検証アベノミクス 税財政① 法人減税で内部留保増
「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」「世界一安心な国、世界一安全な国、日本をつくり上げる」。2013年1月28日、第2次安倍晋三政権が発足して初めての所信表明演説で安倍首相は声を張り上げました。あれから3年、アベノミクスの破たんがあらわになっています。税財政の面から検証します。
安倍政権のもとで大規模な大企業減税が行われてきました。東日本大震災の復興特別法人税を廃止したのをはじめ、政権発足時には37・0%だった法人実効税率(国と地方を合わせた企業の税負担率)を段階的に29・74%まで引き下げることを決めました。安倍政権の下での大企業減税のばらまきは4兆円に上ります。

トヨタ自動車本社=愛知県豊田市
設備投資は減
大企業減税について安倍首相は15年11月11日の経済財政諮問会議で「企業においては、そうした(減税など)政府の取組と歩調を合わせて、設備投資や賃上げにつなげていただきたい」と述べました。まるで法人実効税率を引き下げれば、設備投資が増えて、労働者の賃金も引きあがるといわんばかりです。
安倍政権のもとで賃金は下がり続けています。法人企業統計で資本金10億円以上の大企業について、従業員一人あたりの賃金の推移をみると、15年10~12月期は12年に比べて、1・8%増とほとんど増えていません。この間の物価変動を考えれば、実質減です。
エ場や機械設備など有形固定資産は3年間で1・2%の減少です。法人実効税率の引き下げは賃上げにも設備投資にも回らなかったのです。
代わって急増しているのが内部留保です。大企業の内部留保は3年間で15%以上も増大し、300兆円を突破しました。
日本の法人税が不公平なのは大企業ほど負担が低くなっていることです。研究開発減税や外国子会社配当益金不算入制度など大企業ほど使いやすい制度があるからです。

5年間払わず
トヨタ自動車の場合、リーマン・ショックが起きた08年度から12年度まで5年間法人税を1円も払っていませんでした。13年度から納税を再開しましたが、研究開発減税が2年連続で1000億円以上、復興特別法人税廃止や税率引き下げで1200億円、受取配当益金不算入などで毎年2000億円前後減税されています。さらに、「賃上げしたから」という理由で、111億円もの減税を受けました。
こうした特定大企業を優遇する制度を見直すことが不可欠です。
(つづく)(この項4回連載の予定です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月20日付掲載
トヨタ自動車が、リーマンショック以降5年間、税金を払ってこなかったことは有名な話しですが…
その後、安倍政権は大企業向けの減税を開始。
労働者の賃金にまともに回っていません。
「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」「世界一安心な国、世界一安全な国、日本をつくり上げる」。2013年1月28日、第2次安倍晋三政権が発足して初めての所信表明演説で安倍首相は声を張り上げました。あれから3年、アベノミクスの破たんがあらわになっています。税財政の面から検証します。
安倍政権のもとで大規模な大企業減税が行われてきました。東日本大震災の復興特別法人税を廃止したのをはじめ、政権発足時には37・0%だった法人実効税率(国と地方を合わせた企業の税負担率)を段階的に29・74%まで引き下げることを決めました。安倍政権の下での大企業減税のばらまきは4兆円に上ります。

トヨタ自動車本社=愛知県豊田市
設備投資は減
大企業減税について安倍首相は15年11月11日の経済財政諮問会議で「企業においては、そうした(減税など)政府の取組と歩調を合わせて、設備投資や賃上げにつなげていただきたい」と述べました。まるで法人実効税率を引き下げれば、設備投資が増えて、労働者の賃金も引きあがるといわんばかりです。
安倍政権のもとで賃金は下がり続けています。法人企業統計で資本金10億円以上の大企業について、従業員一人あたりの賃金の推移をみると、15年10~12月期は12年に比べて、1・8%増とほとんど増えていません。この間の物価変動を考えれば、実質減です。
エ場や機械設備など有形固定資産は3年間で1・2%の減少です。法人実効税率の引き下げは賃上げにも設備投資にも回らなかったのです。
代わって急増しているのが内部留保です。大企業の内部留保は3年間で15%以上も増大し、300兆円を突破しました。
日本の法人税が不公平なのは大企業ほど負担が低くなっていることです。研究開発減税や外国子会社配当益金不算入制度など大企業ほど使いやすい制度があるからです。

5年間払わず
トヨタ自動車の場合、リーマン・ショックが起きた08年度から12年度まで5年間法人税を1円も払っていませんでした。13年度から納税を再開しましたが、研究開発減税が2年連続で1000億円以上、復興特別法人税廃止や税率引き下げで1200億円、受取配当益金不算入などで毎年2000億円前後減税されています。さらに、「賃上げしたから」という理由で、111億円もの減税を受けました。
こうした特定大企業を優遇する制度を見直すことが不可欠です。
(つづく)(この項4回連載の予定です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月20日付掲載
トヨタ自動車が、リーマンショック以降5年間、税金を払ってこなかったことは有名な話しですが…
その後、安倍政権は大企業向けの減税を開始。
労働者の賃金にまともに回っていません。