん外に出てみたからこそ地元の良さ、温かさがわかりました」と、復興途中の故郷に戻ることを決めました。
昨年秋から、運転士に必要な国家試験、「動力車操縦者運転免許試験」の勉強を開始。今年3月に筆記試験、5月に実技試験を受けて合格。その後も訓練を積み、10月の社内の最終試験を通過しました。

降りる乗客から切符を受け取る宇都宮さん
「生活の足」
「連結車両の分割作業は手順が複雑で、腕力も必要なので最初は苦労しました。でも今はだいぶ作業が早くなりました」と、笑顔で語りました。
東日本大震災で被害を受けた三陸鉄道は14年4月に全線復旧。19年には大震災の被害を受けて運休しているJR山田線の宮古―釜石間の経営が移管され、総延長163キロメートルの日本一長い第三セクター鉄道になります。
三陸鉄道の中村一郎社長は、交通弱者・住民の「生活の足」と地域経済の活性化に貢献する役割が三陸鉄道にあると言います。「引き続きその役割を果たしていきたい。多くの方々に利用していただければありがたいです」と話します。
宇都宮さんは抱負を語ります。「三陸鉄道の一社員、一運転士として復興にがんばる地域に明るさを届けたい」
「しんぶん赤旗」日曜版 2017年11月5日付掲載
鉄道が好きで岩手から埼玉の鉄道会社へ。
「いったん外に出てみたからこそ地元の良さ、温かさがわかりました」と地元の鉄道会社に戻ることを決意。
阪急電車でも女性運転手を見かけますが、女性運転手はやっぱりカッコイイ!
岩手・宮古出身 宇都宮 聖花(せいか)さん(23)
東日本大震災による壊滅的な被害から全面復旧し、現在は「日本一長い第三セクター鉄道」に向けた準備を進める岩手県の三陸鉄道。そこで歴代2人目となる女性運転士として、地元出身の宇都宮聖花(せいか)さん(23)が、10月14日にデビューしました。
洞口昇幸記者


復興にがんばる地元に明るさ届けたい
独り立ちから約2週間後の26日朝、澄んだ空気と青い空の下で宇都宮さんが運転する車両が、宮古駅(宮古市)から久慈駅(久慈市)に向けて出発しました。
一両編成の車内には、地元の通学途中の高校生、病院へ向かうお年寄り、カメラを携える旅行者の姿がありました。絵の具で色付けしたような秋色の山の中、柔らかく輝く海沿いを、ディーゼル車両が駆けて行きます。
真剣なまなざしで操縦レバーを握る宇都宮さん。各駅で「よし」「よし」「よし」と指さし確認してから出発。ワンマン運転のため、乗客が降りるときには立ち上がり、「ありがとうございました」と切符を受け取ります。
三陸鉄道の女性運転士の乗務は11年ぶり。宇都宮さんは乗務を終えた後、「今の時期は、落ち葉や朝露でレールが汚れて湿り、車輪が空転したりブレーキが利きにくくなったりします。
今日は予想以上に神経を使いました。人の命を預かっている仕事ですから」と、安堵(あんど)の表情を見せました。

久慈駅の発着ホームに向かう三陸鉄道の車両
帰郷を決意
鉄道好きの宇都宮さんは、鉄道会社に入ることが夢でした。生まれ育った宮古市内の高校を卒業後、関東の西武鉄道(埼玉県所沢市)に就職。駅員として働いていましたが、昨年4月に運転士を募集していた三陸鉄道に転職しました。
2011年3月11日の東日本大震災が起きたとき、宇都宮さんは高校1年生で下校途中。「驚きと恐怖しかなかった」と振り返ります。友人も亡くしました。
それでも、「いったん外に出てみたからこそ地元の良さ、温かさがわかりました」と、復興途中の故郷に戻ることを決めました。
昨年秋から、運転士に必要な国家試験、「動力車操縦者運転免許試験」の勉強を開始。今年3月に筆記試験、5月に実技試験を受けて合格。その後も訓練を積み、10月の社内の最終試験を通過しました。

降りる乗客から切符を受け取る宇都宮さん
「生活の足」
「連結車両の分割作業は手順が複雑で、腕力も必要なので最初は苦労しました。でも今はだいぶ作業が早くなりました」と、笑顔で語りました。
東日本大震災で被害を受けた三陸鉄道は14年4月に全線復旧。19年には大震災の被害を受けて運休しているJR山田線の宮古―釜石間の経営が移管され、総延長163キロメートルの日本一長い第三セクター鉄道になります。
三陸鉄道の中村一郎社長は、交通弱者・住民の「生活の足」と地域経済の活性化に貢献する役割が三陸鉄道にあると言います。「引き続きその役割を果たしていきたい。多くの方々に利用していただければありがたいです」と話します。
宇都宮さんは抱負を語ります。「三陸鉄道の一社員、一運転士として復興にがんばる地域に明るさを届けたい」
「しんぶん赤旗」日曜版 2017年11月5日付掲載
鉄道が好きで岩手から埼玉の鉄道会社へ。
「いったん外に出てみたからこそ地元の良さ、温かさがわかりました」と地元の鉄道会社に戻ることを決意。
阪急電車でも女性運転手を見かけますが、女性運転手はやっぱりカッコイイ!