熊本地震1カ月 苦難続く被災地① 3食提供ない避難所も
甚大な被害をもたらした熊本地震発生からきょう14日で1カ月を迎えます。尊い命を奪った激震は、多くの家屋や事業所を損壊し、収まらない揺れのなか被災者は車中泊などで不安な夜を過ごしています。苦難の続く被災地の現状と課題は―。
今なお1万人以上が避難所生活を余儀なくされている熊本県。88カ所の避難所に約3300人(12日現在)が避難する熊本市では、「環境改善に取り組む」として拠点避難所への移転・集約が進められています。
東区の拠点避難所で生活する冨永秀子さん(73)は「避難生活が長くなり、精神的に疲弊している」とため息をつきます。外壁が崩れるなどの被害を受けた自宅は、家具が倒れて足の踏み場もない状況です。
窓際のベンチに腰掛けた冨永さんは「ストレスのない生活がしたくても、他に行くところがない。(国や自治体には)今後の生活について、避難している人の要望を聞いてほしい」と語りました。

公民館の避難所で夕食をとる(右から)上野トミコさん、孫・りえさん、娘・郁代さん=5月11日、熊本市中央区
「野菜食べたい」
市内の避難所では「あたたかいご飯が食べたい」「野菜が食べたい」との声が相次いでいます。
11日午後6時半に中央区の大江公民館を訪ねると、上野トミコさん(70)が娘・郁代さん(45)、孫・りえさん(18)と夕食の列に並んでいました。この日は、おにぎりと菓子パン、魚肉ソーセージ、インスタントみそ汁が1個ずつ配られました。
段ボールで区切られた3人分のスペースに戻った上野さんは「朝食はパン、昼食はカップ麺や缶詰を食べています。避難所では野菜が出ないので、スーパーでサラダを買うしかない。テーブルがないことにも不自由さを感じる」といいます。
環境改善が急務
「拠点避難所は自宅から遠くて不便」との声があり、小学校の体育館などで避難を続けている人もいます。炊き出しが中止された避難所も多く、一部では1日3食の提供すらされていません。中央区の公民館で被災直後から生活している女性(68)は「連休明けから朝食と昼食が出なくなりました。多くの人が食べたり寝たりする会議室は空気が悪く、早く改善してほしい」と訴えます。
災害救助法では、避難中の人に対して1日3食の食事を提供することが定められています。政府が熊本県に出した「避難所などの生活環境の整備等について」と題する通知でも、食事について「適温食の提供、栄養バランスの確保」を指針で示しています。
熊本市の担当課長は「あたたかい食事の提供など、避難者の要望に応えられていない面がある」との認識・を示す一方、「全ての避難所の環境改善を図ることは難しい」と述べています。
日本共産党の上野美恵子市議団長は強調します。
「避難者の実情を把握し、全ての避難所の環境改善を図ることが急務です。国は通知に沿った改善策を徹底させる立場で責任を果たしてほしい」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月14日付掲載
鉄道や高速道路などは復旧、水道やガスなどのライフラインも復旧しつつあるのですから、温かい食事などの供給は可能なはず。
財政的支援とマンパワーの支援が必要です。
甚大な被害をもたらした熊本地震発生からきょう14日で1カ月を迎えます。尊い命を奪った激震は、多くの家屋や事業所を損壊し、収まらない揺れのなか被災者は車中泊などで不安な夜を過ごしています。苦難の続く被災地の現状と課題は―。
今なお1万人以上が避難所生活を余儀なくされている熊本県。88カ所の避難所に約3300人(12日現在)が避難する熊本市では、「環境改善に取り組む」として拠点避難所への移転・集約が進められています。
東区の拠点避難所で生活する冨永秀子さん(73)は「避難生活が長くなり、精神的に疲弊している」とため息をつきます。外壁が崩れるなどの被害を受けた自宅は、家具が倒れて足の踏み場もない状況です。
窓際のベンチに腰掛けた冨永さんは「ストレスのない生活がしたくても、他に行くところがない。(国や自治体には)今後の生活について、避難している人の要望を聞いてほしい」と語りました。

公民館の避難所で夕食をとる(右から)上野トミコさん、孫・りえさん、娘・郁代さん=5月11日、熊本市中央区
「野菜食べたい」
市内の避難所では「あたたかいご飯が食べたい」「野菜が食べたい」との声が相次いでいます。
11日午後6時半に中央区の大江公民館を訪ねると、上野トミコさん(70)が娘・郁代さん(45)、孫・りえさん(18)と夕食の列に並んでいました。この日は、おにぎりと菓子パン、魚肉ソーセージ、インスタントみそ汁が1個ずつ配られました。
段ボールで区切られた3人分のスペースに戻った上野さんは「朝食はパン、昼食はカップ麺や缶詰を食べています。避難所では野菜が出ないので、スーパーでサラダを買うしかない。テーブルがないことにも不自由さを感じる」といいます。
環境改善が急務
「拠点避難所は自宅から遠くて不便」との声があり、小学校の体育館などで避難を続けている人もいます。炊き出しが中止された避難所も多く、一部では1日3食の提供すらされていません。中央区の公民館で被災直後から生活している女性(68)は「連休明けから朝食と昼食が出なくなりました。多くの人が食べたり寝たりする会議室は空気が悪く、早く改善してほしい」と訴えます。
災害救助法では、避難中の人に対して1日3食の食事を提供することが定められています。政府が熊本県に出した「避難所などの生活環境の整備等について」と題する通知でも、食事について「適温食の提供、栄養バランスの確保」を指針で示しています。
熊本市の担当課長は「あたたかい食事の提供など、避難者の要望に応えられていない面がある」との認識・を示す一方、「全ての避難所の環境改善を図ることは難しい」と述べています。
日本共産党の上野美恵子市議団長は強調します。
「避難者の実情を把握し、全ての避難所の環境改善を図ることが急務です。国は通知に沿った改善策を徹底させる立場で責任を果たしてほしい」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月14日付掲載
鉄道や高速道路などは復旧、水道やガスなどのライフラインも復旧しつつあるのですから、温かい食事などの供給は可能なはず。
財政的支援とマンパワーの支援が必要です。